夜の冒険者は牙をむく

かぷか

文字の大きさ
89 / 130

89 ご招待 ②

□□□〈レオ〉

 ソード達が来てるか確かめに行く。王子の命令とは言え監視してるみてぇで気分は良くないな。

あいつら元々仲が悪いしな。まぁ、勝手にレグが酷い扱いするから当然ソードも嫌になるんだけど。ソードはソードで媚びないからな~。

俺は全然いいやつだと思うんだけど、やっぱり目付きか?確かに目付き悪いがそこまで酷いとは思わないがな。んー何か見透かされてる気分にはなるけど…馴れない奴にはダメなのかね。ソード見た目で嫌いになるやつは裏で何かしてるのかもな。

今回は王子妃との手合わせだが俺が責任もってやらねぇとな。まさか、レグが手合わせ了承するとは思わなかったな…

面倒な事頼んだからソードは怒ってそうだな…悪いとは思うが本来の目的はもう一つある。あいつはあの人を見てどう思うか…会わせたい。正直、城生活はウンザリだがあの人の為にも辞めるわけにはいかない。

 ふっ、相変わらず三人仲良く歩いてるな。結婚してんだもんな~

「よう、三兄弟」

□□□

 よく晴れた朝、手合わせ当日。ソード達はカウロに乗り城に向かっていた。

昨日まで憂鬱と言っていたソードが今日は一切言わず朝も自分で起きて準備を整えていた。ソードは城に行く前に二人に話をしていた。

「あくまでも相手はこの国の王子って事でお前らもよろしく」

「「わかった」」

「絶対に王子妃と王子に剣、向けるなよ」

「「わかった」」

「ならいい」

「気づいてると思うが、王子妃はこれから会うのが本命だ。国民が見てるのはただの飾りの妃だ」

「「……。」」

「俺らの学校では有名だったけど、二個下のやつでベタ惚れだ。口外する奴は1人もいない。だせば家がなくなるからな。お前らは驚いたりはしないと思うが一応な、どう紹介するか知らんが絶対そいつに話しかけるな」

「「わかった」」

「よし、行くか」

「「うん」」

 城の大きな門の前に着き検問を受ける。中に入り塀沿いをカウロで移動し、左右別れる道を左に行き更に門の前に着いた。正門は大きな行事や公務の時にしか開けられる事はないので幾つかある門の一つから入る事になる。ピタリと止まる、カウロはどうやらここまでらしい。

降りて再び検問を受けるとその奥にはレオの姿が見えていた。

「よう、今日はよろしく頼むな」

「あぁ」

「珍しい、素直に返事なんて。怒らないのか?」

「チッ、これ貸しだからな!どーせお前が口滑らしたんだろ!」

「あ、バレたか。すまん!」

「いいよ」

「俺が責任もってやるから、手合わせしてやってくれ」

「はぁ…手合わせね…わかったよ」

 やっぱりレオは知らないな。
 俺だけ狙ってくれるならその方がありがたい。

広い道を歩きながら会話をした。

「レイ、ロキ、久しぶり!元気だったか?」

「久しぶりです!変わりないです」
「久しぶり~俺も」

「にしちゃあ、二人とも相当強くなってるな」

「そうですか?」
「ソードといるから全然わかんない」

「ははは、冒険者は楽しいか?」

「「楽しい!」」

「ならよかった」

そんな話をしながら建物に入り石段をかつかつ降りて行く。

「ソード、終わったらさっきの検問で待ってろ」
「ん」

 聞こえるか聞こえないかの声で素早くレオが話した。石階段を降りた先には護衛が入り口に二人、奥の扉に二人いた。王子を守る必要最低限の人数。
 声の響くの広い剣術場は天井にも高さがあり剣を振るうには十分だった。上の方には光を取り入れる窓が幾つかある。

 場の中央にレオが三人を案内する。ソードはそこで足を止め一歩後ろの右にロキ左にレイが立った。レオはソードの数歩先の斜め前に立ち王子達を待った。

 楽しそうな話し声が徐々に近づきレオが合図し立て膝を着くよう座ってみせた。三人もすぐに同じ姿勢をとり頭を下げる。

門兵により扉が開けられ前後に4人護衛を引き連れこの国の王子と妃が入ってきた。空気が一瞬にして緊張する。

扉から観覧場まで絨毯が敷かれた先に豪華な椅子が一脚置いてある。王子がどかっと椅子に座りその上に王子妃を抱き乗せた。

「レグ!恥ずかしいんだけど!」

「いつもリヒトの位置だろ~」

「そうだけど…俺、今日手合わせにきてるし。気合い入れてるんだけど!」

「じゃあ、気合い入れてやる」

そういい二人はキスをした。

「やめてよね!」

 怒りながら嬉しそうにして膝の上から降りた。誰も顔を上げる事も話す事もなく頭を下げたままでいる。リヒトがレオに話しかけた。

「レオさん、この方が手合わせしてくれる人?」

「はい」

「へぇーレグとレオさんの同級生にそんな強い人居たの知らなかったな」

「俺も。同級生に強いやつがいるなんてな~リヒトと同じぐらい強いらしいがな。お前もたまにはレオ以外の奴と思って連れてきた」

「何してる人?」
「冒険者をしている者です」
「へぇー楽しそうだね!」
「レオ、お前が声かけろ」

レオが頷く。

「ソード、挨拶を」

「この度はお招き頂き誠に光栄です。また、私を過大評価していただき喜びの極み。その評価に恥じぬよう本日は全力を持ちまして手合わせいたします。ソード=クラークス」

「ん、そんな名前だったか。まぁいい。後ろ」

レオが対応する。

「王子より向かって右にレイ=クラークス、左、ロキ=クラークス。共にソードと組む冒険者になります。本日はこの二人も手合わせの観戦をさせたく私が招待しました」

「あ~そんな事言ってたな…」

 三人同じ家名?

クラークス…あいつの家名は確かクラークスじゃない。どちらかに入ったのか。見た目からしてレイとか言う方だな。

「おい、レイの父親の名前は?」

 一国の王子、自分の利用できる物に関しての洞察力と勘は鋭い。レオがすぐ答える。

「ルーベンです」

 ルーベン…

ルーベン=マグノリア=クラークスか…ははは。
あのウェザーお抱えの邪教の息子か?

これは面白い。あいつは邪教の養子にでもなったか。経緯はわからんが大出世だな。息子の顔を見とくのもありだな。

「レイ、顔を上げろ」

「はい」

レグはレイに顔を上げさせた。すると言ってはいけない言葉を王子妃が言ってしまった。

「うわ、すごい格好いい~」
「あ゛?」

その低い声にすぐレオがレイに合図して顔を下げさせた。

「いや、レグには全然かなわないけど!!」

「リヒト…わかってるのか?」

「レグ~怒らないでよ!!レグのが格好いいってば!!」

機嫌が一気に悪くなるレグを見てレオがすかさず言った。

「リヒト様、証明を」

「えー!!」

リヒトは手合わせが無くなるのが嫌で素直に従いレグルスの膝に戻り唇を重ね濃厚なキスをして甘えた。

「ん、レグ、ダメ?俺、手合わせ楽しみにしてるんだけど…ちゅ」

「はぁ…終わったら覚えとけ」

「うん、レグ大好き」

キスをするとあっという間に機嫌は治り、リヒトの気が散らないようすぐに手合わせを促した。

「レオ、お前が合図をしろ。決着はどちらかが降参と言うまでだ」

「はい」

リヒトはレグから離れ手合わせ用の剣をとり軽く振り始める。ソードはマントを外し同じく剣を取る。レイとロキは壁側に立ち始まるのを待った。

 王子の右側にリヒト左側にソードが立つ。場の真ん中にレオが立ち審判をする。剣をお互い前に差し出し合図を待つ。

「始め!」

キン!と剣音が鳴り響き手合わせが始まった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】エデンの住処

社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。 それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。 ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。 『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。 「兄さん、僕のオメガになって」 由利とYURI、義兄と義弟。 重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は―― 執着系義弟α×不憫系義兄α 義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか? ◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。