創造した物はこの世に無い物だった

ゴシック

文字の大きさ
93 / 204
第2章 紡がれる希望

第33話 帝国の精鋭

しおりを挟む
 ロシア本部ツァリ・グラード

 ユウトが闇のボスと交戦する一週間程前にユカリからの薦めで、光拠点の入り口付近に設けられた転移エリアに向けて転移した日本の主力達は、眼前に広がる景色に目を奪われていた。

「わぁ……凄い綺麗な拠点!」

 転移エリアから出たシュウは、目を輝かせながら装飾のきらめくツァリ・グラードを見つめていた。

「日本のシンプルな拠点に比べると、外見の豪華な拠点なんだな」

「あぁ……装飾の主張がうるさい程にな」

 遅れてやって来たカイとエムの二人は、広大な敷地内に広がる光拠点を見回りしているシュウを見守っていた。

「ねぇねぇお兄ちゃん!ユカリに頼めばミニチュアのロシア拠点創造して貰えないかな?」

 目を輝かせていたシュウは、興奮した様子のままカイに駆け寄るとツァリ・グラードを指差しながら質問をした。

「出来るんじゃないか?この結晶で創られたロシア拠点を見る限り、ユカリが資料を元に創造した拠点だろうからな」

「ホントにっ!やったー!!」

 カイの言葉を聞いたシュウは、嬉しそうにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねていた。

「シュウ……お前、観光に来た訳じゃねぇんだぞ?」

 そう口にしたエムは、楽しげなシュウを見つめていたカイの隣で小さく溜息を吐いていた。

「それはそうだが……こんな世の中だ。戦い以外に気の紛れる様な、綺麗な光景を見て疲れた心を癒す事も大事だと思うぞ」

 隣でエムの呟きを聞いていたカイは、せわしなく拠点を見回しているシュウを優しげな眼差しで見守りながら言葉を返した。

「俺は戦いだけでも良いんだが……まぁアメリカに向かった奴等も同じ事やってそうだし別に問題はねぇか」

 そんな事を話していると、ツァリ・グラード入り口付近に白い軍服を着た隊員達が集まり始めた。

「隊列を組めっ!」

 一人の女性が大声で指示を出した瞬間、隊員達は次々と規則正しく隊列を組み始めた。

「ふわっ!な、ナニゴト?」

 怒号にも聞こえる声に驚いたシュウは、ツァリ・グラードの観察を中断してカイの元へ急いで戻った。

「全隊っ!前へ進めっ!」

 声と共に規則正しく歩いて来る隊員達の前には、他の隊員とは雰囲気が異なる薄緑うすみどりの髪をした女性がいた。

「全隊停止っ!……敬礼っ!!」

 ピタリと停止した隊員達は、その場で脇を広めに開け右手で敬礼をしたまま停止した。

「シュウ様・カイ様・エム様ですね、お待ちしていました。私は、ロシア光拠点本部ツァリ・グラード戦闘部隊総司令〝アーミヤ〟と申します」



 大軍勢を率いて三人の前にやって来たアーミヤは、紅碧べにみどりの瞳で事前に確認していた情報と照らし合わせる様に三人に視線を向けると、隊員達の前に立ち敬礼をしながら挨拶をした。

「うわぁ……仰々しい」

 人生で一度見るかどうかと思える程の隊員達を前に敬礼をする女性の姿を見ていたシュウは、唖然としながら心の声を漏らしていた。

「こちらこそ、初めましてアーミヤ。俺は、日本の西拠点ルミナで主力を務めるカイだ」

 カイは、ユカリの右腕として活動を共にしていた経験から目の前に広がる光景に動じる事なく、普段通りの挨拶を返していた。

「西拠点ルミナのエムだ……宜しくな」

 エムは隊員達の堅苦しさを嫌い、目を逸らすと少々気怠そうに挨拶を返した。

「ぼ、僕はシュウだよ!僕も日本の主力だからね!」

 呆然としていたシュウは、二人が挨拶をした事に気付くとカイに隠れる様に背後に回ると、顔を少々出してアーミヤに視線を合わせながら挨拶を返した。

「存じ上げております。導き手より事前にご連絡頂いておりましたから」

 アーミヤはそう言うと、背後に手を伸ばし隊員達に指示を出そうとした時、ツァリ・グラードの入り口から一人の女性の声が聞こえて来た。

「騒がしいと思ったら……やっぱりアーミヤだったのかよ」

 声に気付いた隊員達は、入り口から歩いて来る女性の通り道を作る様に左右に分かれた。

「隊員達まで連れて、何仰々しい挨拶してんだ?」

 そう言いながらルミアに近付いて来た蒲公英色たんぽぽいろの髪をした白い隊服の女性は、隊員達に花萌葱はなもえぎの瞳を向けると右手を高らかに掲げた。



「堅苦しい挨拶に付き合ってくれてありがとな!取り敢えず挨拶は済んだみたいだからゆっくり休んでくれ」

 女性の声を聞いた隊員達は、多少困惑した表情を見せたが女性の立場を知っていた隊員達は、敬礼を辞め徐々にツァリ・グラード内に戻って行った。

 その間女性の隣に立っていたアーミヤは、俯きながら身体を震わせていた。

「〝パベーダ〟……総司令である私の許可無く隊員達に指示を出すとはどう言う了見だ!」

 怒りの形相で声を上げたアーミヤは、ポケットに手を入れたまま隣に立っているパベーダを睨み付けた。

「アンタはいちいち堅苦しいんだよ!隊員達まで巻き込みやがって!一昔前に終わってんだよ、そんな仰々しい挨拶は!」

 睨み付けるアーミヤの額を右手の人差し指で突いたパベーダは、両手をヒラヒラさせながら薄ら笑いを浮かべていた。

「くっ!他国からお越しになった方々への礼儀だ馬鹿者が!そもそも隊員達には強制していない……この場にいた隊員達は、来客に挨拶をすると口にした私に同行を希望した者達だけだ」

 額を両手で抑えるアーミヤは、パベーダの腹部に紫色のあざが何箇所かある事に気が付いた。

「お前、その怪我はどうした?」

 腹部を指差されたパベーダは、表情を曇らせると腹部を手で覆いそっぽを向いた。

「なんでもねぇよ……くそっ」

 パベーダの態度で何かを悟ったアーミヤは、小さく溜息を吐いた。

「はぁ……お前またロキに掴みかかったな」

 ロキの名前を出されたパベーダは、不機嫌そうにアーミヤに視線を戻しながら腹部のあざを数度さすった。

「アタシは任務で奴が起こした可能性がある不祥事を問いただそうとしただけだ!」

―*―*―*―*―

 パベーダはツァリ・グラード内にある人の居ない物置部屋に入ると、徐にロキの胸ぐらを掴み壁に押し付けた。

「ロキ!お前、後方狙撃隊の将官である自覚はあるのか!」

 パベーダに鋭く睨み付けられたロキは、小さく溜息を吐くと胸ぐらを掴むパベーダの右手を掴み返した。

「お前こそなんだ?理由無しでこの仕打ち……理由を話せ、お前への躾はその後にしてやる」

「お前の指揮する隊員に聞いたんだよ!残党探しに向かった隊員達を数人死なせたってな!」

 ロキとパベーダは、南部から侵攻して来た闇の人間達をソーンが返り討ちにした跡地に残存する可能性がある南部の調査を行なっていた。

 パベーダは前衛部隊を指揮する将官を務め、ロキは後方支援及び遠距離狙撃部隊の将官を務めていた。

 そんな中、ロキの指揮する隊員達の内数名が隊列から離れた際に残存していた闇の人間によって殺害された。

 殺された隊員と親しい関係だった隊員が違和感を感じた為、ロキに捜索を提案した事で離れた隊員達が全員命を落としている事が発覚した。

「隊員達の管理はアタシ達の仕事だろ!隊列の乱れをお前なら把握していた筈だ!」

「……チッ」

 ロキが鋭い眼差しでパベーダを睨み付けた瞬間、パベーダの腹部に強い痛みが走った。

「がはっ!」

 胸ぐらを掴まれていたロキは、パベーダの腹部目掛けて膝蹴りを食らわせていた。

「予想通りの下らない理由だったな」

 手加減無しの蹴りを喰らったパベーダは、身体を揺らしながら後退し地面に膝を付いた。

「隊員数は数百人以上いた……その中で数人が欠けた所で気付く奴がいるのか?」

「ぐっ……アタシの聞いた隊員は、お前に言伝をしてから抜けて行ったと言っていたぞ」

 腹部を抑えながらゆっくりと起き上がったパベーダは、再びロキに近付き睨み付けた。

「ああ、『向こう側の確認は任せて下さい』とな……俺は奴等の意見を尊重して行かせてやったんだ」

「それで命を落としたらそいつらの責任だと?……隊員達がお前を信用しているから出来た行動じゃないか」

 ロキは戦場では、知力と属性を活かした戦い方で隊員達に的確な指示を出す事で、隊員達からの信頼も厚い存在だった。

 任務中に死者を出す事も無いロキだったが、唯一死者を出す任務が残党確認の任務を行なう時だった。

 以前から注意不足が原因だとパベーダは注意をしていたが、今回も例に漏れず隊員達を死なせる結果になってしまった。

「俺だって一人の人間だ。認識出来る範囲には限りがある……敵の残存している可能性がある中で、俺がいるから安全だと高を括り、少数で行動した奴等に問題があると思うがな」

「っ!アタシが許せないのは、危険を承知だったにも関わらず隊員達を無闇に死なせる許可を出すお前の考え方だ!」

 再び怒りに任せて掴み掛かろうとしたパベーダに対し、ロキは先程よりも強い足蹴りを腹部に食らわせた。

「ぐふっ」

 力強い蹴りを受けたパベーダは、保管されていた物資の載った棚を薙ぎ倒しながら後方へと吹き飛んだ。

「自分の身ぐらい自分で守れ……それが戦場で戦う人間の在り方だ。俺に着いて来る奴は勝手に着いて来ればいい……自分勝手に離れた奴が、何処でどうなろうと俺の知った事じゃない」

 ロキはそう言うと乱れた服装を整え、物置部屋から出て行った。

「くっ……何であんな奴が将官に」

 受けた痛みによって起き上がれずにいたパベーダは、薄暗い物置部屋の天井を見つめながら言葉を漏らしていた。

―*―*―*―*―

 苛立ちを露わにするパベーダに歩み寄ったアーミヤは、自身の水のマイナス属性を使用して腹部のあざを治癒し始めた。

「以前警告しただろう……アメリカを中心に差別問題に取り組み贔屓ひいきのない平等な社会になっている今は、感情任せな行動は特に慎めと」

「……」

 身体に触れる水の冷たさに身体をピクリと動かしたパベーダだったが、腹部の痛みが緩和していくと徐々に冷静さを取り戻していった。

「人種や性別を問わず意見を出し合い、正しいと感じる意見を通す事が出来るようになったが、立場が平等になった事で性別問わず個々の有する身体能力によって前線と後方支援に抜擢ばってきされるようになった」

 ヨハネが前線で猛威を奮っていた事と同様に、属性や身体能力によって配属先が選ばれる様になっていた。

 勿論個人に拒否する権限は存在するが、戦闘能力がありながら支援部隊を選択する事は出来ない。

 その為、光拠点の隊員として所属する者もいれば所属する事なく個人で拠点に所属している隊員達に支援を行なう人間もいる。

「性差別の撲滅は、あくまで立場を対等に保ち女性の意見を男性と平等に通す為の政策だ。性別的優位に立てる社会は既に無い。理由もはっきりせずに感情に任せ突然掴みかかれば女性だろうと容赦無く拳や蹴りが飛んでくる……ロキの性格を知っていながら手を出したお前の自業自得だ」

 差別自体が無くなったとしても、歴史上続いてきた関係が消滅する訳ではない。

 表面上は差別が無くなった様に見えているが、光拠点に所属している隊員達の中で前線部隊に所属している女性に比べると、後方支援部隊に所属している女性の方が多い。

 属性による身体能力の向上は、男女問わず存在しているが前線で活躍している人間達は、経験も豊富かつ属性力の強化速度も後方支援部隊員に比べて遥かに高い。

 そんな状態を均衡に保っている存在が、各光拠点に存在する主力達である。

 後方支援部隊に所属していながら前線でも通用する程の実力を持つケフィやヒナが存在する様に、互いの優劣を曇らせる存在が光拠点内では重宝されている。

 そんな中であろうとも拠点内で争いになってしまう可能性が少なからず有り、被害者が自己防衛の為に加害者に多少の荒療治をした際に、理由の詳細に関する調書や状況把握の末に許された事例が現在までに数回あった。

「防衛の為に加害者をどれだけ傷付けようと属性による治癒で傷は綺麗に治る上、加害者側に非があるのだから被害を受けた側で容赦する人間も少ないだろう。お前の身体が殆ど傷付かずに済んでいるのはロキなりの配慮だろう……ロキの方がお前よりも余程冷静だったようだな」

 腹部の治癒を終えたパベーダは、アーミヤに背を向けると一言だけ感謝を告げた後そのまま拠点内に戻って行った。

「なんかロキって人とパベーダの関係ってユウトとエムに似てるね」

 カイの背後で隠れていたシュウは、笑みを浮かべながらアーミヤ達を見ているエムに視線を向けた。

「確かに似ているな」

 シュウの言葉に苦笑いを浮かべたカイは、隣に立っていたエムをチラリと見た。

「聞こえてるぞお前ら。互いに譲れない信念があるから拳を交えるんだろうが、俺の場合は口には出すが基本的に手は出さねぇ……出す時は信念関係なくアイツがムカついた時だけだ」

 ((やっぱり同じだな))

 その言葉を聞いた二人は、腕組みをするエムを見つめそう感じていた。

―*―*―*―*―

「来たか……〝ブラコンの泣き虫〟が」

 入り口前で会話をする三人を見下ろせる位置にある窓から外の様子を確認していた男性は、ポケットに入れていた黒い通信機を取り出した。

「終焉への秒針は確実に進み続けている」

 男性の持つ黒い端末に映し出された文字には、薄らと三つの文字が表示されていた。

〝JPN〟
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...