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35 ロキとソード ②
「とりあえず、宿とったから傷の手当てと風呂とご飯」
宿に着き、ご飯を食べさせてもらいソードの部屋に行った。お風呂に入り簡単な服もくれた。それから傷の手当てをしてくれた。とっくに朝日は上り、眠さの限界で俺はいつの間にか寝た。
夕方前だろうか、目が覚めた。
ソードが椅子に腰掛けて「おはよ」といった。こんなにも優しく挨拶が聞けたのはいつぶりだろう。
「おはようございます…」
「これ、手続き書類っても紙1枚だけどな。お前の名前ここに書いてな。一応書類も目を通して、わかんなかったら聞いて」
「はい」
「ソードさん、これでいいですか?」
「ソードでいいよ、へぇーフォレスターって言うんだ。ロキ=フォレスターかカッコいい名前だな」
「勝手に誰かが付けた名前です。ヴィゴラの孤児ならフォレスターは何十人といますよ」
「へぇーでも、いい名前だけどな」
「じゃあ、書類だしてくる。まだ間に合いそうだから。明日にはサルノに行けるな」
「わかりました」
書類を出しに行ったので俺は部屋で一人になら考えた。
服もご飯もくれたけどサルノに行ったらそこでお別れだな。でも、良くしてくれたよなソードは。そこで頑張るかな、前よりはましだといいな。ここを抜け出せるならなんでもいいや。早く大人になりたい。大人になって自分で何でもできるようになりたい。
何で子供なんだろ…
ガチャと音がなりソードが帰ってきた。
「ただいま」
「お帰りなさい」
ソードは明日サルノに行けることを報告した。その後、また宿のご飯を食べ部屋に戻った。部屋に着くなり俺に話しかけてきた。
「ロキって呼んでいいの?」
「はい」
「じゃあ、俺もソードでいいよ。呼んでみ?」
「……。」
「まだ無理か、そのままでいいよ」
「…はい」
「サルノに着いたら、知り合いがいるから会わせたいんだけどいいかな?俺の友達」
「はい」
「デカイけど普通の人だから。んーロキは何で大人になりたいんだ?」
「早くここを出たい。大人になったら出れる」
「でも、今は無理だよな。成人してないし。それに大人になったからってここ出れない」
「わかってるけど、早くなりたい」
「現実今は無理だ、諦めろ」
「わかってる」
「んーなぁ、俺の目見れるか?」
ソードはうつ向く俺にそう言った。
見たくない、見られたくないし。
やだ。
「無理」
「んーじゃあ、いいや」
ベッドに座り考え込んでいた。すぐに、いなくなるのに馴れ馴れしくしないでほしい。「ロキ、明日早いからもう寝よう」と早々に寝てしまった。
悪いことしかな…
次の日、サルノに無事書類をだし手続きを終えた。ソードは少し買い物をしたいと行って俺も連れていった。
甘いのばっかり買ってる…
今日泊まる宿だろうか、部屋に少ない荷物を置いた。ベッドに座り俺も隣に座らせた。
「なぁ、ロキ」
「はい」
「ロキがどう思ってるかわからないけど、俺は身元引き受け人になった。それなりの覚悟をしてなったんだけど、ロキを捨てるつもりも恩着せがましくするつもりもないんだよね。ただ、一緒に居られる時間を過ごしたいんだけどいい?」
「?」
「えーっと、簡単に言うとロキとご飯食べたり買い物したりするみたいな」
「?」
「たまに会うみたいな」
「良くわからないんですけど、それ何がしたいのか」
「んーロキと時間を共有したい」
どういう事?
俺は、ソードといるってこと?
「俺は冒険者だから、現実未成年のロキを連れていけない。四六時中いてやりたいけど、無理なんだよ。だから、時間が許す時はこうやって会って話したりとかしたいなって」
「サルノの孤児に預けるんじゃないの?」
「そうなんだけど、そこにたまに会いに行くみたいな。こういうと、すごい勝手に聞こえるけどちゃんと考えてるからな!」
「…別にいいんじゃないですか」
「そっか!したら、次回ここに来たらロキに会えるな!」
「な!って…」
何か嬉しそうだな。
「ロキ、これからよろしく!」
ソードは嬉しそうに俺に笑った。
今でも忘れられないソードの好きな顔の一つ。
「あ、甘いものあるから一緒に食べよう」
「うん」
甘いものを食べて少し気分が晴れた。何か思ってた大人と違う。ソードって何か違う。
何か…嫌じゃないかも。
ソードは約束の友達と会わせたいといって隣の部屋に俺を連れてノックした。
「よう、ソードどこ行って…誰だそいつは?」
そのデカイ男はレオナルドだった。背も高く体格もいい。気負いするロキに、ソードはレオにロキを紹介した。そして、遠慮無しが遠慮の無いことを言う。
「ロキ=フォレスター13歳で孤児。ヴィゴラから来て、俺が身元引き受けになった。でサルノの孤児集会場に連れてく所」
「は!?何言ってる、お前急にいなくなったと思ったら孤児拾って身元引き受けだ!?何の冗談だ?」
「本気だ」
「お前、その辺の生き物拾ってくるのとは訳が違うんだぞ!わかってんのか!人だぞ!」
「わかってる」
「わかってねぇよ!」
「レオ、覚悟して引き受けた。大丈夫だ」
「何が大丈夫なんだよ、お前冒険者だろ。連れてけもしねぇのに放置すんのかよ」
「しない、できる限り一緒にいる」
「できる限りって、お前な…はぁ~ダメだ。せめて俺の所連れてこい。何とかしてやる」
「……。」
「俺の所に来い、面倒みてやるから。俺はこれでも剣術訓練学校の教師だ、寮もある。不自由はないだろうよ。全く…ソードお前わかってんのか」
「待て、ロキに選択させろよ。勝手に決めるな」
俺はソードが一緒に時間を過ごしてくれるからサルノにいるのに。訓練学校に行ったらどうなってしまうんだろう。きっと兵士もいる。絶対やだ。あいつらみたいにはならない。
「俺は…兵士にはならない。絶対やだ、ならない。いかない。いかない。いかない!」
「入ったからってなる必要ないが、このままじゃしょうがねぇだろ」
「おい!レオ少し黙れって」
「嫌だ!絶対いかない!やだ!」
「ロキ、落ち着けって大丈夫だから」
「ソードが!ソードが俺の時間欲しいって言ってくれた!会いに来てくれるって言った!!今の俺にはソードしかいないのに!!」
そう言ってロキはソードにしがみついた。力強くしがみつかれたので、「うわ!」とソードは倒れた。ソードは倒れたまま、軽くロキ背中を撫でた。
「ロキ、ソードって呼んでくれた~」
ふふっと笑いながら言った。そんな二人を見てレオは複雑な顔をして大きなため息をついた。
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