夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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70 ソード幸せになる


 生活にも馴れ、討伐も三人で行けるようになった。ソードは穏やかな日々を過ごしていた。家の周りは葉が色づき暑くも寒くもなく過ごしやすい毎日。

 ずっとずっと、ソードは考えていたことがあった。外のデッキの椅子に座りながら湖を眺めていた。


最近凄く穏やかな気持ちになるんだよな。
レイとロキと一緒にいると楽しい。初めから楽しかったんだけど具体的にはどうだろな。

ロキは成長見るの楽しかったな。途中レオに引き渡したけどそっからぐんぐん伸びて行ったな。流石レオだしロキもよくついていけたな。

レイはどうだったかな~あぁ、いきなりお菓子屋でキスされたのが初めてだったな。そうだ、何てヤツだって思ったな。お菓子に気をとられ不意打ちくらったんだ。その後に警戒しまくったけど、好きって言われてたのは「なんで?」しかなかったな。しかも、俺と組みたいって。

レイも自分の過去に向き合って苦しそうだったな、家族との共存で少しは楽に考えてくれるようになって良かった。

「ソード、俺もロキも準備できた。行こ」
「レイさんのフード買うなら俺も買いたいです」
「うん、今いく」

 椅子から立ち上がり二人の元へいく。前から約束していたレイのフードマントを買いに久しぶりのガルシアに三人で行く。レイのはウェザーの方がよかったが、ガルシアにも良いものがあるのでまずはガルシアに行く事にした。

レイとロキは楽しそうに会話をしている。

そーいや、こいつらいつの間にか仲よくなってる。いつからだ?初めはどっちも譲らない感じだった気がするんだけどな。てか、今だに何で俺なんだろう。いつ聞いてもだいたい同じ答えなんだよな。

「「俺達が好きだからいいだろ」」って。

世の中には腐るほど俺よりいいヤツいるだろうに…。二人ならすぐ見つかるのにな。もっと可愛いのとか良い子と付き合えばいいのに趣味悪い。

「ソードここ?」
「そう」

 三人で店に入り、ソードの条件を満たしたフードマントを探しつつそれぞれが好みにあったのを決めた。

「二人ともいいのあって良かった」

「「うん」」

 レイもロキ嬉しそう。ロキは、紺色のフードでレイは濃い紫色か。どっちも背高いから二人に合ってる。レイは元々背高かったけどロキまで高くなるとは…クソ。

 ロキか…いつから惹かれたんだろ。

 自信満々に俺の事好きにならせてやるって言ったんだよな~あれには、ちょっとビックリした。俺が付き合うの却下してもお構い無しだし。生活は優しいけど意外と強引だよな~少しドキッってする。

 レイは…いつだ?

 きっかけは多分、ニケの事があって初めて自分の気持ちがバレた辺りだよな。すげービックリしたんだよ。そっから気になってた気がする。あいつ、俺に関して察しが良すぎるんだよ。甘えそうになるから、やめて欲しい。

その後に何か言いくるめられて二人と付き合った感じは否めないが…。

だけど、いざ三人で付き合ってみたら思った以上に楽しいしな。

何か三人でいると……

「「ソード」」

急に声を掛けられドキッとした。

「「お茶しよ」」

「いいね!」

 お店を見つけ外のテラス席の真ん中に案内された。お店はお茶の時間とも重なり賑わっていて、ほとんど甘いもの目当ての女性客だった。三人は席に座りメニューを選んだ。

「俺これにしようかな」
「うーん、俺はこれかな~ソードはどれにする?」

「んー」

「これは?」
「こっちも美味しそう」
「全部違うのにして、三人で分ければ?」
「いいですね!そしたらソードいろんなの食べれます」
「だな」

「じゃあ、そうする」

注文を済ませ来るのを待った。

 そうだ、いつもレイとロキは俺の好きな物をくれるんだよな。しかも、俺の気持ちを最優先にしてくれる。どんなに隠そうとしても、いつも本心を聞き出そうとしてくれたな。そういうの馴れてなくて初めはどうしていいかわからなかった。多分、二人を傷つけてたと思う。それなのに、二人は俺とずっと離れないって言ってくれる…。

部屋を選ぶのもだし、討伐行くのもそうだし、俺を一緒に楽しい方へってくれる。それがすごい怖かったんだよな。不安と恐怖が勝って踏み出せなかった。

本当は二人といたくて。
ずっといたくて。この先も。

言えなかったけど今は毎日楽しくて、嬉しくてしょうがなくて…だから

『俺、今すげー幸せかも』

ソードの顔がハッとする。

「ソードの一番に来たよ~先に食べなよ」
「だな」

「うん」

 ソードはフォークを使って甘いケーキを一口食べた。二人はケーキを口にしたソードに声をかけた。

「「美味しい?」」


「俺、レイとロキが好き」


「「…………。」」


 店内がお喋りでざわざわする中、二人の時間が止まる。ソードはもう一口食べた。

「…ソード今の」
「ねぇ、それって…」


「本気の好きだけど」
 

 レイとロキは押し黙り震えた。
 また、一口ソードが食べる。

「ソード…俺…まだ注文きてない…」
「俺も…まだ…」

「うん」

「もうすぐ来るかもよ」

「…………。」

「レイさん…ダメです…ダメですよ!」

レイが立ち上がろうとする。

「ソード帰るぞ」

「え!何で!?まだ、お前らの来てない」

「んなの、どぉーーーーーでもいいんだよ!」

「えー!良くないだろ~来るまで待つ、分けるって言ってたじゃん」

「何で…お前は…この何にも出来ない状態で言うんだよ」

「え…今、思ったから。二人の待とうよ」

「……ソード」

「え?ロキも好きになったら言えって言ったし」

「……。」

「ロキ、お前も多分同じ事思ってるよな」
「はい…」

 ソードは二人が怒っている意味が全くわからなかった。レイがソードを苛立つように見る。ソードが何?という顔をした次の瞬間。

レイはソードの腕を自分に引き寄せ賑わうお店で激しくキスをした。

「んっ!んんっ!」

ソードがビックリしている間もなく今度はロキが甘いキスをした。

「はぅ…んっ!」

 周りは三人のキスにざわざわとした。目のやり場に困るもの、キャーと言いながら嬉しそうに見る者の声がした。

 ソードはその声と他人に見られている事で真っ赤になりキスが終わると急いでフードを被った。そんな事をしてもすでに遅かった。三人は注目を浴び、ソードは針のむしろ状態。二人はお構い無し。

「ぅ…帰る」

「「まだ、きてない」」

 レイとロキはその後すぐに来たお茶とケーキをゆっくり時間をかけて食べた。勿論、三人で分けたのだがソードにこの時の味は全く記憶になかった。店を後にする三人の姿が消えるまで視線は無くならなかった。

「もう、あの店に行けない…」

「そうだな」
「ですね」

二人は嬉しそうに答えた。

「てか、暫くガルシア行きたくない!」

家に着いたソードはお風呂に入るまでフードをとれないでいた。

 やっと聞けたソードの「好き」は、思い出の場所でもなく何かの記念日でもなかった。ただ、ただ、日々を過ごす三人の日常にあるのでした。
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