モデルファミリー <完結済み>

MARU助

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つかさとの攻防

42話:愛の告白

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 とんでもない場面に遭遇しているのかもしれない。
 美園は花壇の陰に身を潜めながら、目の前で行われている愛の告白の結末を息をひそめて見守っていた。

「ほんとうにずっと進藤君のことが好きだったの」
「うん、気付いてた」

 進藤つかさは向かい合っている女子生徒に、意外とそっけない言葉を返す。

「あの子……進藤君のクラスメートかな?」

 美園の横で身を隠すようにしゃがみこんでいた城島が、小声でつぶやく。

「……たぶん。つかさが仲良くしているグループのメンバーだと思います。よく廊下で楽しそうに喋ってますから」
「へぇ、詳しいんだね」
「……まぁ」

 つねにつかさに対して警戒しているせいで、彼を取り巻く人間関係にも詳しくなっていた。
 自分たちのすぐそばで美園達が覗いているとも知らずに、つかさたちの会話は続く。

「どうかな?」
「どうって?」
「私のこと、どう思う?」

 きりりとした目元に、すらりと伸びた手足。長い髪をポニーテールにした女子生徒は不安そうにつかさに問いかける。

「可愛いと思うよ。性格もいいし」

 つかさがそう答えた途端、美園の心臓がきりりと痛む。
 美園に対して絶対言わなそうなセリフを、こともなげに口にするつかさ。まるで別人のようだ。
 女子生徒の表情に、明るさが出てきた。頬にほんのり赤みも差してくる。

「だったら私とつきあ……」
「付き合うのは無理」

 女子生徒の言葉を遮るように、つかさが答える。

「どうしてだめなの? 私のこと嫌い?」
「そんなことないよ。でも好きでもない」
「……」

 いつものつかさとは違い、切り捨てるような言葉に相手も思わず一歩後ずさる。
 けれど、せっかく勇気を出した告白の機会、引き下がりたくなりという思いが彼女の気持ちを後押しする。

「……誰か…誰かいるの? 好きな子?」

 心もとなげな表情でつかさに問いかける女生徒のすぐそばで、美園も息をのんでその答えを待った。

「いるよ」
「……誰?」
「俺の背中を優しく洗ってくれたり、髪をとかしてくれたり、そんな素敵な子だよ」

 はぁ?!

 美園の中に怒りの炎がメラメラ燃えてきた。
 もちろん美園には全くあずかり知らないことではあるが、進藤に彼女がいたこと、背中を流し合う関係であることから想像するとずいぶん大人の関係に発展しているようだ。

 世良田一家の秘密はあぶりだすくせに、自分の秘密は一切明かさない。

「なんて卑怯なやつ」

 美園は腹に響く低い声で呟いた。
 その横で城島はクスリとほほ笑む。

「その子は誰なの?」
「――その子は……」

 言いかけたつかさは、くるりと美園達の方に向き直り、
「聞き耳をたてているやつらがいるから、内緒」と、悪魔のような笑みを見せた。
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