モデルファミリー <完結済み>

MARU助

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つかさとの攻防

43話:暴走する美園

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 泣きながら女子生徒が中庭から去った後、スコップ片手に肩をいからせている美園と、困ったように微笑む城島が花壇の陰から立ち上がった。

「おや、お2人さんお揃いですね」

 わざとらしくつかさがほほ笑む。

「うるさいのよ、分かってたんなら最初からそう言いなさいよ」
「いやいや、僕は君たちみたいに花壇に隠れてこそこそ聞き耳を立てる趣味はないんでね。モグラじゃあるまいし」

 その言葉を聞いた途端、美園は「やっぱり」と呟いて、小型の機械を突き出してみせる。

「これ、花壇の中に埋まってた」
「ほぉ、何ですそれ?」

 全て承知のくせして、惚けるつかさを前に美園の怒りもさらに増してくる。

「おかしいと思ったのよ、あたしたちの会話があんたに筒抜けになってて。そのことを先輩に話してみたら、中庭に盗聴器があるのかも、って教えてくれて、さっそく調べてみたらこのザマよ」
「盗聴器、そんな物騒なものが」

 つかさはあくまでシラを切るスタンスのようだ。

「フン、あんたって人の家族のことは詮索するくせに、自分のことは何にも言わないのね。どこの誰なのよ、あんたの彼女って」
「彼女?」

 つかさは首を傾げる。

「いるんでしょ、背中を流してイチャイチャしたり、膝枕して髪をとかしてくれる相手!」

 つかさが言った以上の脚色がなされているが、美園の中ですでに2人のあられもない姿が固定化している。
 お風呂上り、バスローブを羽織ったつかさの髪を優しく彼女が梳かす。
 その後、つかさは彼女のほほに手を添えて……。

「――不潔」

 ぼそりと吐き捨てる。
 その様子を見たつかさは勝ち誇ったような笑みを見せる。

「気になる? 俺の事?」
「は?」
「美園は俺に夢中なんだな」
「はぁ?」
「心配しなくても、今俺が一番気にしてるのは世良田一家の……」

 美園は握りしめていた盗聴器をつかさのおでこめがけて思い切り投げつける。
 コン! 見事に命中した。
 つかさは顔を顰めておでこを抑える。

「ふざけんじゃないわよ、あたしが夢中なのはあんたじゃなくて、城島先輩よ!」

 つかさに指を突き立て鼻息を荒く叫んだあと、ふと冷静になる。
 横に<美園が夢中の>城島本人がいることを、完全に忘れていた。

「げっ、最悪」

 頭の中で思った言葉が全て声となり出てくる状態で、美園はパニック状態だった。

「あのぉ……先輩、この前のヤクザ騒ぎに続き、重ね重ね本当に申し訳ありません」
「いやいや、やっぱり美園君と進藤君はおもしろいよ」

 どうしても美園と進藤をコンビで考えたがる城島を前に、美園は激しく首を振る。

「あたしとこいつは何の関係もないんです。誤解しないでください」
「う~ん、どうだろ。やっぱりお似合いだけど」

 いたずらっぽく微笑む城島を前に、つかさも追従する。

「でしょ? 俺たち裸を見せ合った仲ですから。今更、生徒会長だって入り込めませんよ」
「ちょっと、なんてこと言うのよ! いい加減なこと言わないでよ」

 とんでもない口から出まかせを言い始めたつかさを前に、美園は血相を変えて怒鳴り散らす。

「ちょっと落ち着けよ。今更恥ずかしがるなって。俺とお前の仲だろ」

 余計におもしろがって嘘を並べ立てるつかさを見て、何かを思いついたように美園はハッと目を見開く。

「あ…あんたまさか……盗聴どころか盗撮もしてたってことじゃないでしょうね?」
「いやいや」

 つかさは鼻の下を伸ばして笑う。

「謙遜してる場合じゃないのよ、このカス。あたしの知らない所であたしの裸を見てるってことは、そういうことよね」

 つかさは黙って目を閉じた。

「あんた、殺されたいの? ねぇ!」

 手をぐぅの形にしてつかさに詰め寄ろうとした美園は、真っ青な顔をして城島の方に向き直る。

「げっ、城島先輩がまだいたんだ。あたし、ちょっと今日はイライラしてて。いつもと違って乱暴な口調になっちゃって」

 仏様のように穏やかな表情で静かに頷く城島。底意地の悪い笑みを浮かべて、舌を出すつかさ。
 その2人の対比に絶望しながら、思い切りお腹にパンチを入れたい衝動を堪え、美園は城島にペコリとお辞儀をしてその場を走り去った。
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