夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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75 レイの家再び ③


ロキは驚き、レイは見たこの無い兄の態度に焦った。ソードはというと…

「いえ」

一言だけ、そう言った。

レイとロキは思わず顔を見合せた。

「ソード君とロキ君には申し訳ない。レイ、直ちに身を引きなさい」

メアは前回同様にレイがまた一人で暴走して二人の仲を引き裂いてここへ連れてきたと推測した。でなければ三人で来るなどありえないと。レイの暴走に二人が家族に相談せざる得ない状況で来たに違いないと。

「は!?やだよ!てか、ソード何が「いえ」だ!」
「レイ諦めなさい!」
「ソード何とか言え!勘違いされるだろ!!フザケンナ!!」

ロキはおろおろしていた。ソードはメアを見据えて静かにいった。

「メアさん勘違いしないで下さい。私はロキもレイも好きです。二人に言い寄られ決めれずどちらも好きになったのは私です。二人にこの決断を追い込んだのも私です」

「じゃあ、選べないなら俺が選んであげる~ソード君はロキ君だけを選べばいいんじゃないかな~?」

「そうですね」

「は!ふざけんな!」

「ほら~レイやっぱり勘違い~」

ソードの言葉にイラついてレイはソードをソファーに押し倒し顔近づけた。

「絶対俺は別れないしお前と一生いる」

ソードは目を逸らさず、押し倒されたままレイをじっと見た。

「レイ、やめないか」

「うるさい」

「ロキだけを選ぶのは許さない、二人とも選ばないも許さない」

掴んだ肩に力を入れる。

「レイ!!」

メアが止めに入ろうとする。

「黙れ…邪魔だ」

低い声だけでメアを抑える。

ソードの瞳にレイが映る

「お前いないと死ぬ」

「レイ…」

「ソード好き」

「俺もだレイ」

レイの目が細くなり心がきゅっとなる。レイがソードにキスをしようとしたその時、ソードがメアを見た。

「すみません、メアさん。レイさんをここ迄追い詰めてしまいました。ただ、そんなレイを私も好きになってしまいました」

ソードはそのままキスをしようとするレイを避けた。メアに本気を見せたかった思惑がわかり、キスしたいのを押し殺しレイはソードを抱き寄せ息をつく。

「ソード、もういいから。こいつらに言ってもしょうがない」

そんな二人を見てメアは呆れた。

「はぁ~レイの本気はわかったよ。ただ、属じゃないし結局は一緒になれないだろ」
「別に属に入るから認められるとかじゃないからいい、結婚報告に来ただけだから」

はぁ…とメアがため息をつく。

「ちなみに、ロキ君は今の見て何とも思わないの?」
「あー僕は、大丈夫です。他の人なら嫌ですがレイさんなら嫉妬や嫌とかは思いません」

ロキはニコリとしてメアに言った。

「はぁ~お前ら乱れてる…」
「俺らは俺らで確立してるから何と言われようがこの先変わらない」

「属に入らないとやっぱりこうなるのか…」
「おい、訂正しろ。属は関係ない」
「はっ、よく言う」
「お前ら属のがよっぽど異常だ」

「レイ…」

ソードが声をかけそれ以上の言い争いを辞めさせた。

「夕食は部屋で食べる、アイツはもっとうるさそうだから会わせない。親父にも俺から話す」

そうしてメアから離れ部屋に戻った。夕食はレイの言う通り部屋で食べた後、レイはどこかへ出ていって深夜まで部屋に戻らなかった。

次の日、朝食を食べ終えた三人の部屋にノックの音がして入って来たのはレイの父親だった。

「レイ、朝早くすまないね。二人とも昨日は夕食を共にできなく残念だったよ」

「こちらこそ、すみません」

「ソード君、よかったら私の研究室に来ないか?その間ロキ君はメアと一緒にお茶でもどうだ?」

「二人ともいく必要ない!」

レイが止める。

「案内したいだけだ、何をそんなに警戒してるんだ?まさか、二人に何かするとでも?そんなに嫌がると二人が不安になるじゃないか」

「私は構いません」
「そうか、ではソード君一緒に」
「…行くなら、三人で行く」
「ふっ、なら三人で来なさい」

そう言われ、三人はルーベンの後について行った。受付を済ませ、地下一階で説明をしだした。

ロキにはさっぱりでレイはウンザリ顔。そんな中ソードだけ真剣に聞いていた。休憩を挟もうとルーベンが言ったので研究室の中にある広い開けた場所でお茶をする事にした。

「ソード君、飲み物を取りに行くのを一緒に手伝ってもらえる?」

「はい、構いません」

レイは警戒したが、ここから見える所にソードがいたから大丈夫だと思っていた。レイとロキが一瞬目を離した隙に、ルーベンは腕にあるキーを使い部屋にソードを招き入れた。

「この部屋は?」
「君に見せたい研究室に繋がっている通路部屋だ」
「そうですか」

レイとロキはさっきまで一緒にいた二人が居ない事に気がついて焦った。

「レイさん」
「クソ、ロキ受付に行くから一緒に」
「はい、さっきまで居たのに」

レイはすぐに同じ階の受付に行き、ルーベンが退室したか調べたがその様子はなかった。それを知って、まだこの研究室に居る事を確信できた。レイは間違いなくこの下にある地下2階に案内されたのだとすぐに思った。

「ロキ、暫くここで待つ」
「はい、ソードどこ行ったんだろ?」
「多分、地下2階だな。行ったんじゃなくて、連れてかれただな」
「何があるんですか?」
「親父のコレクションがある」

この通路部屋は隠し扉になっていて、ルーベンの腕の鍵のみに反応して音もなく扉が開く。まるで、壁に吸い込まれるように。

扉が3重になっていて部屋の奥には階段がありソードを地下2階へと案内した。

「随分、厳重なんですね」
「あぁ、地下2階からは私の個人研究室でね。限られた研究員しか入れないようになってる。しかもこちらの入り口は私しか使用しない。普段は受付を通すがあちらの入り口から入るが面倒で」

歩きながら周りを把握するソード。

今、ここで何かされてもわからないか…声も届かないな。そんな事を思いながらルーベンの後に続く。

「そんな場所に私なんかを入れて大丈夫なんですか?」
「レイの大切な人だしね、私も見てもらいたい物がある」
「そうですか」
「ソード君は素直に従うんだね、てっきり拒否するかと思ったよ」
「何がですか?」
「この部屋に入る事を」

拒否権は…ないだろうな。

「大切な場所を見せてくださるので、ありがたく拝見させていただきます」
「ははは、そうだね」

地下2階につき、研究室に入ると大量の魔獣を見せた。魔獣の体の一部がコレクションとして所狭しと飾られていた。

「魔獣の体の一部ですか?」
「そうだ、ここには珍しい魔獣が沢山ある。冒険者の君なら多少見たことがあるのが置いてあるかもしれない」
「そうですね、見渡しても宜しいですか?」
「構わないよ」

ソードは大量にある魔獣の棚を見渡した。大体見たことがあるものばかりだが、まだ見たことの無いのも少しだけあった。

「これは?」

「あぁ、これは数十年前の魔獣のレアで今はほとんど見かけない。絶滅か、他へ移動したかまだはっきりはしていない。恐らく、蛇獣亜種系の魔獣かな」

どうりで見たこと無いはずだな、歴史があるから凄いな…しかし、このまま見せるだけじゃ帰されそうもないな。まぁ、折角だし飽きるまで見るか。

「こちらも凄いですね」
「おぉ!これを知ってるんだね、流石冒険者」

レイの父親はソードが意外にもいろいろな事を知っているのに驚き研究魂に火がついた。ソードの肩に手を置き、あちらこちらと説明をした。
そのまま話していたらルーベンがふと、ソードの耳元で密談するように話した。

「君は…属には入らないのかな?」
「……私には必要がないので…」

急に耳元で話され少しビクリとなったが、顔色一つ変えず答えた。

「だがレイは属に入ってる」
「そうですか」

「属に入れば一緒に居られると言ったら」
「私とレイさんは違いますので、私には必要がないというだけです」

昨日、レイが深夜迄部屋に帰らなかったのはもちろんソードとの結婚を報告したからだ。母親シリルは大激怒、父親もシリルに同意見だったがレイの気持ちは全く変わらなかった。しかも、三人での結婚に理解に苦しんだ。
話は平行線で、レイは部屋を飛び出した。シリルは半狂乱だったため、ルーベンは話しても無駄だと思い席を外させメアと二人になった。

「メア、レイは…」
「本気でしたね」
「ソード君は?」
「レイに押し寄られてましたが、好きみたいです」
「ロキ君だったか、あの子は?」
「あの子は付き添いに近いですが、結局は三人を認めているようです。レイが好きとかではなく、ソード君が好きならばと言った感じですね。ソード君とロキ君がうまくいってレイが引けば問題ないですが」
「そうか」

「私はソード君と話し合い属へ入れようと思う」
「属にですか!?」
「レイが好きなら属に入る気があるか確める必要はある。あいつの大暴走に間違い無いが、限度が過ぎる」
「そうですね」
「それにソード君を見極めたいよ、くっくっくっ」

レイがそんなに入れ込むソードに少し興味もわいていた。第一印象は顔色一つ変えない冷静なイメージ。それが崩れれば本音が出て弱みを握れるのではと。
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