39 / 204
第1章 光の導き手
第37話 神の懺悔
しおりを挟む
私は、大きな過ちを犯した。
一ヶ月前のあの日、正しきを見抜けなかった私は過ぎて行く日々の中、後悔をし続けた。
ユウトの事を一番理解出来る筈の私が、彼に対して一番してはならない選択肢を口にしてしまった。
あの日から、偽物のユウトによってユウトに対する光の人々からの評価は地に落とされた。
偽物のユウトは大量の非戦闘員をルクスへと通じる転移エリア内に連れ込み、強制転移させて闇の人間達に虐殺させるという行為を繰り返していた。
日本にいる光の主力達は、悪行を働いていた偽物のユウトの静止を試みた。
しかし、静止を試みたカイ、エム、シュウ、フィリアの四人は返り討ちに遭い傷だらけの状態で通路に倒れていた所をレンとヒナに発見された。
幸いにも全員命に別状は無く、傷だらけの四人は治癒室へと運ばれた。
応急処置を終え意識を取り戻した四人にその時の状況に関して聞くと、全員が口を揃えて偽物のユウトではなく、当然現れた〝黒髪の少女〟に惨敗したと答えた。
レンとヒナには、治癒室に運ばれた四人の手当てに助力する様に告げた。
二人からは反論もあったが、転生後の三人を含めて強い意志と光に対する多くの貢献によって、短期間で主力になった四人を倒す程の相手が暗躍しているのなら、国内に現存する光の戦力のみでは闇に勝利することは出来ないと判断した。
目覚めたあの日から、〝何故か〟属性を殆ど回復させる事が出来ずにいた無力な私は、偽物のユウトの行動を常に監視する為だけに行動いていた。
そんなある日、不敵な笑みを浮かべながら偽物のユウトが私の部屋を訪ねて来た。
「ユカリ。光の人間達を宣告の演台に集めてくれ」
「……人々に何をさせる気ですか」
「お前は黙って聞いてりゃ良いんだよ……まあ安心しろ、〝俺は〟手を出さねえからよ」
偽物のユウトはそれだけ伝えると、ユカリの部屋を後にした。
その言葉に反抗した場合、私の現状の力では光の人々を暴走する偽物のユウトから守る事が出来ないと判断した私は、逆らわずに宣告の演台へと隊員達及び周辺の人々に集まる様に連絡した。
そして集まった人々と演台の間に、現状で創り出す事が出来る結晶の障壁を創り出し、偽物のユウトから人々を守る策を講じ、地上からの護衛をレンとヒナに依頼した。
そして準備を整えた私は、宣告の演台に立ち尽くす偽物のユウトの元へと向かった。
―*―*―*―*―
「やっと来たか、ユカリ」
偽物のユウトは、ユカリの到着を確認すると両手を上空へと掲げた。
「光の人間共!今から起きる最高の出来事をしっかりと目に焼き付けておけよ!」
偽物のユウトが手を掲げて叫んだ瞬間、上空の雲が巨大な円状に消し飛ぶと、円の中央部に突然巨大な隕石が出現した。
上空の光景を目の当たりにした人々は、以前の隕石を遥かに凌駕する直径千メートルを優に超える巨大な隕石に対し、呆然と立ち尽くしたまま誰一人として逃げようとしなかった。
抵抗する気力すらも削ぎ落とす絶望的な状況の中で唯一の希望と言える、光の導き手がこの状況を打開してくれる事を信じて。
「そんな……」
異常な光景を目の当たりにしたユカリは、上空に現れた隕石の規模、地上との距離などを瞬時に分析した。
だが、以前よりも巨大な隕石に対抗する為の分析は、以前よりも残酷な結果しか導き出す事が出来ずユカリはその場にへたり込んでしまった。
絶望の表情を浮かべているユカリを見ていた偽物のユウトは、声を上げて笑っていた。
「光の導き手がそのザマじゃあ、光の人間共もこれで終わりだな」
誰もが日本の終焉を確信したその時、突如〝蒼髪の少女〟がユカリと偽物のユウトの間に姿を現した。
「……え?」
「あ?……なんだ、誰かと思ったら〝右腕様〟じゃねえか」
「なっ!」
(右腕?……この子が?)
戦意喪失していたユカリは、地面にへたり込んだ状態で目の前に現れた少女を見上げていた。
「〝白い服〟なんか着てやがるから気が付かなかったぜ。なんか用か?右腕様よぉ……ここにいると隕石に巻き込まれちまうぞ?」
少女は偽物のユウトの質問に反応を示す事なく、背後に座っているユカリに視線を向けた。
(チッ!無視かよ)
「貴方がユカリ?」
「……はい」
向けられた冷たい視線に身体を強張らせながらも、ユカリは小さく頷いた。
「あんな奴とユウトを間違えるなんて……本当にユウトと同じ存在なの?」
「……なんで貴方が、ユウトの事を——」
「おいっ!無視すんじゃねえよ!」
ユカリの質問を遮る様に怒号を発した偽物のユウトは、怒りの形相で少女を睨み付けていた。
「煩い。怒りたいのは、私の方です」
少女が両手を下に下げると、その手元に紅緋と紺碧の双刃が形成された。
(あれは……〝創造〟?)
少女を注視すると、薄らと手首に結晶の腕輪が付いている事が確認出来た。
「全てにおいて遙かに劣る貴方が、ユウトの偽物を語る事は……私にとって赦し難い事なんです」
「……おいおい、俺は味方だせ?味方に対して挑発してくるなんざ、てめぇ一体どういう了見だ?」
「いつから私は貴方の味方になったんですか?〝転生〟した私の味方は、ユウトただ一人です」
少女の発した言葉に、偽物のユウトは驚愕の色を見せた。
「転……生……だと?あ、〝あいつ〟の右腕のお前がか?冗談キツいぜ」
偽物のユウトは平静を装う為に、顔を痙攣らせながら作り笑いを浮かべていた。
「ユウトの顔で、それ以上喋らないで」
少女がその場から姿を消すと、偽物のユウトの身体は真っ二つに斬り裂かれた。
「おっと!あっぶね!」
真っ二つにされたユウトは水の塊となって弾け飛び、中から目付きの悪い琥珀色の瞳をした漆黒の髪の男が現れた。
斬撃を回避した黒衣の男は、少女から距離を離す為に後方へ飛び退いた。
「お前、マジで転生しやがったのか!」
少女の行動から真実を悟った男は、冷や汗を掻きながら対峙する少女に向けて叫んだ。
「私は先程、喋るなと言った筈です……それにお前じゃありません。今の私は〝ユウ〟です」
そう告げたユウは、自身の持つ双刃に属性を纏わせた。
双刃に纏われた炎は紅と蒼に煌き、一対の双刃の上で荒々しく燃え盛っていた。
「馬鹿な奴だ。〝あの人〟がこちら側に存在する限り、光の人間共に勝ち目なんて無いんだぜ?……まあ転生しちまった奴に今更伝えた所で既に手遅れだがな」
男はユウの忠告を無視する様に喋り続けると、上空から迫り来る隕石を指差して不敵な笑みを浮かべた。
「お前らは〝あの人〟と出会う事なく、あの隕石に潰されて終わる事になんだからな!」
「……何故私が、貴方の相手をしているのかさえも理解出来ていないなんて、やはり貴方はユウトには到底及びませんね」
「……なんだと」
男の前に立っていたユウは、静かに上空を指差した。
ユウが指差した先には、ユウと同じ〝白い隊服〟に身を包み、黒い髪を靡かせた一人の少女が真っ白な翼を広げて立っていた。
「……ユウト」
あの時とは異なり、はっきりとした繋がりを感じたユカリは、上空の少女に向けて言葉を発していた。
「正気か?……無理に決まってんだろ!あの時より巨大な隕石だぞ!」
「貴方との会話は時間の無駄です。それに、無理なのは貴方が生存出来る可能性です」
意識を上空に向けていた男に向けてユウは、属性を纏った双刃で容赦の無い複数の斬撃を放った。
「なっ!」
意識外からの斬撃に対して反応が遅れた男は、放たれた斬撃をまともに喰らった。
「がはっ……くっ……そがぁ!」
その後も繰り返し放たれた斬撃を身体に浴びた男は、地面を数回転がり以降動く事は無かった。
「貴方が戦闘において私に劣っている事も、操られていない本来の私に勝つ可能性が無い事も、最初から分かり切った事です」
ユウが言葉を言い終わると同時に、地上で人々の護衛をしていたレンとヒナは、ユカリからの指示を仰ぐ為に宣告の演台に辿り着いた。
「ユカリ!大丈夫ですか!」
へたり込んでいたユカリの元へと一目散に駆け寄ったヒナは、ユカリが無傷である事を確認すると安堵の表情を浮かべた。
(……あの少女は?)
レンは宣告の演台にいる蒼髪の少女ではなく、上空に立ち尽くす黒髪の少女を見つめていた。
空中に浮かぶ少女が右手を隕石に向けて翳した瞬間、大量に創り出された結晶の盾によって隕石の外壁を隙間なく包み込みんだ。
そして、結晶の盾に覆われた隕石を更に覆う様に無数の結晶爆弾が内側に創り出された。
「……終わりですね」
ユウがそう口にした瞬間、結晶内の隕石は結晶爆弾は紅の光を放ちながら爆発し、内部の隕石は白い発光と共に衝撃波を放ちながら大爆発を引き起こした。
「流石……ユウトです」
ユウは結晶内の爆発による光を浴びながら、隕石の最後を静かに見届けているユウトの姿に、目を輝かせていた。
「あの子が……ユウトだって?」
(あの〝天使の様な女の子〟が……)
ユウの言葉を聞いたレンは、少女の姿をしたユウトに視線を向けた。
(これがあの日、ユカリに創り出された……今の君の強さか……流石だよ、ユウト)
空に浮かぶ少女を見つめていたレンは、親友の成長を心から喜んでいた。
そして、そんな天使の様に美しい少女の姿を一目見たレンの中には、もう一つ別の感情が芽生えていた。
(僕は……親友だった少女に恋をした)
一ヶ月前のあの日、正しきを見抜けなかった私は過ぎて行く日々の中、後悔をし続けた。
ユウトの事を一番理解出来る筈の私が、彼に対して一番してはならない選択肢を口にしてしまった。
あの日から、偽物のユウトによってユウトに対する光の人々からの評価は地に落とされた。
偽物のユウトは大量の非戦闘員をルクスへと通じる転移エリア内に連れ込み、強制転移させて闇の人間達に虐殺させるという行為を繰り返していた。
日本にいる光の主力達は、悪行を働いていた偽物のユウトの静止を試みた。
しかし、静止を試みたカイ、エム、シュウ、フィリアの四人は返り討ちに遭い傷だらけの状態で通路に倒れていた所をレンとヒナに発見された。
幸いにも全員命に別状は無く、傷だらけの四人は治癒室へと運ばれた。
応急処置を終え意識を取り戻した四人にその時の状況に関して聞くと、全員が口を揃えて偽物のユウトではなく、当然現れた〝黒髪の少女〟に惨敗したと答えた。
レンとヒナには、治癒室に運ばれた四人の手当てに助力する様に告げた。
二人からは反論もあったが、転生後の三人を含めて強い意志と光に対する多くの貢献によって、短期間で主力になった四人を倒す程の相手が暗躍しているのなら、国内に現存する光の戦力のみでは闇に勝利することは出来ないと判断した。
目覚めたあの日から、〝何故か〟属性を殆ど回復させる事が出来ずにいた無力な私は、偽物のユウトの行動を常に監視する為だけに行動いていた。
そんなある日、不敵な笑みを浮かべながら偽物のユウトが私の部屋を訪ねて来た。
「ユカリ。光の人間達を宣告の演台に集めてくれ」
「……人々に何をさせる気ですか」
「お前は黙って聞いてりゃ良いんだよ……まあ安心しろ、〝俺は〟手を出さねえからよ」
偽物のユウトはそれだけ伝えると、ユカリの部屋を後にした。
その言葉に反抗した場合、私の現状の力では光の人々を暴走する偽物のユウトから守る事が出来ないと判断した私は、逆らわずに宣告の演台へと隊員達及び周辺の人々に集まる様に連絡した。
そして集まった人々と演台の間に、現状で創り出す事が出来る結晶の障壁を創り出し、偽物のユウトから人々を守る策を講じ、地上からの護衛をレンとヒナに依頼した。
そして準備を整えた私は、宣告の演台に立ち尽くす偽物のユウトの元へと向かった。
―*―*―*―*―
「やっと来たか、ユカリ」
偽物のユウトは、ユカリの到着を確認すると両手を上空へと掲げた。
「光の人間共!今から起きる最高の出来事をしっかりと目に焼き付けておけよ!」
偽物のユウトが手を掲げて叫んだ瞬間、上空の雲が巨大な円状に消し飛ぶと、円の中央部に突然巨大な隕石が出現した。
上空の光景を目の当たりにした人々は、以前の隕石を遥かに凌駕する直径千メートルを優に超える巨大な隕石に対し、呆然と立ち尽くしたまま誰一人として逃げようとしなかった。
抵抗する気力すらも削ぎ落とす絶望的な状況の中で唯一の希望と言える、光の導き手がこの状況を打開してくれる事を信じて。
「そんな……」
異常な光景を目の当たりにしたユカリは、上空に現れた隕石の規模、地上との距離などを瞬時に分析した。
だが、以前よりも巨大な隕石に対抗する為の分析は、以前よりも残酷な結果しか導き出す事が出来ずユカリはその場にへたり込んでしまった。
絶望の表情を浮かべているユカリを見ていた偽物のユウトは、声を上げて笑っていた。
「光の導き手がそのザマじゃあ、光の人間共もこれで終わりだな」
誰もが日本の終焉を確信したその時、突如〝蒼髪の少女〟がユカリと偽物のユウトの間に姿を現した。
「……え?」
「あ?……なんだ、誰かと思ったら〝右腕様〟じゃねえか」
「なっ!」
(右腕?……この子が?)
戦意喪失していたユカリは、地面にへたり込んだ状態で目の前に現れた少女を見上げていた。
「〝白い服〟なんか着てやがるから気が付かなかったぜ。なんか用か?右腕様よぉ……ここにいると隕石に巻き込まれちまうぞ?」
少女は偽物のユウトの質問に反応を示す事なく、背後に座っているユカリに視線を向けた。
(チッ!無視かよ)
「貴方がユカリ?」
「……はい」
向けられた冷たい視線に身体を強張らせながらも、ユカリは小さく頷いた。
「あんな奴とユウトを間違えるなんて……本当にユウトと同じ存在なの?」
「……なんで貴方が、ユウトの事を——」
「おいっ!無視すんじゃねえよ!」
ユカリの質問を遮る様に怒号を発した偽物のユウトは、怒りの形相で少女を睨み付けていた。
「煩い。怒りたいのは、私の方です」
少女が両手を下に下げると、その手元に紅緋と紺碧の双刃が形成された。
(あれは……〝創造〟?)
少女を注視すると、薄らと手首に結晶の腕輪が付いている事が確認出来た。
「全てにおいて遙かに劣る貴方が、ユウトの偽物を語る事は……私にとって赦し難い事なんです」
「……おいおい、俺は味方だせ?味方に対して挑発してくるなんざ、てめぇ一体どういう了見だ?」
「いつから私は貴方の味方になったんですか?〝転生〟した私の味方は、ユウトただ一人です」
少女の発した言葉に、偽物のユウトは驚愕の色を見せた。
「転……生……だと?あ、〝あいつ〟の右腕のお前がか?冗談キツいぜ」
偽物のユウトは平静を装う為に、顔を痙攣らせながら作り笑いを浮かべていた。
「ユウトの顔で、それ以上喋らないで」
少女がその場から姿を消すと、偽物のユウトの身体は真っ二つに斬り裂かれた。
「おっと!あっぶね!」
真っ二つにされたユウトは水の塊となって弾け飛び、中から目付きの悪い琥珀色の瞳をした漆黒の髪の男が現れた。
斬撃を回避した黒衣の男は、少女から距離を離す為に後方へ飛び退いた。
「お前、マジで転生しやがったのか!」
少女の行動から真実を悟った男は、冷や汗を掻きながら対峙する少女に向けて叫んだ。
「私は先程、喋るなと言った筈です……それにお前じゃありません。今の私は〝ユウ〟です」
そう告げたユウは、自身の持つ双刃に属性を纏わせた。
双刃に纏われた炎は紅と蒼に煌き、一対の双刃の上で荒々しく燃え盛っていた。
「馬鹿な奴だ。〝あの人〟がこちら側に存在する限り、光の人間共に勝ち目なんて無いんだぜ?……まあ転生しちまった奴に今更伝えた所で既に手遅れだがな」
男はユウの忠告を無視する様に喋り続けると、上空から迫り来る隕石を指差して不敵な笑みを浮かべた。
「お前らは〝あの人〟と出会う事なく、あの隕石に潰されて終わる事になんだからな!」
「……何故私が、貴方の相手をしているのかさえも理解出来ていないなんて、やはり貴方はユウトには到底及びませんね」
「……なんだと」
男の前に立っていたユウは、静かに上空を指差した。
ユウが指差した先には、ユウと同じ〝白い隊服〟に身を包み、黒い髪を靡かせた一人の少女が真っ白な翼を広げて立っていた。
「……ユウト」
あの時とは異なり、はっきりとした繋がりを感じたユカリは、上空の少女に向けて言葉を発していた。
「正気か?……無理に決まってんだろ!あの時より巨大な隕石だぞ!」
「貴方との会話は時間の無駄です。それに、無理なのは貴方が生存出来る可能性です」
意識を上空に向けていた男に向けてユウは、属性を纏った双刃で容赦の無い複数の斬撃を放った。
「なっ!」
意識外からの斬撃に対して反応が遅れた男は、放たれた斬撃をまともに喰らった。
「がはっ……くっ……そがぁ!」
その後も繰り返し放たれた斬撃を身体に浴びた男は、地面を数回転がり以降動く事は無かった。
「貴方が戦闘において私に劣っている事も、操られていない本来の私に勝つ可能性が無い事も、最初から分かり切った事です」
ユウが言葉を言い終わると同時に、地上で人々の護衛をしていたレンとヒナは、ユカリからの指示を仰ぐ為に宣告の演台に辿り着いた。
「ユカリ!大丈夫ですか!」
へたり込んでいたユカリの元へと一目散に駆け寄ったヒナは、ユカリが無傷である事を確認すると安堵の表情を浮かべた。
(……あの少女は?)
レンは宣告の演台にいる蒼髪の少女ではなく、上空に立ち尽くす黒髪の少女を見つめていた。
空中に浮かぶ少女が右手を隕石に向けて翳した瞬間、大量に創り出された結晶の盾によって隕石の外壁を隙間なく包み込みんだ。
そして、結晶の盾に覆われた隕石を更に覆う様に無数の結晶爆弾が内側に創り出された。
「……終わりですね」
ユウがそう口にした瞬間、結晶内の隕石は結晶爆弾は紅の光を放ちながら爆発し、内部の隕石は白い発光と共に衝撃波を放ちながら大爆発を引き起こした。
「流石……ユウトです」
ユウは結晶内の爆発による光を浴びながら、隕石の最後を静かに見届けているユウトの姿に、目を輝かせていた。
「あの子が……ユウトだって?」
(あの〝天使の様な女の子〟が……)
ユウの言葉を聞いたレンは、少女の姿をしたユウトに視線を向けた。
(これがあの日、ユカリに創り出された……今の君の強さか……流石だよ、ユウト)
空に浮かぶ少女を見つめていたレンは、親友の成長を心から喜んでいた。
そして、そんな天使の様に美しい少女の姿を一目見たレンの中には、もう一つ別の感情が芽生えていた。
(僕は……親友だった少女に恋をした)
0
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!
月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、
花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。
姻族全員大騒ぎとなった
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


