夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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74 レイの家再び ②


「お前はいつも急に来るから驚ろかされる。後、もう少し家に顔を出しなさい」

「……。」

 いつもなら、研究室に籠りっぱなしの父親が一番初めに来た時点ですでに状況は異常事態だった。レイはなるべく冷静に話した。

「紹介したい人が居ます。ソード=オーデナリーとロキ=フォレスターです。どちらも今、組んでいる冒険者です」

「「初めまして」」

二人は立ち上がりペコリと頭を下げた。

「初めまして、私がレイの父親のルーベン=マグノリア=クラークスです。いつも息子がお世話になっています」

握手を求められソードとロキは素直に答えた。

「案内係に聞いたかもだけど…」

と、レイが話をしている途中だったがルーベンが遮る。

「君がソード君なんだね。レイから話しは聞いているよ。いろいろ、聞きたいのだが…」

今度はレイが遮る。

「今、着いたばかりだから。先に部屋に荷物を置きたい。話しはそれからでも」

「あぁ、そうだな。荷物を運ばせよう。歩きながら話そうじゃないか」

 使用人を呼び、すべての荷物を運ばせた。ルーベンはソードの隣に付き、ロキは少し離れた後ろに。レイはソードに言われた通り守るようにロキの隣に行き警戒しながらついていった。

「ソード君、歳はいくつ?」
「23です」

「レイは22歳だから1個上か」
「はい」

「レイと組むのは長いのかな?」
「3年ぐらい経つと思います」

「そうか、レイはどうだ?」
「大変優秀で頼りになります」

「そうか、よかった」

 普通の会話なのにレイには緊張が走る。ロキは二人を見守るしかなかった。

「ロキ君は長いのかな?」
「あ、はい!」

急に振られて慌てて返事をするロキ。ソードがゆっくり説明する。

「冒険者として組み始めたのは彼が学校を修業してからになりますので1年経ってないですが、レイさんより先に知り合ってまして。私との付き合いはロキの方が長いです」

「そうか」

「なら、ロキ君は18歳かな」
「はい!」

ゆっくり足を進める。

「ソード君は冒険者と聞いたが魔獣と戦ったことは?」
「有ります」

「そうか、では私の研究室に一度来るといい」
「はい、是非」

「ソードを研究室に連れていかなくても」

「ん?別にいいだろ。お前がを紹介するんだ。折角だから私のを案内をしたい」

「はい、宜しければお願いします」

顔色一つ変えず、レイを見ることもなくソードは答えた。

「さぁ、着いたな。家族を紹介したいがまだ揃って居ない。夕食まで部屋でゆっくりしててくれればいい。暫くはいるんだろ?」

「……俺達は報告したら帰る」

「…後でゆっくり聞こう。今日は泊まりなさい。ソード君、ロキ君ゆっくりしていってくれ」

「「はい、ありがとうございます」」

 ルーベンは玄関先の階段まで来てまた戻って行った。レイがドアを開けると愛想のない成長したハイルがレイ達を迎えた。

「おかえりなさい。初めまして、ハイルです」

「ただいま」

「「初めまして」」

の方々の部屋はこちらです」

淡々と喋りながら部屋に案内された。三人とも別部屋を用意されていたがすかさずレイが言う。

「広い部屋1部屋あればいい。三人とも同じ部屋だ」

一瞬戸惑ったが、ハイルは直ぐに対応して別部屋に案内した。

「では、使用人が来るまでゆっくりしてください」

軽くお辞儀をして出ていった。ロキはドアが閉まると同時にはぁーっと息を吐いた。
ソードはすぐに窓の外を確認したが特に動きが無いことを確認しベッドに座った。

「緊張感が半端なかったです」

「あーまだ、これからだぞ」

「え!?」

「だな、まさか親父が一番初めに見に来るとは思わなかった」

「レイさんのお父さん普通に見えましたけど。落ち着いた雰囲気で格好いい方ですよね」

「あれだけならな。ただ、いきなり研究室にソード誘う時点で怪しいけどな。問題は夕食とその後だな。まず、母親はうるさいから後、兄貴も。で、今の案内役が一番下の弟」

「え!?あんな、他人行儀なんですか!?」

「まーな、ほぼ会ってないしな。当然かもな」

「そう、ですか…」
 
先ほどから余り喋らないソードにロキが話しかける。

「ソード?」
「ん?」
「大丈夫?何か考え事?」
「あー大丈夫。それより、レイが大丈夫か?」
「あぁ。夕食後にちゃんと家族に話す。必ず二人守るから」
「レイさん、上手くいくことを応援してます」
「ありがとうロキ」

ソードが辺りを見回しながら言う。

「にしても、花と絵と女神像だらけだな」

「まーな、それが信仰とも言えるし。俺の部屋にもあるぞ、外してもまた全部もどされるしもう諦めた」

「すげぇな」

「部屋も俺が出ていったまま、ずっと子供扱いされてる感じ。ちなみに、俺がソードに勝手に片思いしてる所で止まってるから。結婚したの聞いたら、みんな半狂乱になると思う」

「えぇ…そんな駄目なんですか?」

「そうだな、属に入って無いからその時点で反対だしな~」

「うーん、難しいですね」

三人で話をしていたら、ノックがした。

「メア様が来られました」
「わかった」
「宜しければ三人でお越し下さい」

顔を見合せレイは返事をした。三人で下の階に降りてリビングに向かう。使用人にドアを開けられ中へ促された。ソファーにレイと同じ髪の色したメアが座ってお茶をしていたがレイを見るなりハグをしに立ち上がった。

「レイ~久しぶり~元気~?」

「久しぶり」

「レイが来たって聞いたから、すぐ仕事やめて駆けつけたよ~元気だった?よかったら座って~」

二人は促され席に着いた。レイ、ソード、ロキの順に座りお茶がすぐに用意される。

「レイ~紹介してよ~」

「こっちがソード=オーデナリーでこっちがロキ=フォレスター」

「へぇ~初めまして~レイの兄のメアだよ~」

「「初めまして」」

座ったまま頭を軽く下げた。人懐っこい話し方に愛想のある笑顔だが、どこか感情の無い目をした印象を受けたロキだった。

「君がソード君か。レイが連れて来るなんてなかなか無いよね~嬉しいな~全然家に帰って来てくれないしさ~どこで何してるかわからないしさ~みんな心配してたんだよ~」

「……。」

やはり、関心はソードに向けられる。レイが重い口を開く。

「友達ではない」

「あ~そうなんだ~じゃあ何?」

ピリと雰囲気が変わる。

「この間、結婚した」
「へぇ、そうなんだ~どっちと?」
「ソード」
「じゃあ、ロキ君は~?」
「…ソードの結婚相手」

「………ん?」

メアが訝しげにロキとソードを交互に見る。

「俺もロキもソードの結婚相手」

「…レイ~よくわかんない~説明して」

「二人ともソードが好きで譲れないから三人で結婚した」

「は?」

メアは目を丸くして三人を見た。レイは真剣に答え、ソードはお菓子を見ていて、ロキは目を反らしていた。

「ちょっと待ってレイ。三人て、三人?」

「そう」
「お前、ソード君に片思いしてんじゃなくて?」
「それは、もう了承済みでプロポーズした返事を最近もらった。だから結婚した」
「ロキ君は?」
「ロキもソード好きだから、それでいいって」

少し考えて言葉を発した。

「レイ、ロキ君とソード君の仲を裂いたのか?」
「いや、裂いてない。だから、三人」

「……。」

メアは無言になり腕を組み暫く天を仰いだ。そして意を決した。

「弟が大変申し訳ない事をしました」

ロキとソードに頭を深々と下げた。
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