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第三部 最終
13 最終 ②
「ロキさん、ありがとうございます…」
「ううん、俺こそ取り乱してごめんなさい…」
「いいえ、レオの為に嬉しかったです。ロキさんはやっぱりレオの一番です。いつもレオから聞いてました」
「シルバ君、レオさんはシルバ君の事が大好きだよ。シルバ君に向けるレオさんの目はソードが俺に向ける目と同じだった。穏やかで優しいんだ、あの顔はシルバ君にしかしないよ。一番弟子が言うんだから間違いない」
「はい」
「レオさんとシルバ君が早く一緒になれる事をずっと願ってた。俺だけじゃないよ、皆が願ってた。今日は素晴らしい婚姻の日にしよう」
「はい」
二人は涙を流して肩を寄せた。
誰もが慌ただしくレオとシルバの準備にとりかかる為に部屋を出ていった。
静かになった部屋にはレイとソードだけになる。見計らった様に立ち上がり棺桶を見た。
「レイ、来い。どう思う?」
「ソード…時間が経ちすぎてる。無理だ」
「悪趣味な殺し方だがまだいける。特種魔術がかけてあるならすぐに解除して魔術を使え。無理でもせめて…暖かい体のままにしたい」
「わかった」
ゆっくりとレオの心臓に手を置き魔術を使い魔力を全身に流し込む。
レイは恐怖していた…ベルに教えてもらった魔術に。
沈黙が途切れる…
「レイ…」
「駄目だ」
「レイ…」
「駄目だやらない」
「頼む、レイ…」
「お前まで失いたくない」
眼鏡を外しレイのかざしている手の上にそっと自分の手を乗せレイを見た。
「やめろ、ソード。あれは使わない」
「だが、使い方を知ってる」
「……知ってるが使わねぇよ!」
「頼む…レイお願いだ」
「嫌だ…ソードに使いたくねぇ」
「レオを助けたい…あいつがいないとこの国はもたない。頼む」
「…………クソ」
「失敗したら…」
「わかってる」
「クソ……」
レイはソードの手を握り魔力を流した。手が暖かくなり自分に魔力があると全身で感じる。両目も焔目になってるのが見えないが自分でわかる。
「レイ、最後にこの目でお前が見れて良かったよ。最後までお前を見てもいいか」
「…っ」
ぐっと抱き寄せキスをした。
「やるぞ…使った事がないから上手くできるかわかんねぇから覚悟しろ。それと、最後なんかにしねぇ、絶対死なせないかならな」
「信じてる」
ソードの魔力をレイが魔術で引き出す。体の中から魔力が引っ張り出されレオの体に吸い込まれる。ゆっくりやっているはずだが激痛で顔をしかめる。
「ぐっ…」
手に力が入り強ばるのがわかりレイも強く握る。
心配するが大丈夫だから続けろと言われた。
「ぐあぁ…」
ソードが声を出して苦しみ始めた。片眼を強く押さえながら歯を食い縛る。レイの手は離す事はできない、そしてソードの手をレオから離れさせるわけにはいかない。強く握るがソードが痛みに耐え兼ね反射的に手を離そうとする。
「ソード!!」
「やれ!!」
「いいからやれ!!」
「クソ!」
両手を使い握りしめゆっくりゆっくり出来るだけ慎重に自分の魔術に集中した。
「いっ……う゛う゛」
「もう、これ以上は無理だ!できない!」
「や…れ、まだ…いける」
「俺の心が持たない!」
「レイ、あと少しだけだ。あと…少し」
「ソード……愛してる」
「ぅ…俺もだ」
「うあああぁぁ!!」
魔力の核が移動したのがわかりジュッっと音がして何かが消え焦げたような匂いがした。ソードはその場でくたりと力無く座り込んだ。
すぐに手を離し力強く抱きしめた。抱き返さないソードに不安がよぎる。
レイは肩を震わせていた。
「うっ…うっ…」
力無いが背中を優しく撫でられた。
「レイ…大丈夫だ…生きてる。ありがとう」
これ以上はできないと泣きながら言いいソードもそれを了承した。
立ち上がるソードをレイが支えようとしたが大丈夫だと言い眼鏡とフードをすると扉が開いた。できる限りの事はした…だが、レオの目が開く事はなかった。
ジープが駆け寄り準備が整った事を伝え、何人かの護衛を呼びレオを箱から出しアビサルの埋葬用の綺麗な箱に入れて数人でシルバの部屋に運んだ。
偵察に言っていたノクも合流し事の次第を知った。シルバの部屋にある大きなベッドにレオを運び寝かせる。左腕は斬られて無い。右手のみお腹の上に乗せた。
部屋にはシルバ、ジープ、ノク、運んでくれた護衛が数名にソードとレイとロキ。
レオの枕元にはシルバとソードが両隣にいる。これから行われる婚儀に誰も疑いや不思議に思う者はいない。皆が賛同した。
ソードが取り仕切る中、婚儀が始まる。
「只今よりアビサル王シルバとレオナルドの婚儀を行います。シルバは本日成人となり皆に祝福されレオナルドと結婚し生涯の伴侶として迎えます」
「はい」
「シルバ、何か書くものはあるか?名前を紙に刻もう」
「それならこれでもいいですか?」
シルバは机の引き出しから箱を取り出し鍵を開け中に入っていた紙を大事に取り出しソードに渡した。
「これは?」
「誕生日の時にレオに書いてもらったものです」
「素晴らしい。このまま使おう」
そこには、当時のシルバが書いたお手製の婚姻証明書だった。
「婚姻証明書 シルバは一生レオのものになります。レオは一生シルバのものです。シルバ、レオと書かれています。また、レオの本名で書かれておりますが家名はレオの名に入るでよろしいですか?」
「はい」
「では、シルバ。誓いの言葉を」
「私シルバはレオナルドを一生愛し続ける事を誓います」
ポケットから指輪を出した。
「レオは指輪なんてしないけど一緒にして欲しくて勝手に作ったんです。これを今日渡して結婚してもらう予定でした」
涙ぐむシルバが指輪を眺める。
「レオの指に」
シルバがレオの指にはめた。もう一つは自分で淋しそうにはめる。
「シルバ…レオの手を」
指をはわせて2つの指輪が綺麗に光る。
「誓いのキスを」
レオの顔に近づき優しく唇にキスをした。
「レオ、愛してる」
涙が止まらずレオの頬に落ちた。
返事は反ってこない。
泣きながらレオの胸に抱きついた。周りもその姿を見つめシルバの気のすむまでさせた。すすり泣く声も聞こえたが…
「ぅ…」
ベッドから声がする。シルバはレオの顔を見た。
「レオ…」
ピクリと手が動く
「レ…オ?」
その声に反応するようにレオの目がゆっくり開いた。驚いた顔のシルバが目に入る。
「シルバ?」
「あ…あ…ぁあ」
言葉にならなかった。
「レオ」
そう呼ぶもう一人の声のする方向を見るとフードを被ったソードが視界に入る。
「ソード?」
「よぅ、レオ。お前は今、この世で一番の心配をかけた。見ろシルバを、泣いている。俺としては可愛い可愛い息子のシルバにこんな思いをさせたお前が許せない。出来ればこの場でシルバに誓って欲しいんだが」
「あぁ、あ?」
「レオ、誓え。シルバに心配をかけず一生守ると誓え。護衛だろ?」
シルバを見ると目から涙がぽろぽろと落ちている。心配をかけたのは事実らしい。
「あーシルバ。もう心配かけねぇし、お前を一生守ると誓う。だがら、泣くな」
ニヤリとソードがした。
「では、二人が誓いをたてたが異義のある奴はいるか?」
「「「「「「異義なし!!」」」」」」
「は?」
「それではここに、シルバとレオナルドの婚姻を認める!」
「レオ~レオ~~!!うああぁぁぁぁん!」
シルバがレオに抱きつき泣きじゃくる。
「え、ちょ、婚姻てなんだ!!おい!」
「黙れレオ、お前は今日から王妃様だ!レイ、派手にやってくれ」
「了解!」
レイは魔術でこれでもかというほど綺麗な氷の粒を部屋にちりばめ祝福を盛り上げた。ロキもレオに抱きつき泣きじゃくる。
扉は解放され、夜中にも関わらず城からは盛大な歓喜の渦が巻き起こった。
ソードはベッドから離れレオに抱きつき泣いて喜ぶ皆の姿を壁にもたれながら見ていた。
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