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ユグドリアに到着
93話:そんな人だと思わなかった
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テレビ番組では一家の関係者インタビューが流れ続けている。
『私はM高で世良田美園さんの担任をしています。彼女はとても行儀のいい生徒です。あんな気の触れた言葉遣いする子ではないので驚いています』
『成績も優秀ということですが?』
『はぁ、成績……そうですね。確かにM高は進学校ですが、生徒の質にもピンからキリまでありますから』
『と言いますと?』
『世良田さんはキリの方になります。彼女の受験シーズンはおたふく風邪が猛威を振るい、受験できなかった生徒が多数いました。競争率もだいぶ緩かったのですが、それでも彼女は不合格でした。ただ運よく数人が入学を辞退して補欠合格したんです』
『はぁ、ミスM高で才女というキャッチフレーズでしたが』
『ミスはミスでも忘れ物、成績、運動。全てにおいてミスを繰り返していますよ。はっはは』
『はははは、おもしろい先生ですね』
今嬉しそうな声でインタビューに答えている40代の担任教師(男)は、入学当初からやたらと美園に色目をつかってきた人物だ。
美園がそれを学年主任に相談してから、担任からの風当たりがきつくなり始めた。
今回はいい復讐の機会だと喜々としてインタビューに答えているのだろう。
美園は悔しさで涙が溢れそうになったが、つかさがそっと手を握ってきたため、なんとか唇を噛んで食いしばった。
次に流れてきた音声は美園が一度も会ったことのない相手。
モデルファミリーに決定した後、栄子がイタリアで一緒に仕事をする予定だった女性起業家のインタビューだった。
時折栄子からその名前は聞かされており、肝っ玉母さんといったイメージを持っていたが、実際の彼女には好感を抱けなかった。
『栄子さんは頑張り屋さんで、仕事も良くできるから今度イタリアに出すファッションブランドのお店を任せようと思ってるんです。ご家族と離れ離れになることを心配してたんですけど、まさか離婚するつもりだったとは……』
『離婚について何か話してませんでしたか?』
『いえ、何にも。ただ、彼女とっても綺麗でしょ。だから言い寄ってくる男性は多かったですけどね。某ブランドの社長さんとか』
『旦那さん以外でお付き合いなさってた方がいるかご存じですか?』
さきほどの衝撃が抜けきれず凍った状態の元樹も、しっかり聞き耳を立てている。
『さぁ、そこまでは。ただ彼女に頼むと必ず商談が成立するから頼りにしてますけど。特に男性相手の勝率は9割に近いですよ、フフ』
暗に女を利用して仕事を取ってくる、と言っているようだ。
栄子は顔を落としたままスマホを見ているのでその表情は伺い知れない。
だが、栄子がそんな人間ではないことは家族の誰もが理解している。
今まで美園たちを応援していた人たちの手のひら返しには少なからずショックを受けた。
しかし、相手に言わせれば世良田一家の方こそ、みんなの信頼を裏切った曲者ということなのだろう。
<そんな人だと思わなかった。>
一家が相手に抱いている感情がそのまま、相手が世良田一家に感じている思いなのだ。
『私はM高で世良田美園さんの担任をしています。彼女はとても行儀のいい生徒です。あんな気の触れた言葉遣いする子ではないので驚いています』
『成績も優秀ということですが?』
『はぁ、成績……そうですね。確かにM高は進学校ですが、生徒の質にもピンからキリまでありますから』
『と言いますと?』
『世良田さんはキリの方になります。彼女の受験シーズンはおたふく風邪が猛威を振るい、受験できなかった生徒が多数いました。競争率もだいぶ緩かったのですが、それでも彼女は不合格でした。ただ運よく数人が入学を辞退して補欠合格したんです』
『はぁ、ミスM高で才女というキャッチフレーズでしたが』
『ミスはミスでも忘れ物、成績、運動。全てにおいてミスを繰り返していますよ。はっはは』
『はははは、おもしろい先生ですね』
今嬉しそうな声でインタビューに答えている40代の担任教師(男)は、入学当初からやたらと美園に色目をつかってきた人物だ。
美園がそれを学年主任に相談してから、担任からの風当たりがきつくなり始めた。
今回はいい復讐の機会だと喜々としてインタビューに答えているのだろう。
美園は悔しさで涙が溢れそうになったが、つかさがそっと手を握ってきたため、なんとか唇を噛んで食いしばった。
次に流れてきた音声は美園が一度も会ったことのない相手。
モデルファミリーに決定した後、栄子がイタリアで一緒に仕事をする予定だった女性起業家のインタビューだった。
時折栄子からその名前は聞かされており、肝っ玉母さんといったイメージを持っていたが、実際の彼女には好感を抱けなかった。
『栄子さんは頑張り屋さんで、仕事も良くできるから今度イタリアに出すファッションブランドのお店を任せようと思ってるんです。ご家族と離れ離れになることを心配してたんですけど、まさか離婚するつもりだったとは……』
『離婚について何か話してませんでしたか?』
『いえ、何にも。ただ、彼女とっても綺麗でしょ。だから言い寄ってくる男性は多かったですけどね。某ブランドの社長さんとか』
『旦那さん以外でお付き合いなさってた方がいるかご存じですか?』
さきほどの衝撃が抜けきれず凍った状態の元樹も、しっかり聞き耳を立てている。
『さぁ、そこまでは。ただ彼女に頼むと必ず商談が成立するから頼りにしてますけど。特に男性相手の勝率は9割に近いですよ、フフ』
暗に女を利用して仕事を取ってくる、と言っているようだ。
栄子は顔を落としたままスマホを見ているのでその表情は伺い知れない。
だが、栄子がそんな人間ではないことは家族の誰もが理解している。
今まで美園たちを応援していた人たちの手のひら返しには少なからずショックを受けた。
しかし、相手に言わせれば世良田一家の方こそ、みんなの信頼を裏切った曲者ということなのだろう。
<そんな人だと思わなかった。>
一家が相手に抱いている感情がそのまま、相手が世良田一家に感じている思いなのだ。
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