夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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34 ロキとソード ①


 ガルシア剣術訓練学校、由緒あるヒューズ学校の姉妹校で剣術に特化した学校。ここの生徒は必ず寮に入り、精神・学力ともに磨きあげられる。生徒のほとんどが剣士や剣術に携わる職に就き、最後の年の職業訓練もここで行う者が多い。

「ロキ、何かあったら俺かレオに相談な。レイでもいいから」

「うん」

「前より近いし、すぐ駆けつけるから」

「わかった、ありがとう。休みには顔だすね」

「わかった」

「頑張れよ!」

「はい、レイさんもソード宜しくお願いします!」

「おう」

「それじゃ、行ってきます~」

「「いってらっしゃい」」

 ロキはハグをして、元気に訓練学校に入っていった。これから卒業までの二年半ほど寮で暮らす。ただ、ロキの場合は最後の一年が冒険者訓練を主に行うので実質一年半ほどの学校生活だ。

「ロキも寮生活か~出てくるの楽しみだな」
「そうだな」
「近いのに寂しそうだな」
「レオに鍛えて貰えばいいんだよ」
「答えになってないぞ」
「うるせ!」

ソードは歩きだし、一段落を終えた気分だった。ロキとレオなら気が合うし、それにレオにとってもロキが良い教え子になるはずと考えていた。

これで…少し時間の猶予ができたはず。

レイと一緒に歩きながら次の事を考えていた。また、レイも今後の予定を考えていた。

□□□〈ロキ〉

まさか、ヒューズの剣術訓練学校にお世話になるとは。あれだけ嫌だったのに…自分でもいろいろな覚悟ができたら意外とすんなり受け入れられた。何か不思議だな~ソードも近くにいてくれるの嬉しいな。

ソードは驚いていたけど、俺は聞く前から二つ返事だったんだよね。多分俺の最善を考えてくれてたと思う。前も今も。だけど、素直に受けれられたのは自分の迷いが無くなったから。つまり冒険者への近道。

学校に行けばレオさんもいる。会うの久しぶりだな。多分昔の俺しか知らないから、ソードと離れられないと思ってるだろうな。

懐かしい、ソードが俺を拾ってくれたの思い出す…。


「おい!貴様!!そこの孤児!」
「楯突くと痛い目みるぞ!」

ガッと顔をつかで殴られ、顔を背けさせられる。二人の兵士がロキを囲む。こんな奴ら早く死ねばいい。俺は早く大人になってここを出る。

俺は孤児でお金もない。ただ日々を過ごすためにひたすら民間の依頼を受けて凌ぐ生活。戦禍にあるヴィゴラの国境近くは孤児の受け入れはどこもいっぱいで、国の援助なんて受け入れられない状態だった。

立場の弱い者はさらに弱く、強いものは権力を握りどうしようもない国だった。

それでも、お腹は減るしから民間の依頼を何軒も格安でこなす。その一つが良くなかった。民間として依頼したが、実は兵士の依頼でその金を払って貰えず更に物を奪われた。

それに刃向かったらこれだ。クソ兵士が。悔しい。悔しい。

「ぐっ」

押し黙る俺に、更にさやで顔を押さえる。

「く、気に入らない目をしてやがる」

「…お前ら…なんて…」

「あ?楯突くか!」

ざわざわと人だかりが出来始めた。また、柄で同じ場所を殴られた。
殴るだけ殴られ、兵士はいなくなった。勿論誰も助けてくれない。クソ、早く大人になりたい。早く。体を引きずりながら、離れた所にもたれしばらく休んだ。

……………。

「おい、動けるか?」

そっと声のする方へ顔を向けた。

声もでない。
誰だこいつ。
フード被って怪しいやつ、人身売買か?

「人身売買でもないし医者でも兵士でもない。ただの一般人。なぁ、このままここで腐るか、腐らず暮らすか選べるか?」

鬱陶しい、なんだ。ほっとけよ、偽善者が。

「あっちいけよ」

フードのやつは俺の前にしゃがみ、顔を覗きこんで言った。

「お前このままだと間違いなく死ぬ。理不尽に死ぬ。足掻いても死ぬし、大人になる前に死ぬ。だけど、今すぐなら助かる。ギリギリだけど何とか助かるけど、どーする?」

「……。」

なんなんだよ、大人になる前に死ぬって。

「ちなみに、多分これが最後。突然過ぎてわかんないかもだけど、選べ」

選べってなんだよ。何をだよ。

「……。」

「んー」
「…な…り…たぃ」

「ん?」

「お…ったい」
「……。」

「…大人に…なり…たい」
「早く、大人になりたい!大人になりたい!!大人になりたい!!」

「んーそれは…無理だな~今、子供だし」

俺はわんわん泣いた。泣きつかれるまで泣いた。何時間も何時間も。だけど待ってくれてた。

「落ち着いたか?少し俺の話を聞けるか?まーいいや、一方的に話す。そのままここにいるか、自分を震いだたせて這い上がるかどーする?」

「わからない」

「まーそうか」

「じゃあ、孤児?」
「孤児」
「本籍は」
「ヴィゴラ」

ソードは次々と俺に質問をした。いくつ聞かれたかわからないぐらいだった

「そうか…」

「んー期待するな。俺はお前を連れてけない」

「……。」

「お前がもし、今の状況から這い上がれるなら提案はできる」

「なんでもする」

「なんでもはしなくていい」

「んーサルノにこれるか?」

「多分」 

「多分の意味は?」

「サルノは隣の街で俺はヴィゴラの街だから申請がいるかもしれないから。身元引き受け人がいないと隣街にいけない」

「あーそう言う事。じゃあ、もっかい聞く。腐ることなく這い上がれるか?ちなみに、俺は嘘つきは嫌いだし腐るやつも人をおとしめようとするやつも嫌い。今すぐ決めろ」

「腐らない」

「まぁ、それでいいよ。じゃあ、とりあえず話の続きを」

といって自分の話をした。名前はソードで冒険者。年は18で成人してる。俺をサルノの孤児の集会場に引き渡すらしい。あそこなら、まだ空きがあるそうだ。その為の身元保証人になってくれるらしいが何も変わらないしきっと、またあそこと同じ。腐らない約束はしたけど。
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