創造した物はこの世に無い物だった

ゴシック

文字の大きさ
44 / 206
第1章 光の導き手

第41話 Love like snow

しおりを挟む
 自室に戻ったユウトはベットに横たわると、ゆっくりと瞳を閉じた。

―*―*―*―*―

 ※心の中では「」と()の意味が逆転しています。
 「」 心の声  () 会話

 心の中

 (ここは……どこだ?……いつもの場所なのか?)

 辺り一面に〝真っ白な雪〟が降り積もっていた筈の世界は、息が詰まりそうな程の負の感情を帯びた〝黒い雪〟が降り積もっていた。

 (やっと……来たんだね)

 視界の先に現れたのは、身体中に刀傷を負ったユウト(女)だった。

 (なっ……お、おいっ!どうしたんだその傷!)

 (僕よりも気にする事が他にあるだろっ!!)

 駆け寄ったユウトに対して、ユウト(女)は激しい剣幕で叫ぶと、おもむろに自身の背後を指差した。

 (ケジメをつけて来なよ。君が、信じる者の為に)

 (何を言って——)

 パキィィィィン

 ユウトの声は、突如黒い空間に響き渡った甲高い音に掻き消された。

 (っ!)

 咄嗟に耳を塞ごうとしたユウトは、自身に迫り来る無数の衝撃波に気付いた。

 (音だけじゃ無いのか!)

 響き渡る轟音と共に迫り来る衝撃波を、結晶の障壁で防いだ。

 (くっ!次から次へと、なんなんだ一体!)

 ユウトは周囲を見渡し、音の発生源を探し始めた。

「あれ?……あいつ、どこに行ったんだ?」

 音の発生源を確認する為に周囲を見回した時には、既にユウト(女)の姿は影も形も無かった。

「あいつ、何を伝えたかったんだ?」

 頭に浮んだ疑問を振り払うように首を横に振ったユウトが視線を戻すと、黒い景色の中に佇む微かな人影に気が付いた。

 (あれは、ユキ……なのか?)



 そこに立っていた少女は雪を彷彿とさせる白い服とは真逆の黒衣を身に纏い、鋭く向けられた冷たい眼光は小紫色に染められていた。

 ((……ユウト))

 ユキ?は冷たい眼差しをユウトに向けたまま、掠れた声で呟いた。

「なんだ?声が二重に聞こえる」

 (お前……ユキなのか?一体どうしたって言うんだよ!あいつも、お前も……この世界も)

 (ははは……全部お前のせいだぜ?ユウト)

 視線の先に佇んでいたユキは不適な笑みを浮かべ、別人の様な口調で話し始めた。

 (お前さ……姿が変わって自分が強くなったんだと勘違いしてないか?お前が強くなったのは、〝俺〟が力を貸してやってるからだぜ?)

 (俺?……っ!まさかお前、闇のドームにいた人型か!)

 (正解……と言いてぇが、ここにいるのは俺〝一人〟じゃないぜ?)

 そう言うとユキ?は、右手に雪月花せつげっかを創り出した。

 (……私自身の意志でもあるの。あんたを、殺す事が)

 ユキ?からは先程までの笑みが消え、聞き覚えのある口調で話し始めた。

「口調が変わった?」

 (……ユキなのか?)

 問い掛けられたユキは表情を一切変える事無く、静かに頷いた。

 (俺を殺す事が、お前の意思だって言ったのか?俺……お前に怨まれる様な事をした覚えは無いぞ?)

 ((してんだよっ!!))

 ユウトの言葉を聞いた瞬間、無表情だったユキは突如鬼の様な形相で怒号を発した。

「っ!また声が二重に聞こえた!くそっ!……この声のせいでユキの意思なのか判断しづらい!」

 (俺が一体何をしたって言うんだよ!)

 ユウトの投げ掛けた問いに対しての答えは、急接近したユキ?から振われた斬撃となって返ってきた。

 (くっ!)

 ユウトは咄嗟に創り出した結晶刀クリスタリアで、ユキの払った雪月花を受け止めた。

 (お前の仕業か!人型野郎!)

 ユウトの言葉に反応したユキは、再び不適に笑い始めた。

 (俺の意思じゃねぇよ……お前がこいつの〝想い人〟を取ったんだろ?)

 (は?何を言って……)

 そこまで口にしたユウトの脳裏には、レンの顔が浮かんだ。

 (まさかレンの事か?……ユキ!もしお前がそう思っているのなら、それはお前の勘違いだ!)

 (っ!ふざけんなっ!!)

 再び怒りに満ちた表情を浮かべだユキは雪月花に冷気を纏わせると、均衡していた刃を力任せに押し返しユウトを吹き飛ばした。

「くっなんだこの馬鹿力!これが今まで発揮しなかったユキの本気なのか?」

 吹き飛ばされながらも、ユウトは追撃に備えて身構えた。

 ユウトの予想は的中し、ユキは無数の氷柱をユウトに向けて放った。

 (そんな攻撃っ!)

 背中に白い翼を創り出したユウトは、その翼で身体の前面を覆う事で迫り来る氷柱を全て防いだ。

 (この氷柱はお返しするぜ!)

 翼を勢いよく広げると同時に、刺さっていた氷柱はユキに向けて放たれた。

 (……自分の攻撃に当たる訳ないでしょ?)

 冷静さを取り戻したユキは、無表情のまま迫り来る氷柱を微かな動きのみで避けて見せた。

 (ユウト……あんたはレンの事、どう思っているの?)

 (そんなの、親友に決まってるだろ)

 (それは〝男のユウト〟でしょ?……私は、あんたに聞いてるの)

 (俺は男だ。レンに対しては何も——)

 (嘘。今のあんたには、女性としての感情がある筈……私の中にいる人型から聞いた)

 ユウトは心の中にある戸惑いを隠しつつ、ユキとの会話を続けた。

 (人型から?あいつが俺の何を知ってるって言うんだ?)

 (男の姿の時は男性としての感情を……女の姿の時は女性としての感情を……それぞれ持っているって)

 (そんな訳が……)

 (あるでしょ?……現に、あんたがレンの事を意識しているんだから)

 (っ!)

 ユキの言う通り、女の姿である今のユウトの脳裏には常にレンの姿があった。

 (俺が……レンを?馬鹿馬鹿しい……俺はレンの事なんか——)

 (それをレンに言える?)

 ユキは困惑している状態のユウトが絞り出した言葉を遮り、冷たい眼差しを向けながら問い掛けた。

 (それは……)

 (この場所からずっと見てた……そして気付いたの、レンの意思に)

 (レンの意識?)

 ユキは感情を隠していたが、雪月花の刀身は負の感情によって小刻みに震えていた。

 (あんたには……絶対教えない。私が感じる事が出来た……最後のレンの意識だから)

 雪月花の切先をユウトに向けたユキの瞳は、負の感情によって光を失っていた。

 (あんたを殺して、私がユウトになり変わる。レンの事が一番……一番好きなのは、私なんだからっ!)

 (……俺だって)

 ユウの言葉を聞いたユウトは、右手に携えた結晶刀を強く握りしめた。

「ここに来た時にあいつの言っていた言葉の意味が、ようやく解った……これがつけなきゃいけないケジメが」

 ( 俺の心の中で起きていた全てに……俺自身がケジメをつける!)

 ユウト(女)の言葉を理解し決意を固めたユウトの瞳は、荒々しく燃え上がる炎の様に紅く燃えたぎっていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

汚部屋女神に無茶振りされたアラサー清掃員、チートな浄化スキルで魔境ダンジョンを快適ソロライフ聖域に変えます!

虹湖🌈
ファンタジー
女神様、さては…汚部屋の住人ですね? もう足の踏み場がありませーん>< 面倒な人間関係はゼロ! 掃除で稼いで推し活に生きる! そんな快適ソロライフを夢見るオタク清掃員が、ダメ女神に振り回されながらも、世界一汚いダンジョンを自分だけの楽園に作り変えていく、異世界お掃除ファンタジー。

「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】

小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。 これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。 失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。 無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。 そんなある日のこと。 ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。 『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。 そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……

勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜

エレン
ファンタジー
 私は水無月依蓮《みなづきえれん》、どこにでもいる普通の女子高生だ。  平穏な生活を送っていた私は、ある日アルテナと名乗る女神に召喚されてしまう。  厨二臭いその女神が言うには、有給休暇で異世界冒険したいから、従者としてついて来なさいとの事。  うん、なんだその理由は。  異世界なんて興味ない、とっとと私を元の場所に返せ。  女神を殴ったり踏みつけたりしてやっと返してもらえるかと思いきや。  え? 勝手に人間を異世界に呼ぶのは天界の掟で禁止? バレたら私も消される?  ふざけるなー!!!!  そんなこんなで始まる私とポンコツ女神アルテナのドタバタ異世界冒険。  女神が貴族をハゲさせたり、「器用貧乏・改」と言うふざけたスキルを習得したり、ゴブリンの棲家に突撃する羽目になったり、手に入れた家が即崩壊したり、色々起きるけど全てを乗り切って見せる。 全ては元の世界に帰るために!!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~

秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」  妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。  ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。  どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。

規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます! 〜王子の機転が国家を救う!?〜

婚后 清羅
ファンタジー
子供たちはただ遊んでいるだけなのに?王子の機転が国家を救う!?痛快ファンタジー!  平和な田舎町コレットに住む少女キスティーは、全属性の魔法を極めた規格外の魔力を持っていた。しかし彼女にとって魔法は「家事があっという間に終わってしまい、毎日の楽しみを奪うもの」でしかなく、その力を使うのはもっぱら幼馴染のアリシア(精密な無詠唱魔法の使い手)、ギルバート(規格外の強靭な肉体の持ち主)との「遊び」の中だけだった。  そんな彼女たちの前に、視察団として身分を隠した第三王子レイエスが現れる。王子は、三人が国家級の脅威である魔獣たちを、ただの「遊び」の延長で、一撃のもとに仕留める光景を目の当たりにし、驚愕する。この国の常識を遥かに超えた彼女たちの力は、本人たちにとってはあくまで「日常の遊び」に過ぎなかったのだ。  王子に同行している騎士団長は、自らの部隊が命懸けで挑む難敵を、遊び感覚で仕留める彼女たちの振る舞いに、常に顔を青ざめさせ、胃を痛め、絶叫に近いツッコミを入れ続ける。  レイエスは確信する。各地で活発化する魔獣の脅威を退け、王国の平和を守る鍵は彼女たちの力にあると。しかし、義務や名誉に興味がない自由奔放な彼女たちを、騎士団などの堅苦しい枠に閉じ込めることは不可能だ。そこでレイエスは、一石二鳥の妙案を思いつく。それは、彼女たちを「働かせる」のではなく、討伐対象がいる危険地帯へ「遊び」という名目で誘い出すことだった。  レイエスは親たちへの根回しを完璧に済ませ、再び三人の前に現れる。「褒美に海へ遊びに行こう」という誘いに、三人は、王子様が自分たちを騙して捕まえようとしてるのではないかと疑うが、結局未知なる冒険という名のピクニックへと旅立つことになる。  こうして、規格外の力を持つ三人と、彼女たちを「遊び」で導き、その力を正しく制御しようとする王子の奇妙な旅が始まる。彼女たちが無邪気に遊ぶたび、王国を脅かす難敵は露知らずのうちに駆逐されていく。自覚なき救世主たちのドタバタな日常が、世界の運命を静かに、そして豪快に変えていくのである。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 【2025カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト中間選考通過作品】 ・規格外の魔法少女は『遊び』と称して魔獣討伐行ってます!?

我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を得られたら〜

一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。 高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。 舞台は2025年、 高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は 異世界漫画研究部の部長をしています。 同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに できてすぐ侵入します。 オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。 そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!? ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。 一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。 キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。 「いいね」頂けるととても嬉しいです! 「お気に入り」登録も最高に嬉しいです! よろしくお願いします! ※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。

処理中です...