27 / 130
27 寄り道
ソードの朝は誰よりも遅い。それは本人も自覚している。
レイはシャワーを浴びた後、まだ寝ているソードの隣にゆっくり座った。その寝顔を見ながらレイは昨日の事を考えていた。ソードの物事の定義はハッキリしていて、それにより自分の行動も考えも制限をしてしまう危うい考えだった。
普通なら体を重ねる事に好きか嫌いかがくる。だがソードは縛りを自分に課している分そこを突かれる事で受け止めてしまう。
それなのに常に無償の愛を他人に注いでるソードを見ていると、とてもアンバランスにレイには見えた。ひたすら走り続けている姿は破滅的で、どうしたらそこに至るのかわからなかった。
寝ているソードに顔を近づけ
「ソード起きろー、今日でるんだろ?」
「……。」
起きない。
後ろから抱きついて起こす。
「昼過ぎになるぞーロキに会うんだろー」
「……。」
ピク
反応するが起きない。
ソードを更にぎゅっとする。
「途中の休憩でお菓子買おう」
ガバッ!
「起きる」
起きた。
ソードはロキよりお菓子か。あはれなロキ。
シャワーを浴びに立ち上がりお風呂に向かった。昨日あちこち付けたキスマークに反応もせず、普段通りのソード。シャワーからでて着替え終わると、サルノに行く準備にとりかかる。
支度を終えたレイは、ベッドに座りゆっくりしていた。ふとあのニケに対する愛情はどこからくるのか聞いてみたくなった。それに、仲良くなるきっかけがあったはず。
「なぁ、ニケって友達は何でそんな仲良くなったんだ?」
ソードは一瞬止まったが、何か思い出したのか凄く嬉しそうに口元を緩めた。
「あぁ~俺の事誉めてくれたから…」
たった、それだけ?
それだけであんな愛情注げるのか?
あんなにも嬉しそうなソードの顔、見たこと無い。正直ニケに嫉妬した。それと同時に少し心が苦しくなった。他人から見たら、ごくごく普通にある事なのにソードからしてみたらそれが物凄く特別だったからだ。
誉められるってよくあるよな?
多分ソードはそうじゃないのか……
「そうか」
レイの反応にソードは納得していないと感じ少し考えてレイに話した。
「んーそうだな~腕1本」
レイは固まった。
「友達だったら腕一本までなら無償で差し出せる。それ以上は、差し出せない。自分が可愛いからな、冷たいよな。ま、そんな感じ」
「ふふっ。そうか」
サラッと言ったソードだが、レイはこの覚悟があっての行動かと点と点とが繋がり線になった。ソードの独特な友達定義の感性と愛情がそこにはあった。
今のソードが自分にどこまで差し出してくれるか知りたいと思った反面、聞きたくないとも思った。
□□□
ヒューズを後にして、カウロックに入った。
「黄土の国」とも呼ばれているその国は、土地が草原で広がり水も豊かであった。また、魔の森が占める割合も多く国が全力をあげたい政策の一つでもあった。そうできない理由もまた、ヒューズ国との政治的な協約があるからだ。
「ちょっと、寄り道してく」
魔の森の近くにある街に到着し討伐依頼を見ていた。
「やっぱ、魔獣ならカウロックだな。魔の森の討伐依頼は一番多いな」
「だな、小さい街だが依頼の内容は濃いしな」
「そーいや、ガルシアでは依頼受けなかったんだな」
「あーあそこはあんまり受けない。大体、護衛や国に関係するからな」
「お前の好きな薬草の依頼は?」
「受けるときもあるが受けないときもある。民間のは受けるが、それ以外はあまり受けない」
「何で?」
「民間は困ってる人がほとんどだが、研究者からのは大体研究材料や冒険者を水もの扱いだからな。簡単な依頼と見せかけて危険が多し、その割に安い」
「へぇー」
「って事で、薬草の依頼を受ける」
「だと思った。俺も何個か受けていい?」
「勿論、好きなの選べ~」
何気にこれがソードと初めて二人でする討伐だった。ソードは相変わらず薬草摘みをしていた。その途中でレイが受けた依頼を二人でこなしていった。難なくこなしたレイは、あり得ないとは思っていたがソードの目をチラリと見たがやはり光らなかった。
ゴツゴツとした岩がある山のような岩石の上に登ると、カウロック領土から右手奥に湿地が見える。
「あの湿地はカウロックの領土か?」
「いやヒューズだ、あそこはあまり領土として手付かずな感じだな」
「扱いにくいだろうな。人も余り住んでなさそうだし、魔獣もでるし国としてはお荷物で途中で放置したんだろうな」
「まぁ、そうだな。湿地からカウロック方面まで来たらいいが魔獣がいる。悪くは無いけどな」
そんな話をしながら依頼所へ戻った。
□□□〈ソード〉
宿でソードはお菓子を食べていた。
食べながら考えていた。
俺、ちゅーだけって言ったよな?
何でレイとやったんだ?
レイ約束破った。
何でだ…そんな奴じゃないはず……どっからそうなった。
ソードは何が問題だったか考え始める。疑問に思うととことん追及するタイプだ。
レイがキスは嫌じゃないんだなと言った後、何か言ったんだよ。
…あ、「本気で嫌か嫌じゃないか」だ。
そうだ、あれを言われて嫌じゃないという答えを出したんだ。そらそーだ、俺はレイが嫌な訳じゃない。好きだからな。ただ、レイの好きとはちょっと違うからな~なのにやってしまった。何でだ?
違う、ここじゃないな。もっと前からだ。ニケの話をしていて…
「ソード」
不意に話しかけられる
「今考え中だ」
近寄るレイにピシャリと言った。しかし、レイは関係なく近づく。そして、ソードにすり寄るように抱きついた。
ソードの考えが鈍る。まだ、答えを導いてないのに気が散る。そうだ、レイがこう言ったんだ。
「お前本当ならリッカにもっと残りたかったんだよな?それを俺の為に戻って来たんだろ?ありがとな」
って、その時に自分の考えてることが初めてばれたんだ。その時からだ。それから…
「ソード」
レイがまた呼ぶ。仰向けにさせ手首をもつがソードはどこか見ながら考える。
まだだ、まだ結論がでてないから話しかけるな。ニケに会った後…早くレイの所に帰らないとって思って…レイの為に戻ったけど…レイがありがとうって言って…それで…レイは何で…
「ソード考えすぎ」
レイの目を見た。答えがでる前にもう考えるなと言われるように激しく熱いキスを何度もされそのまま体を重ねた。
いつもなら最後まで追及するのに、レイがいるとそれをさせてくれない。考えなくていい。自分が何処かに連れてかれる感覚。慣れない。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】エデンの住処
社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。
それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。
ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。
『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。
「兄さん、僕のオメガになって」
由利とYURI、義兄と義弟。
重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は――
執着系義弟α×不憫系義兄α
義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか?
◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~
ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。
転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。
朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。
生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。
どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。
忙しい大人の甘いオフィスラブ。
フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
シスルの花束を
碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年
~人物紹介~
○氷室 三門(ひむろ みかど)
・攻め(主人公)
・23歳、身長178cm
・モデル
・俺様な性格、短気
・訳あって、雨月の所に転がり込んだ
○寒河江 雨月(さがえ うげつ)
・受け
・26歳、身長170cm
・常に無表情で、人形のように顔が整っている
・童顔
※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。
※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。
※基本、三門視点で進みます。
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。