夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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53 休暇


 ヒューズの北西にあるリッカは数十年前に大きな領土戦が行われていた。奪った領土はヒューズ国の物となりリッカとして合併している。その名残もあり剣士や兵士色が強く、また昔からの考え方も根強い。そんなリッカに三人は向かっていた。

「グースからガルシア、リッカの道のり?」

「そうだな~それならだいたい片道早いと2日で行ける。でも、そんな急いでないなら3.4日で着くかな」

「へー」

「それか、グースからゼンテ、ガルシア、リッカ周りだと結構ゆっくり行けるかもな。どっちでもいいけど」

「ゼンテって何があるんですか?」

「んー森と湖と山がある。山はグリーンセルに繋がってんじゃないかな。山越えなければ全然安全」

「「ゼンテがいい」」

「じゃあ、ゼンテで泊まってゆっくり行くか」

 三人はハブウルフを使いゼンテに入った。山奥の宿を取りゆっくり過ごした。2階の窓から見える場所に湖があり、夕日が当たってキラキラ揺らめいていた。

「凄いキレイ」
「こんないい宿あったんだな」

「ゼンテは結構キレイな場所も多いかもな~静かだし好きかも。気に入ったなら、もちょい泊まる?」

「「泊まる!」」

「じゃあ、そう言ってくる」

 ソードは宿の延長をしに下へ向かった。あまり人が来ないのかすぐに快諾してくれた。ソード達の他に2組しか滞在者は居なかった。近くの地図を貰い、甘い物を買って部屋に戻った。明日は近くを散策しようと話てその日はゆっくり体を休めた。

次の日、ロキは朝から元気に剣を振っていた。レオと体格は全然似ていないが行動はレオに似たなと思いながらソードは二度寝した。レイはロキより少し後に起きてシャワーを浴びていた。

朝ごはんの時間はとっくに過ぎていた。レイはソードの朝ごはんを下から取りに行き部屋に運んだ。

「ソード朝ごはん」

「……。」

「起きろ」

「……。」

カチャっとドアが開いて、ロキがシャワーから出てくる。

「まだ、ソード寝てる」
「まぁいつもの事だな」

 ロキが濡れる髪を乾かしながらソードに近づき上からのし掛かった。

かぷ。

とソードの耳を食べたらビクッとなり「…起きるから、食べないで」と言いって、フラフラと起き上がり二人に見守られながらシャワーへ向かった。

「ソード相変わらずですね」
「あぁ、全然変わらない」

「あれから、何かあったりしましたか?」

「いや、特別何かは起こってないかな。ニケ以来飛びだす事もなかったしな」

「そうですか」

「そういや、ソードの実家の話はしたよな」

「はい、レイさんに教えてもらった以外は知りませんが」

「リッカ行くけど、寄るか微妙だよな」

「そうですね。俺はどちらでもいいですが」

「俺もだ、ソードの家に詳しいやつがいるってレオが言ってたけどそいつに会うかも迷ってる」

「そうですね…」

 話の途中でソードが戻ってきたのでそこで中断してしまった。レイが用意した朝ごはんを一人食べ、遅い準備を整えた。それから、宿に昼ごはんを用意してもらいそれを持って散策にでかけた。

 2階の窓から見えた湖を間近で見ると、かなり広く迫力があった。森に囲まれた湖の畔を歩く、ちゃぷんと小さな波を打ちキラキラと日差しを跳ね返していた。

「眩し~」
「思ったより広いな」
「何か魔の森に少し似てる」

「「え!」」

「こんな所あるんですか!?」
「まー似てるってだけだけど、あるよ」

「「へぇー」」

 二人は早くソードとそこへ行ってみたいと思ったのだった。自分たちの知らないものを沢山知っているソードを少し羨ましく見ていた。
 
「なぁソード、家寄るのか?」

「あー今回は寄らない」

「わかった~」

「あー因みに、リッカは剣士とか兵士多いから嫌な思いしたらすまん。昔からそーいう奴多いから、多分見てるだけで嫌な部分あるかも」

「へぇー魔術もち隠した方がいいか?」
「もともとレイは隠してただろ、ふふ」
「だな」

「ロキも、見て見ぬふりしてていいから。絡まれると面倒なのは知ってるよな」

「うん」

そう言ってロキの近くに行きお菓子を渡した。

「嫌な事あったのか?」

「昔、ロキ殴った奴が兵士なんだよな。だから余計目にはいるしな」

「でも、そのお陰でソードに拾ってもらったんだよね、大丈夫。それより、ニケさんに会うの楽しみ」

「そっか」

「てか、レイさん魔術もち隠してるんですか?」

「あぁ、自分からは言わないかな。まぁソードには一発でバレたけどな。こっちで知ってるのはお前ら二人とレオぐらいかな~多分。まぁ、実家帰ったらバレバレだけどな」

「へぇー」

「魔術士でも俺はちょっと特殊だからな」

「レイ言っていいのか?」

「いいよ、どうぞ」

「お前、禁じ手使えるだろ」

「ぶはぁ!さすがソード。それもバレてたか」

「禁じ手ってなんですか?」

 『禁じ手』とは禁じられた魔術。万物の生態を逸脱するため使ってはいけない魔術とされている。誰かに話しても、使ってもいけない術で、ただそれがあるという事実しかわかっていない。誰がどのように伝えたかも未だにわかっていない。そのため噂レベルで本当にそれがあると信じる者は少ない。

「簡単に言ったら公にできない魔術だよ。伝術士っていうのがいて、その人達しか知らない魔術らしいが伝術士事態謎で本当に居るかも確認されてない。まぁ、レイがなんで禁じ手知ってるかまでは知らない方がいいな。レイも言えないだろうし。魔術の種類はいくつあるかしらないけど、5個ぐらいはありそう」

「そうだな、詳しくは言えないけどな。その術は使ってはいけないし、話してもいけない」

「え!俺とソード知っちゃいましたけど」

「いいよ、ソードにはバレてたし」

「そっか、でも使わないなら持ってても意味ないのでは?それに、使わないようにすれば魔術士は教えてもいいような?」

「まーな、ただ禁じ手を使いたくなる場面が出たら使ってしまうだろうし、極力自分と関連付けたくないからな。俺が勝手に魔の森以外は魔術あんまり使わないようにしてるってだけ」

「そうですか」

「例えばだけど…ソード手貸して」

 ソードの前に行き、手のひらを開かせ指同士を絡ませそのまま握った。見るとソードの手から炎が現れ手が燃えているように見えた。手は熱くなく、指を離した後も燃え続けた。ブンブンと手首を振って消そうとするが消えない。

「これは普通の魔術でもよくあるけど、禁じ手は中をそのまま中身まで操れるというか、浸透させれたりとか。逆に吸いとったりとか多分できる」

「多分なんですね」

「そうだ、多分なんだ。禁じ手と言われるのは、組み合わせと想像とで応用が利くから無限にできる。後は他人を操れてしまうから、実際に人には使った事がないから多分なんだ。俺も数個使えるけど、未だに人には使った事ないな」

「まぁ、禁じ手なんて言い方するからダメなんだが。言いかえれば人の命を操れる魔術みたいな。使うやつにかなり左右されるからダメなんだろうな。国はお前が喉から手が出るほど欲しいだろうな、使い道なんて腐るほどあるから」

「そうだな」

「お前の親父はそれの生産に勤しんでるんだろ、最終的には。こんな近くに使える奴いるのにな」

「そうだな、知ってるのはこれを教えてくれた人だけ。勿論、家族も知らない。ソードにも話すというか言ってはいけなかったからな」

「俺、聞いちゃった…」

「「大丈夫だろ」」

「てか、いつわかったんだよ」

「レイと初めて野宿した時」

「げ!あんな前からかよ、何でわかるんだよ毎回そーいうの!」

「んーなんとなく」

「怖い!お前のが禁じ手だわ!」

「うるせ!」

そう言うと消えない炎の付いた左手を湖の水につけてびしゃびしゃと洗いとろうとした。

「そんなんじゃ取れないから来い」
「わかってる!試しただけ!」

レイはソードの指と指の間に自分の指を入れ、ゆっくりと上げた。

「ん、とれたぞ」
「とれたー」
「不思議ですよね、魔術って」

 ソードが自分の炎を手にずっと維持できてるのは、やはり魔力の持ち主だったからだろうなとレイは思った。また、その止めかたも知らないのは教えてもらえなかったんだなと。

 そんな話をした後は、お昼を食べ更に森の奥を探索し時間を過ごした。日が暮れ始め湖が暗くなる。畔を歩きながら途中、ソードが「雨降るかもな」といい足早に宿に戻った。宿に着いた頃にはすっかり暗くなっていた。 
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