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オヘラハウスへ
108話:ずっと友達
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全ては一分も満たない間に完結した。
大勢の機動隊員に囲まれたテロリストたちは身動きが取れなくなり、苦悶の表情を浮かべ地面に伏せている。なかには全く身動きしないものもいた。
仮面の男の両側には銃を構えた兵士が立ち、下手な抵抗をしないよう両腕をしっかり固められている。
さらに万一の際にすぐ対処できるよう銃を構えた別の兵士が仮面の男の後方に立ち、頭部を狙った状態で待機していた。
一通りの捕獲作戦が成功した段階で、屈強そうな男がマツムラの側に走り寄ってくる。
「海上に停泊していた船はすでに拿捕しています。その他、キロッスに協力してオペラハウス内へ導いた内通者らも捕獲しました」
部隊長らしき男が姿勢を正してマツムラに報告する。
マツムラはそれを満足そうに聞き届けると「ご苦労だった」と労をねぎらった。
一瞬すぎて何が起こったのか分からなかった一家だが、我に返って誠の元に走り寄る。
勇治が誠の手首のロープを外している間に、元樹が口の布を取り去ってやると、誠はぷはぁ~と息を吐いた。
そうしてすぐに誠は栄子の華奢な体に抱きすくめられた。
「良かった……誠ちゃん、ほんとに良かった…」
涙声の栄子を見て、誠の目も僅かに潤む。
元樹も誠の肩を後ろからさすり、
「よくがんばった」
と消え入りそうな声で呟いた。
誠は小さく頷いて、そっと栄子の体に腕をまわした。
美園はつかさと少し離れたところでその様子を見守っていた。
涙が溢れてきて止まらない。
そんな美園の顔を自分の胸に導いたつかさは、美園が泣くにまかせてそっと抱きしめた。
ようやく世良田一家に大切な宝物が戻って来た。
人質交換に無事成功した喜びと、憎きキロッスを一網打尽にした安堵感で、オペラハウス内にはさまざま人々の思いが交錯していた。
テロリストたちは手首を縛り上げられると、順番に舞台から降ろされ連行されていくようだった。
ことの顛末を離れた位置から硬い表情で見つめていたトワ。
その視線に気付いた誠が栄子の腕から離れると無言でトワに近づいていく。2人はしばらく言葉もなく見詰め合っていた。
先に我慢の限界に達したのはトワだった。すぐに顔を背けると、涙を流して肩を震わせる。
「ごめ…ごめんね、まこ……くん。僕のせいで…」
「何で? トワのせいじゃないよ。僕が勝手にやったことだし、こうやって助けにきてくれたじゃん」
「でも、僕の……せいで」
「そうじゃない。悪いのはトワじゃない」
誠は力のこもった目でトワを見た。
トワはその目に答えるように、僅かに戸惑いの表情を見せながらも小さく頷く。
「トワ、また僕と友達になってくれる?」
「誠く……ん。僕の方こそ、僕の方がお願いしなきゃならないのに。僕ともう一度友達になってほしいんだ」
「もちろんだよ」
誠は大きく頷いてトワの手をとった。
トワは再び大粒の涙をこぼしながら、誠の手を強く握り返した。
「これからも、この先も、僕たちはずっと友達だ」
子供だと思っていた我が子の成長を前に、栄子と元樹の胸が熱くなる。
大人しくて引っ込み思案だった誠にこんな活動的な一面があるなどと、今回の事件がなければ一生知ることがなかっただろう。
友達を助けるため、こんな大きなことやってのけてしまった我が子に対し、誇らしい思いでいっぱいだった。
勇治もまた、元樹たち同様、元気な誠と再会できたことを心から喜んだ。
と同時に、目の端でつかさが涙にくれる美園の体を抱きしめ、優しく声をかけている様子を捉えており、感慨深い思いにも包まれる。
美園とつかさの距離がいつの間にか急接近しているようだ。
まだまだ子供だと思っていた美園が、男の腕の中で涙する。
兄の立場として妹を盗られた不愉快さと共に、その成長を歓迎する気持ちもある。なんとも形容しがたい複雑な心境に陥っていた。
娘を嫁に出す時の心境、勇治の切なさはそれに近いのかもしれない。
大勢の機動隊員に囲まれたテロリストたちは身動きが取れなくなり、苦悶の表情を浮かべ地面に伏せている。なかには全く身動きしないものもいた。
仮面の男の両側には銃を構えた兵士が立ち、下手な抵抗をしないよう両腕をしっかり固められている。
さらに万一の際にすぐ対処できるよう銃を構えた別の兵士が仮面の男の後方に立ち、頭部を狙った状態で待機していた。
一通りの捕獲作戦が成功した段階で、屈強そうな男がマツムラの側に走り寄ってくる。
「海上に停泊していた船はすでに拿捕しています。その他、キロッスに協力してオペラハウス内へ導いた内通者らも捕獲しました」
部隊長らしき男が姿勢を正してマツムラに報告する。
マツムラはそれを満足そうに聞き届けると「ご苦労だった」と労をねぎらった。
一瞬すぎて何が起こったのか分からなかった一家だが、我に返って誠の元に走り寄る。
勇治が誠の手首のロープを外している間に、元樹が口の布を取り去ってやると、誠はぷはぁ~と息を吐いた。
そうしてすぐに誠は栄子の華奢な体に抱きすくめられた。
「良かった……誠ちゃん、ほんとに良かった…」
涙声の栄子を見て、誠の目も僅かに潤む。
元樹も誠の肩を後ろからさすり、
「よくがんばった」
と消え入りそうな声で呟いた。
誠は小さく頷いて、そっと栄子の体に腕をまわした。
美園はつかさと少し離れたところでその様子を見守っていた。
涙が溢れてきて止まらない。
そんな美園の顔を自分の胸に導いたつかさは、美園が泣くにまかせてそっと抱きしめた。
ようやく世良田一家に大切な宝物が戻って来た。
人質交換に無事成功した喜びと、憎きキロッスを一網打尽にした安堵感で、オペラハウス内にはさまざま人々の思いが交錯していた。
テロリストたちは手首を縛り上げられると、順番に舞台から降ろされ連行されていくようだった。
ことの顛末を離れた位置から硬い表情で見つめていたトワ。
その視線に気付いた誠が栄子の腕から離れると無言でトワに近づいていく。2人はしばらく言葉もなく見詰め合っていた。
先に我慢の限界に達したのはトワだった。すぐに顔を背けると、涙を流して肩を震わせる。
「ごめ…ごめんね、まこ……くん。僕のせいで…」
「何で? トワのせいじゃないよ。僕が勝手にやったことだし、こうやって助けにきてくれたじゃん」
「でも、僕の……せいで」
「そうじゃない。悪いのはトワじゃない」
誠は力のこもった目でトワを見た。
トワはその目に答えるように、僅かに戸惑いの表情を見せながらも小さく頷く。
「トワ、また僕と友達になってくれる?」
「誠く……ん。僕の方こそ、僕の方がお願いしなきゃならないのに。僕ともう一度友達になってほしいんだ」
「もちろんだよ」
誠は大きく頷いてトワの手をとった。
トワは再び大粒の涙をこぼしながら、誠の手を強く握り返した。
「これからも、この先も、僕たちはずっと友達だ」
子供だと思っていた我が子の成長を前に、栄子と元樹の胸が熱くなる。
大人しくて引っ込み思案だった誠にこんな活動的な一面があるなどと、今回の事件がなければ一生知ることがなかっただろう。
友達を助けるため、こんな大きなことやってのけてしまった我が子に対し、誇らしい思いでいっぱいだった。
勇治もまた、元樹たち同様、元気な誠と再会できたことを心から喜んだ。
と同時に、目の端でつかさが涙にくれる美園の体を抱きしめ、優しく声をかけている様子を捉えており、感慨深い思いにも包まれる。
美園とつかさの距離がいつの間にか急接近しているようだ。
まだまだ子供だと思っていた美園が、男の腕の中で涙する。
兄の立場として妹を盗られた不愉快さと共に、その成長を歓迎する気持ちもある。なんとも形容しがたい複雑な心境に陥っていた。
娘を嫁に出す時の心境、勇治の切なさはそれに近いのかもしれない。
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