夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

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インセット編 

11 真実 ②

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「アイズやっと見つけた」

「俺を追うなと言ったはずだ」

 俺はひたすらアイズを探した。必ず彼はこの近くに居ると確信があったしいずれどこかで会うだろうと。ただ、あの地下牢での待ち伏せは騒ぎが起きるとまずいと思い確実に会えるとわかっていたが避けていた。結局、昔隠れ家でよく使っていた森の小屋で会ったのだが人嫌いなアイズにお似合いの場所での再会だった。

「ハースの情報を聞きたい」

「…ハースの何だ?」

「アーサー王だ」

「アーサー王はあの戦いで焼き殺された」

「そうだ、殺された瞬間は知らなくとも死んだ確認はしているよな。詳しいを知りたい」

「……。」

 俺はアイズについて行った日からハースを調べていた。攻め込まれたあの日、俺はアイズに頼まれてできる限りハースの人達を逃がすべく情報を拡散していた。他の伝術士達も恐らく似たような事をしていたはずだ。

 今思えばあの場でアイズを一度も見ておらず足取りもわからなかった事にもっと早く気がつくべきだった。後日、報告会議でアイズが話した事を誰もが信じたんだと思っていたが…実際は皆も妙な気分だったに違いない。

ハースを滅ぼす事になり自分を責め責任を取ろうとしているアイズに何故だか俺も違和感が残った。剥奪が重い刑だと納得いかずアイズについていった俺だがあの時は、それとは別に今離れてしまえば一生会えないかもしれないとそんな感情も抱きながら動いた気がする。

 感じた違和感を後押しするように幾度となく伝術士につけられていた。何故俺をと思ったが簡単だ、アイズといるからだ。つまり、アイズは何かある。一緒に俺も目を付けられたと言う事になるが俺はやましいことは何もない。強いて言えばレオが生きている事実を知らせていない事だが…それがつけられる理由とは考えにくかった。何故なら報告対象義務なのに問いただされた事は一度も無かった。

 伝術士同士でも恐らく何か不信な事に気がついていたが確信は掴んではいなかったんだ。確信を掴んでいれば俺を捕まえてアイズの居場所を聞き出すのら容易なはずだ。

 伝術士あいつらがアイズを怪しいと思い付け狙う理由を俺はずっと調べていた。

 アイズといえばハースの国の事しかないがあの噂と飲み屋の男からの情報で俺は考えがまとまり始めた。

 噂が本当ならアーサー王が戦禍に乗じて逃げてもおかしくはないがあの人はそんな王ではない。

もし、生きているのなら、生きている=逃げたと連想されるが連れ去られた可能性もあると思った。だが噂の場所はあまりにも近場で危うい場所。一時的なしのぎだとしても危険すぎる。

 俺はアイズをつけた。

 月に1.2回深夜に出かける。
 場所はハースのあの印の場所。

 いよいよだった。
 中に入るアイズを見て俺は確信した。

「見くびるな、お前は嘘をついている」

「報告が全てた」

「伝術士の裏切りだ」

「俺は剥奪されて当然だ。裏切りと言われても仕方ない」

「言い方が悪かったなアイズ。私利私欲が起こした究極の愛の行為とでも言えば良いか」

「証拠は」

「アイズが出せ。今から証拠をお前が出す。俺の知らせは知らせだ。何故こうなったか知りたい」

 気が付いたのは地下牢に入る石畳に付けられていた魔術だった。すぐ解ける魔術だと聞いたが巧妙な魔術に変わっていて実際見るとできすぎていると感じた。あんな事ができるのは高等な魔術士以外いない。ハースでは聞いたことないし、部外者なら我々が知らないはずがなかった。高度に仕組めば仕組むほど人物は特定される。
 
 次に思ったのはアーサー王はヒューズに焼き殺されただった。俺は誰かによって連れ去られていたという仮説をたてた。その仮説は地下牢へ行く人物を見る事により確信へと繋がった。

 アイズはあの地下に入ると数時間はでてこなかった。そこに何かがある。多分大切な何か。

 そして、行き着いた答えがこれだった。

「アーサー王を愛してた…だろ」

「……。」

「二人で逃げるつもりだった」

「……。」

「だが、断られた」

「……。」

 こんな狂気的な事ができるのはそれしか思い当たらなかった。

「話さないなら俺から話す。お前は戦禍の中、アーサーに逃げようと言ったがアーサーは拒否をした。受け入れてもらえないなら国が落ちる前にアーサーが見ず知らずの兵士や敵国に殺される前に自らが殺した方がいいと思った。そして、殺して地下牢に運んだ。愛が故にそんな行動ができる…かもな」

「……。」

「その時いた側近はお前らしくもないが殺し損ね、再会した時に殺したんだろ。俺が疑問なのは死体をいる事だ。今も生きているとは到底思えない。なぜならお前は月1で会いに行くのに食料も持たずに手ぶらで入って行く」

「さすが伝術士だな」

「バレないとでも?俺にすらバレている。いずれ皆に知られる」

「わかっている」

「アイズ、それは解決言葉ではない。幸い俺しかまだ知らない。意味はわかるよな?師であるお前への尊敬を込めた」

「アーサーは動かさない」

「アイズ、見つかる。死体がバラバラにされるかもしれない。焼かれて晒されるかもしれない。今なら安らかに葬れる場所へ移せれる」

「させない」

「なぜあの場所にこだわるんだ。移動させれば墓でも立てて一緒にいられる可能性がある」

「あそこは思い出の場所だ」

「わからない。いくらそうだとしても見つかればそんなの崩れるのに。お前は欲張りだ。あれもこれも取ろうとしている。朽ちるまで居たいならどれかを諦めるしかない。あの場所にすがるなら一緒にいるのを諦めろ」

「どちらも譲れない。お前はわかっていない」

「わからなくていい。なら、せめてレオに死体を見せたらどうだ?お別れや気持ちの整理ができる。お前だけのアーサーじゃないだろ」

「……。」

レオに剣術なんか教える暇があったらアーサーを見せれたはずだ。

「レオにアーサーは会わせない」

なんだ、イライラする。

アーサーの形見として面倒を見たわけじゃないのか?レオには会わせない?何を言ってるんだ。

見せないのに何年もアーサーを地下へ残し朽ちるまでいるなんて何がしたい。

「なぜだ」

「俺は聖人ではない。レオには生きる術を教えた。一人で大丈夫だ」

「何を言ってる」

「俺はアーサーがいないと無理だ」

「アイズ…お前の愛は破滅的で自分よがりだ」

「それでいい」

「何をする気だ」

「俺は伝術士ではない。好きにする」

「だが、俺の師だ。師が間違えば正すのが俺の役目だ」

「インセット、俺を師と仰ぐな。俺は正しい道へと導いてやれない。それと一つ間違えている、アーサーは生きている」

 アイズはそう言って消えた。

 アーサー王が生きている?
 なぜ、レオに会わせない?
 なぜ、わざわざ破滅へ進む?
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