夜の冒険者は牙をむく

かぷか

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第三部 最終

10

ここまで来るには長かった気もするし短かった気もする。

小さい頃からずっと面倒を見てきたシルバは自分の子供の様な存在だった。

本当の父親からの愛情は全くなく俺はそれを埋めてやりたかった。俺には小さな子供を育てた事も親でもねぇから苦労したのを思い出す。周りに一人だけ頼れるやつがいた。あいつになら相談できると思って会わせた。

紹介してから13年。本当に良くしてくれた。俺だけじゃあそこまでは育てれなかった。

 シルバが誕生日に土地が欲しいと言った時は驚いた。何でか聞いたら好きな人の為だと言った。絶対あいつだなと確信はあったが絶対欲しいといって聞かなかった。シルバの母親に相談して上手く手を回してくれたおかげでその土地を得ることができた。全てはそこから始まった。

 一から始める街の建て直しは大変だったがやりがいがあり楽しくてすぐにのめり込んでいった。シルバは勉強熱心で考えては実行していくその行動力は大人顔負けだった。
急に突拍子のない大人びた発言をするのはソードの影響だとわかるが、それがうまくいくもんだからどっかで見てんじゃねぇかと思うぐらいだった。勘の良さはあいつに似たな。

 12歳ぐらいになるとシルバは大体の国の状況を把握していた。自分の立場も……。レグルスとリヒトを知ったのもこれぐらいだったか。

何も言わなかったがほっとけなかった。
俺が唯一ソードに強く言われたのもこの時だ。

「おいレオ、やめろ」

「何がだ?」

「お前のそれはシルバを駄目にする」

「あ?なんだよ」

「シルバとは対等になれ。お前のそれはシルバが望んでいない、いつか傷つく」

いつものようにしていたが駄目だと言われた。初めは何言ってるかわからなかった。俺がシルバにあれこれとしてやるとソードはそれを見て駄目だと言った。珍しく厳しい表情をしていた。

「レイ、ロキ、シルバと遊んできてくれ」

「「わかった~」」

「何だよ?」

「シルバがお前ありきになる。全てお前の為にしか動かなくなる。やめろ」

「どういう事だ?」

「お前こそ、シルバをどう思ってる。あいつが迷うからお前がハッキリさせろ」

「シルバは可愛い子供だが」

「なら、親として接しろ。それ以上は踏み込むな。いつまでも5歳じゃないぞ」

「な!?」

「覚悟を決めろ、シルバをどうする」

俺はそう言われハッとした。俺は確かにシルバが可愛い子供だと思っていたが、いつまで?実際にはレグルスの子だ。どこへ育てあげる?親ってなんだ?

レグルスのようにしたくない。漠然としただけの目標がもはや期限切れになっていた。具体的にシルバをどこへ導くか考えなければならない時がきていた。


後継者としてしっかりと?

なんだ、しっかりとって……。

結婚させて、跡を継がせ…

いずれヒューズの王に?

シルバは……ヒューズの王になるのを望んでるのか?

「ソード…わかならない」

「なら、お前はどうしたい」

「俺は…シルバの幸せを願う…」

「なら、そうしろ。それが全てだ。わかってるならさっさとしろ」

シルバの幸せ……そうか…そうだ。そうだった。

「あぁ、そうだった。ありがとよ」

「あと、お前は鈍感だ」

「は?」

「それはいい、俺もシルバの幸せを望む」

「あぁ」

それからシルバが何を望み何を思うか必死に考えた。シルバは新しい世界をつくりたがっていた。俺はそれを全力いや人生をかけて支える。シルバに一人も味方がいなくなっても守り抜く。

俺は親としてではなくシルバの人生の支えになる事に決めた。そう思った瞬間、シルバが妙に大人に見えたな。

挫けず何度も立ち上がるシルバは必死に国を作り上げた。ずっと横で見ていた俺はヒューズの王ではなくアビサルの王としてのシルバを望んだ。何故ならシルバもそれを望んだ事だからだ。

「レオ、やっとここまで来た!皆でこれた!」

「あぁ、シルバ」

「宣言もしてアビサルが誕生した」

抱きついて泣くシルバを俺も抱きしめた。あの嬉しそうな顔は忘れられない。俺も嬉しくてずっとこの時間が続けばと願っていた。

俺は…気がつけばシルバが好きになっていた。シルバが何度か俺に好きか聞いた時は昔の好きとは違うからせがまれると困った。

もし、シルバも俺と同じ気持ちならシルバと一緒になりたい。それに答えたいと思っていたが大事な時期だし王になったんだ。個人的な感情は捨てるべきだと思っていた。

だが…

あの夜…シルバは俺に何を言ようとしたんだ。

「俺が、成人したら…」


俺は責務を破って反旗をひるがえした。シルバを次期ヒューズ王として育て上げることがレグルスとの約束。シルバの気持ちは関係ない。そんな事はとっくに気がついていた。ソードに言われ腹をくくった後に俺は覚悟を決めてシルバに言ったんだ。


一緒に国を作ろう




「レオ?」

「あ、何だ?」

「考え事?」

「ああ、昔を思い出してた」

「そっか」

「なぁシルバ。今から出かけるが戻ってきたらあの夜、俺に言ようとした事を教えてくれ」

「わかった!!」

「じゃあ、ちょっと行ってくる」

「行ってらっしゃい!」

帰ったら一番にお前の元に行く

シルバの頭を撫でレオは城を後にした。
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