夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

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13 婚姻後 シルバ

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 レオとの婚儀は無事に終わった。皆が祝福してくれて嬉しかった。本当ならレオの家族も呼びたかった。

「じゃあな、シルバまたな」

「うん、今日はありがとう!」

「シルバ君、おめでとう!幸せにね」
「シルバ、レオと幸せにな」

「はい、ありがとうございます!」

 皆との挨拶が終わり明後日から通常業務に戻る予定。婚儀前には建国式もあり慌ただしかった。

 明日1日はお休みだけど俺はしたいことがあった。

「レオ、今いい?」

 俺の仕事部屋の隣はレオの仕事場とドア一枚目を挟んで繋がっている。レオはこんな時でも書類に目を通していた。我が伴侶ながら凄いと思う。

「シルバ、休めよ。疲れただろ?」

「大丈夫。レオこそ」

「そうだな、こんな時ぐらい」

といい書類を読むのを辞めて二人でお茶を飲むことにした。流石に気を利かせてくれたみたいで誰も入っては来なかった。
 何となくレオとお揃いの指輪をなぞった。皆に祝福された結婚は嬉しかったな。

「シルバ」
「レオ」

 同時に呼びあいレオが俺に先に話を譲ってくれた。

「レオ、俺、明日行きたい所があるんだけど時間とれるかな?」

「ああ、明日は1日休みだからな。俺も行きたい所があったが時間的に無理そうならこっちはまた今度でいい」

 レオの予定も気になったけど絶対行きたい場所だったから今回は譲ってもらおうと思った。

「…俺、カシムさんに会いたい」

「…そうか」

 レオが笑っていた。
 不思議そうに見ていたらレオが俺の手を取り指輪を撫でた。

「俺も行きたい場所はカシムの家だった。だから、つい考えてる事が同じだと思ってな」

 レオは俺の手にキスをしてくれた。レオの目は逸見ても真っ直ぐで力強いから好き。

「ふふ、良かった!行けるかな?」

「そうだな、護衛をつけると目立つしな。かといって流石に護衛無しは駄目だしな~アイツに頼むか」

 
 次の日

 昨日ノクとジープを呼んで二人で出かけられるよう段取りをしてもらった。二人は護衛を付けて欲しいと言ったけどこの国の一番の最強護衛をつけるから大丈夫と言って断った。

「じゃあ、昨日の今日で悪りぃが宜しくな」

「んー……」

「ソード、ちゃんと起きて!二人の護衛頼まれたでしょ」

「レオ襲うなんて魔獣しかいねぇよ」

「うちの護衛いると目立つからな。後、シルバには変装させるからお前の地味な服が役立つ」

「うるせ!」

 ソードに黒いフードマントを借り二人でカシムさんの住む家に向かった。ソード達は何処かにいるみたいだけど全然気配すら読み取れなかった。

 レオは門の前に立つと少し周りを見渡し立ち止まった。ソードから合図がでたのか門を開けドアをノックした。

コンコンコン

 緊張するなかドアが開くと中年の男性が顔を出した。と思ったらバン!とドアが閉まった。

 あれ?

 俺はレオの顔を見るとレオはもう一度ノックをした。

コンコンコン、コンコンコン

「俺だ」

「わかってる」

 ドアがまたゆっくり開くと今度は部屋に招き入れてくれた。ドアが閉まると男性はレオと俺を見ずにリビングに案内しようとしてくれた。

「カシム、ただいま」

「お帰り、レオ」

 その男性こそレオの育ての親のカシムさんだった。俺はフードを外し姿勢を正した。

「紹介する、知ってるかもしれないが俺の伴侶のシルバ=レオナルド=ブルークスだ」

「はい、存じてます」

 背中を向けたままこっちをみないカシムさんは震えいるように見えた。レオを見ると頭を掻いてやれやれと言った感じだった。

「カシム、いい加減こっち向いてくれ。シルバが心配する」

 ゆっくり振り向いたカシムさんは目頭を押さえていた。俺は改めて挨拶をした。

「初めまして、カシムさん。シルバです。カシムさんに会いたかったです」

「カシム=ジルカンドです。初めまして。シルバ様」

「様はいらないですよ。レオから育ての親だと聞いてます。これからも宜しくお願いします。お父様と呼ぶべきですかね?」

 と笑ったらカシムさんはお茶をと言って走って行ってしまった。

レオは気にするなと言ったが戻るまで時間がかかりレオがカシムさんを迎えに行った。暫くして戻ってくるとカシムさんは目が真っ赤だったが落ち着いたみたいだ。

「すみません、シルバさん。まさか来てもらえるとは思わなかったものですから」

「私はずっと会いたかったです。レオを小さい頃から大切に育ててくれてありがとうございました。本来なら先に挨拶をして婚儀にも招待する予定でしたが事情を知ってレオと相談し今日になってしまいました。申し訳ございません」

 カシムさんは時折上を向いて聞いてくれた。

「知ってると思うがアビサルの王で元ヒューズ国王子だ。いろいろあって一緒になった。長い間会いに行けず心配をかけた。心配かけたついでにもう一つ」

 レオは右手で左手の義手を外した。カシムさんは驚いて身をのりだしていた。その時に義手を拾い上げるような仕草を一瞬した。

「レオ……その手は」

「すみません、私の不徳のいたすところでレオの体の一部を失ってしまいました」

 シルバは深々と頭を下げるもレオは頭を上げさせた。

「シルバ違う。カシム、これは俺が自分の責任を取るために失ったんだ。本当なら俺はこの場にいない。生きてここに来れたのは沢山の人が助けてくれたおかげだ」

「……。レオがヒューズの側近になると聞いた時からいろんな覚悟はできていました。これもまた運命であったと思います。レオ、因みにこの場にいないとはどういう意味だ?」

 レオはカシムさんにレグルスの側近になったのち、俺と一緒にアビサルを立ち上げた話をした。そして、レグルスとの約束を守れなかった事への責任としてあの日レグルスに会いに行ったと言った。約束の責任は俺をヒューズの王に育てる事だった。それが果たされず新しい国を作り俺をそそのかした行為は反逆者と言われて死罪だと話した。

 確かにレオはあの時死んでいた。俺やロキさんもはっきり見ていた。だが奇跡が起こった。

「レオは棺桶に入り冷たくなっていました。だけど…俺のベッドに戻ったら息を吹き返したんです。信じられないかもしれませんが本当なんです。なぜレオが一度死んでから生き返ったのかは未だにわかりません…ただ、奇跡としか」

「そうですか……一度死んでから生き返った」

 カシムさんの表情は少し険しくなった気もした。
 
 今でも俺も信じられない。

 あの時あの場から離れなかったのはソードとレイさんだった。二人が何かしたんだと思ったが…頑なに違うと言う。でも、それ以外考えられなかった。何をしたかはわからないけど助けてくれたんじゃないかと今でも信じてる。
 俺はレオに気を取られてソードの片目が見えていない事に気づくのに時間がかかった。勿論本人にも聞いたが魔獣に取られたとレオと同じ話をした。

けど、あの日から見えなくなってた気がする…

「レオ…その生かされた命大切にしてください。シルバさんの為にもアビサルの民の為にも」

「ああ、そのつもりだ」

「バレットにも報告をするよ。レオは素敵な伴侶を迎え幸せになったと」

「そうだな、世話になったのに何も返せなかったな」
 
「バレットはわかってる。最後までレオの幸せを願っていたからその通りになった」

「ああ」

 それからレオの幼少期の話を時間を忘れ話した。カシムさんがいかにレオを大事にしていたかよくわかって嬉しかった。
 そろそろ行くと言いレオは立ち上がりカシムさんとハグをした。
 帰り際にカシムさんが婚姻後の指名が変更されレオの名前にカシムの名前を入れたのは何故かと聞いていた。

そしたらレオが

 「親だから当たり前だろ?」

と言ってまた泣かせていた。俺はレオの名前をもらったがカシムさんの名前をもらっても良かったかなとちょっと思った。

そして、お互いにまたの再会を願い手を振って別れた。

「レオ、カシムさん凄く素敵な人だった。会わせてくれてありがとう」

「ああ、シルバこそ、ありがとうな。カシムが喜んでた。話し通り涙もろいだろ?」

「ふふ、それだけレオを大事に大切に育ててきたんだよ。今度は城に呼ぼうよ」

「そうだな」

 俺はレオの手を繋ぎフードを少し上げキスをした。レオはびっくりしていたがキスを返してくれた。
 後でソード達に護衛を頼んだのを思いだし慌てて普通のふりをした。

 ま、新婚だしこれぐらいいいよね。

…………………


 まさか、二人が訪れてくれようとは夢にも思わなかった。一国の王をレオ様が育て上げた。

 アビサルはいい国になる。

「バレット、レオは剣の光の指す道へ進んでくれた。私達は立派に育て上げる事ができたと誇りに思っていい。アーサー王に胸をはって報告できるな…これで私達の役目は終わった」

 アーサー、貴方の愛した家族を無事守りぬく事ができたでしょうか?

どうか、どうか、安らかに見守りください。

 
 カシム、良くやった。
   さぁ、冒険者の時の話を聞かせてくれ

             
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