夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

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ソード オブ ソード

9 狩り

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 「そっちに逃げたぞ!」

 二人の男が黒い影を追う。
 
武器を手にして魔獣狩りかのように追い詰める。森の奥へどんどん入り込んでゆく。

もうすぐ日が暮れる。

「逃がすなよ!」

「わかってる!」

 男はロープに重石の付いた投擲武器とうてきぶきを投げて俺の足に引っかけた。足に絡まった武器に足が縺れ転ぶように地面に倒れた。もう一人の男が警戒しながら足を掴もうと手を伸ばした。俺もただでは起きない。振り向き様に剣を振った。

スパッと音がすると男の顔が鼻から上に切れた。

「うぎゃー!!」

「てめぇ!!」

のたうち回る相方を他所にもう一人が剣を抜き構えた。

「クソガキが調子のりやがって!!」

「ぐぞぉ~殺れ!!捕まえるのは無しだ!高く売るはずが……叩き斬って目ん玉ぐりぬげぇ!!」

 必死に紐を切り男が斬りかかってくるのを素早く避けようとするが本気になった男達は挟み撃ちをして逃げれなくした。

流石に二人相手は分が悪く苦戦する。容赦なく乱暴に振る剣をギリギリで止めた。もう一人はその隙をついて後ろに周り首を腕で締め上げた。

「ぐぐっぅ…」

「このまま目をくりぬきましょう、また光るかも」

「そうだな、短剣貸せ!」

 男は反対側の手に短剣を持つ。

首を絞めていた男の腕に体重がかかりダランと全身の力がぬけた。

「あ、死んだか」

「まぁ、いい。目をくりぬくから顔を上げさせろ」

 男は腕を緩め、顎に手をかざし短剣を握るもう一人の男の前に顔をつき出させた。

 カッと目を見開き男の持っていた短剣の手首を素早く掴み喉に突き刺す。足で体を蹴り離れさせると後ろの男に肘鉄を食らわせ膝を着かせた。とっさに足元に落ちた自分の剣を握りしめ跪く男の首めがけ上から剣を刺した。

目をくりぬこうとした男はかろうじて息があるも
話すことはできなかった。

 睨み付けいい放つ。

「最後に言いたい事は…無いよな」

 剣を振り下ろし男に突き刺した。


□□□


 マジで危なかった…

 冒険者の新人狩りなんぞ良くあるがこいつらはそうじゃない。俺を捕まえて売り飛ばそうとしていた。

 きっかけは討伐依頼で共闘を募っていた奴ら。依頼は魔の森の魔獣退治。俺達は魔の森に着きお目当ての魔獣を見つけ倒す予定だったが思ったより数が多くて手こずっていた。良く見ると奴らは数体だけを倒して後は俺に任せきりだった。腹が立ち全部やってやろうと思ったんだ。途中、あいつらが戦いの最中にヒソヒソと耳打ちするのが目についた。
戦いが終わると二人はニヤニヤしながら俺に言った。

「目が光ってるのは何だ?」

 何を言っているかわからず聞き返すと、いきなり腕を掴みロープで縛りあげようとした。そこからは必死で逃げるもこすい技をかけられうっかり捕らえられた。

同業者に捕まったのはこれが初めてだった。実力は俺の方が上だがなんせ経験が少ない。卑怯な手や悪巧みにはそこまでなれていなかった。容赦のない行動に俺は焦った。

捕まった俺は足のロープを剣で斬ろうと思い切り下から上へと振り上げると丁度、不細工な顔を偶然切ってしまった。激怒した男は容赦が無くなり俺を殺す決意をした。

魔獣をやった後で体力的は限界が近く、なんとか隙をついて逃げ出せないか方法を考えていた。考えついたのは死んだふり。絞められた首をほどかれ目をくり貫こうとした時に男の短剣を利用して首を刺した。我ながらいい対象方法だったと思う。後は簡単で肘鉄をくらわすと倒れた所を上から刺した。

逃せば必ずこういう奴は追ってくるし仲間も少なからずいたら、告げ口されるかもしれないと思い殺した。っていっても先に殺そうとしたのはお前らだからな。

人を殺した経験は初めてだった。こいつらをやる罪悪感より殺らなきゃ殺られてたと思う方が強かった。そんな事より後始末は数十倍大変だった。こいつらを抱え行ける所の魔の森奥へ捨てた。

見つかる事はまずない。

依頼所に報告に帰ると他の冒険者の事を聞かれた。討伐途中で二人が殺られたと話すと横やりが入った。

「あいつらがそんな討伐で死ぬかよ。お前報酬全部一人でもらうきだろ」

「違う!討伐したやつじゃない違う魔獣が現れて二人を攻撃したんだ」

「どんなやつだよ~言ってみろよ」

 尚も食い下がらないこの男はどうやらあいつらの知り合いか…俺が弱そうな事をいいことに突っかかってきやがる。

「黒い小さな魔獣だ。黒いからよくわからなかったが喉を掻ききって去って行った…」

「なんだそりゃ。おい、嘘つきかもしれねぇ。こいつだけ残るなんてありえない。受付のやつ、こいつに報酬は渡すな。本当なら俺があいつらと組むはずだったんだ。遅刻していけなかっただけだから俺に報酬を渡せ」

 クソ野郎か。何でなにもしてないこいつが貰えるんだよ。俺は殺されかけたんだ、せめて報酬ぐらいはもらいたい。

「報酬は全てオーデナリー様の物になります。変更はございません」

「チッ」

 男は苦虫を噛み締めたように去っていった。ほっとするもつかの間。やはり男はソードを付け狙い報酬を奪おうと企んでいた。


 やっぱりクソ野郎の知り合いはクソ野郎だな。どうする、撒くか。あいつを殺したら流石に他からも目をつけられそうだな……

 適当な飯屋に入り時間を潰すも奴も同じく別のテーブルで俺の様子を伺っていた。いい加減諦めろよと思ったら知らない男が声をかけてきた。

「さっきの何だったんだよ。絡まれてたな」

男は俺に気安くはなしかけてきた。俺の肩をつかみ囁いた。

「俺が話を付けて逃がしてやってもいいが報酬の2割か、それとも今夜俺とどうだ?俺は変わり者が好きでね」

 冒険者なんてろくな奴いねぇと思った。

「大丈夫です」

「長いものに巻かれておかないと後で大変だぞ。お前はどうみても単体冒険者で初心者だ。大体な、冒険者ってのは先に仲間を成人職前に見つけたりすんだよ。狙われないし安全だからな、コネも大事だ」

「仲間はいます。三人。後で合流するので大丈夫です」

「ふっ、まあ、ハッタリでも信じてやるよ~巻かれたくなったらこいよ」

「結構です」

 断ると男は舌打ちをして離れていった。ここに居たらマズイと思い適当に食べてすぐ店を出た。さっきのやつは俺を付け狙ったが人通りの多い場所に行きなんとかまくことができた。

 冒険者はそんな毎日だったな……
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