夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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48 ソードの気持ち


 ザクザクと冬の道を歩いていた。どこへ行くでもなく。ただ、人がいない方へひたすら。


わかってるんだ~

 どちらか選ぶと言うか俺は二人が好きなんだけど。三人で付き合う事はもはやどーでもいい。ただ、の好きにまだ完全に到達してないんだ。もし、そこに到達したら二人が好きだって言うつもりだったし。相手の気持ちと自分の気持ちが合わさらないと…すれ違うんだよな。

 付き合うだけなら、別にできるしいいよって二人には言えるんだけど。二人は俺と結婚したいんだもん。ちゃんとの好きにならないと結婚無理だし。

 このまま二人は離れて行くのかな。そうだよな、俺が選ばなかったらそうなる。今はまだ好きになり途中だから選べないし、断るしかないよな。

…今まで、去る人は追わなかったじゃないか。それに好きになりかけてただけだから大丈夫。また一人でやってけるから。ドキドキがまだ治まらないな。

しっかり、二人には伝えないとな。
何か凄く心臓が痛い…これ治まるまで帰るの辞めよ。

ザクザク歩きながら、冷静になるまで歩き続けた。
これが、ソードの冷静=心を閉ざすカウントダウンだと本人もレイ達も気づいていない。

□□□

「レイさん、俺ソード探してきます」
「俺も行く」

 ふたてに別れてソードを探しにでた。手当たり次第いそうな場所を探したが全く見つからなかった。辺りはすっかり暗くなりロキもレイも部屋に帰って来るかもと思い一度部屋に戻ってきた。

「いませんね」
「だな、どこまでいったんだ」

心配になりもう再度探しに行こうと思った時、ガチャっとドアが開いてソードが帰宅した。

「あ、ごめん。遅くなった」

「「ソード!!」」

二人は駆け寄り抱き締めた。冷たいマントの上から抱き締める二人を見てソードはいった。

「二人とも濡れちゃうし、冷たいからマント脱ぐね」

スタスタと中に入る。

 ハグをする二人にソードは何の反応もしめさない。余りにも淡々と接してくるソードに二人は違和感を覚えた。もっと、何かさっきの事で話してくるとかあるはずなのに普通に見えた、が全然そうではなかったのだ。

ロキの予想は当たっていた。ソードは二人を選ばない選択をしたのだ。

 二人は気付き始めた。それは言わなくてもわかる位ソードの線引きは徹底していた。まるで、ただの知り合いの様な扱いに。目線も合わせず、感情の無い話しかたにやけに凛とした姿勢。今は安易に触れることも話す事も確実に拒否される状態。

「お腹減ってない?何かたべる?」

「「いらない」」

「そっか。じゃあ、話すね」

 二人の血の気は引いていく、今から聞く話しは今までで一番聞きたくない話だからだと予想がついたからだ。心臓に汗をかきはじめる二人。
そんな二人を前にソードが口を開く。

「俺、考えたんだけど」

「「待った!!!!」」

全力で待ったをかける二人。
ソードは黙る。

「待ってソード、その話聞く前に俺達の話を聞いてくれ」
「ソードに先に話したいことがあるから」

「どうぞ」

 ソードの線引きは余程の事がない限り覆らない。話した所でソードはもう決めてしまっているからあの態度なのだ。ただ、二人はソードの気持ちを全力で理解すればまだ間に合うと感じた。でなければ、自分たちの話も聞かずに一方的に話したはずだと。

「俺達は別に追い詰めて返事を焦らせてるわけじゃないんだ。何て言うか、ソードの気持ちと行動があわないって言うか」

「ソードはどうしたい?」
「俺達と」

「選ばなきゃいけないんでしょ?だから選んだよ」

 ソードは選べと言われたから選んだのに、自分はそれに対して一生懸命答えを導きだした。しかし相手は別の選択肢を後だしした。「ソードはどうしたい?」と。

 相手の望む選択肢に従ったのに今更なぜ違う枠がでてきたのかとソードは思った。
 ソードの気持ちを優先された選択肢が先ほどは無かったので自分が必要ない邪魔な存在だとも認識した。

「いや、そうじゃなくて。確かに選ばせたけど、お前はどうしたいんだよ」

「俺は別に」

「別にじゃなくてさ。ソードがどうしたいか聞きたい。何でもいいから教えてよ」

勿論、相手が望む選択肢は最初の二択だったのでそちらから選んだ答え。それが今違う枠がでてこようと変わらない。相手が望む優先度が一番初めの選択肢だと思ったからだ。

「二人から離れる」

嘘でもその言葉は一番聞きたくなかった。
感情の無い答えに苛立ちロキがソードの腕を持って、顔を引き寄せた。

「それ、ソードの本心?」
「おい、ロキ」

一瞬ソードは何で?という顔で眉間にシワを寄せた。自分の選んだ選択を拒否するようなロキの態度が理解できなかった。

ロキの荒い態度にレイが止めに入った。ロキは離さないまま腕に力を入れて続けた。ソードは人に甘えないしワガママも自分の本心さえも後回しにしてしまう。無理やりにしないと、本心が聞き出せないのだ。

「ねぇ、それ本当に本心?」

顔をそらし、目を反らすソード。ロキの普段見ない真剣さと「本当に本心」かと聞かれて、本当は違うと態度が先にでてしまった。

ソードは前にレイに抱かれた時と同じく、究極に行き着く考えで最終的に答えをだす。それはソードの気持ちを聞く最終手段。今回はロキが図らずとも本心かどうか本気で聞いた事によりソードの縛りが発動した。嘘はつけない。

「ねぇ、目みて」

目だけロキにむけた。

「もっかい聞くけどそれ本心?」

「本心は…二つの選択肢にないから外した」

「それが一番重要だろ、外すなよ」
「じゃあ、それ教えてよ」

ロキはソードを掴んだ腕を下ろして優しく言った。

「…まだ、ちゃんと好きになれてないから。二つの選択肢を迫られたら、断るしかできない」

「「うーん」」

やはりソードの好きになるという確証はまだだった。

「それ、何か具体的に説明できるか?」

「んー多分、付き合うとかならすぐ返事はできるけど二人は結婚したいんだよね?」

ん?
付き合うことはできるのか??
レイは考える。

「まーそうだな」
「そうだよ」

「だから、付き合うよりもっと好きにならないと結婚はできないよね?」

それって好きだけど、結婚はまだいいですってだけだよね?
ロキも考えた。

「んーまぁ」
「う…ん。そうなんだけど…」

「だから…だけど…」

「「……。」」

「てことは、ソードは俺達と付き合える位は好きなの?」

「う…ん?でもまだ結婚するまで好きにはなってない」

「「……。」」

「あーつまり、そこにいかないと返事はできないと」

「うん、だから本当に好きになったら好きって言う」

「「うーん」」

 二人は、付き合えばいいじゃんと思っていたが先に自分たちが結婚を出したばかりにソードの好きのハードルがとてつもなく上がってしまった。
そして、ソードが好き=結婚と考えてくれている事も。だから、安易に踏み込めなかったんだと。本人はそれだけ真剣に考えていたのもわかったが、まずは一歩進んでほしいと思った。

また、ソードはソードで相手の気持ちを尊重するあまり自分の心と体のバランスがとれず拗らせていた。今までにない矛盾だらけの自分に気がつかないでいた。結果、結婚するほど好きにならないと付き合えないという縛りを勝手に作ってしまった。

「ソード、付き合うのはダメなの?」

「ダメではないよ、まだ途中なんだよね。でも結婚したいんだろ?」

「付き合いながら、考えたらいいよ」

「うーん」

((なんで、唸るんだよそこ))

「考え過ぎだ、ソード付き合うぞ」
「そうですね」

「好きじゃないけどいいの?」

「それはもう、好きって事だ」
「ソードの好きの途中でいいから付き合おう」

「うーん」

「「納得しろ」」

 こうして、ソードは半ば強制的にこの冬に二人と付き合うことになった。そして、レイとロキはソードとの別れを回避し、更に付き合う事にこぎ着けた結果にがっしりと熱い握手をした。

しかし、ソードの気持ちを最優先にできなかった事を大反省した。彼氏となった事によりこれからはずっとソードの気持ちを待つことに決めた。

たとえ一生ソードの口から好きと聞けなくてもいいと。
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