13 / 146
突き進め!偽装ファミリー
11話:愛しの城島先輩
しおりを挟む
ずんずんずんずん。
怒りが収まらない美園は、1日の癒しを求めて生徒会室に向かっていた。廊下を踏みしめる足取りが乱れているのも、全て動揺と憤りの結果だ。
けれど、あと少しで愛しの生徒会長に会える。
そう考えただけで歩調か軽くなってくるのだから女心とは不思議なものだ。
美園は目的の教室に近づく数メートル手前で乱れた歩調を整え、深呼吸をする。そして、教室の前で足を止め髪に軽く手櫛を入れた後、生徒会室の扉をノックした。
「どうぞ」
中から涼し気な声が返ってきた。
美園は「失礼します」と、よそ行きの声を出して、生徒会室に足を踏み入れた。
室内には窓を背にして難しい表情で本を読んでいる青年がおり、美園に気付くとゆっくりと顔をあげた。
「やぁ、美園君」
高めの身長にサラサラの髪をなびかせた我が高の誇るべきイケメン生徒会長=城島九音が口を開いた。少し低めの甘い声は、女性を官能の世界へ誘うようだ。
ま、眩しい。城島から放たれる甘美なオーラーは美園の目を眩ませるに余りある。
美園は折り目正しく、お辞儀をして挨拶をする。
「朝の挨拶を忘れてたので、お昼の挨拶にきました」
城島は美園をちらっと一瞥して、目を細めて微笑む。
「今日は美園君によく会う日だな」
「え?」
不思議そうに首を傾げる美園を見て、城島は顎をくいと動かして、隅に備え付けてあるTVを示す。
ちょうど、本日何度目か分からないモデルファミリーのCMが流れていた。
「ああ、紅茶のCMですか」
恐ろしいくらい脚色してあるんですけど――というセリフは言わないことにした。
「映像の美園君より、実物の美園君の方が素敵だけどね」
ドカン! 美園の心臓が爆発した。
実物の方が素敵? それ、マジで言ってらっしゃいます?
「それに弟さんも可愛いね」
「誠のことですか? ええ、まぁ、姉が言うのもなんですが、天使みたいな子ですよ。勉強せずにパソコンやスマホに夢中なのが問題ですけどね」
「まだ小学生だろ? 小さいうちは遊ぶのが一番だよ」
この人が父親だったら間違いなく理想の家庭が築ける、美園はそう確信した。
洋風の小さくて可愛い家、玄関扉を開けると誠のように愛らしい息子と真っ白な犬がしっぽを振ってお出迎え。
子供と犬を思いきり抱きしめた美園は、その奥でにっこり微笑んでいる城島のもとへ両手を広げて駆け出していく……。
想像の中で城島と美園は夫婦になり、子を成している。
何もない虚空を見つめて自分の体をぎゅっと抱きしめている美園は、完全に夢の世界だ。
なんびとたりとも城島との仲を裂くことはできない。それが神であろうと不可能だ。
なぜなら、2人は運命の赤い糸で結ばれているのだから――。
「――美園君、どうしたんだい?」
城島は、自分の体を両手できつく抱きしめ薄気味悪く微笑んでいる美園を見て、眉を顰める。
その声で我に返った美園は、慌てて言い訳を考える。
「あ、いや。ちょっと急に気になっちゃって、二の腕の肉が。ダイエットしなきゃな~なんて、エヘヘ」
両手を交差したまま、制服の上から二の腕の肉をぐいぐい掴む。
ちょっと危ない人になっているが、あの妄想を勘繰られるよりもマシだ。
その言葉を聞いた城島は「美園君はスマートだよ」と微笑んだ。
怒りが収まらない美園は、1日の癒しを求めて生徒会室に向かっていた。廊下を踏みしめる足取りが乱れているのも、全て動揺と憤りの結果だ。
けれど、あと少しで愛しの生徒会長に会える。
そう考えただけで歩調か軽くなってくるのだから女心とは不思議なものだ。
美園は目的の教室に近づく数メートル手前で乱れた歩調を整え、深呼吸をする。そして、教室の前で足を止め髪に軽く手櫛を入れた後、生徒会室の扉をノックした。
「どうぞ」
中から涼し気な声が返ってきた。
美園は「失礼します」と、よそ行きの声を出して、生徒会室に足を踏み入れた。
室内には窓を背にして難しい表情で本を読んでいる青年がおり、美園に気付くとゆっくりと顔をあげた。
「やぁ、美園君」
高めの身長にサラサラの髪をなびかせた我が高の誇るべきイケメン生徒会長=城島九音が口を開いた。少し低めの甘い声は、女性を官能の世界へ誘うようだ。
ま、眩しい。城島から放たれる甘美なオーラーは美園の目を眩ませるに余りある。
美園は折り目正しく、お辞儀をして挨拶をする。
「朝の挨拶を忘れてたので、お昼の挨拶にきました」
城島は美園をちらっと一瞥して、目を細めて微笑む。
「今日は美園君によく会う日だな」
「え?」
不思議そうに首を傾げる美園を見て、城島は顎をくいと動かして、隅に備え付けてあるTVを示す。
ちょうど、本日何度目か分からないモデルファミリーのCMが流れていた。
「ああ、紅茶のCMですか」
恐ろしいくらい脚色してあるんですけど――というセリフは言わないことにした。
「映像の美園君より、実物の美園君の方が素敵だけどね」
ドカン! 美園の心臓が爆発した。
実物の方が素敵? それ、マジで言ってらっしゃいます?
「それに弟さんも可愛いね」
「誠のことですか? ええ、まぁ、姉が言うのもなんですが、天使みたいな子ですよ。勉強せずにパソコンやスマホに夢中なのが問題ですけどね」
「まだ小学生だろ? 小さいうちは遊ぶのが一番だよ」
この人が父親だったら間違いなく理想の家庭が築ける、美園はそう確信した。
洋風の小さくて可愛い家、玄関扉を開けると誠のように愛らしい息子と真っ白な犬がしっぽを振ってお出迎え。
子供と犬を思いきり抱きしめた美園は、その奥でにっこり微笑んでいる城島のもとへ両手を広げて駆け出していく……。
想像の中で城島と美園は夫婦になり、子を成している。
何もない虚空を見つめて自分の体をぎゅっと抱きしめている美園は、完全に夢の世界だ。
なんびとたりとも城島との仲を裂くことはできない。それが神であろうと不可能だ。
なぜなら、2人は運命の赤い糸で結ばれているのだから――。
「――美園君、どうしたんだい?」
城島は、自分の体を両手できつく抱きしめ薄気味悪く微笑んでいる美園を見て、眉を顰める。
その声で我に返った美園は、慌てて言い訳を考える。
「あ、いや。ちょっと急に気になっちゃって、二の腕の肉が。ダイエットしなきゃな~なんて、エヘヘ」
両手を交差したまま、制服の上から二の腕の肉をぐいぐい掴む。
ちょっと危ない人になっているが、あの妄想を勘繰られるよりもマシだ。
その言葉を聞いた城島は「美園君はスマートだよ」と微笑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる