夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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47 冬の到来


ヒューズを覆う白い雪は、街を神秘的にさせ人々の目を楽しませた。ガルシアもまた、その雪のお陰で賑わう街並みがいつもと違う。雪の中に光る街灯や家灯りがイルミネーションの様に美しく見える。
人の声はいつもの半分ほどで、皆家で仕事をしたり家族との時間をとった。

この国の冬は北に行くにつれ厳しく、その為一時的に冬眠のような生活になる。その寒さに雪解けを待ちわびる人も少なくなかった。

「こっちの冬は厳しいだろ?」
「そう、ですね」
「2.3ヶ月は続くしな」
「冬にしか出ない魔獣もいるんですよね?」
「だな、冬は手強いのも結構いるな。ソードのが詳しいから教えてもらえ」
「はい」

トコトコと廊下を二人で歩く。窓の外は一面真っ白で普段見たことのないその景色に自然と目が向いた。

「来年は、今より大変だぞ」
「はい」

向かいから数人の生徒が話しかけてきた。

「先生こんにちは」
「ロキ!ロキも休みは帰るの?」
「うん」
「そっか、また帰ったらヨロシク!」
「うん」
「じゃあ、またな」
「先生さよなら~」

生徒達は話しながら反対方向に歩いていった。

「友達もできてなにより」
「はい、楽しいです」

「レオさんは休みどうするんですか?」
「あー俺は、ちょっと出かけるかもな」
「そうですか」

 いつもの訓練場で声がする。声のする方へ二人は足を向かわせた。

「レイ、まだ~?」
「今やってやるからまてよ!」

見馴れた二人が、わちゃわちゃと騒いでいた。

「あいつら…何やってんだ」

「お、レオ、ロキちょっと待て」

そういうと、ソードは二人を待たせた。レイは一生懸命箱に手を当てていた。

「おい、できたぞ」
「流石レイ!ありがと☆二人とも早く来い、こっちだ」

 訓練場から外に出でて手招きした。ソードは建物の裏へ行き白い小屋の前で立ち止まった。

「じゃじゃーん!雪部屋作ったから入れよ!」

「じゃじゃーん!じゃねぇよ!学校に作ってんだ!」

 そこは雪でできた四角い小屋で中には大人が数人入れるほどだった。室内は温かくご丁寧に机と椅子も作ってあった。

「後で壊せばバレねーよ」

ため息をつきながらレオは座った。ロキも笑いながら座り四人で机を囲んだ。

「てことで、お茶するぞ。レイさっきの」
「おぅ」

さっきの箱を取り出し、どこからか温かいお茶をソードが出した。

「これすごいだろ!温かいお菓子!!」
「お前お菓子の為にここまでするのか…」

「ソード凄い~お菓子が温かい!」
「だろ?くえ食え。やっぱ体が冷えたらこれだよな」

「レイは焦がすことなく、これができる!」
「まーな…お前くらいだよ、こんなの考えるやつ…まぁ、馴れたけど」

「はははは、ロキ。こいつらの休みの相手は大変だな」
「はい、楽しみです!」

そうして、四人はワイワイしながら楽しい一時を過ごした。

「じゃあ、ロキは任せろ」

「あぁ、ロキ楽しんでこい。また休み明けにな」

「はい、レオさんも帰ったらヨロシクお願いします」

「おい、レオこれ!渡して。うまいお菓子だから」

「誰に」

「誰でもいい、お前が食うなよ」

「じゃあな!」

 ソード達は訓練学校を後にした。ロキはこれから冬季の休暇に入りしばらく学校はお休みになる。レオは三人を見送りながら貰ったお菓子を誰に渡すか決めていた。これでまた話のネタが増えたなと笑いながら学校へ戻って行った。


□□□


 最後に三人で会った時から数ヶ月。ロキが前に来た時は宿に泊まったが今回はソードの家に泊まることが決まった。

「狭くないか?」
「いい、別に。ソードの部屋がいい」
「はぁ~まぁいいけど」

 雪の付いた服を乾かし三人は暖かくなった部屋で各々ゴロゴロしていた。のように見えたのはソードだけで、実は二人はいろいろ考えていた。

レイは少し前にロキに会いに来ていて元カレの話やこれからを話し合っていた。十分時間がとれなかったのでほぼレイの話を聞く形にはなってしまったがロキも今回の話しには賛成だった。

「ソード話がある」

レイはゴロゴロするソードを起き上がらせ、ベッドの上で座るロキとレイの間に座らせた。

「ん?」

改まった二人にソードは不思議そうに目の前に座った。ロキとレイは横目で合図して話し始めた。

「ソード、俺もロキもお前が好きで離れたくない」

「はい」

「かといって、どちらもソードは譲れない」

「はい」

「で、考えたんだが。二人とも選ぶか、二人とも選ばないか選んで欲しい」

「……。」

「選ばないとどうなる?」

「二人ともソード諦めて解散する」

「!?」

「どちらかが残る事はしない。ちなみに、俺はロキがいても構わない」

「俺も、レイさんいても構わない。そこは二人で話し合ったから大丈夫」

「そっか…」

 予想外の二人の言葉にソードの心臓はドキドキが治まらなかった。ずっと二人が居てくれたらといつの間にか思っていたからだ。まさか、自分の元を離れる決意をしていた事にショックだった。

ふらっと立ち上がり、ソードはマントを取りフードを被って「考える」といい出ていった。バタンと扉が閉まりソードの気配は消えた。

「レイさん、良かったんですかね?これで」

「…選びやすくしたはずなんだけどな、とっくに俺達の事好きなはずなのに」

「でも、恋愛の好きと違ったら?」

「なら、俺達とやらないはず。前回の元カレでそこはハッキリしてる。拒絶の線引きはしっかりあった」

「んーそうなんですが、ソードの気持ちは何で恋愛にうまく入らないんですかね。好きなら付き合いたいと思うんじゃないですか」

「……そこなんだよな」

「何か考えてるのかも…それに…何か…今のソードの感じだと…別れる気がします」

「それは…まずい」

 二人も悩んでいた。今回、三人でもいいと決意して話したにもかかわらずか「考える」といって出ていってしまったからだ。

 だが、ソードにとってはそこではなかった。どちらかを選ぶのを迷っていたわけでも、三人一緒に付き合う事に悩んでいるソードではなかった。
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