夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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58 ミイナの研究室 ②


 ミイナの研究室にまた五人が集まった。机にはミイナ、隣にレイその向かいにソードとロキが座っていた。奥のドアから、のそのそとスメルが大量のお菓子を持ってきた。上座にスメルが座わる。

「スメル、お菓子貰ったら帰る」

「いいじゃん、久しぶりだから話そうよ~。食べて食べて」

 といい、大量のお菓子を机に並べ封を開けた。ソードは1つ手に取り食べ始めた。ソードがすぐに帰らないと確認し、お菓子を皆でつまみながらミイナが口を開いた。

「ソードさんとスメルさん、仲いいと言うか…なんというか…」

「ソードと仲いいよ!親友だよな?」

「…しらん」

「なんだよ、囚われの剣士のくせに」

「それ、言うな」

 ソードがピリと言った。一瞬雰囲気が変わりかけたがスメルは軽く謝まる言葉をいい、お構い無しに話した。

「ごめんごめん。で、目は相変わらず悪いの?」

「悪い」

「へぇー治らないんだな」

「さぁな、よくわからん」

「へぇー見せてよ」

「やだ」

 スメルが手を伸ばそうとしたら、ロキがソードを自分側に引っ張った。ソードは大丈夫だと目で訴えた。

「お前はいつもそれだ」

「気になる!お前がどんな風に見えてるか!」

「目が悪いだけだ」

「知ってるんだからな~目が光る事も、一回も見たことないけど。それに、何回か予知して俺の事心配してくれたじゃん。何かあったかって、結局事故は起こったけど」

「また、それか」

 レイとロキは自分たち以外に目を知ってる人がいて、かつ人の危機を見えてしまう話を簡単に人前で話すスメルの警戒心の無さに驚いた。ミイナだったから良かったものの他の人には知られたくない話だった。

 前にレオがレイにソードの過去に詳しい人がいるといって名前をだしたのがこのスメルだ。リッカにいるかもと聞いていたが結局は会わずにミイナの所にきた。しかし、偶然にも研究所で会った為そのまま話の様子を見守っていた。

 レオからはソードを小さい頃から知っていて、必要以上に近寄っていたと。レオはスメルは悪い奴じゃないが変わった奴と教えてくれた。ちょっと俺は苦手だがな、とも話した。今も誰にも気を使わず話すのを見てレオが苦手なのも頷けた。

「実は俺もレオからスメルさんの名前を聞いてて、昔からソードをよく知ってると」

「そだよ、小さい頃に急にいなくなって。したら、またいつのまにか現れて。ヒューズ学校行くっていうからついてきた。まぁ、後から聞いたら家に居たらしいんだけどさ。ついでに、ソードは魔力もちだったから絶対魔術科行ったと思ったのにソードいないじゃんって。したら、剣術戦科いてさ」

「「!?」」

「あれ?皆知らなかった?ソード魔力あったの話してないの?」

「あー結局無くなったし、別に話してはない」

「そっか~ごめんごめん、俺の口から話して。もしかして隠してた?俺はね、自分の親からいろいろ教えてもらったんだよね~ソードから聞きたかった?」

「わ!」

 ロキはレイから聞いていたため、ソードから話すのを待とうと思っていた。しかし思わぬ相手から聞かされてしまい思わずソードを自分の膝に乗せぎゅっと抱っこして肩に顔をうずめた。ソードは抱っこされたままお菓子をもう一つ手に取った。

じーっとソードを見てスメルが言った。

「仲いいね」

 ソードは全く見向きもせず、ロキに抱っこされお菓子を食べていた。
そんな雰囲気にミイナが慌ててフォローする。

「ソードさん、魔術士だったんですね」

「いや、魔術士とはいえなかったかな。魔力は昔あったんだけど魔術と認識して使ってた訳じゃないから」

「魔力だけあったんだよな、それを親が隠したんだよ。俺、親から魔力持ちだって聞いてから調べてさ~そしたら親がある日もう調べるなって怒ってさ」

「ソードいいのか?その話」
「ん、まぁ、いいよ。昔の話しだし」

 念押ししたのはこれ以上無遠慮にスメルが話をしないようにレイは言ったつもりだが、スメルはソードの「いいよ」だけを素直に受け取り話し続けた。

「だからさ、俺いろいろ研究したんだよー。何で魔力が使えなくて無くなったんだろって。でも、全然わかんなくてさ~ミイナどう思う?昔使ってた魔力が無くなるって事ある?」

「うーん、そうですね。精神的な事があったにせよ、無くなる事は無い気がするんですよね。ただ、忘れてるだけだと思うんですが」

「そうなんだよ、精神的にソードは忘れてるだけだよな~でも本人は使えないから結局なくなったって事になるんだが。魔力がまだ出せないだけで残ってたらって最近新たに仮説を立てた」

 その話しにレイは釘付けになった。ミイナのいる研究施設は魔の源を目的とした施設だった。その研究は最先端で情報も設備も一流だ。根源を追及し、それを大量生産するのが目的で話しには信憑性があった。

「ソードの魔力は無くなったんじゃなくて、体の中に閉じ込められたんじゃないかと。放出されない魔力が体を巡り何かのきっかけで、放出されるみたいな。だから、変なの見えたり目が光ったりするんだろうなって」

「なるほど…抑え込まれた魔力の行き場がなくなり、本能で行き場を見つけた感じですかね」

ミイナは研究職員の顔をした。

「そんな感じ。ソードどう思う俺の仮説?」

「どうも思わない」

「えー!!」

「知った所で変わらない」

「えー!!本当なら大発見なのに!!見えるの応用したらすごい事になるよ!」

ソードは興味なさそうに話を聞いた。レイが口を開く。

「じゃあ、焔目による体の影響は?」

「へぇーそんな呼び方するんだ。焔色になるんだ、見たいな。まー確定じゃないけど、目が悪くなってるのはそれかもね。今まで変化ないなら大丈夫かもだけど。でも調べないとわかんない」

「調べる必要ない」

ソードが即答した。

「やっぱりそう言うと思った~」

 ソードは立ち上がり「帰る」といい部屋をでた。レイとロキはソードを追おうとしたがスメルが話を続けた。

「ソードは多分、頭や目に影響が出やすかったかもね。俺の事故をいい当てたり、他の人の怪我や死がわかったりしてたのは魔力で見えるからじゃないかな。放出しきれない能力が目に閉じ籠って、魔力じゃない形で出てるのかも。だとしたら呪いに近いかもね。見たくないのに見えるなんてさ。魔力がそんな形になるなんてさ~調べさせてくんないかな~。さて、ソードいないし研究に戻るよ。楽しかったーまた会おうね!」

といい、奥の部屋にスメルは行ってしまった。ミイナは残された二人を玄関前まで送りながら話した。

「レイ、話を聞いてしまったからいうけど。多分スメルさんの話は概ね当たってると思う。説明を付けるならそれぐらいしか付かないしね。調べてみない事にはわからないけど…。
それよりも、もしもソードさんが毎日人の不幸を見てたとしたら。俺なら耐えられないかも。だって毎日誰かが傷つくとわかってても救えないってわかったら…俺は気が狂ってしまうかも…」
         
「そうだな」
「……。」

「この事は誰にも言わないから!後、二人ともソードさん大切にね、じゃあ研究に戻るね!またね!」

「「うん」」

 手をふり研究所を後にした。ミイナの言う通りレイとロキはスメルの仮説はほとんど当たっていると納得せざる得なかった。実際に急に物事がわかったりするのは有り得ないし、目が見たことの無い色になるのもそれなら説明がつくからだ。

帰りに言われたミイナの言葉。

俺なら気が狂ってしまう…

 そんな言葉にレイとロキの心は締め付けられたまま宿に到着した。部屋に入るといつものようにソードはベッドでゴロゴロしていた。

「おかえり!」

「「ただいま」」
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