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62 好きなもの
ガルシアはすっかり秋の景色に染まっていた。木々は色とりどりの葉を身につけていた。そんな季節が見れる今は11月。
「よう、レオ」
「ソードか」
「今から少し時間あるか?」
「いいぞ」
中に入り窓の外をぼーっと見ていた。綺麗な夕暮れが見える。部屋で淡々と書類整理をしていたレオに話しかけた。
「屋上行けねぇの?」
「あ?すぐそこの階段から行けるぞ。まぁ、鍵かかってるが。職員特権で開けやる」
「いいね!」
レオは鍵を取り出し部屋の隣にある緊急階段の鍵を開け上に上がった。誰もいない静かな屋上は、景色を見るのに最高だった。
「へぇー綺麗だな」
「だな、俺も一回ぐらいしか来たことないな」
下からは何を話しているかわからないが学生の声が響いていた。
「お前…」
「いいよ、説教なら」
「ちが!」
「わかってるよ。来年一期1月から城へ行く」
「…いいのかよ」
「良いも悪いも命令だからな」
「…どうにもならないのか?」
「ならないねぇ~いや、今までしてくれただろお前が。そろそろ潮時だ」
「そうか…すまん」
「お前が謝る事じゃない。俺が決めた」
「うん」
「三期の15月まででロキの世話も終わりか。今11月だから4ヶ月か?冬季休暇入れたら2ヶ月ぐらいか。早かったな」
「そうだな」
「……。」
「……。」
無言で景色を眺める。
言葉がお互いでてこない。
どれぐらいたっただろうか、ソードが口を開いた。
「意外と暇だな」
「お前が行きたいって言ったんだろ」
「なぁ、お互いの実力試さないか?」
「あ?」
ソードは階段を降りた。レオもそれに続く。
第四訓練場
「ルールは?」
「お互い気の済むまで」
「いいな!久しぶりだ!」
「じゃあ、やるか!」
二人とも上半身を脱ぎ、ソードは双剣。レオは大剣を手に取った。どちら側からともなく始まり、剣音が鳴り響く。
どちらも、引かないし倒れない。
「なぁ、夏の休暇にニケに会いに行ったんだけどっ。お前、魔獣みたいにっ。ムキムキっていってたぞ!」
「はっ、お前こそっ。会いにいった時、お菓子渡したらっ。直ぐにソードが買ってきただろってバレてたぞっ!」
「ふん!」
「ニケはっお前にっ昔から。甘かったよな!何っしてもっ…いいってなっ!」
「いっいだろっ!うらましいだろっ!てか、鍛えすぎだっ!」
「お前こそっ!速すぎんだよっ!」
「はっ、お前が遅いんだよ!」
「お前こそ!腕力、無さすぎっ!」
((あ~楽しいっ!!))
暫く、怒涛の打ち合いが続いた。お互い殴り合いのような馴れ遊んでるようなそんな剣術。はぁはぁと息が立つ。
レオが一瞬ソードの攻撃に体制を崩したがソードはそれを見逃さずレオを派手に吹き飛ばした。
「だぁー!ソードはぁはぁ…」
「はぁはぁ…なんだ」
「流石にしんどい!!お前、また強くなりやがって!!」
「お前こそ、化け物すぎんだよ!!」
「倒しときながら言う台詞か!!結局お前には一回も勝てなかった~クソ」
「ふんっ。実力はお前のが上だ。ほら立てよ!」
手を引っ張りレオを起こす。お互い身なりを整え終了した。
レオはソードを門まで送った。
「いっちまったな」
「そうだな」
「最後まで幸せそうだった」
「そうか…今の見せてやりたかった」
「負けたのにか?」
「いいだろ!」
「…何か実感ないな」
「そうだな…」
「じゃあ、行く。ロキを成人職の式までよろしく。因みに俺らロキの学校終わったらここ離れて、ゼンテに引っ越す」
「へぇーゼンテかぁ…いいな」
「暇なら来てもいいぞ、じゃあな」
「おう!」
ソードは暗くなった道を一人で帰って行った。
「「おかえり~」」
「ただいま、シャワー浴びる」
ロキは夜討伐の待ち時間でソードの部屋に来ていた。今日は一人で出かけると言っていたソードの帰宅を二人で待っていた。上半身裸でシャワーから出てきたソードに二人はギョッとした。
「それ、どうしたの!!」
「うわ、痛そう。何してきたんだよ~討伐か?」
ソードの体には赤く染まったアザや切り傷が至るところについていた。
「……討伐…かもな」
「「??」」
「手強かった」
「ソードが手強いって、どんなだよ!上級なのは間違いないな、今度俺も行く」
「俺も!」
「ふふふっそのうちな」
□□□〈レイ〉
昨日ソードは俺達に白い綺麗な封筒を見せてくれた。そこには、日付と名前、年齢の他に永眠と書かれていた。
ロキも俺もかける言葉が見つからなくて、じっと文字を見つめていた。
じっと見ていたらロキは泣いていた。俺も涙が止まらなかった。ソードはそれを見て「ありがとう」と俺らに言った。
ソードは…泣いたんだろうか……
「ソード…大丈夫?」
「うん」
「本当か?」
「うん」
俺とロキはソードが悲しんでいる事を知っていた。
リッカから帰宅して2ヶ月ぐらいたっただろうか。その日は丁度ロキも休みでソードの家に泊まっていた。
明け方に近い深夜、ソードが寝言をいいだした。
「は…行くな…お前は…まだ…」
手を伸ばし必死に何か掴みとろうとしていた。ロキもその声に驚いて起きていた。悲しそうで苦しそうで…俺はその手を取りゆっくり下ろした。ソードはそのまま眠りについてくれた。きっとロキもわかってたよな。
その日はソードに寄り添いながら寝た。翌日のソードはいつもと変わらなかった。昨日の夢は覚えていないのかもしれないと思い少しホッとした。
だけど、あれはソードの本心だったに違いない。
「なぁ、休暇で会った時三人で何話してたんだよ」
「あ~学校時代だよ。ソードが剣術嫌でよくサボってたとか。それを見て自分もサボりたかったって」
「そうそう、科が変わってもソードと仲良くいたかったとかね」
「へぇーサボりたかったのか、誘ってあげればよかったな」
そんな話をして盛り上がった。
いつの間にか悲しい事なんて忘れて。
最後にニケが俺達に言った。
「ソードと結婚しないの?」
「「したい!」」
「あはは、ソードがまだ返事しないのか」
「「そうなんです!!」」
「大丈夫。ソードが俺に紹介したの君たちが初めてだから。結婚しない人を俺に紹介しないよ」
「「そうですか」」
「ソードと居たら一生楽しいよ!結婚おめでとう」
「「ありがとうございます!!」」
「ミミ~行くよ」
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