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77 レイの家再び ⑤
ソードがいなくなってからかなり時間がたっていたが外に出た気配は一度もない。念のため確認はしたがレイは地下にいるとわかっていた。ロキと地下2階に行くが通される事は無かった。
「クソ、絶対ここなんだけど」
「ソードがいるのがわかってるなら、まだ手立てはあるはずですし。今の所何も起きてないです」
「そうだな、ただ何も起きてないとは言えない。現に連れ去られてる」
「確かに…」
レイは焦っていた。こんなにもアッサリとルーベンに連れていかれてしまった事に。父親が自分でお茶を取りに行く事がそもそも無いとわかっていたのに、もっと自分が注意していれば連れていかれずにすんだと悔いていた。
そしてソードが全力でロキを守れと言ったからには、自分は大丈夫だと言う自信があるからだと考えていたが実はそうではなく。何かあったらロキを連れて逃げろと言う意味ではないかと不安で仕方なかった。
地下2階の受付近くの待合室で待った。周りの動きは全くなくロキをどうこうする感じも無かった。狙われたのはソードだけだが、自分たちもいつ狙われてもおかしくないので警戒は怠らなかった。
「ロキ、今みたいにうちは隙あらば仕掛けてくる。だから、もし連れてかれたら最悪大きな音や何か居場所を知らせて欲しい」
「わかりました…でも、普通に連れていっただけ…」
「ないな。なら、わざわざソードだけ呼び出して連れていかない」
「ですよね…二人だけで何を話してるんでしょうね」
「さぁな、ただ二人になりたかったには理由があるんだろう。昨日親父に報告したが結婚に反対で決裂状態だった」
「そうですか…ダメな理由はなんですか?」
「一番は属じゃない事だろうな」
「そしたら属に入れば解決ですか?」
「いや、他にも理由は沢山あるから結局反対なんだろ。それに属には絶対入れさせない。入ればわかるがほぼ生活を管理される、全部じゃないがな」
「うー何か息苦しいですね」
「それがあるから魔術が進んだのもあるが、うちの専用の属はそれだけじゃなく魔獣研究と親父の一声で暗殺もするから更に特殊だな」
「なるほど…」
「だから何かあったらすぐ乗り込む」
「わかりました」
それから、さらに時間がたった。
急に足元から地響きがして爆発音がした。
「「!?」」
二人は顔を見合せ受付にいき開けてもらおうとするが全く相手にされなかった。レイがイラついて魔術で破壊しようとしたのを受付が止める。
「レイさん!」
「ロキやるぞ!」
研究室から人がわらわらと出てきて騒ぎだす。状況が研究員により耳に入ってきた。
「地下三階で魔獣による自爆らしいがクラークス様がいたから助かったらしい」
「さすがだな~」
「何人か怪我をしたらしく運ばれるみたいだけど」
遠くから声が聞こえる。
「これ以上動かすな!!緊急移動ですぐ4階へ!応急処置はしてある!私以外誰も入れるな!!」
怒号のような声が聞こえていたがレイにはハッキリは聞こえなかったが、間違いなく自分の父親の声で聞き間違えする事はない。嫌な予感がした。直ぐにドアを壊し、ロキがついて来てるか確認しながら声のする方に向かった。しかし、着いた時には事が過ぎた後だった。
近くにいた研究員にすぐに聞く。
「おい、今のは?」
「あ、レイ様!地下3階で魔獣による爆発です」
「怪我人って?」
「何か研究員とクラークス様のお連れの方が運ばれたみたいです。4階に運ぶとか何とか…」
「「!?」」
「ロキ!」
「はい!」
レイとロキはすぐ4階に向かった。すぐに辿りついたが何事もないような静けさ。元々4階は特別医療室があり万が一事故があった時の部屋がいくつも用意されていた。
受付でレイが聞いた。
「今、運ばれて来たやつどの部屋?」
「すぐ斜め向かいになります」
ドアを開けるが研究員が寝ているだけだった。レイはもう一度受付に行き聞いた。
「違う、もう一人だ」
「存じ上げません。受け付けたのは一人です」
「いや、もう一人居たはずだ」
「わかりかねます」
「クソ」
レイは部屋を一つづつ開けながら探す。ロキも手分けをして探した。それを見た職員が駆けつけ静止する。
「やめてください!」
「離せ!お前らが隠すからだろ!」
ロキが声を張りながら駆け寄る。
「レイさん、こっちです!でも…」
すぐにロキの方向へ向かうがまたしても厳重な扉がそこにあった。丁寧に職員の見張りまで居た。
間違いない、この中にソードがいる。
「中に入りたい」
「入れる事はできません」
「ソード居るんだろ」
「許可がないと入れません」
「許可なんていらない」
先っきからわざとそう仕向けているかのような態度に痺れをきらした。レイは魔術を出そうとドアと見張りごと飛ばそうとしたら厳重なドアが開いた。
「レイ様、お静かにお願いします。私が状況を説明しますので中へ」
その声はレイ達が検問所からテラスへと案内してくれた案内係だった。扉の中に入ると長い廊下が続き少し開けた所で案内人が立ち止まった。
「ソード様はご無事です。私が説明を。ルーベン様と地下3階へ魔獣を見に行かれたソード様は、研究員の一人が安易にその魔獣に近づいたため襲われそうになった所を庇われ怪我をなされました」
「怪我…で?」
「大した事ではありません。毒針が刺さりお倒れになられただけです」
「大した事かそうじゃないかは俺達が確かめて決める」
「失礼しました。もうすぐしたらお目覚めになります。ちなみにルーベン様が自爆を相殺なさって下さったのでこの程度で済んだのだと思います。流石はルーベン様です」
「部屋はどこだ」
「まだ、寝ておられますので」
「いいから、教えろ」
変な違和感に気づく。レイは一瞬しまったと言う顔をした。何故なら、案内人がこんな丁寧に話したからだ。まさに時間稼ぎだったと。
「クソ、ロキ探せ!時間稼ぎだ!」
「流石レイ様」
「案内人が止まった先だ!それのどれかだ!」
「はい!」
ロキは扉のドアがどれも閉まっていて、確認がとれなかった。
「鍵が!」
「いい!全部壊せ!!」
「それは困ります」
案内人がロキに向かって警棒を振る。ロキはその棒を手で止めた。
「レイさん、見つけてください!早く!」
一部屋から話し声が聞こえた。レイは一目散にその部屋の前に行きドアを蹴り破った。ドアが開くと案内人はすぐにロキから離れてどこかへ消えて行った。
「ソード!!大丈夫か!!」
「うん」
そこにはルーベンと話をしている姿が目に飛び込んできた。レイは安心したがソードの喉元が赤いのに気づいた。
クソ…親父か…
俺達が入ったからソードの無事に間に合った…?
□□□
夕食なんて食べてられない。
今すぐロキと三人で帰える。
やっぱりソードを殺そうとしていた…
ルーベンが部屋を出た後は、お菓子が食べたいと言ってすぐ起き上がって部屋を出ようとしたソードを二人は静止した。何かあったか聞いても「部屋で魔獣の一部見て地下3階で魔獣の研究見てきた」ぐらいしか言わなかった。そんなソードと父親の行動に違和感を感じたレイだった。
首もとは間違いなく締めた後だ。もし殺すなら何で時間のかかるやり方をしたんだ…。わざわざ案内人を使い時間稼ぎにまでしたのに。でもってソードは生きている……おかしい。
部屋に戻りレイは帰る準備をした。
「レイ、夕食ちゃんと出るぞ」
「……。」
「悪いようにはしないって言ってたじゃんか」
「……。」
「話だけ聞いてみようよ、な?」
「……。」
「なぁ、俺の親父と何か約束か交換条件交わしただろ?」
やはりレイは鋭いなとソードは感心した。
「あの時ソードが殺されなかったのはそれしか考えられない」
「まぁ、な」
「え!何約束したの!?」
ロキはベッドの上に胡座をかいてるソードの後ろに周り、抱えこむようにぎゅっと抱きついた。ロキにもたれる様にソードは力を抜いた。
レイもソードに近づき目の前に座った。
「話してくれるよな?」
頬に手を添え下にずらし首の赤い部分をなぞる。
ソードはルーベンに連れ去られた後の行動とレイ達が部屋に来る迄の会話の内容を二人に話した。その曖昧な約束事にレイとロキは違和感を感じた。
「研究室はわかるけど、時間ってなんだ?」
「さぁ、親父さんと俺の時間をとれってさ」
「二人だけ?」
「多分」
「意味がわからねぇ、なんだそれ。何かしたのか?」
「いや、ほんと話して魔獣みてただけだけど。後は、俺の魔獣の知識に興味あるみたい」
「でも、時間ってそれとは別だよな」
「多分」
「てっきり、属に入るとか、命とる変わりに別れて欲しいかと思いましたけど…」
「うーん、それもあったけど。時間については具体的には言われなかったんだよな。まぁ、それで命も助かるし認めて貰えるならいいかなと。ちなみに、属に誘われたけど断ったからな」
「そうか……でも親父の事だ何かある。よくわならない内容に返事するなよ」
「とりあえず夕食に何かわかるだろ?だから、行くぞ」
「わかった」
「うん」
二人は無事を確かめるようにキスをした。
レイの心配は続いたままだったが内容を確かめるべく夕食を一緒にとることに決めた。
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