夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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22 ソードの部屋


 来た道を戻りソードの住むグースに戻ってきた。ソードの家は大通りからは外れた所にあり、人通りもさほどない。この街にあるごくごく普通の2階建ての建物でその2階の一室に住んでいた。
 特に日当たりも良い訳でもなく、何か変わった建物でもなかった。

 部屋に入ったらもっと普通だった。キッチン、ベッドがありクローゼットがあって後は少しの荷物。むしろ少ないかもしれない。

「意外とシンプルだな」

「そう?ベッドだけあればいい。寝るだけだから」

「なんだ、趣味でもあるのかと思ったのに」

「ねぇよ。荷物サンキューな、とりあえず適当に座ってゆっくりしろよ」

 ソードはレイに飲み物を渡して自分は荷物をほどいた。何個か箱をだし、自分も飲み物を飲みながらあれこれと仕分けた。レイはふと、隣にもう一部屋あるのに気がついた。

「こっちは何?見ていいの?」

「別にいいけど汚いぞ」

 といって自分の仕分けた荷物を持ってその部屋を開けた。そこには、無数の紙と本に色鉛筆。さながら研究室のような場所だった。レイは驚きその1枚を許可をとって見た。

「これ、魔獣か?」

「そう、自分で見たやつとか戦ったの書いてる」

その資料や絵の多さにレイは呆気にとられていた。レイがいつものように喋らないので、ソードは見せない方が良かったのかなと思っていた。

「まぁ見なくていいよ」

と言って自分は仕分けを再開させた。

「なんで?」

「なんでって…」

「凄すぎて声出なかったわ、ありがとなプライベートなの見せてくれて」

 ソードはレイが気を使ってくれたんだなと思いながら、次回からは人にあまり見せない方がいいなと位置付けた。

□□□

 夜になりゆっくり二人でお菓子を食べながら話すのが日常になりつつあった。

「レオって同級生なんだよな?剣術学校の教師なんてスゲーエリートだな。てことは、ソードもエリートなのか?」

「いや、俺は超落ちこぼれだ。単位ギリギリで卒業した」

「学校どこだよ?一番有名なのはヒューズ学校か?だとしたらスゲーな」

「そのヒューズ学校、因みにあそこは金さえ積めば入れるとも有名だろ。剣術戦科が空いてたからたまたま入れた。そんときからの友達」

「へー!スゲーな。そりゃ強いはず」

「いや、俺は落ちこぼれだったから1年でついてけなくて別に移動した。しかも剣術サボったりしてたから1年ちゃんとは行ってない」

「どこ移動したんだ?」

「商人科」
 
「意外すぎる」

「まー緩かったしな。レオは超エリートだな。人徳もあるし、頭もよかったな。かっこいいし、昔からモテてたな。何で今も俺と友達なのか全然わかんね」

「へ~レオ見たいなのカッコイイって思うのか?」

「普通に皆そう思うんじゃね?性格もいいからな」

「俺の前でサクッと他の男、誉めるなよな~」

「事実だからな」

「くそ、お前なんてこーしてやる!」

「ひーたーひー」

レイはソードの両方のほっぺを持ち伸ばして遊んだ。



「やっぱ狭い」

「だから言っただろ、近くに宿とれよ。その方がいいだろ?」

「やだ」

この部屋にはシングルベッドが1つしかない。となると必然的にソードに引っ付けるのはいいのだが、寝ている間に寝返りなどをすると落ちてしまう。

「金あるから買う」

「いらない」

「いるだろ!これから俺がしょっちゅうここに来るし、後10日以上も狭いベッドはやだ」

 次の日、シングルベッドは無くなりダブルが置かれていたのはソードがお菓子を買いに行っていた間の出来事だった。

□□□〈レイ〉

 今日は、レオと会う日。昼過ぎにソードとガルシアに行き買い物に付き合った後、レオを迎えにいった。実は昨日もソードとガルシアの街をまわったがとても1日では見回ることができない広さで、結局カフェやお菓子を見て終わった。

「よう!レイ、ガルシアはどーだ?」

「広い、何でもある。便利だな」

「だろ?全然回りきれないよな、俺も全然わかんねぇ所いっぱいある。折角だから少し観光しようぜ」

 そう言ってレオは小さい蛇獣のクロウを貸しきって俺たちを乗せていろいろ教えてくれた。王都図書館や美術館、冒険依頼所も教えてくれた。ここの冒険依頼所は最大級で多くの人で賑わっていた。最後に街から少し離れた、だだっ広い道をひたすら真っ直ぐにいき、この国の王がいるヒューズ城を見せてくれた。門番と知り合いなのか、レオは軽く手を上げてまた街へ戻った。

「かなりざっとだが、こんな感じだな」
「わかりやすいし、楽しかった。ありがとな」
「礼なんていい、楽しんでくれて何より」

 ソードが話してた通りいい奴だった、そんなレオの良さが垣間見えた。

「じゃ、飯でも食うか」

そう言って、適当に店に入り適当なテーブルにつき席に座った。

「ソードと俺な、学生の時に出会ってそれ以来の付き合いなんだが。たまにこいつがふらっと来るんだよ。今回は手がこんなんだから大した事できないが何かあったらいつでも来てくれ。明日でもいいからな」

「仲いいんだな、じゃあ遠慮なく何かあったら訪ねさせてもらう。俺も役に立つ事があるならいつでも手を貸すから言って欲しい」

「おう!ソード、レイいいやつだな。どこで見つけたんだよ」

「見つけたんじゃない、んだ」

「そうだな、1年前に1回会ってその時に助けてもらったんだ。名前も何も言わずに逃げるから、お礼も言えなくて。んで、探し回ってやっとダンケルのお菓子屋の前で見つけた」

「ぶっははは!ソードならお菓子屋探せば確かに見つかるな!そーかそーか」

「んで、俺が頼み込んで一緒に居させてもらってる」

「ソードが人を連れてくるの初めて見たから驚いた。ロキはちょっと紹介するのとは違ったからな。ソードは誤解されやすい、取り巻きも昔は多かったから孤立してた。誰か心の知れた人といるの嬉しいよ。成長したな!」

「うるせ!勝手に向こうがつっかかってくんだよ、俺は何もしてない!」

「ま、そうだったな」

そんな話をしながら夜が更けていった。この二日後、すぐにレオの所に行くことになる。
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