夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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46 ソードの恋愛歴


「変な所見せた」
「ん」

 簡単な返事をしただけでそれ以上は答えなかった。無事討伐を終え深夜には部屋に着いた。が、当然レイのモヤモヤとイライラは治まらずだった。

ちょっと待て、いろいろ有りすぎて…。
整理する。

 まず、元カレがソードと寄りを戻しにきたのか?んで、断ったんだよな。それはいい、キスしたってなんだ?てか、二人で会ってたのか?待て、落ち着け俺。俺のいない間にだよな?いつだ。

これ、聞いていいよな流石に。てか、なんで話さないんだこいつは。

「ソードちゃんと話せよ」
「わかった」

ベッドで横になっていたソードは起き上がり、レイの前に座った。

「あれ、元カレ?」

「そう、ちょっと前に偶然依頼所で会った。多分数年ぶり」

「ちょっと前っていつ」

「レイが家に行ってて、監視が居なくなってすぐぐらい」

クソ、家に帰ってる場合じゃなかったか。

「キスって何」

「あぁ、それは…久しぶりに会ったから飲み物奢るから話さないかって言われて。ついて行った時に、寄りを戻したいっていわれて。断ったら急にキスされて」

待て、いつものソードならそんなの警戒して行かねぇだろ。未練あったのか?

「それで」

「それで、もっかいキスされそうになったからダッシュで逃げた」

「何でついてったんだよ」

「…………。」

「未練あるの?」

「ない」

だよな。でなきゃあんなハッキリ言わないよな。

「じゃあ、何で。懐かしくなった?」

「……。」

違うのか?

 ソードは言えなかった。レイのポンコツ監視にイラついて、いつもの自分じゃない行動が出てしまったと。レイの家族が勝手にした事だし、レイが悪いわけじゃないから言いたくなかった。

かといって嘘もつきたくない。だから、押し黙ってしまった。

「ゴメン」

「謝んな」

何で謝った。話を終わらすな。腕触ったのも、頬を撫でたのも不意打ちだがキスされたのもムカついてんだ。一番はその話を黙ってた事だ。

付き合ってないけど、俺が好きなのわかっててその行動が気にならないわけない。キスされる前の心理のが重要だ。また、次も起こるかもしれない。

次謝ったら、許さない。

「ごめん」

「おい、謝るな」

レイの冷たい声。

「全部言え」

俺は隠される愛は好きじゃない。

ソードはレイが本気だと気づいて話した。

「レイの実家の監視が1ヶ月ぐらい続いたんだけど思った以上にイライラして。だから憂さ晴らしに依頼所行ったんだけど、そしたらアイツに偶然会って。何か流されてついて行った」

「……。」

いつもと違う行動をしたのは、元はうちの家のせいか。だから、言いたくなかったのか。アホな監視のくせにソード追い込みやがって。クソ、ソードがそんな行動とるなら守りたいに決まってんだろ。他の奴に気を取られるなんて…

あーなんで俺まだ彼氏じゃないんだよ。もし、なってたら少なくとも元彼からは守れた。クソ…

 レイはかなり焦っていた。何故ならソードは危うい考えの持ち主だったからだ。もし、元カレがソードにあの言葉を言えばソードは体を許してしまうのではないかと思っていた。自分がソードにした時のように、「本気で嫌いじゃないなら…」この言葉、もしくは近い言葉はソードにとって大きな縛りになってしまっていると気づいたからだ。

 せめて、彼氏という名目を手にいれれば他の奴からは守れると。レイ自体はそこまで形にはこだわらなかったがソードにはその名目が特に必要だと感じていた。

ソードはレイが怒っているのに気づき少しシュンとしていた。

「ソード、何でその話全部しなかったんだよ」

「イライラの元はレイの家だったから、言いたくなかった」

んでもって、相変わらずこいつは俺の心配ばっかしやがって。その、性格治してやるよ。俺に頼らないとだめになるようにしてやる。それに今日でわかった、ロキ以外ダメだな。覚悟が違うやつに触られるのはダメだ。ロキに今度話そう~。

「あいにく俺はそんな事で自分を責めたり傷ついたりはもうしない。お前の勝手な思い込みだ。ソードには悪いが俺の家はそういう事をしてくる。だからお前は俺に全部不満を言え。あと、元カレの話しは何かあったらちゃんと話せ。因みに、俺らまだ付き合ってないけどロキ以外の奴には普通に嫉妬する」

 さっき元カレ触った同じ所を拭うように、スリスリとソードの頬を撫でた。

 ソードは「うん」と首だけで頷いた。最後の一言はどうみてもレイのワガママなのだがソードはレイの気迫にうんと頷いてしまった。

「よし、じゃあ聞きたいこと聞く。元カレ、クズの割にちゃんと諦めたな」

「別れたのに、キスしてきたからクズじゃないか?」

「まぁ…」

俺もしたことあるなそれ…

「何で別れた?」

「何か結構付き合ったから別れるかって振られた」

「へぇ…」

それもしたことあるな…

「後は…俺の私物持ったまま」

「そうか…」

…それもある…な

あれ?ソード俺、全部当てはまる。クズ認定じゃん!そして、ソードの恋愛がまとも!!
俺、付き合う前にやっちゃってるけど大丈夫?

ダメだ…

 これだと俺が過去付き合ったやつへの態度のダメ出しが。ソードを通じて倍になって心のダメージとして入ってくる、話を変えよう。

「ソードは嫉妬とかしないのか?」
「しない」

「じゃあ元カレにも?」
「しない」

「いや、するだろ?相手に好きな人ができたり浮気とか」
「しない」

「なんで?」
「もし、されたらその一瞬で冷める。もう必要とされてないからそこで終わりだから」

「なら、俺には?」
「多分しない」

「マジか」

「レイに誰か気になる人ができたら、その人にゆずる。その時点で俺に目が向いてないから。それに追わない。いくら自分がまだ好きでも関係を終わらせる」

「潔いというか」

「そもそも、俺を好きになってくれてるだけで嬉しいから。邪魔だと感じたら身をひく」

ぐぅ…そこまでするのかよ。嫉妬しないんじゃないんだよなきっと。自分より相手を優先するんだよこいつは。

しかも、邪魔にならないようにするって…こいつ、多分ワガママ言ったことないんじゃないか…そら、元カレより戻したくなるよな。こんなやついねぇよ。

元カレ、お前が悪い。ソードを手放したお前が悪い。だが、お前に感謝する。こんなやつ二度と会えない。絶対ソードは俺のものにするし離さない。

「他は?」
「ほか?」

「他に付き合ってた人」
「いるけど」

「ちなみに、寄り戻したいって言われたの今回だけ?」

「今まで付き合ってきたやつ全員」

「だぁー!!」
    
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