夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

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ソード オブ ソード

4 レイとロキ ① レイ

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 日に日にソードの様子がおかしくなっていく。初めは討伐や森に行く回数が減った。次に好きなお菓子屋にも足を運ばなくなった。

気分がのらないのかと思っていたがそうじゃなかった。1ヶ月もすればどこかぼんやり見ている事が多くなり口数も減って表情が無くなっていった。俺は胸がざわざわとなり嫌な予感がした。あの日から、ソードが俺達が何か聞いたあの日から嫌な感じがしていた。多分俺達の関係を何だと尋ねたんだが…ロキも変な違和感に気が付いたのか結婚して一緒にいると伝えても。「うん」の返事だけだった。 

「ロキ、医者に見せよう」

「はい、シルバ君に頼んでみます」

こうしてソードを医者に見せたが予想以上だった。

 何人かの医者に見せるも原因不明で治らないと言った。記憶喪失、精神的な付加がかかった、元々こういう人でどこも悪くないと言う奴までいた。バラバラな意見だったがだいたい最後は今後、冒険者は難しく剣を握ることは考えから外した方がいいと。治すことよりもこれからの生活を見据えた方がと言われた。

 ロキと俺は信じなかった。

それから他にも薬や本を見て試したが良くはならなかった。俺達からしたら医者が何と言おうが望みはあった。それは、俺達を忘れていない事と意志疎通が少ないとは言えできていたからだ。

 収穫がない俺らにシルバの提案で領土戦専用の医者に見せる事にした。彼らは場数も多く踏んでいて特種な病も他の医者より見てきているから手がかりがあるかもしれないと言った。あまり期待はしていなかったが見せることにした。

「目はいつから見えない?」

「……。」

「はい、半年以上前からです」

この時既に一言二言とぐらいしか話さなくなっていた。体のあちこちを触るのも前の医者と同じに思えた。

「右手は?」

「動きが悪いです」

「進行はしてるかな?」

「はい、だと思います」

「きっかけはある?大きな怪我とか」

「……はい。心当たりはあります」

レイは椅子に座るソードの横に立って説明をしていた。ロキはその後ろで話を聞いていた。

「右側の体は…大きな怪我が原因だけど。喋らないのは恐らく何かショックな事があったのかもしれない。何か忘れようとしている…あるいは昔を思い出したり制限でもあったかな…」

 正直、心当たりがありすぎてどれなのか迷う。
レオの事やニケ、もっと昔なら虐待を受けた事。どれもショックな事ばかりだったと思う。それに元々ソードには見えているものがある。

俺はふとソードが俺達の前で大泣きをしたのを思い出した。あんな感情を露にしたのは初めてだったから驚いた。ずっとずっと我慢して自分を強くみせてたんだなと思った。

「制限って何ですか?」

「嫌な事を忘れようとする事の逆で自分に制限をかけて出来なくして行動や言動を押さえてしまうような感じだ。例えば、この水は先生のだからのまないようにしよう。とかね」

ロキが不思議に思い質問する。

「それは普通のことじゃないんですか?」

「普通ならね。制限をかけることで自分の居所を探るんだよ。どこにいていいのか、何を口にしたらいいのかって。実際、私の水だとしても飲んでもかまわない。だが、それを他の人が悪く思ったり私が飲んではだめだと言えば彼は飲まない。それが例え死にそうになってもだ」

「「……。」」

「では、例えば飲んでしまったとすると激しい自己嫌悪に陥り自分を責め最悪死に至るかもしれない。誰もそこまで責めはしないのにね」

「責められる事に怖がってる?」

「自分で自分を責めてるんだよ」

「もし忘れようとしているなら全て忘れようとするから君らすらわからなくなるが……ソード君、レイ君とロキ君は好きかな?」

「うん」

「そう、なら良かった」

「急激な変化を望むのは難しいから徐々に解決するしかない。君達と会うもっと前に何かがあったかもしれないし、きっかけはわからない。些細な事だ、年数がたって急に現れるのも希な事ではない」

「治るんですか?」

「そうだね、彼は何か探してるのかもしれない。それが見つかれば…前に近い感じにはなるかも」

「そうですか…」

「あと、右目は見えないが一応反対側の目は生きているからその薬と右側の魔力移動を和らげる薬を気休めだが渡しておく。あまり期待しないで。飲まないと言ったらやめていいから」

「「わかりました」」

 先生にお辞儀をしてロキと部屋を出ようとした時レイが聞いた。

「なぜ、ソードに魔力があるとわかったんですか?」

「…私は医者だよ」

「そうですか」

「案外他人に任せてしまうのもいいかもね。お大事に」

 二人は首を振りドアを閉めた。他の医者とは違う意見にほっとしたような、ただ治る方法はわからなかった。

「レイさん、何か思い当たりますか?」

「ありすぎる。小さい頃のを含めたら何でもきっかけになる。ここ最近なら間違いなくレオの事だし」

「はい、俺は目を失った事への恐怖みたいな感じだと思っていましたが…」

「ああ、俺もそれは考えたが…しっくりこなかった」

 廊下を歩く三人。

「ソード、何か食べる?」

「いい」

「したいことは?」

「ない」

「見たいものとかは?」

「ない」

「会いたい人とかは?」

「……ない」

「ソード、欲しいものは?」

「…………な…ぃ」

 こうして部屋に帰るとまたずっと外を眺めるのだった。

 ソードがとうとう全く話さなくなった。返事すらしなくなって俺とロキはどうする事も出来ずただそれを受け入れるしかなかった。

 親父や兄貴にもソードとは言わず症状の解決法を聞いたが精神的な物が強くかなり難しいと言った。それを紐解くには慎重にかつ真意を探らなければいけないと。

 わかってはいるが俺は正直どこから手をつけるべきか幼くなったソードに何をどうやってそれを聞くのが正しいのか迷っていた。 

 そんな状況下であいつが現れた。
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