夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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第二部

3


 情報収集はそこそこに切り上げ討伐も受ける事なく街を出た。そして、久しぶりにダンケルを目指す。レイとソードにとって実に3年以上が経っていた。

「レイさんとソードが出会った場所!」
「何でロキがワクワクしてるんだ?」
「二人が出会った場所ですよ!」
「ただのお菓子屋の前だよ普通に」
「えー」

 レイよりもロキが乗り気なのは意外と恋愛気質なんだなとソードは思った。

 最後にセドリックと別れた丘が見えてきた。丘の象徴でもある大木には数人の冒険者が待ち合わせをしていてレイは懐かしく感じた。

 年月は過ぎたが変わらない街並みはレイを安心させた。見たことないお店が所々に入ってはいたがそれでもやはり住んでいた街は懐かしく感じ、久しぶりに街中を堪能すべく中心地に宿をとり荷物を置いて外に出掛けた。レイがロキに街を案内しながらまずは依頼所へ向かう。

レイは行き交う人達に声をかけられていた。

「凄い人気ですねレイさん」

「レイ有名だったらしい」

自分で言いながらソードはハッと思い出しフードをそっと被った。

「フード被るの?」
「被る」

「何で?」

「なんとなく…ロキ、レイにお茶してくるって言っといて。後よろしく」

「うん?わかった」

 3年前の話だが自分が道端で堂々と公開処刑のチューをされたのを思い出した。レイといて掘り返されたらたまったものじゃないと一人でお茶をしに行ったのだった。
 あの騒ぎで街を出る時にソード探しが始まって運良く見つからず逃げきれたがレイと一緒にいれば気がつかれてもおかしくないと思いソードは逃げた。

「ロキ、ソードは?」
「何かお茶してくるって」

「そっか、ロキ紹介するよ」

レイは知り合いを次々に紹介していった。

「レイさん有名なんですね」
「あ…まーいろんな意味で」

「凄いですね」

 探し人と公開チューをして有名になったので知らない人はいないぐらいだった。それは3年たった今でも変わらなかった。

 通りすぎにレイに手を振る人達。そしてたまにヤジも混ざった。

「探し人にフラれたか?」

「……。」

「熱いチューの相手どーしたんだよ」

「……。」

「浮気して出戻りか?」

「……。」

「レイ、相手いないならいつでも~」

レイがイライラし始める。
ロキはチラリとレイを見た。

「レイさん…ここで何を…」

「クソ、どいつもこいつも好き放題言いやがって。ロキ、早くセドリック探すぞ」

 ロキは道行く人の行動を見てレイがここで何かやらかした事だけはわかった。

「セドリックさんは何処にいるんですか?」

「今日は討伐でてないって聞いたから多分、武器屋探せばいるかな」

「そうなんですね」

「因みにこの先に武器屋あるけどその向かいのお店でソードと会った」

「へぇー!」

「何か人だかりできてますね。そんな人気なんですか?」

「いや、まぁ人気だったがこんなには…」

□□□

 あ~久しぶりにあの店のお菓子も買いたいな。レイもいない事だし後で買いに行こう~

 ソードはというと見バレしていないのでレイといなければのんびりお茶が出来ると思いお店に入っていた。

お茶をのみ終えお菓子屋に向かった。

 前ほどではないが数人ならんでいた最後尾に並んだ。お菓子を買い終え満足したその時。凄い勢いで走って来た男がソード目掛けて抱きついてきた。

「うわ!!」

お菓子を落とさないようにかかえ、腰の辺りに抱きついて…いや、泣きついてきた男を見た。

「ソード!!会いたかった~!」

「セドリック!?」

「ソード~!!」

泣きつく大きな男に皆が注目する。

「おい!離れろ!!」
「嫌だ~離さない!」
「皆が見てる!やめろ!」
「嫌だ~行かないでくれ~」
「誤解される!落ち着け!」

少しずつ人だかりが出来る。
ソードが慌ててると名前を呼ぶ声が聞こえた。

「「ソード!?」」

「レイ、何とかしろ!」

 声のする方向を見ると二人が見えて助けを求めた。ソードに抱きついている男を見てロキは剣を振ろうと構えたが次の瞬間レイが呼んだ。

「セドリック?」

「レイ~久しぶり~!!」

 ロキはその名前を聞いてピタリと動きを止めた。剣をしまいソードにくっついたままのセドリックの手を外させソードを引き寄せた。今度はレイに泣きつき更に注目の的に。4人はとりあえずその場から逃げるように移動した。

 お店から離れた一行はセドリックに話を聞く。落ち着いた様で紹介もそこそこにレイが話しを聞き出した。

「で、何でソードに泣きついてたんだ?」

「聞いてくれ~あれから何度か討伐に行ったんだけどよ、ちょっと前に魔の森の依頼があって受けたんだよ。したらよ、今まで見た事の無い魔獣がでて。そいつがめちゃくちゃ強くてよ…必死で逃げたが追い付かれてさ。もう駄目だって思った時にとっさにソードの剣思い出して振ったら怯んでよ。その間に命からがら逃げれたんだよ。あれ無かったら死んでた」

「そうだったのか」

「だから、ソード見た時に女神に見えてよ。本物がまさかいると思わないから抱きついて確かめた」

「「「……。」」」

「あーそうか…まぁ、生きてて良かったよ」

「てか、お前ら久しぶりだけどどうしたんだ?」

「今、この三人で組んでる。ちょっと近くに行く予定があったからどうせならって寄った。で、お前探してたんだけどすぐ見つかって良かった」

「そうか、元気そうでなにより。ソードも久しぶりに会えて嬉しい」

「ん、久しぶり~」

 相変わらずなセドリックで二人は懐かしくも安心した。話が分かり久しぶりの再開を改めて喜んだ。

ソードがセドリックに話しかける。

「セドリック、お前が見た魔獣どこでどんなやつだった?」

「そうだな~グリーンセル近くかな。第1深層後半ぐらいか?一体だけど足が早くて髪が肩ぐらいあるやつかな。腐った緑色みたいなやつで、俺の2倍ぐらいのデカさだからそんなにはでかくないかもだが」

「そうか…その討伐依頼はどこから?」

「ここで受けたやつだ。まぁ、依頼どころじゃなくなって破棄したが」

「そうか、暫くカウロックからでてる魔の森の討伐依頼は受けない方がいい。森に異変が起きてるから、いつもより強い奴に遭遇する可能性がある」

「そうか…わかった。と言いたいが実はお前らに見せたいものがある」

「「「???」」」

「丁度よかった、ついてきてくれ」

三人を連れて行き一軒の店の前に着いた。
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