夜の冒険者は牙をむく

かぷか

文字の大きさ
115 / 130
第三部 最終

1 

 
 約束は近い


「レオ、ノク準備はいい?」

「「いつでも」」

 年に一度、5ヶ国で報告議会が行われる。参加国はヒューズ、ウェザー、カウロック、ヴィゴラ、グリーンセル。

この議会にはその国の王子、王女が政治に参加義務が認められる年に御披露目が行われ各国に紹介される。

 ヒューズ国の王子となる私はその資格があり今回お披露目参加となった。

絶好の機会だ。
挨拶をして自分を売り込む。

「では、ヒューズ国王子、挨拶を」

「はい、この度はこのような機会を頂き誠にありがとうございます。私はまもなく成人します。それに伴いヒューズ国を出て新たな国を作りました」

周りからはどよめきが起こる。
ヒューズのマントを脱ぎ捨て隣にいる側近から新たなマントを受け取り羽織るとその場で立ち上がり宣言した。

「本日、ここに中立国『アビサル』の建国を宣言致します」

何が起こったかと皆が呆気にとられていると、カウロックの王が反応する。

「中立国とは何か」

「はい、我々の国は一切の戦いを放棄し中立で有ることを誓います。領土戦や兵士同士の戦いを行いません。ただ、攻めいられましては反撃を致します」

「なるほど」

「中立国の詳しい規定を作りましたので資料をお渡しします」

資料を配り目を通す。

「それは、我が国も参加できるのか?」

「勿論です。戦いに時間を裂く必要はございません。何故なら戦わないのですから」

「でわ、我が国カウロックも中立国宣言をさせていただく。一切の戦いから身を引かせてもらう」

「同じくグリーンセルも中立国にさせてもらいたい」

「まずは資料をお読みください。それを理解し戦いを放棄していただければ構いません」

「シルバ、お前は何を言っている。茶番なら時間の無駄だ。すぐやめろ」

「いいえ、ヒューズ国のレグルス王。私はただ今より我が国『アビサル』のシルバとなりました。国を作るための書類や手続きは全て終わっています」

カウロックから拍手がされた。
続いてグリーンセル、ウェザーが拍手をした。

「素晴らしい、新しい国が出来た。皆で祝おうではないか」

だんだんと雰囲気が変わる。

「いい加減にしろ!」

「では、多数決でもとりますか?戦いは好みません。我が国を認めていただける国は挙手を示していただけないでしょうか?」

カウロック、グリーンセル、ウェザーが挙げる。
ヴィゴラは状況がわからず手を挙げないがそれではヒューズと同調と見なされる。今までの戦いで抗ってきた国と同調などできず、反発を込めゆっくり手を挙げた。

「では、多数決できまりました。よろしいですよね」

「そんな国は潰してやる」

「おやおや、ヒューズ国は中立国を否定するのですか?戦いは好みませんが国を潰すならこ4ヶ国が一斉に攻撃しても構わないと宣戦布告されるのですね」

「馬鹿馬鹿しい」

「カウロックはアビサルと共に中立国を目指す。意義はない」

「こんな議会は無効だ!レオナルド説明しろ!」

「うちの国のレオナルドを勝手に仕様人にしないでいただきたい。彼は私の側近で強いてはアビサルの副司令官、許可なく話すことは謹んでいただきたい」

「シルバお前はヒューズ国の王子にならないという事か」

「なりません」

「……。」

議会は終了し他の国の前で顔にどろを塗られレグルスは席を立ち出ていった。新たな国の発表に各国がその話題で持ちきりになった。しかもヒューズの王子となる人物が国を離れ独立国を作ったので驚かないわけが無かった。


「アヤ…面白い事が起こったな。前から話しは聞いていたがこんなにも愉快な事はない。見たか、ヒューズ王の顔。ざまぁなかったな」

「はい、先月元ヒューズ王の退任式は行われておりますのでレグルス王になって初めての公の場にこれはなんとも……面白いですね」

「10年待ったかいはあるな。こうでなければ。で退任した王は隠居生活か?」

「先月、退任してすぐ城をでたそうです。その後はわかりません。噂では全てを捨て名も顔も変え行方知れずとか」

「そうか…まぁ好きにすればいいさ。10年平和を約束したんだ。この後は好きにさせてもらう予定だったがまさかカウロックがやる前に自分の息子に噛まれるとはな」

「はい」

□□□


「なぁ、知ってたか?」

「知らん。そんな話しはしなかったからな~」

「でも、ずっとシルバ君見てたんでしょ?」

「まぁ~そうだけど。それとこれとは別じゃないか?国を作るなんてシルバはスゲーな。場所なら多分わかるぞ」

「どこ?」

「昔、カウロックの西にあった沼地と魔の森が近くにあってヒューズが放置してた所があるだろ?あそこだろうな」

「え、あんな所か?」

「まぁ、縦長の土地で使いにくいが攻め込まれはしない。それだけ相手にも不利な場所だ、多分そこ。覗きに行ってみるか?」

「「いく!」」


 湿地地帯を抜けカウロックとの国境を見渡すと新しく建物が幾つか建設されていた。人目につきにくくそこに住む者しか知らないような場所だった。そんな地に一夜にして出来たと目を疑いたくなるぐらい突然現れた建物。

「すごいな…立派な国ができてる」

「街みたいなのも着々とできてますね。少し造りが変わってます」

「そうだな~検問もあるからあそこからか?」

二ヶ所検問があるが一ヶ所は固く閉じられていた。もう一ヶ所は冒険者達が並んでいる。

「次!」

検問に着きプレートをかざす。プレートを見るなりすぐに呼び止められた。その間も冒険者が続々と入ってきていた。

「珍しいな、こんなに冒険者が集まるなんて」

「そうですね、カウロックも凄いですがなんと言うか種類が違うと言うか」

「そうだな~まぁわからんでもないが」

小さな国ではあるが設備など最低限揃っているように見え、中央に建つは王の城だろうかあまり大きくはないが立派な建物だった。

「初めまして、クラークス家の皆様」

背の高いすらりとした若い男が挨拶をした。こちらへと案内され城の中に足を踏み入れた。奥の廊下から見慣れた男がやってくる。

「なんだ、もう来たのか?改めて呼ぶはずだったのに」

「まー建てるならここかなと思ったら当たっただけ」

「相変わらずだな、まぁ忙しいが少しなら案内できる。見てくか?」

「いや、忙しいなら自分たちで適当に回る」

「わかった。ジープ、こいつらの案内は任せた。じゃあ悪いがソードまたな」

「おう」

階段をかけていった。

「レオさん忙しそうでしたね」

「まぁ、特に今は。だろうな」

「クラークス家の皆様ご案内します」

三人は案内されるままついていった。国はまだ出来立てといった感じだが市民のまとまりはあるように思えた。
討伐依頼所の奥にお店がつらなっていて広場がありまっすぐ進むと城を左右に学校や住まいがあった。小さいな子供をよくみかける。

「シルバ様からよく聞いておりまして多大なるお力添えをしていただいたとか」

「いや、お菓子食べて遊んでただけ」

「ふふふ、そうですか。アビサルはいかがですか?」

「いいと思う。まだいろいろやらないといけないけどな。と言うか店のヤツはほとんど元冒険者か?」

「そうです」

「なるほど、面白い国だな」

「「へぇ~」」

「あ、お菓子食べていい?」

「はい、あそこが有名です」

指を指すと何人か並んでいた。ソード達も並ぶと目の前には見たことのある男が。

「「「セドリック!!」」」

「お前ら!会いたかった~!!」

ソードに抱きつこうとしたセドリックをレイが制止し話しかける。

「何でここに?ダンケルにいただろ?」

「遠方販売やりだしたらアビサルまで来てよ。そしたら昔の仲間に出会ってよ~暫くいるはずが楽しくなってここに住んでる」

「「「へぇ~」」」

昔ソードが提案したお菓子がアレンジされでてきた。パクパク食べているとジープの所に人が小走りにやってきた。どうやら問題事らしい。話し終わるとソード達もきて欲しいとジープに誘われた。

広い四角い建物が何軒かあり、まるでウェザーの研究施設を思わせる形だった。1つの建物に入ると20人ほど中で待っていた。

「それではお願いします」

ジープが声をかけると一斉に何やら造り始めた。小さい子から年配の人まで年齢はバラバラ。この人達は元冒険者ではなさそうだ。

「ソード様、今技術者の面接を行ってまして。すみませんが付き合っていただけないでしょうか?」

「ん、俺でいいならいいよ」

「是非お願いします」

試験官らしき人が2人いてずっと見ていた。ソード達も合わせ6人で見ることにした。技術や人手が足りなく毎日面接が行われながらその横で建物が新しく建てられている。

今は技術職を何人か手にいれようと必死だが面接するもなかなか良い人が現れないと悩んでいるとの事。困り果てて今回はジープに頼みにきた。

「いかがですか?」

「4人かな、あとは話さないとまだわからない」

技術者が作る防具や作品を見て一番初めに面接をしたのは10歳の男の子だった。椅子に腰かけさせ名前と何の技術かを聞いているのだが、ソードには関係なかった。

「ねぇねぇ、君さ兄弟や友達いる?」

「はい、3人下にいます。友達も数人います」

「君みたいにこれ作れる子は?」

「2.3人。ですが僕が一番上手いです」

「へぇ~じゃあ、皆連れてきなよ。10人ぐらいいる?」

「え…兄弟と友達で8人いますけど」

「え、ちょっとソード様?」

「でも……身体が…」

「全然いい、連れてきなよ。1つだけ約束してくれれば」

「はい…」

「蔑んだり人を恨んだりしないなら連れてきていい」

「あ、大丈夫だと思います」

「なら、決まりだな。君は学生だから学校終わってからか始まる前に来てよ。おめでとう、給料出るから兄弟食べさせてあげれるよ」

「本当!?」

「ああ、頑張って」

「じゃあ、詳しくはその人がしてくれるから」

「はい!」

こんな感じでどんどん面接が終わり受かったのは初めに言っていた4人になった。4人はすぐに手続きをして来週からくることに。

「すぐ欲しいならその場で決めないと。それにあの子供は大収穫だったな」

「というと?」

「あの子供が作る物みたか?」

「勿論です。子供用の防具のような物でちょっと変わってる気がします」

「そう見えるがあれは義足や義手の一部だ。領土戦の被害者が周りに多くいるんだろ。意を決してここに来たんだよ。兄弟や友達の中に一部を失った子がいて自分が作ってたんだろ。上手く工夫されていた。教えれば優秀な技術者になるしその友達もできると言っていた。数年後の技術者不足も解消できるな」

「そう…ですか」

「面接するまでも無かったが一応な。兄弟や友達がいるなら連れてきたらいいと思って」

「そうですね」

「ま、俺の国じゃないからシルバに叱られるのはジープだけどな」

「あはは、シルバ様は叱りませんよ。ありがとうございました。今日はゆっくりしてください」

「いや、また来るよ。覗いただけだから。レイ、ロキ、帰るぞ」

「「了解」」

 そう言ってクラークス家の皆様は帰ってしまわれた。シルバ様のいう通りだった。ソード様と会うだけで自分の視野の狭さと想像力の無さを痛感する。面接の報告をして今後のやり方を修正せねば。
 レオ様とは別の何かを感じる、レイ様とロキ様も優しそうだが強さがひりひり伝わる。間違いなくアビサルの中でも三人に敵うものはいない。

□□□

「ソード、絶対あの子選ぶと思った!」
「な、俺も思った」
「うん、あの子一択でもいいけどそれなりも必要だしね。レイさんは?」
「ソード選んだ中に入ってた。女の人」
「わかる、妥当な4人だったね」
「そうだな、てかセドリックいたな」
「「いた!」」

「普通にお菓子屋だったな。アイツ武器屋どうしたんだ?」

「「確かに」」 

こうして新しくできたアビサルを肌で感じてきたのだった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】エデンの住処

社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。 それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。 ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。 『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。 「兄さん、僕のオメガになって」 由利とYURI、義兄と義弟。 重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は―― 執着系義弟α×不憫系義兄α 義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか? ◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。