夜の冒険者は牙をむく

かぷか

文字の大きさ
66 / 130

66 魔の森討伐


ばしゃばしゃ…ばしゃばしゃ…

 俺は今、大好きな人と川に入り、ばしゃばしゃと顔に水の掛け合いっこして戯れている。

訳ではない。

「眩しい」

「あ、おきた?」

「体が動かない」

「そらそうだ、てか動くなよ」

 襟元辺りを掴まれ、水の中で体を浮かされた状態で引きずられながら前に進んでる。見えないが水しぶきの音がする。

服が水に濡れ体に浸透して気持ち悪い。首のあたりも引っ張られて苦しい。体、冷たいしだるい。

「この辺まで運べれば大丈夫かな。レイ担ぐの大変だから水の中入って運んだ」

思い出した、俺はソードと討伐に来てたはず。

「どうなった?」

 そうだ、久しぶりに魔の森に行ったんだ。そこで魔獣を追いかけて。霧が途中からでてきたんだ、んで黒い影が見えて…

「あんまり、しゃべるなよ。魔獣追いかけてて、霧がでてきたんだよ。んで、その霧がそもそもまやかしで、レイの魔術で霧を晴らしたまでは良かったんだけど。一匹が俺を狙い、もう一匹がレイを狙ってて。レイが倒そうと思ったら、先に魔獣がお前の前で自害したんだけど、はぜたその体から毒針がでてそれがかすった」

「……。」

あーだから体が動かないのか。

「毒だけど多分死なないから安心しろ。体がしばらく動かないぐらいだと思う。解毒も一応打ったからもちょいしたら動くかもな。ちなみにあそこに置いといたら危ないから今運び途中」

多分死なない。それ、安心できない…
まあ、いいや。体がだるい。

 ソードは川岸にレイをゆっくり動かし移動した。濡れてる服を手際よく脱がしてゆく。上半身を脱がし服を絞り木にかけた。

「まだ、魔の森だけどここなら数体来ても大丈夫だし安全かな」

数体きて安全って言わなくないか…まぁ、ソード居るから大丈夫か。

 ソードも着ていた上を脱ぎ、濡れた服を絞る。レイに近づき解毒剤を打った腕を見て首の脈を調べた。大丈夫と思ったのか、濡れないように持っていたフードをレイに掛けた。

「動けるまで、しばらく休んでろー」

レイは目を閉じたまま頷いた。
ソードはレイに付かず離れずの場所に立っていた。

解毒が徐々に効いてきたのか体が少しずつ楽になる。手が動かせると思ったら急に体が動きだした。

「動ける」

「ん、良かった。体冷えたしとりあえず帰るか」

「わかった、助かった。ありがと」
「いいよ、どういたしまして」

 手際の良さも判断力も流石だな。自分が逆の立場ならすぐにできたか疑問だな。ソードは一人でいるのと違うから大変だっただろうな。んーやっぱ一緒にいると勉強になる。これが普通の魔獣なら俺も対処できたかもだが。俺の反省点は何処だ。

「そーいや、あの魔獣が自爆する時にレイの方に近づいてくれたから俺は助かった。俺の方に来てたら、俺死んでたかもな」

 胡座をかいて少しゆっくりした。まだ乾いていない服を木から下ろしソードがレイに手渡した。ソードから借りたフードを交換するように手渡した。

「そうなんだ…」

「ん?お前に落ち度はないけど」

「…反省点は?ソードいなかったら死んでるし俺」

「……まぁ、強いて挙げるなら自爆前に魔術でそれを軽減策とれたら良かったかもな」

「うーん、判断力?」

「それもあるけど自爆する直前で氷魔術で撥ね飛ばすみたいな。魔術使わないからわかんないけど。あと、飛んできた破片なり毒針を想定して氷で無力化するみたいな。どちらかといったら想像力かな」

「なるほど…」

てか、ソードにも毒針とんだよな?
俺に近づいて来たとはいえ無傷だよな…なんでだ。

「後は…」

「後は?」

「まー好き嫌いあるけど、フードマントあったら良かったかもな」

「なるほど」

そうか、それで守ったのか。何かあったら一回は確かに猶予ができるな。それに、いろいろ使えそうだし。だからソード着てるのか。納得した。

「ただ、フードは良し悪しあるからどちらでもだけど。今回はあったら良かったってだけ」

「悪い時は?」

「魔獣にじゃなくて、複数人で組むときフードは単体なら良いが3人以上になると微妙かもな。動き鈍くなるし、周りとの連携とか相手の印象とか」

「へぇー印象とか大事なんだな」

「まぁ、できるだけ情報を与えたく無いし。こちらも探りたいし。そう言うのは意外と大事だな」

「そうか」

「仮に、三人フードと三人フード無し。どっち身構える?」

「三人フード」

「だろ?これは、凄く単純な例だけど複合して相手の裏をかいていかないと自分の情報が操作しずらい。情報は弱みになるから」

「まるで、人と戦うみたいだな」

「ん?戦うだろ…魔獣より面倒な奴が多いからできるだけ避けたい」

「ふーん」

ソードは対、人も考えてるのか?意外だな。ただ、無くはないが重要なのか…多分重要なんだろうな。

「いけるか?」

「大丈夫」

 カウロック内の魔の森に来ていた俺達は行きのように強行せず宿屋を手配した。

「なぁ、ソードはどれぐらいフードマント持ってんの?」

「んー10ぐらい」

「意外とあるな」

「用途によって分けるしな」

「へぇー。じゃあ、俺と会った時の覚えてる?」

「うーん、魔の森だろ…多分黒系じゃないかな」

「そう!あれ、夜だから?」

「まぁ、暗いからだな。明るいの着ても悪目立ちするだけだし」

「好きなのあるの?」

「あるよー黒いやつ」

「家帰ったら見せて」

「うん」

「俺も少し欲しい」

「機能とかなら考慮できるけど、色とかは好きなの選んだらいいよ」

「わかった、じゃあ今度一緒に」

「いいよ」

とはいえ、魔術の訓練足りないな~
いい方法ないかな…

うーん、わかんないからとりあえずキスしとくか。

バシ!

「痛い」

「とりあえずでキスすんなよ」

そんな事まで分かるうちのソードはすげぇ…

「すみません」
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】エデンの住処

社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。 それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。 ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。 『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。 「兄さん、僕のオメガになって」 由利とYURI、義兄と義弟。 重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は―― 執着系義弟α×不憫系義兄α 義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか? ◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。