夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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79 レイの家再び ⑦


「何いってんの?」

レイの突然の発言にソードは遂にレイが壊れたと思った。
ロキとレイは胸を撫で下ろす。この安堵で二人が何やら心配していたと察した。

「いや、違うならいい。けど…さっきのは…何て言うか」

「俺も、ちょっと違和感が…勘違いなのかもしれませんが…」

「何て言うか、男の勘」
「ですね」

「ふーん」

「本当に何もされてないよな?些細な事でもなんでもいい。何かないか?」

ソードは強いて言えば研究室に置いときたい的な事を言われたぐらいと話した。

「レイさん…やっぱり…ちょっと確信はないですが」

「そうだな…ただ、既婚者だし俺達のだとわかってるはず。それに信仰に反するから」

「へぇ~そうなんだ」

「ああ、うちの信仰は清い男女交際に結婚。離婚も基本認められない。後、自害も。他にもいろいろ細かいのはあるけどな。浮気なんてもっての他だがどこまでそれをバカ正直に受け入れてる属がいるかは別だが。親父は信仰が強いから絶対背くことはしないはず…」

「へぇ~」

「そんな事したら、自分の尊厳が揺らぐしな…」

「勘違いですかね?ならいいんですが、すみません疑ったりして」

「いや、いい。可能性はある…てか、間違いであってほしいし。考えたくない」

「ですよね…」

ロキは苦笑いした。

「ふーん。とりあえず、俺は風呂にいく」

「「俺も」」

「三人狭いだろ!!」

「「いいの!!」」

念のため体も調べたが何もなく二人は安心した。更にベタベタと体をお触りする二人にソードは出ていけと追い出した。

ルーベンがあっさり三人の結婚を認めたのは、より自分とソードの仲を他の人の目から離れさせようとした為だった。密約を知られまいと注目をそちらにすり替えようとしていた。だが、そんなルーベンの思惑はすぐこの二人に見破られたのだった。

寝る準備をしていたらドアをノックされる。

「ソード君いるかな?」

声の主はルーベンだった。
警戒してレイが出る。

「何、もう寝るから」

扉を少しだけ開け中があまり見られないようにした。大した用事でなければその場で断るつもりだった。

「いや、明日も研究室にきて欲しいなと」
「断る」

「ソード君と話したい」
「ダメだ」

「お前はいつからそんな独占欲の塊になったんだ。ソード君はもう、うちの家族じゃないか」

「どの口が言うんだよ、ソード殺そうとしたくせに。ソードはお前の家族じゃない」

「はぁ~ソード君は筈だ」

それを聞いてレイの後ろからヒョイっとソードが顔を出した。慌ててそれ以上は踏み込ませないように手でガードをした。

「わかりました。伺います」

「おい!」

「流石ソード君、話がわかる。明日、昼前ぐらいにきて欲しい。じゃあ、おやすみ。湯冷めしないように」

「はい、わかりました。おやすみなさい」

バタンとドアを閉めた。
レイはすぐ鍵を閉めソードを抱えベッドに下ろした。

「なぁ、俺達スゲー心配してんだけど」

「でも約束したからな」

「「はぁ~」」

「わかるけどさ~今のお前見られるのすら嫌だったんだぞ。今日みたいに起きてからじゃ遅い」

「レイさんの心配も察してソード」

「レイに良いこと聞いたから大丈夫」

「未遂でも、絶対嫌だからな」

「それは、知らん」

「だー!!ロキ何とか言ってくれ!!」

「ソード、俺も未遂でも許さないから!」

「未遂ってどこまで?」

「あ?」

「言ってくれたら、そこで拒否かけるから教えて」

「「うーん」」

意外と難しい質問だった。触れるのはどこまでいいかとか具体的に言うのがなかなかできなかったが最低限、自分たちが許せる範囲を話した。

「まぁ、こんな感じ」

「わかった。ちなみに、明日一人で来いとは言われてないからお前らも来る?」

「「行く!」」


次の日

 研究室に出向いた三人は昨日レイが壊したドアを横目にルーベンの部屋に入った。ルーベンにとって三人は予想外だが素直に向かい入れた。

研究室は透明な部屋がいくつも連なり、各々研究に勤しんでいた。中には暗室のような部屋もちらほらあったが20部屋以上を管理していた。

「ようこそ、ロキ君は初めてだね」
「はい」
「どうだい?」
「驚きました。凄いですね」
「うんうん、ウェザー1だからね」

 説明を終え好きに見ていいと言われ部屋を見渡しソードはコレクションへと近づいた。ルーベンがそこへ来て説明をしだした。鍵のある棚を指差してあちらの部屋の奥に入った物は更に貴重だと誘導した。

古い棚に飾ってある物を手に取ろうとしたら先に取りソードに手渡した。

「ありがとうございます」

「それは、3深層に居たレア魔獣で古いものだ。まだ、生息していると聞いた」

「そうですか」

レイとロキからは少し視界の悪い位置になる。説明しながらソードの肩に手を乗せ親指ですりすりと肩を撫でる。

「次のを」

と言い、目の前にある瓶をソードが取ろうとしたら「それより、こちらのを」と肩に置いていた手を伸ばして取った。ソードはルーベンの体にすっぽり隠れる形になった。説明する振りを混ぜながらルーベンが囁くように話しかけてきた。

「私との時間はとれそうかな?」
「今ではないんですか?」
「今は研究室だ」
「そうですか」
「この後食事でも」
「食事なら構いませんよ」
「では、食事を」

ソードの手をゆっくりなぞり肩から腰に手が回ろうとしたその時、後ろから低い声がした。

「何してんだよ」

ルーベンはドキッとして手を引っ込めた。
レイがすぐに自分の元にソードを引き寄せた。

「魔獣の説明だよ。それとこの後二人で食事に行く約束をした」

「あ?ダメに決まってるだろ。何でそんな約束すんだよ」

「レイ、食事だけだ」

「じゃあ、俺達も行く」

「二人でゆっくり話しをしたい」

「ね、ソード君?」

「はい」

優しく笑いながらソードの顔をみた。レイはすぐに自分の後ろに隠して見えないようにした。

「だから、ダメに決まってるだろ」

「レイ、わかってないな。ロキ君もいるだろ、二人が別行動をしたらどっちに行くんだ?今も一人だろ」

レイから離れた場所にいるロキに目を配りルーベンは薄く微笑みかける。

ロキをずっと見てればソードを見れない。ソードを見ればロキが見れない。ソードが言った言葉がよぎる「お前は全力でロキを守れ」

クソ、結局こうなるのか。

「ロキといる」

「なら、ソード君と私は食事を。ちゃんと返すよ」

 ルーベンはソードの手をとり勝ち誇ったかのように連れていった。出ていくソードはニヤリとレイを見て笑った。まるで、よくやったという顔だった。レイは訝しげな顔で二人を見送った。

「レイさん…追いかけますか?」

「いや、逆にソードが危なくなる。部屋にもどるぞ。それに、何か策があるみたいだった」

二人は部屋に戻って時間を潰していると2時間ほどしたら戻ってきた。
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