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再会
112話:何のためにここへ来た?
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大切な兄とマツムラのどちらを選ぶのか、それは幼い王子にとって究極ともいえる選択だった。
国王と王妃亡き後、つねにトワの側に寄り添い支えとなってくれたのがマツムラだったことは疑いようがない。
トワにとってマツムラは第2の父親であり、信頼できる家臣でもあったのだ。トワが悲しみを乗り越える間、寄り添ってくれるはずの兄は不在であった。
マツムラと共にに過ごした日々が偽りではなかったと信じたい。
あの日々の記憶が、思い出が、マツムラがトワの味方であるという何よりの証明になるのではないか。
トワは決断した。
「……僕はマツムラが正しいと思ってる。クオン兄さまとは話し合いが必要だ」
「トワ……」
その言葉に、何とか堪えていた城島の気力が途切れ、足からくず折れるようにして倒れ込んだ。
トワは一瞬兄に駆け寄ろうとするが、拳をぎゅっと握りしめて顔を逸らす。
見かねた誠が城島の側に駆け寄り、肩を震わせる。
「トワ……トワ…ダメだよ。間違ってるよ。このままじゃ絶対後悔する。家族を信じてあげなきゃ」
トワは黙っている。
誠は栄子たちを振り返って訴える。
「ね、ママ。そうでしょ。本当に悪い奴はマツムラだ。パパも勇治兄ちゃんもそう思うよね」
けれど一家は困惑気味に目を見交わす。
「美園姉ちゃんは信じるでしょ。先輩がそんな人じゃないって」
美園でさえも誠の望む答えを用意できなかった。
そんな家族の姿を見て、誠は声を荒らげる。
「僕は聞いたんだ。トワが死んでくれたらいいってマツムラが話してるのを! わざと警備を手薄にして誘拐されるように仕組んでた。マツムラはどっかおかしいよ。このオペラハウスだってきっとどんでもな……」
「誠!」
話に割って入るように元樹が首を振る。
「やめなさい。人をそんな風に言うのはよくないよ」
「そ、そうよ誠ちゃん。ちょっと疲れてるのね。早くおうちに帰ってシャワーでも浴びれば……」
穏便に事を済ませようとしている両親を前にして、誠はすっと立ち上がる。
「何しにきたんだよ」
「え?」
「ここまでみんな何しにきたんだよ」
誠の声からあどけなさが消えていた。
「何しにって誠ちゃんを助けに……」
「そうじゃないだろ。モデルファミリーのためだろ」
「そんなこと……。私たちは誠ちゃんのこと心配してきたのよ。だって家族ですもの」
「どこに家族がいるんだよ」
「え?」
栄子は口を閉じた。
「どこに家族がいるんだよ。両親がいて、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいて、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいて、犬がいて。ただそれだけ。一緒に暮らしてるってだけじゃないか。モデルファミリー? 僕たちが? 本当にそう思ってるの?」
「それはだな……」
元樹が何か言いかけるが、適当な言葉が見つからずに口ごもる。
そんな様子を見て、誠は「最低だ」と呟くと、
「みんなならきっと力になってくれる、友達を助けてくれる。そう思った僕がバカだったよ」
吐き捨てるようにそう言うと、その場を駆けだしていった。
栄子が後を追おうとするが、つかさがそれを引き止め、かわりに自身が後を追った。
国王と王妃亡き後、つねにトワの側に寄り添い支えとなってくれたのがマツムラだったことは疑いようがない。
トワにとってマツムラは第2の父親であり、信頼できる家臣でもあったのだ。トワが悲しみを乗り越える間、寄り添ってくれるはずの兄は不在であった。
マツムラと共にに過ごした日々が偽りではなかったと信じたい。
あの日々の記憶が、思い出が、マツムラがトワの味方であるという何よりの証明になるのではないか。
トワは決断した。
「……僕はマツムラが正しいと思ってる。クオン兄さまとは話し合いが必要だ」
「トワ……」
その言葉に、何とか堪えていた城島の気力が途切れ、足からくず折れるようにして倒れ込んだ。
トワは一瞬兄に駆け寄ろうとするが、拳をぎゅっと握りしめて顔を逸らす。
見かねた誠が城島の側に駆け寄り、肩を震わせる。
「トワ……トワ…ダメだよ。間違ってるよ。このままじゃ絶対後悔する。家族を信じてあげなきゃ」
トワは黙っている。
誠は栄子たちを振り返って訴える。
「ね、ママ。そうでしょ。本当に悪い奴はマツムラだ。パパも勇治兄ちゃんもそう思うよね」
けれど一家は困惑気味に目を見交わす。
「美園姉ちゃんは信じるでしょ。先輩がそんな人じゃないって」
美園でさえも誠の望む答えを用意できなかった。
そんな家族の姿を見て、誠は声を荒らげる。
「僕は聞いたんだ。トワが死んでくれたらいいってマツムラが話してるのを! わざと警備を手薄にして誘拐されるように仕組んでた。マツムラはどっかおかしいよ。このオペラハウスだってきっとどんでもな……」
「誠!」
話に割って入るように元樹が首を振る。
「やめなさい。人をそんな風に言うのはよくないよ」
「そ、そうよ誠ちゃん。ちょっと疲れてるのね。早くおうちに帰ってシャワーでも浴びれば……」
穏便に事を済ませようとしている両親を前にして、誠はすっと立ち上がる。
「何しにきたんだよ」
「え?」
「ここまでみんな何しにきたんだよ」
誠の声からあどけなさが消えていた。
「何しにって誠ちゃんを助けに……」
「そうじゃないだろ。モデルファミリーのためだろ」
「そんなこと……。私たちは誠ちゃんのこと心配してきたのよ。だって家族ですもの」
「どこに家族がいるんだよ」
「え?」
栄子は口を閉じた。
「どこに家族がいるんだよ。両親がいて、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいて、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいて、犬がいて。ただそれだけ。一緒に暮らしてるってだけじゃないか。モデルファミリー? 僕たちが? 本当にそう思ってるの?」
「それはだな……」
元樹が何か言いかけるが、適当な言葉が見つからずに口ごもる。
そんな様子を見て、誠は「最低だ」と呟くと、
「みんなならきっと力になってくれる、友達を助けてくれる。そう思った僕がバカだったよ」
吐き捨てるようにそう言うと、その場を駆けだしていった。
栄子が後を追おうとするが、つかさがそれを引き止め、かわりに自身が後を追った。
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