夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

文字の大きさ
32 / 66
インセット編 

20 コール回想 ②

しおりを挟む
 先ずはアイズを探したがなかなか見つからなかった。

 アヤも伝術士の仕事依頼を討伐所へ書き出しインセットを呼び出すも仕事をした後は上手く撒かれてしまう。勘のいい奴だし撒くのがうまい。
仕方ないから俺とアヤはアーサー王の身辺を洗った。本当に情報が上手く伝えられなかったのか知りたい所だがアーサー王は亡くなっているから事情は聞けない。

 ハース城に居た生き残った人達を探した。それとヒューズの兵士や情報屋から話も聞いた。

 城に攻め込まれたのは不意打ちで、アーサーの家族が揃っていたのは事前調べがあったようだ。
 あの王なら必ず家族を守ると思うが別々の場所で死体が見つかっていた。

 王は自分の部屋で、王妃と娘は王妃の部屋。王子は王の部屋の前の廊下。ここで不自然だったのは王子一人が側近もなく煙を吸って生き絶えてしまった事だ。

 兵士達は間違いなくレオナルド王子だったと言った。王にも側近がいたはずだがその一人はまだ不明らしい。

 見つからない側近の名前はイルーセル。一応、公にはなっていないがヒューズに手配されていた。
もう一つ、王とは関係ないが王妃には双子の妹がいる。婚姻後、暫くして離縁している。姉に会いに行こうとしたのかあの戦いで城の中で亡くなったらしい。
 
「うーん、アヤそっちの情報は?」

「あまりない。アイズと別の裏側近も見つからずだ。逃げた可能が高い」

 王族をほおっておいてか?

「裏側近は忠実な奴だとアイズから聞いている。逃げるはずがない。何処にいったか気になる。必ず王家の誰かの護衛にはあたっていたずだ。もしかしたらアイズと連絡を取っているかもしれない」

「ああ」

「足取りは掴めないのか」

「ハースを出たことしかわからん。上手く検問を掻い潜ったとみた。誰かの手引きがあったかもしれん」

「確かにな~暫く潜伏するだろうな。ヒューズには情報がいってないから顔がばれたりはしないだろうが、裏側近の前職は冒険者だから調べれば誰かわかるかもしれん」

「それよりコール、書士は生きてないか?」

「書士か、今のところいない。城に火をつけ情報を消したから王の密約などは残っているかは不明だ。家族なら生きているかもしれない、念のためあたるか」

「ああ」

 俺達はハースへ行き書士の実家を尋ねた。

 娘と母親が居たらしいが家はもぬけの殻だった。周りを尋ねるとどうやらリッカに逃げれたらしい。

遠い親戚のうちを転々としているらしくてその一つを尋ねた。

コンコン

「すみません、ケーシーさんのお宅ですか?」

「はい」

「こちらにメント夫人はいますか?親戚の方から住所を聞きまして」

 ドアを閉め暫くお待ちくださいと言われ待たされるも、そのような方はおりませんと払われた。
 当然警戒されているのはわかったから親戚の人が書いてくれたと言う証明を渡した。すると、ドアを開けられ部屋に案内された。初めて見る俺達に戸惑いと恐怖を感じていた。

「誰ですか!?私はあなた達などしりません!」

 声を荒げ娘を庇った。

「ヒューズのものではないです。燃やされた書類について知りたいだけです」

「何なんですか!」

「できれば、“はい”か“いいえ”だけで答えて貰えるとありがたい」

 まずいな警戒している。
 アヤはでかいしな~見た目だけで威圧感あるよな。気の聞いた事言えないよなこいつは~と思ったら口を開いた。

「我々はヒューズに忠誠心など微塵もない。ハース王に関わる書類が無くなった。その調査をしている、できればアーサー王の名を汚したくないから知っている事を教えてくれるとありがたい」

 アヤしゃべれるじゃないか。
 いつも、それぐらいしゃべれよ。

「………知りません」

「書類は」

「ありません」

「何か聞いてないか」

 目をそらしながら小声で話してくれた。

「……ヒューズの書類は無い。我々は無実だと言ってました」

「ありがとうございます。十分です」

 俺達は部屋をでた。

「アヤ……」

「……。」

 俺が言わなくともアヤも察した様子。

 まずい…ヒューズの話が王に知らされておらず書類も何処かで無くなっていた。だとすると…
 
 この戦争は仕組まれていたことになる。

 アイズはアーサーと話をして説得をしようとしたと言った。もし、話が本当なら書類が届いてない事をアイズが知り急いで説得したとも考えられる。
 
 裏側近と行方不明の側近の行方も気になる。もしかしたらこいつら三人によって仕組まれていたかもしれない。王を憎んでいたのか?

「三人を探せ、誰でもいい」

「了解」

 俺は血眼になりながら三人を探した。数ヶ月たつも誰も足取りがつかめなかった。インセットに話をして聞き出したかったが気づかれてまかれる。無理に捕まえてもあいつも絡んでいるかもしれないから慎重に行動しなければならなかった。

…………

「タニエ!」

「よう」

 後ろから俺の偽名を呼ぶ声がした。
 俺は表ではヒューズの用心棒をしている。金さえ頂ければ誰でも守る。ヒューズの金持ち、剣術士や兵士にも雇われた事もある。基本は口利きで短期間しかやらない。
 
 こいつは冒険者の知り合いでよく俺に仕事を回してくれる。ハースに仲間が働いているといいハース崩壊を知らせてやった一人だ。

「ありがとうな、仲間が助かった。恩にきる」

「いや、お前には世話になってるしこれぐらいしかできないから礼を言われる程じゃないよ」

「本当に助かったんだ。ありがとう」

「ああ、因みにそいつは何処にいたんだ?」

「ハースの城の近くに家があるんだがその周辺の森にいた。驚いていたがすぐ逃げてくれた。ハース出身じゃないから検問もでれたから良かったよ。落ち着いたらまた一緒に冒険者やろうと話をしてきた」

「そうか。良かった、あの辺りは酷かったと聞く。また何かあったら教えるからそっちも教えてくれ」

「何だ、何か聞きたいのか?」

「ああ、実はハースの事でな。詳しい奴がいたら聞きたいんだが」

「そうだな~俺の知り合いは今、忙しくて無理だが冒険者の間で情報屋が何人かいる。もしかしたら一人ぐらい何かつかんでる奴がいるかもしれない」

 情報屋を数名教えてもらいアヤとしらみつぶしに当たった。大した話しは無かったが一様に言うのはアーサー王が生きているだ。

 どこでそんなガセ話が飛んだのか…俺はアイズだけではなく知り合いのヒューズの兵士からも連絡を受けて死亡していると聞いている。情報がある程度入ったので一度アヤと合流した。

「アーサー王が生きている噂を聞いたか?」

「ああ、情報屋から話を聞いた。あと、側近がアーサー王を探している」

「何だと、あり得ない。死んでいる」

「だが、俺達も死体を確認していない」

「確かに……生きていたら大事だぞ。戦争を起こしたあの三人と王が生きていたなんて事があれば…」

「情報が正しければ側近は白だ。アーサー王を探してると言った。一緒にいるなら探しはしない」

「なら、裏側近二人と王の企てか?」

「まだわからん」

 話がややこしくなってきた。
 この数日後、指名手配の側近が殺された事を知った。

 ヒューズ兵士から話を聞くと誰かに殺され城から離れた湖に浮かんでたらしい。
 それから俺は金でヒューズの剣術士から話を聞く事ができた。当時は聞けなかったが今ならいいと言われ時間をとってもらった。

 俺はまずアーサー王が生きている噂を話した。すると死体は王だと周りには言い張っているが実際は王ではない気がすると言った。刺された後に火をつけられたが王だけやたら燃えていて特に顔が酷く燃えたらしい。

 もう一つ、手配の側近が死んでいた。誰かに殺されたらしいが犯人は捕まっていない。先に探し当てたかったが遅かった。今のところ通り魔で片付けたとの事。アーサー王が生きている可能性も含まれてきたが嫌な予感に近づいてきた。

 アヤはまた情報屋に会うと言い数日後に再会する約束をして別れた。


「おい、情報屋」

「おやおや、また情報ですか」

「前置きは嫌いだろ」

「何が知りたい」

「俺の後に誰が来たか」

「前金8割」

「ふん、」

 金額を払うと男は話をした。店から出たアヤはすぐにコールと合流する。

「裏側近が来たそうだ、アーサー王が生きているかどうか知りに来たらしい」

「何!?ならあいつもアーサー王といるわけじゃないのか…どういう事だ。側近、裏側近共に白か」

「アイズが何か隠している」

戦争が起こりアーサー王が行方不明。アイズも見つからない。書士は書類はないと言う。

「アヤ……嫌な予感がする」
 
「アイズの過去は知らないのか?」

「昔、伝術士をしていた時にハースに捕まった過去がある。密偵と間違われてな。その時にまだ少年だったアーサー王が助けたと聞いた」

「なら、恩があるな」

「アヤ、地図だ。ハースから一番遠いヒューズの街とそこから人目につかない森または近道できそうな場所だ。後、インセットを追え」

 アイズが隠していたのはこれか。アーサーをかくまっていたなら納得だな。説得もすべて嘘で初めから逃げるつもりで戦争を起こしていたとしたら。

 まずい
 まずいぞアイズ

 お前は一体何をしでかしたんだ

 俺達は何ヵ所か目星をつけた場所を一週間ごとに張り込んでアイズが来るの待った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

林檎を並べても、

ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。 二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。 ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。 彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...