モデルファミリー <完結済み>

MARU助

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つかさとの攻防

45話:つかさは盗撮犯?

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 玄関よし、リビングよし、洗面台よし、風呂場よし、自分の部屋よし!

 美園は誠を引き連れ、家中の点検をくまなく行った。
 ひとつひとつ指さし確認を実施し、異常がないか一通り確認した後、誠におだちんの500円硬貨を手渡した後、リビングのソファーに倒れ込んだ。

「あー、疲れた」

 ドサリという感じの美園を前に、誠はちょこんと空いた席に腰を下ろす。

「大丈夫だったの?」

 夕飯の準備をしながら、栄子が声をかけてくる。

「いちおうね、特に風呂場と自分の部屋は何度も確認したけど問題なかったわ。ママたちの部屋は各自で点検ってことで」

 美園はそう言って、ジャージを捲ってお腹をポリポリ掻く。

「にしても陰湿なやつだな。家が盗撮されてるなんて。それって犯罪じゃないのか」

 分厚い参考書に目を落としていた勇治が、渋い顔をして美園を見る。

「ん~、まだ確証は持てないんだけど。なんか話してる最中に、もしかして覗かれてるのかもって思っちゃってさ。気になるじゃん」
「具体的にどんなこと言ってたんだ?」

 勇治が問う。

「何って特にあれなんだけど、なんか、会話の流れでそうかもな~、って。でも売り言葉に買い言葉だったから、ネタだったんだろうけど、いちおう気になるから」

 まさか「裸を見た」と言われたとも言えず、まごまごとした答えになってしまう。

「ふ~ん」

 不審そうな目を向ける勇治だが、

「さすがにそれはないだろ。そんなことしたら犯罪すれすれ……」

 そう言いかけて、にやりと笑う。
 なんとも不気味なその笑みを見て、美園達は勇治が何かしらの悪だくみを考えたのだとわかる。

 そこへ、自分たちの寝室の点検を終えた元樹が、

「俺たちの部屋も親父の部屋も特に変なとこはなかったぞ。言われた通りコンセントあたりも調べたけど」

 そう言って、美園と同じようにだらしなくソファーに寝そべった。
 その瞬間、

 ブリッ。

 元樹のお尻から音が鳴る。

 美園と栄子は嫌そうに顔を顰めて鼻をつまむ。
 誠は無関心でスマホに夢中、ケンジとタキは離れた席でのんびり落語番組を観賞中だった。

「おい、いいこと考えた」

 勇治が下品な笑みを浮かべ、家族を見やる。その顔を見た美園の体に寒気が走る。

「何よ、どんなしょうもないこと思いついたのよ」
「盗撮だよ、盗撮。あいつを本当に盗撮犯に仕立てあげるんだ」
「え?」

 理解できない表情の美園に、勘の悪い奴だなと勇治が声を潜めて話を続ける。

「だ~か~ら~、俺たちの部屋から盗撮カメラが見つかったことにして、進藤つかさが犯人だってことにするんだよ」
「ええ?」

 栄子は信じられないという顔をして勇治を見る。

「何言ってるの、そんなことしたらつかさ君が逮捕されちゃうわよ。いくらなんでもそれはやりすぎよ」
「なにも警察に知らせなくたっていいんだって。俺たちだけで解決すりゃ。今回のことには目を瞑るから、もう俺たちに2度と関わらないでくれって、あいつにそう言えばいいんだ。な、親父?」

 勇治は元樹に同意を求めるが、その反応は鈍かった。

「いや、無実のやつに罪を着せるのはよくないだろ」
「おいおい親父どうしちゃったんだよ。警察沙汰にするわけじゃないって。あくまであいつに俺たちから手を引いてもらうための、ちょっとした嘘なんだから」
「だとしても、褒められた行為じゃないだろ」

 勇治はいつもと違う元樹の様子に、がっくりと肩を落とす。

「おいおい、親父。あいつの父親、ハゲタカ進藤にどんだけ煮え湯を飲まされたか忘れたわけじゃないだろ?」
「まぁ、それはだな」
「ママさんとの密会不倫、会社の不正献金問題。モデルファミリー候補への取材なんて嘘くそで、結果的に俺たち追い詰められただけじゃないか」
「いや、あれは不倫じゃなくて、ただのお友達。仲良ししてただけなんだけど」

 栄子の鋭い視線を受け、元樹はやんわり勇治の間違いを正す。
 しかし聞く耳を持たない勇治は、小学生の誠がいる前で元樹の疑惑を断罪する。

「不倫・密会・仲良し、大人が言う意味は同じだよ。芸能人同士の恋愛が発覚した時の<ただのお友達です>レベルに信ぴょう性が薄いわけ! 仲良しだけど、やることはやったんだろ? あ?」

 言葉が続かず俯いた元樹を見て、誠は不思議そうに首を傾げた。
 そんな家族の雰囲気などお構いなしの勇治はますますヒートアップし、1人で作戦を組み立てはじめた。

「風呂場か美園の部屋がいいだろ。より変態性も増すし、インパクトも強い。あいつがどんだけ否定したって、そういう噂が立つだけで致命傷だ。嘘も方便ってやつだよ」

 正真正銘の変態が企てる作戦、陰険さもピカ一だ。
  勇治の考え出す案に、なかなか乗り切れないでいる世良田一家の背後から、のんきな声が聞こえてきた。

「でもその作戦って、本人が聞いてたら意味ないんじゃないですか?」
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