夜の冒険者は牙をむく

かぷか

文字の大きさ
38 / 130

38 レイの家 ①


 ロキは剣術訓練学校に入った。会った時からどんどん成長していて俺より全然前に進んでいる。

 流すようにソードの会話に答えて部屋に帰ってきた。ソードは隣の部屋で資料を書くから少し籠ると言ってお菓子を持って中に入った。

こんな時めちゃくちゃ誰かに甘えたい気持ちが現れるがソードに甘えた所で意味がない。ロキの成長が悔しいから慰めてくれって?笑わせるな。

俺が成長しなきゃいけないんだよ、俺の甘さが前回の発言で露呈した。

連れてって発言は…ない。

言い直したが本音が先に出た。

ベッドにドサッと仰向けで倒れた。天井を見ながら自分の甘さを分析していた。

俺はソードと居たいし、離れたくない。だが、このままだと何も変わらないしどんどん弱さが露呈していずれ捨てられる。足りない、自分の能力もメンタルも。

………。

ロキはソードと寝たよな。いや、全然いいんだけどさ問題はその後だ。ロキはロキで普通にしてたけど、シャワーから出てきたソードが言ったんだよ。

「ロキなら大丈夫かもな」

って……何のどんな会話してたか全然わかんなかったけど、あれは絶対試してみたんだ。俺はその言葉だけで倒れそうだった。

ダメだ、ロキの成長が早すぎて眩しい。
はぁ~情けない。
どうしたら一緒に居られるんだろ…

家帰るか…

このままソードといても、甘えた自分見るだけだ。かといって、討伐する気分でもないしな。何でかスゲーつまんないんだよな、一人でいく討伐が…。

何か緊張する。コンコンとドアをノックしたソードは資料を書いていた。そのまま俺の話に淡々と答えた。用件だけ話、そそくさと部屋をでた。

やっぱ、理由とか聞いてこないよな。って甘えるな。こんな気持ちじゃダメだ。

切り替える。

俺のメンタルの弱さはわかってる。ずっとソードに知られたくない事実を話せないでいるからだ。まだ話せなかった事をソードには話したい。それと向き合わない限りは進めない。

もし、ソードがそれを聞いて俺からいなくなってしまったら…もう探せないかも…な。


「じゃあ、ソード行ってくる」
「ん、気をつけて」

「帰りは未定だけど、戻るから絶対」
「ん、わかった」

レイが行こうとしたら、ソードがレイの腕を掴み引き寄せてぎゅっとハグをした。

「……ソード?」

ソードは何も言わない。レイはソードを抱きしめそれに答えた。しばらくハグをしていたが長いハグにレイが不思議に思いまた名前を呼んだ。

「ソード?」
「ん」

そう言うとソードはハグを続けた。少ししてハグの手を緩めて離そうとした時、背中を少し叩いて

「行ってこい」

と小さい声でソードは言った。離れそうになったソードをレイはぎゅっと強く抱きしめ「うん」といってソードを離した。

「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」

バタンとドアが閉まり部屋を出ていった。レイは歩きながらソードに抱きしめられた感覚が残るのを感じ、勇気がでた。

□□□

 別名『真紅の国』と呼ばれる「ウェザー国」その別名は、決していい意味ではつかわれない。国王のハリス=ダ=ジャグマが司るこの国は魔術先進国で「剣術のヒューズ」「魔術のウェザー」と言われている。また信仰が強くその歴史も深い。

 魔力を持って生まれてきた子はウェザーへと集まるのも必然で、多くの魔術士がここへ来る。ここで鍛えられれば一流の魔術士になれるというのが一般的な考えだ。そんなウェザーの中心から少し離れた大邸宅というより城にレイの実家はあった。

 ルーベン=マグノリア=クラークスはレイの父であり、ルーベンをこの国で知らないものはいない。また、家名のクラークスという名前だけでも有名だった。魔術研究の頂点に立ち、魔術を向上させ国を発展させるに欠かせない人物。

その為にはありとあらゆる実験をすると言われ、邪教の狂人とも噂をされていた。その研究実験は白い衣服を真紅に染めるほどだと。
たが歴代の王の信頼は厚く、今までの発展はクラークス家なしには得られなかったと最功績の言葉を残すほどだった。
 

何年ぶりだ…家に帰るの。

3年か?気が重いが、向き合わないとな。
はぁ~ソードに会いたい。

相変わらず寒々しい場所だな、アイツらもまだ居るよなきっと。

 レイは石畳でできた廊下をコツコツと歩き、建物の奥へ進んでいた。周りは広い庭と何棟か研究所があり、その研究者達だろうか黙々と働いているのがチラホラ見えた。

大きな扉にたどり着き、そこには門番が立ちはだかっていた。隣には検問もあり、そこから中に入った。

「身分証明と用件をお願いします」

レイは冒険者プレートをかざす。

「御予約はありますか?」

「約束はしてない、用件は家に用事がある」

「では、お待ちください」

「はぁ~相変わらず」

自分の家に帰るにも身分証明と用件を通さなくてはいけないのは、クラークス家ならではだった。

「お通りください。おかえりなさいませレイ様。迎えを寄越すそうです」

「はぁ~ただいま。いらないです」

 受付にそう言い、一人で中へ入っていった。自分の家まではまだしばらく歩かなければならないが、苦にはならない。むしろ、早くつく方が厄介なのだ。何一つ変わらない庭を長々と通り、自分の家の正門ではなく横扉から入る。

コンコン

「ベルいるか?」

コンコンコン

「ベル?」

返事がない。仕方なく正門から入ろうとした時後ろから声でがした。

「ベルはいないから叩いても来ないよ、久しぶり兄さん」

そこに立つのは、シルバーの髪を一つ結びで束ねた年の離れた弟だった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】エデンの住処

社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。 それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。 ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。 『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。 「兄さん、僕のオメガになって」 由利とYURI、義兄と義弟。 重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は―― 執着系義弟α×不憫系義兄α 義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか? ◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。