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裏モデルファミリー
67話:管理人の正体
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「これを書いてる人は誰なの?」
美園が聞くと、つかさはプロフィールと書かれた欄をクリックして、世良田一家に見えるようにパソコンの位置を動かす。
管理者の画像には愛犬あんこの写真が使われており、プロフィールに設定してある名前はリエだった。
犬がブログを書くはずもなく、名前を悪用されただけの可哀そうな被害犬あんこは、事態の深刻さを知らず部屋の隅で眠りこけている。
「このリエって子、一体どういうつもりなんだろ。つかさにこんなページ見せたら、それこそ大惨事よ。この日記を書いてる奴の目的はやっぱりあたし達がモデルファミリーから脱落することなのかな」
美園の言葉を聞いて、栄子はすぐに否定する。
「でもそれだったらたった5人しか見れないようにするんじゃなくて、誰でも見れるようにしたらいいじゃない。その方がすぐに問題が表面化するわよ」
確かに。考えれば考えるほど謎だ。
「おい、お前。これを書いてる奴が誰か知ってるのか? 私生活の部分まで暴露してあるじゃないか。場合によっちゃ盗聴・盗撮の可能性だってあるぞ」
厳しい顔でつかさを睨み付けた元樹だったが、先ほどの赤っ恥写真で彼の威厳は微生物以下に落ちている。
「盗聴? 盗撮? それだったら刑事事件ですよ。すぐに警察に相談して捜査してもらうべきです。このページを見せて被害を受けました、って」
つかさは挑発的な表情で元樹の判断を待つ。
「――警察? このページを見せる?」
一瞬考え込んだように見せかけた元樹だが、彼の中で答えは決まっている。
絶対無理だ。
家族から犯罪者を出したくない。
高校生の息子が小学校の女児と仲良くしていることがバレたら、取り返しのつなかい事態になるだろう。ついでにいえば自分の面目も守りたい。こっちの方がだいぶ大事だ。
元樹は勇治を見て「俺にまかせとけ」と目で頷いた。勇治もそれを受けて大きく頷く。
「警察に通報するのはまず犯人をつきとめてからだ。相手にも言い分があるだろう。何事にも話し合いが大事だ」
「話し合いねぇ」
元樹の薄っぺらい考えなどつかさにはお見通しだ。小馬鹿にしたような笑みで元樹を見上げ、続いて世良田一家を見渡す。
「おたくら、マジで分かんない? 誰がこれを書いたのか」
「誰がって……やっぱりつかさ君は犯人を知ってるのね?」
栄子が心臓を抑えながらつかさに詰め寄る。
「犯人……ねぇ。さっきからそればっかりだな。犯人、盗撮、盗聴。あんたらの近くにそんな犯罪者がいるの?」
皆一様に考え込む。
家族しか撮れないプライベートショット。家の中で撮られた写真。
盗撮だとしたら、ずいぶんいろんな場所にカメラがあることになり、やはり有り得ないだろう。
だとしたら、誰かが実際にカメラで写真を撮った。
でも、家の中に他人が紛れ込んでいればおかしいと気づくだろうし、誰しも人前であんな格好をするはずがない。
じゃあ、一体誰が……。
「誠じゃ」
ソファーからこちらの様子を伺っていたケンジが答える。
「誠ちゃん?」
まさかそんな……そう言いかけて栄子の顔が曇る。何か思い当たることがあるようだが、それは残りの家族とて同じ。
美園も少し前に必死で胸にパッドを詰めているところを、大笑いした誠にスマホで撮影された記憶がある。その場ですぐに消去させたが、確かにさっきの写真のアングルは誠が撮ったものと一致している。
「そういや誠はよく俺のスマホでゲームしてたなぁ。まさか写真のフォルダまで盗み見してたのか?」
元樹が呟く。
「どういうこと……この日記を書いてるのが誠ちゃんだって言いたいの?」
困惑気味の栄子。
「そう考えれば全ての辻褄があう。いくら盗撮ったって、ここまで鮮明にいろんな場所や角度で撮られた写真が出回るはずないし、日記の内容はほぼリアルタイムで更新されてる。その場にいた誰かが書いている、そう考えるのがベストだろ」
誰もがつかさの言葉に反論を返さなかった。
それどころか、きっとそうに違いない、そう確信しはじめていた。いつもゲームに夢中で、パソコンにも熱中していた誠。
まさかこんなことをしているとは思いもよらなかった。
勇治が手の平で顔を覆って首を振る。
「一体どうしてこんな酷いことを。あいつは何を考えてるんだ」
すぐに栄子が答える。
「何って、誠ちゃんはいい子よ。いつも家族のことを考えてくれてる、天使のような子よ」
「――でも本当は悪魔だったってことか」
そう呟いて元樹はうなだれる。
美園が聞くと、つかさはプロフィールと書かれた欄をクリックして、世良田一家に見えるようにパソコンの位置を動かす。
管理者の画像には愛犬あんこの写真が使われており、プロフィールに設定してある名前はリエだった。
犬がブログを書くはずもなく、名前を悪用されただけの可哀そうな被害犬あんこは、事態の深刻さを知らず部屋の隅で眠りこけている。
「このリエって子、一体どういうつもりなんだろ。つかさにこんなページ見せたら、それこそ大惨事よ。この日記を書いてる奴の目的はやっぱりあたし達がモデルファミリーから脱落することなのかな」
美園の言葉を聞いて、栄子はすぐに否定する。
「でもそれだったらたった5人しか見れないようにするんじゃなくて、誰でも見れるようにしたらいいじゃない。その方がすぐに問題が表面化するわよ」
確かに。考えれば考えるほど謎だ。
「おい、お前。これを書いてる奴が誰か知ってるのか? 私生活の部分まで暴露してあるじゃないか。場合によっちゃ盗聴・盗撮の可能性だってあるぞ」
厳しい顔でつかさを睨み付けた元樹だったが、先ほどの赤っ恥写真で彼の威厳は微生物以下に落ちている。
「盗聴? 盗撮? それだったら刑事事件ですよ。すぐに警察に相談して捜査してもらうべきです。このページを見せて被害を受けました、って」
つかさは挑発的な表情で元樹の判断を待つ。
「――警察? このページを見せる?」
一瞬考え込んだように見せかけた元樹だが、彼の中で答えは決まっている。
絶対無理だ。
家族から犯罪者を出したくない。
高校生の息子が小学校の女児と仲良くしていることがバレたら、取り返しのつなかい事態になるだろう。ついでにいえば自分の面目も守りたい。こっちの方がだいぶ大事だ。
元樹は勇治を見て「俺にまかせとけ」と目で頷いた。勇治もそれを受けて大きく頷く。
「警察に通報するのはまず犯人をつきとめてからだ。相手にも言い分があるだろう。何事にも話し合いが大事だ」
「話し合いねぇ」
元樹の薄っぺらい考えなどつかさにはお見通しだ。小馬鹿にしたような笑みで元樹を見上げ、続いて世良田一家を見渡す。
「おたくら、マジで分かんない? 誰がこれを書いたのか」
「誰がって……やっぱりつかさ君は犯人を知ってるのね?」
栄子が心臓を抑えながらつかさに詰め寄る。
「犯人……ねぇ。さっきからそればっかりだな。犯人、盗撮、盗聴。あんたらの近くにそんな犯罪者がいるの?」
皆一様に考え込む。
家族しか撮れないプライベートショット。家の中で撮られた写真。
盗撮だとしたら、ずいぶんいろんな場所にカメラがあることになり、やはり有り得ないだろう。
だとしたら、誰かが実際にカメラで写真を撮った。
でも、家の中に他人が紛れ込んでいればおかしいと気づくだろうし、誰しも人前であんな格好をするはずがない。
じゃあ、一体誰が……。
「誠じゃ」
ソファーからこちらの様子を伺っていたケンジが答える。
「誠ちゃん?」
まさかそんな……そう言いかけて栄子の顔が曇る。何か思い当たることがあるようだが、それは残りの家族とて同じ。
美園も少し前に必死で胸にパッドを詰めているところを、大笑いした誠にスマホで撮影された記憶がある。その場ですぐに消去させたが、確かにさっきの写真のアングルは誠が撮ったものと一致している。
「そういや誠はよく俺のスマホでゲームしてたなぁ。まさか写真のフォルダまで盗み見してたのか?」
元樹が呟く。
「どういうこと……この日記を書いてるのが誠ちゃんだって言いたいの?」
困惑気味の栄子。
「そう考えれば全ての辻褄があう。いくら盗撮ったって、ここまで鮮明にいろんな場所や角度で撮られた写真が出回るはずないし、日記の内容はほぼリアルタイムで更新されてる。その場にいた誰かが書いている、そう考えるのがベストだろ」
誰もがつかさの言葉に反論を返さなかった。
それどころか、きっとそうに違いない、そう確信しはじめていた。いつもゲームに夢中で、パソコンにも熱中していた誠。
まさかこんなことをしているとは思いもよらなかった。
勇治が手の平で顔を覆って首を振る。
「一体どうしてこんな酷いことを。あいつは何を考えてるんだ」
すぐに栄子が答える。
「何って、誠ちゃんはいい子よ。いつも家族のことを考えてくれてる、天使のような子よ」
「――でも本当は悪魔だったってことか」
そう呟いて元樹はうなだれる。
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