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第三部 最終
1
約束は近い
「レオ、ノク準備はいい?」
「「いつでも」」
年に一度、5ヶ国で報告議会が行われる。参加国はヒューズ、ウェザー、カウロック、ヴィゴラ、グリーンセル。
この議会にはその国の王子、王女が政治に参加義務が認められる年に御披露目が行われ各国に紹介される。
ヒューズ国の王子となる私はその資格があり今回お披露目参加となった。
絶好の機会だ。
挨拶をして自分を売り込む。
「では、ヒューズ国王子、挨拶を」
「はい、この度はこのような機会を頂き誠にありがとうございます。私はまもなく成人します。それに伴いヒューズ国を出て新たな国を作りました」
周りからはどよめきが起こる。
ヒューズのマントを脱ぎ捨て隣にいる側近から新たなマントを受け取り羽織るとその場で立ち上がり宣言した。
「本日、ここに中立国『アビサル』の建国を宣言致します」
何が起こったかと皆が呆気にとられていると、カウロックの王が反応する。
「中立国とは何か」
「はい、我々の国は一切の戦いを放棄し中立で有ることを誓います。領土戦や兵士同士の戦いを行いません。ただ、攻めいられましては反撃を致します」
「なるほど」
「中立国の詳しい規定を作りましたので資料をお渡しします」
資料を配り目を通す。
「それは、我が国も参加できるのか?」
「勿論です。戦いに時間を裂く必要はございません。何故なら戦わないのですから」
「でわ、我が国カウロックも中立国宣言をさせていただく。一切の戦いから身を引かせてもらう」
「同じくグリーンセルも中立国にさせてもらいたい」
「まずは資料をお読みください。それを理解し戦いを放棄していただければ構いません」
「シルバ、お前は何を言っている。茶番なら時間の無駄だ。すぐやめろ」
「いいえ、ヒューズ国のレグルス王。私はただ今より我が国『アビサル』のシルバとなりました。国を作るための書類や手続きは全て終わっています」
カウロックから拍手がされた。
続いてグリーンセル、ウェザーが拍手をした。
「素晴らしい、新しい国が出来た。皆で祝おうではないか」
だんだんと雰囲気が変わる。
「いい加減にしろ!」
「では、多数決でもとりますか?戦いは好みません。我が国を認めていただける国は挙手を示していただけないでしょうか?」
カウロック、グリーンセル、ウェザーが挙げる。
ヴィゴラは状況がわからず手を挙げないがそれではヒューズと同調と見なされる。今までの戦いで抗ってきた国と同調などできず、反発を込めゆっくり手を挙げた。
「では、多数決できまりました。よろしいですよね」
「そんな国は潰してやる」
「おやおや、ヒューズ国は中立国を否定するのですか?戦いは好みませんが国を潰すならこ4ヶ国が一斉に攻撃しても構わないと宣戦布告されるのですね」
「馬鹿馬鹿しい」
「カウロックはアビサルと共に中立国を目指す。意義はない」
「こんな議会は無効だ!レオナルド説明しろ!」
「うちの国のレオナルドを勝手に仕様人にしないでいただきたい。彼は私の側近で強いてはアビサルの副司令官、許可なく話すことは謹んでいただきたい」
「シルバお前はヒューズ国の王子にならないという事か」
「なりません」
「……。」
議会は終了し他の国の前で顔にどろを塗られレグルスは席を立ち出ていった。新たな国の発表に各国がその話題で持ちきりになった。しかもヒューズの王子となる人物が国を離れ独立国を作ったので驚かないわけが無かった。
「アヤ…面白い事が起こったな。前から話しは聞いていたがこんなにも愉快な事はない。見たか、ヒューズ王の顔。ざまぁなかったな」
「はい、先月元ヒューズ王の退任式は行われておりますのでレグルス王になって初めての公の場にこれはなんとも……面白いですね」
「10年待ったかいはあるな。こうでなければ。で退任した王は隠居生活か?」
「先月、退任してすぐ城をでたそうです。その後はわかりません。噂では全てを捨て名も顔も変え行方知れずとか」
「そうか…まぁ好きにすればいいさ。10年平和を約束したんだ。この後は好きにさせてもらう予定だったがまさかカウロックがやる前に自分の息子に噛まれるとはな」
「はい」
□□□
「なぁ、知ってたか?」
「知らん。そんな話しはしなかったからな~」
「でも、ずっとシルバ君見てたんでしょ?」
「まぁ~そうだけど。それとこれとは別じゃないか?国を作るなんてシルバはスゲーな。場所なら多分わかるぞ」
「どこ?」
「昔、カウロックの西にあった沼地と魔の森が近くにあってヒューズが放置してた所があるだろ?あそこだろうな」
「え、あんな所か?」
「まぁ、縦長の土地で使いにくいが攻め込まれはしない。それだけ相手にも不利な場所だ、多分そこ。覗きに行ってみるか?」
「「いく!」」
湿地地帯を抜けカウロックとの国境を見渡すと新しく建物が幾つか建設されていた。人目につきにくくそこに住む者しか知らないような場所だった。そんな地に一夜にして出来たと目を疑いたくなるぐらい突然現れた建物。
「すごいな…立派な国ができてる」
「街みたいなのも着々とできてますね。少し造りが変わってます」
「そうだな~検問もあるからあそこからか?」
二ヶ所検問があるが一ヶ所は固く閉じられていた。もう一ヶ所は冒険者達が並んでいる。
「次!」
検問に着きプレートをかざす。プレートを見るなりすぐに呼び止められた。その間も冒険者が続々と入ってきていた。
「珍しいな、こんなに冒険者が集まるなんて」
「そうですね、カウロックも凄いですがなんと言うか種類が違うと言うか」
「そうだな~まぁわからんでもないが」
小さな国ではあるが設備など最低限揃っているように見え、中央に建つは王の城だろうかあまり大きくはないが立派な建物だった。
「初めまして、クラークス家の皆様」
背の高いすらりとした若い男が挨拶をした。こちらへと案内され城の中に足を踏み入れた。奥の廊下から見慣れた男がやってくる。
「なんだ、もう来たのか?改めて呼ぶはずだったのに」
「まー建てるならここかなと思ったら当たっただけ」
「相変わらずだな、まぁ忙しいが少しなら案内できる。見てくか?」
「いや、忙しいなら自分たちで適当に回る」
「わかった。ジープ、こいつらの案内は任せた。じゃあ悪いがソードまたな」
「おう」
階段をかけていった。
「レオさん忙しそうでしたね」
「まぁ、特に今は。だろうな」
「クラークス家の皆様ご案内します」
三人は案内されるままついていった。国はまだ出来立てといった感じだが市民のまとまりはあるように思えた。
討伐依頼所の奥にお店がつらなっていて広場がありまっすぐ進むと城を左右に学校や住まいがあった。小さいな子供をよくみかける。
「シルバ様からよく聞いておりまして多大なるお力添えをしていただいたとか」
「いや、お菓子食べて遊んでただけ」
「ふふふ、そうですか。アビサルはいかがですか?」
「いいと思う。まだいろいろやらないといけないけどな。と言うか店のヤツはほとんど元冒険者か?」
「そうです」
「なるほど、面白い国だな」
「「へぇ~」」
「あ、お菓子食べていい?」
「はい、あそこが有名です」
指を指すと何人か並んでいた。ソード達も並ぶと目の前には見たことのある男が。
「「「セドリック!!」」」
「お前ら!会いたかった~!!」
ソードに抱きつこうとしたセドリックをレイが制止し話しかける。
「何でここに?ダンケルにいただろ?」
「遠方販売やりだしたらアビサルまで来てよ。そしたら昔の仲間に出会ってよ~暫くいるはずが楽しくなってここに住んでる」
「「「へぇ~」」」
昔ソードが提案したお菓子がアレンジされでてきた。パクパク食べているとジープの所に人が小走りにやってきた。どうやら問題事らしい。話し終わるとソード達もきて欲しいとジープに誘われた。
広い四角い建物が何軒かあり、まるでウェザーの研究施設を思わせる形だった。1つの建物に入ると20人ほど中で待っていた。
「それではお願いします」
ジープが声をかけると一斉に何やら造り始めた。小さい子から年配の人まで年齢はバラバラ。この人達は元冒険者ではなさそうだ。
「ソード様、今技術者の面接を行ってまして。すみませんが付き合っていただけないでしょうか?」
「ん、俺でいいならいいよ」
「是非お願いします」
試験官らしき人が2人いてずっと見ていた。ソード達も合わせ6人で見ることにした。技術や人手が足りなく毎日面接が行われながらその横で建物が新しく建てられている。
今は技術職を何人か手にいれようと必死だが面接するもなかなか良い人が現れないと悩んでいるとの事。困り果てて今回はジープに頼みにきた。
「いかがですか?」
「4人かな、あとは話さないとまだわからない」
技術者が作る防具や作品を見て一番初めに面接をしたのは10歳の男の子だった。椅子に腰かけさせ名前と何の技術かを聞いているのだが、ソードには関係なかった。
「ねぇねぇ、君さ兄弟や友達いる?」
「はい、3人下にいます。友達も数人います」
「君みたいにこれ作れる子は?」
「2.3人。ですが僕が一番上手いです」
「へぇ~じゃあ、皆連れてきなよ。10人ぐらいいる?」
「え…兄弟と友達で8人いますけど」
「え、ちょっとソード様?」
「でも……身体が…」
「全然いい、連れてきなよ。1つだけ約束してくれれば」
「はい…」
「蔑んだり人を恨んだりしないなら連れてきていい」
「あ、大丈夫だと思います」
「なら、決まりだな。君は学生だから学校終わってからか始まる前に来てよ。おめでとう、給料出るから兄弟食べさせてあげれるよ」
「本当!?」
「ああ、頑張って」
「じゃあ、詳しくはその人がしてくれるから」
「はい!」
こんな感じでどんどん面接が終わり受かったのは初めに言っていた4人になった。4人はすぐに手続きをして来週からくることに。
「すぐ欲しいならその場で決めないと。それにあの子供は大収穫だったな」
「というと?」
「あの子供が作る物みたか?」
「勿論です。子供用の防具のような物でちょっと変わってる気がします」
「そう見えるがあれは義足や義手の一部だ。領土戦の被害者が周りに多くいるんだろ。意を決してここに来たんだよ。兄弟や友達の中に一部を失った子がいて自分が作ってたんだろ。上手く工夫されていた。教えれば優秀な技術者になるしその友達もできると言っていた。数年後の技術者不足も解消できるな」
「そう…ですか」
「面接するまでも無かったが一応な。兄弟や友達がいるなら連れてきたらいいと思って」
「そうですね」
「ま、俺の国じゃないからシルバに叱られるのはジープだけどな」
「あはは、シルバ様は叱りませんよ。ありがとうございました。今日はゆっくりしてください」
「いや、また来るよ。覗いただけだから。レイ、ロキ、帰るぞ」
「「了解」」
そう言ってクラークス家の皆様は帰ってしまわれた。シルバ様のいう通りだった。ソード様と会うだけで自分の視野の狭さと想像力の無さを痛感する。面接の報告をして今後のやり方を修正せねば。
レオ様とは別の何かを感じる、レイ様とロキ様も優しそうだが強さがひりひり伝わる。間違いなくアビサルの中でも三人に敵うものはいない。
□□□
「ソード、絶対あの子選ぶと思った!」
「な、俺も思った」
「うん、あの子一択でもいいけどそれなりも必要だしね。レイさんは?」
「ソード選んだ中に入ってた。女の人」
「わかる、妥当な4人だったね」
「そうだな、てかセドリックいたな」
「「いた!」」
「普通にお菓子屋だったな。アイツ武器屋どうしたんだ?」
「「確かに」」
こうして新しくできたアビサルを肌で感じてきたのだった。
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