夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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67 できないこと


 突然ロキが帰宅した。4ヶ月はとっくに過ぎ、もう少しで6ヶ月に入ろうとしていた。レイはロキなら4ヶ月ですぐに戻ると思っていた。

「ただいま」

「「おかえり」」

 そう言いロキはソードに抱きついてそのまま動かなかった。

「レイこのまま運ぶ」

 ソードは相変わらずの口調で抱きつくロキから体をくるっと反転させ向きを変えた。両腕を自分の肩に乗せ引きずりながらお風呂に運んだ。

「わかった」

レイは使用してなかった2階の部屋で寝ようとソードに声をかけた。

「なんかあったら呼んで、2階にいる」
「わかった」

 ぼーっとしてるロキの服を脱がし体を洗いお風呂に誘導した。返事はするがあまり反応は良くなかった。無言でゆっくり二人でお風呂に入った。先に言葉を発したのはソード。

「髪のびた」
「うん」

 濡れ髪を軽くといで耳にかけ、それだけの会話をしてお風呂をでた。着替えさせ寝室に行きロキを休ませた。一階の寝室は一人では広すぎるベッドだったが、ロキはソードに隣にいて欲しいとも何も言わずベッドに体を落とした。ベッドに入ったロキに布団をかけ言った。

「ロキ、お前は家に帰って来てる。あと、寝るまで近くにいるから。おやすみ」

「わかった」

 ソードはロキに添い寝する事なく、ベッドの横に椅子を持ってきてロキの視界に入る様に座った。目で確認してロキは目を閉じた。ソードが近くに居ると言えば居る以外ない、それに安心と心地よさを感じた。

 レイはロキがソードと居たいだろうと思い、翌朝になっても2階から降りるつもりはなかったがノックの音がしてすぐに出た。

「ロキに何かあった!?」

思わずそう言った。ソードは笑って「ない」と言った。だが、次の言葉はレイには意外な言葉だった。

「俺には無理だからレイにロキ見て欲しい」
「ん?お前のがいいだろ?」
「俺じゃダメだ。見たいけど無理なんだよ」
「んー俺でいいなら見るけど」
「お前じゃないとダメなんだ。じゃあ、後頼んだ」
「わかった」

 話し終えるとソードは外へ行ってしまった。階段を降り寝室に入るとロキはまだ寝ていた。レイはベッド横にある椅子に座った。

ん、暖かい。
ソード寝ずにロキ見たのか…

俺にできるような事あるか?まだ、起きてないし。うーん、と考えていたらいつの間にかロキが起きていた。

「よう、ロキおはよ。気分はどうだ?」

「レイさん…おはようございます。気分は…」

 近くにある水をロキに手渡した。ぼーっとしながら水を手にして飲んだ。

「あ、ソードなら外行った。どこかわかんないけど」

「うん」

「何かいる?」

首を振る。
元気のないロキにレイはいつも通り話した。

「なんだ、冒険者の歓迎受けて来た?」

と少し冗談混じりに言った。

「受けた」

「そりゃ、良かったな」

「…よくないかも…」

「まぁ、経験だろ」

「……。」

 レイはロキが何か言いたそうだったので、しばらく部屋に居た。しかし、話そうとしなかったので一人にしようと席を立とうとした。

「レイさんは…」

「ん?」

「人殺した事ありますか?」

「んーあるよ。一回は殺したに入るかわかんないけど」

「それ、聞いてもいいですか?」

レイは座り直した。

「俺の時は、なんだったか。商人の護衛の時と雇われ冒険者で金持ち守った時。どちらも護衛だったけど、一つ目は商人守ってたら盗賊が来て、殺らないとこっちが殺られるから殺した。もう一つは間接的だったが結果殺した感じ。金持ちの護衛してたら魔獣が現れて、周りの冒険者と戦ったが自分が手一杯で他の何人か冒険者が魔獣に殺されたかな。その場にいた俺は守れなかったから殺したと同じかもな。まぁ、それ以外にも何人かあるな」

「そっか…」

「まぁ、ロキの言いたい事はわかる。いい気はしないな実際」

「うん」

 レイは自分の昔も含めロキに話をした。自分は他の人よりも魔獣や人の死に近かった事。研究でそれを幼いころから見たりもしていた。でも、ソードと会いそれを受け入れられた事。あとは、ソードがレイとロキに護衛をしない約束を言っていた理由をなんとなく話した。ロキは頷いて聞いていた。

「もし、大切な人を殺されたら俺なら間違いなくそいつ殺しにいく。俺はその考えは多分かわらない。後、自分の命狙うやつも殺す。線引きは必要だな。俺はそうするだけでロキがそうなる必要はないから自分で線引きしろ。ただ、迷ってると死ぬから早めに決めとけ」

「わかった。ありがとうレイさん」

□□□

風が水になびく。

「こんな所にいたのかよ」

「あ?ロキは?」

 家から見える湖の桟橋でソードは釣りをしていた。レイが近寄り話しかける。

「何かもう少し休むってよ」
「そか」

「あんまり釣れてないな」
「今日はいないかもな」

「俺でよかったのか?」
「いい。お前しか無理」

「何で?」
「あー?」

面倒臭そうに話す。

「仕事だろ?冒険者って。お前、仕事で嫌な事あったら誰に甘える?」

「一人で解決するか友達に言う」

「じゃあ、彼女とかには?泣きついたりしないの?慰めてくれって」

「絶対しないだろうな。むしろ嫌かも見られるの」

「だろ、俺もだ。多分ロキも」

「あー」

「一応、付き合ってるから俺はその立場になる。前の関係ならそれができたかもだけど、今は付き合うって方を重視してるから…まぁ、そんな感じ」

「へぇー」

レイがニヤニヤする。

「なんだよ!一応考えてるからな!」

顔が真っ赤になったフードを被りソードは横を向いた。そのまま小声で言った。

「あと、レイが居てくれて良かった」

「あー可愛い~ソードこっち見ろよ」

「やだよ!くんなよ!魚逃げるだろ!アッチいけよ!」

「なんだよーいいじゃん~」

そんな声に誘われたのかロキが歩いてきた。

「もう、いいのか?」

「はい、寝すぎで逆に寝れなかったです」

そう言い、ロキは笑った。
二人もニコリと笑いかけた。

「ロキも釣りする?」

「え、俺したことない!」

「じゃあ、やってみる?」

「する!そういえば何で、ソードはフード被ってるの?」

「眩しいから」

「ロキこれはな…」
「だー!いいんだよ!!」

三人は楽しい釣りの時間を過ごした。
 
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