47 / 146
つかさとの攻防
45話:つかさは盗撮犯?
しおりを挟む
玄関よし、リビングよし、洗面台よし、風呂場よし、自分の部屋よし!
美園は誠を引き連れ、家中の点検をくまなく行った。
ひとつひとつ指さし確認を実施し、異常がないか一通り確認した後、誠におだちんの500円硬貨を手渡した後、リビングのソファーに倒れ込んだ。
「あー、疲れた」
ドサリという感じの美園を前に、誠はちょこんと空いた席に腰を下ろす。
「大丈夫だったの?」
夕飯の準備をしながら、栄子が声をかけてくる。
「いちおうね、特に風呂場と自分の部屋は何度も確認したけど問題なかったわ。ママたちの部屋は各自で点検ってことで」
美園はそう言って、ジャージを捲ってお腹をポリポリ掻く。
「にしても陰湿なやつだな。家が盗撮されてるなんて。それって犯罪じゃないのか」
分厚い参考書に目を落としていた勇治が、渋い顔をして美園を見る。
「ん~、まだ確証は持てないんだけど。なんか話してる最中に、もしかして覗かれてるのかもって思っちゃってさ。気になるじゃん」
「具体的にどんなこと言ってたんだ?」
勇治が問う。
「何って特にあれなんだけど、なんか、会話の流れでそうかもな~、って。でも売り言葉に買い言葉だったから、ネタだったんだろうけど、いちおう気になるから」
まさか「裸を見た」と言われたとも言えず、まごまごとした答えになってしまう。
「ふ~ん」
不審そうな目を向ける勇治だが、
「さすがにそれはないだろ。そんなことしたら犯罪すれすれ……」
そう言いかけて、にやりと笑う。
なんとも不気味なその笑みを見て、美園達は勇治が何かしらの悪だくみを考えたのだとわかる。
そこへ、自分たちの寝室の点検を終えた元樹が、
「俺たちの部屋も親父の部屋も特に変なとこはなかったぞ。言われた通りコンセントあたりも調べたけど」
そう言って、美園と同じようにだらしなくソファーに寝そべった。
その瞬間、
ブリッ。
元樹のお尻から音が鳴る。
美園と栄子は嫌そうに顔を顰めて鼻をつまむ。
誠は無関心でスマホに夢中、ケンジとタキは離れた席でのんびり落語番組を観賞中だった。
「おい、いいこと考えた」
勇治が下品な笑みを浮かべ、家族を見やる。その顔を見た美園の体に寒気が走る。
「何よ、どんなしょうもないこと思いついたのよ」
「盗撮だよ、盗撮。あいつを本当に盗撮犯に仕立てあげるんだ」
「え?」
理解できない表情の美園に、勘の悪い奴だなと勇治が声を潜めて話を続ける。
「だ~か~ら~、俺たちの部屋から盗撮カメラが見つかったことにして、進藤つかさが犯人だってことにするんだよ」
「ええ?」
栄子は信じられないという顔をして勇治を見る。
「何言ってるの、そんなことしたらつかさ君が逮捕されちゃうわよ。いくらなんでもそれはやりすぎよ」
「なにも警察に知らせなくたっていいんだって。俺たちだけで解決すりゃ。今回のことには目を瞑るから、もう俺たちに2度と関わらないでくれって、あいつにそう言えばいいんだ。な、親父?」
勇治は元樹に同意を求めるが、その反応は鈍かった。
「いや、無実のやつに罪を着せるのはよくないだろ」
「おいおい親父どうしちゃったんだよ。警察沙汰にするわけじゃないって。あくまであいつに俺たちから手を引いてもらうための、ちょっとした嘘なんだから」
「だとしても、褒められた行為じゃないだろ」
勇治はいつもと違う元樹の様子に、がっくりと肩を落とす。
「おいおい、親父。あいつの父親、ハゲタカ進藤にどんだけ煮え湯を飲まされたか忘れたわけじゃないだろ?」
「まぁ、それはだな」
「ママさんとの密会不倫、会社の不正献金問題。モデルファミリー候補への取材なんて嘘くそで、結果的に俺たち追い詰められただけじゃないか」
「いや、あれは不倫じゃなくて、ただのお友達。仲良ししてただけなんだけど」
栄子の鋭い視線を受け、元樹はやんわり勇治の間違いを正す。
しかし聞く耳を持たない勇治は、小学生の誠がいる前で元樹の疑惑を断罪する。
「不倫・密会・仲良し、大人が言う意味は同じだよ。芸能人同士の恋愛が発覚した時の<ただのお友達です>レベルに信ぴょう性が薄いわけ! 仲良しだけど、やることはやったんだろ? あ?」
言葉が続かず俯いた元樹を見て、誠は不思議そうに首を傾げた。
そんな家族の雰囲気などお構いなしの勇治はますますヒートアップし、1人で作戦を組み立てはじめた。
「風呂場か美園の部屋がいいだろ。より変態性も増すし、インパクトも強い。あいつがどんだけ否定したって、そういう噂が立つだけで致命傷だ。嘘も方便ってやつだよ」
正真正銘の変態が企てる作戦、陰険さもピカ一だ。
勇治の考え出す案に、なかなか乗り切れないでいる世良田一家の背後から、のんきな声が聞こえてきた。
「でもその作戦って、本人が聞いてたら意味ないんじゃないですか?」
美園は誠を引き連れ、家中の点検をくまなく行った。
ひとつひとつ指さし確認を実施し、異常がないか一通り確認した後、誠におだちんの500円硬貨を手渡した後、リビングのソファーに倒れ込んだ。
「あー、疲れた」
ドサリという感じの美園を前に、誠はちょこんと空いた席に腰を下ろす。
「大丈夫だったの?」
夕飯の準備をしながら、栄子が声をかけてくる。
「いちおうね、特に風呂場と自分の部屋は何度も確認したけど問題なかったわ。ママたちの部屋は各自で点検ってことで」
美園はそう言って、ジャージを捲ってお腹をポリポリ掻く。
「にしても陰湿なやつだな。家が盗撮されてるなんて。それって犯罪じゃないのか」
分厚い参考書に目を落としていた勇治が、渋い顔をして美園を見る。
「ん~、まだ確証は持てないんだけど。なんか話してる最中に、もしかして覗かれてるのかもって思っちゃってさ。気になるじゃん」
「具体的にどんなこと言ってたんだ?」
勇治が問う。
「何って特にあれなんだけど、なんか、会話の流れでそうかもな~、って。でも売り言葉に買い言葉だったから、ネタだったんだろうけど、いちおう気になるから」
まさか「裸を見た」と言われたとも言えず、まごまごとした答えになってしまう。
「ふ~ん」
不審そうな目を向ける勇治だが、
「さすがにそれはないだろ。そんなことしたら犯罪すれすれ……」
そう言いかけて、にやりと笑う。
なんとも不気味なその笑みを見て、美園達は勇治が何かしらの悪だくみを考えたのだとわかる。
そこへ、自分たちの寝室の点検を終えた元樹が、
「俺たちの部屋も親父の部屋も特に変なとこはなかったぞ。言われた通りコンセントあたりも調べたけど」
そう言って、美園と同じようにだらしなくソファーに寝そべった。
その瞬間、
ブリッ。
元樹のお尻から音が鳴る。
美園と栄子は嫌そうに顔を顰めて鼻をつまむ。
誠は無関心でスマホに夢中、ケンジとタキは離れた席でのんびり落語番組を観賞中だった。
「おい、いいこと考えた」
勇治が下品な笑みを浮かべ、家族を見やる。その顔を見た美園の体に寒気が走る。
「何よ、どんなしょうもないこと思いついたのよ」
「盗撮だよ、盗撮。あいつを本当に盗撮犯に仕立てあげるんだ」
「え?」
理解できない表情の美園に、勘の悪い奴だなと勇治が声を潜めて話を続ける。
「だ~か~ら~、俺たちの部屋から盗撮カメラが見つかったことにして、進藤つかさが犯人だってことにするんだよ」
「ええ?」
栄子は信じられないという顔をして勇治を見る。
「何言ってるの、そんなことしたらつかさ君が逮捕されちゃうわよ。いくらなんでもそれはやりすぎよ」
「なにも警察に知らせなくたっていいんだって。俺たちだけで解決すりゃ。今回のことには目を瞑るから、もう俺たちに2度と関わらないでくれって、あいつにそう言えばいいんだ。な、親父?」
勇治は元樹に同意を求めるが、その反応は鈍かった。
「いや、無実のやつに罪を着せるのはよくないだろ」
「おいおい親父どうしちゃったんだよ。警察沙汰にするわけじゃないって。あくまであいつに俺たちから手を引いてもらうための、ちょっとした嘘なんだから」
「だとしても、褒められた行為じゃないだろ」
勇治はいつもと違う元樹の様子に、がっくりと肩を落とす。
「おいおい、親父。あいつの父親、ハゲタカ進藤にどんだけ煮え湯を飲まされたか忘れたわけじゃないだろ?」
「まぁ、それはだな」
「ママさんとの密会不倫、会社の不正献金問題。モデルファミリー候補への取材なんて嘘くそで、結果的に俺たち追い詰められただけじゃないか」
「いや、あれは不倫じゃなくて、ただのお友達。仲良ししてただけなんだけど」
栄子の鋭い視線を受け、元樹はやんわり勇治の間違いを正す。
しかし聞く耳を持たない勇治は、小学生の誠がいる前で元樹の疑惑を断罪する。
「不倫・密会・仲良し、大人が言う意味は同じだよ。芸能人同士の恋愛が発覚した時の<ただのお友達です>レベルに信ぴょう性が薄いわけ! 仲良しだけど、やることはやったんだろ? あ?」
言葉が続かず俯いた元樹を見て、誠は不思議そうに首を傾げた。
そんな家族の雰囲気などお構いなしの勇治はますますヒートアップし、1人で作戦を組み立てはじめた。
「風呂場か美園の部屋がいいだろ。より変態性も増すし、インパクトも強い。あいつがどんだけ否定したって、そういう噂が立つだけで致命傷だ。嘘も方便ってやつだよ」
正真正銘の変態が企てる作戦、陰険さもピカ一だ。
勇治の考え出す案に、なかなか乗り切れないでいる世良田一家の背後から、のんきな声が聞こえてきた。
「でもその作戦って、本人が聞いてたら意味ないんじゃないですか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる