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つかさとの攻防
44話:城島とつかさ
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後に残された城島は、再びプッと吹きだしつかさに目を向ける。
「おもしろい子だよね、美園君って」
「ええ。昔っから真っすぐな奴です」
「長い付き合いなの?」
「まぁ、長いっていうか……。てか、俺たちのこと探るのやめてくれません? そいういうの俺の仕事だから」
「ごめん、ごめん。つい好奇心が騒いじゃって」
城島はにっこり笑ってつかさを見た後、ふと思い出したように口を開く。
「そういえば、僕がヤクザだって話を美園君にしたのは君なんだって?」
「ああ、あくまで<噂>だって言いましたよ。そんなの信じてなかったでしょ、あいつ」
「どうだろう」
真っ青な顔をして生徒会室に入ってきた美園を思い起こしてみれば、高い割合で信じていたと断言してもいいだろう。
城島の表情を見て、つかさは呆れたようにため息をもらす。
「あいつ信じたんですね。本当バカだから」
「そうだね、美園君はいつも正直だから、全部顔に出てるよ」
そう言って、鋭い視線でつかさを見る。
「僕が服を脱いだら美園くん真っ赤になってたよ。ああ、この子はまだ何も知らない子どもなんだってすぐに分かった」
つかさも表情を硬くして城島を睨みつける。
「まだ汚れてない真っ白な体。たぶんとっても綺麗だよ」
「何が言いたいんです?」
低い声でつかさが呟く。
「いや、もしも僕が美園君をもらっちゃったら君はどうするかな、って」
「――――――」
「進藤君ってさ、いつも人当たりの良さそうな顔してニコニコ笑ってるけど、さっきの告白に対する断り方を見て思ったよ。君って性格悪いよね」
「そうですか? 気のない相手に期待をもたせるような言葉を言う方が性格悪いと思いますよ。先輩みたいに」
つかさの言葉を受け止め、城島は唇の端を釣り上げる。
なんだか嫌な笑みだ。
「美園に近づくのやめてもらえますか」
「そんなの僕の勝手だろ? それに向こうが僕のことを好きなんだから」
「そうは思えないです。美園はあなたの見た目に惹かれてるだけであって、中身なんて見てないですよ」
「中身? 僕の中身がどうだというんだい?」
おもしろそうに目を細める城島。
「なんだか嘘くさいんですよ、あなたのすべてが」
城島はピクリと眉を動かす。
「全部作られたキャラクターでしょ? 優等生のふりして、誰に対しても優しくて、品行方正で。ほんと嘘くさい」
「何が言いたい」
城島は押し殺した声でつかさを睨みつけた。
「俺こう見えても自称記者ですから。嘘ついてるやつは目を見れば分かるんです」
「――――――」
「俺、先輩とよく似た感じの奴を知ってますよ。すべてを嘘で塗り固めたような人工物。そんな感じのやつをね」
「――――――」
「もうやめたらどうです? 疲れるでしょ、人を欺くって」
城島は、瞬間的につかさの胸倉を掴むと自分のもとに引き寄せた。食いしばった歯の奥から、怒りを抑え込んだようなくぐもった声が響く。
「お前に俺の何が分かる。温室育ちのクソガキが偉そうに」
「温室育ちでもないですよ」
城島の怒りとは裏腹に、つかさの温度はますます冷えていく。
「いいか。俺のことにいちいち興味を示すな、嗅ぎまわるな。目障りだ」
ぐぃとつかさに顔に近づいた城島は、今まで彼が表に出したことのない狂暴性を覗かせる。
中庭にいた生徒たちがつかさたちの異変に気付き、心配そうにこちらの様子を伺っている。
それに気づいた城島は、つかさの胸倉から乱暴に手を外した。
つかさはその勢いで2.3歩後ろによろけるが、すぐに体制を立て直すと冷静に服の乱れを整えた。
その後、意味ありげな視線で城島を見たが、黙ってその場を去ろうとした。
しかし、ふと思いついて振り返る。
「今、本当の先輩に近づけた気がしますよ。いつも<僕>って言ってますけど、普段は<俺>って言うんですね」
そう言って、ひらひらと手を振りその場を後にした。
怒りで火照った体を冷やすように、城島は服の胸元をパタパタと動かし涼しい風を送りこむ。
「いるんだよな、たまに。勘が働くやつって」
そう呟いた城島の表情からは、諦めに似たような、新しい変化に期待するような、なんとも形容しがたい笑みが浮かんでいた。
☆☆☆
OJ: リエ、今度の金曜日に会えな!い?
リエ: OK! 大丈夫だよ、どこに行けばいい?
OJ: SHホテルなんだけど、来れる?
リエ: もちろん
OJ: ありがとう、楽しみにしてるよ
リエ: こっちこそ
OJ: じゃあまた
リエ: また
「おもしろい子だよね、美園君って」
「ええ。昔っから真っすぐな奴です」
「長い付き合いなの?」
「まぁ、長いっていうか……。てか、俺たちのこと探るのやめてくれません? そいういうの俺の仕事だから」
「ごめん、ごめん。つい好奇心が騒いじゃって」
城島はにっこり笑ってつかさを見た後、ふと思い出したように口を開く。
「そういえば、僕がヤクザだって話を美園君にしたのは君なんだって?」
「ああ、あくまで<噂>だって言いましたよ。そんなの信じてなかったでしょ、あいつ」
「どうだろう」
真っ青な顔をして生徒会室に入ってきた美園を思い起こしてみれば、高い割合で信じていたと断言してもいいだろう。
城島の表情を見て、つかさは呆れたようにため息をもらす。
「あいつ信じたんですね。本当バカだから」
「そうだね、美園君はいつも正直だから、全部顔に出てるよ」
そう言って、鋭い視線でつかさを見る。
「僕が服を脱いだら美園くん真っ赤になってたよ。ああ、この子はまだ何も知らない子どもなんだってすぐに分かった」
つかさも表情を硬くして城島を睨みつける。
「まだ汚れてない真っ白な体。たぶんとっても綺麗だよ」
「何が言いたいんです?」
低い声でつかさが呟く。
「いや、もしも僕が美園君をもらっちゃったら君はどうするかな、って」
「――――――」
「進藤君ってさ、いつも人当たりの良さそうな顔してニコニコ笑ってるけど、さっきの告白に対する断り方を見て思ったよ。君って性格悪いよね」
「そうですか? 気のない相手に期待をもたせるような言葉を言う方が性格悪いと思いますよ。先輩みたいに」
つかさの言葉を受け止め、城島は唇の端を釣り上げる。
なんだか嫌な笑みだ。
「美園に近づくのやめてもらえますか」
「そんなの僕の勝手だろ? それに向こうが僕のことを好きなんだから」
「そうは思えないです。美園はあなたの見た目に惹かれてるだけであって、中身なんて見てないですよ」
「中身? 僕の中身がどうだというんだい?」
おもしろそうに目を細める城島。
「なんだか嘘くさいんですよ、あなたのすべてが」
城島はピクリと眉を動かす。
「全部作られたキャラクターでしょ? 優等生のふりして、誰に対しても優しくて、品行方正で。ほんと嘘くさい」
「何が言いたい」
城島は押し殺した声でつかさを睨みつけた。
「俺こう見えても自称記者ですから。嘘ついてるやつは目を見れば分かるんです」
「――――――」
「俺、先輩とよく似た感じの奴を知ってますよ。すべてを嘘で塗り固めたような人工物。そんな感じのやつをね」
「――――――」
「もうやめたらどうです? 疲れるでしょ、人を欺くって」
城島は、瞬間的につかさの胸倉を掴むと自分のもとに引き寄せた。食いしばった歯の奥から、怒りを抑え込んだようなくぐもった声が響く。
「お前に俺の何が分かる。温室育ちのクソガキが偉そうに」
「温室育ちでもないですよ」
城島の怒りとは裏腹に、つかさの温度はますます冷えていく。
「いいか。俺のことにいちいち興味を示すな、嗅ぎまわるな。目障りだ」
ぐぃとつかさに顔に近づいた城島は、今まで彼が表に出したことのない狂暴性を覗かせる。
中庭にいた生徒たちがつかさたちの異変に気付き、心配そうにこちらの様子を伺っている。
それに気づいた城島は、つかさの胸倉から乱暴に手を外した。
つかさはその勢いで2.3歩後ろによろけるが、すぐに体制を立て直すと冷静に服の乱れを整えた。
その後、意味ありげな視線で城島を見たが、黙ってその場を去ろうとした。
しかし、ふと思いついて振り返る。
「今、本当の先輩に近づけた気がしますよ。いつも<僕>って言ってますけど、普段は<俺>って言うんですね」
そう言って、ひらひらと手を振りその場を後にした。
怒りで火照った体を冷やすように、城島は服の胸元をパタパタと動かし涼しい風を送りこむ。
「いるんだよな、たまに。勘が働くやつって」
そう呟いた城島の表情からは、諦めに似たような、新しい変化に期待するような、なんとも形容しがたい笑みが浮かんでいた。
☆☆☆
OJ: リエ、今度の金曜日に会えな!い?
リエ: OK! 大丈夫だよ、どこに行けばいい?
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リエ: もちろん
OJ: ありがとう、楽しみにしてるよ
リエ: こっちこそ
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リエ: また
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