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野望は絶対阻止!
123話:勇治と美園
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トワと誠を先頭に歩かせ、その後ろから勇治、美園、つかさが続いた。
目的地の場所は明確ではないが、地下と言うくらいだから下へ向かえばいいだろうと階段を探す。
建物内は広々としていて一見シンプルに見えるが、間取りが複雑であちこちで行き止まりになる構造だった。
「こりゃ、観光客に親切な造りじゃねぇな。入ったものを迷わそうとしてるみたいだし。いよいよ要塞っぽくなってきたな」
勇治がしたり顔で喉を鳴らす。
「僕たち、一度あの奥の方まで走ってみてきますよ」
若さと元気さにかけては勇治たちに引けをとらないトワと誠がそう言って、遠くの方にある階段を指さす。
あそこまで歩いて通行止めだった日には、精神力的に相当のダメージを負うだろう。
日頃から勉強一筋の勇治は体力の限界に近づいていた。できることなら、無駄な動きは避けたいところだ。
「よし、行ってこい」
勇治が犬に命令するように奥を指さすと、トワと誠は元気に走り出していった。
「おいおい、子供だけで危ないだろ」
つかさが慌てて後を追う。
その様子を美園と勇治は「元気だねぇ」と呟いて見送る。実は美園の方の体力もかなりきつい状態だったのだ。
小さくなっていく誠たちの後姿を見守りながら、勇治が美園に声をかける。
「つかさがあさこちゃんだなんて、驚いたね、全く」
「ほんと、でもお兄ちゃんが気付かなかったなんて意外だな」
「どういう意味だ」
「だってめちゃくちゃ気に入ってたじゃん、あさこちゃんのこと。妹のあたしより可愛がってたし」
「バカ言え」
勇治は鼻で笑う。
「バカじゃないし、あたし根にもってんだから。あさこちゃんが来るまではあたしたち仲良しだったのに、あの子が来てから急に冷たくなって、一緒に遊んでくれなくなった」
「ああ、それか。それは……あれだよ」
「あれ?」
「そう、あれ」
言い出しにくそうにまごついていた勇治だが、観念したように話し出す。
「あれだよあれ、恥ずかしかったんだよ」
「何が」
「神社にお菓子もらいに行った日、幽霊に怯えてお前と夏美を置き去りにした挙句、ション便漏らして震えてたなんて、兄としてのプライドがズタボロだったんだよ」
「そんなことあたしは気にしてないのに」
「こっちは気にすんだよ。お前は俺のことヒーローみたいだって友達に自慢してて。なのに肝心な時にお前を置いて逃げたんだから。もう兄貴面なんてできねぇだろ」
「何それ、あたしのこと嫌いになったのかと思ってたけど」
「んなわけねぇだろ、お前は俺にとってたった一人の大事な妹だ」
「お兄ちゃん……」
思いがけない勇治の言葉に、美園の胸はいっぱいになった。こんな出来事がなければ一生聞く機会のなかった勇治の思いに、美園の瞳は潤み始めた。
目的地の場所は明確ではないが、地下と言うくらいだから下へ向かえばいいだろうと階段を探す。
建物内は広々としていて一見シンプルに見えるが、間取りが複雑であちこちで行き止まりになる構造だった。
「こりゃ、観光客に親切な造りじゃねぇな。入ったものを迷わそうとしてるみたいだし。いよいよ要塞っぽくなってきたな」
勇治がしたり顔で喉を鳴らす。
「僕たち、一度あの奥の方まで走ってみてきますよ」
若さと元気さにかけては勇治たちに引けをとらないトワと誠がそう言って、遠くの方にある階段を指さす。
あそこまで歩いて通行止めだった日には、精神力的に相当のダメージを負うだろう。
日頃から勉強一筋の勇治は体力の限界に近づいていた。できることなら、無駄な動きは避けたいところだ。
「よし、行ってこい」
勇治が犬に命令するように奥を指さすと、トワと誠は元気に走り出していった。
「おいおい、子供だけで危ないだろ」
つかさが慌てて後を追う。
その様子を美園と勇治は「元気だねぇ」と呟いて見送る。実は美園の方の体力もかなりきつい状態だったのだ。
小さくなっていく誠たちの後姿を見守りながら、勇治が美園に声をかける。
「つかさがあさこちゃんだなんて、驚いたね、全く」
「ほんと、でもお兄ちゃんが気付かなかったなんて意外だな」
「どういう意味だ」
「だってめちゃくちゃ気に入ってたじゃん、あさこちゃんのこと。妹のあたしより可愛がってたし」
「バカ言え」
勇治は鼻で笑う。
「バカじゃないし、あたし根にもってんだから。あさこちゃんが来るまではあたしたち仲良しだったのに、あの子が来てから急に冷たくなって、一緒に遊んでくれなくなった」
「ああ、それか。それは……あれだよ」
「あれ?」
「そう、あれ」
言い出しにくそうにまごついていた勇治だが、観念したように話し出す。
「あれだよあれ、恥ずかしかったんだよ」
「何が」
「神社にお菓子もらいに行った日、幽霊に怯えてお前と夏美を置き去りにした挙句、ション便漏らして震えてたなんて、兄としてのプライドがズタボロだったんだよ」
「そんなことあたしは気にしてないのに」
「こっちは気にすんだよ。お前は俺のことヒーローみたいだって友達に自慢してて。なのに肝心な時にお前を置いて逃げたんだから。もう兄貴面なんてできねぇだろ」
「何それ、あたしのこと嫌いになったのかと思ってたけど」
「んなわけねぇだろ、お前は俺にとってたった一人の大事な妹だ」
「お兄ちゃん……」
思いがけない勇治の言葉に、美園の胸はいっぱいになった。こんな出来事がなければ一生聞く機会のなかった勇治の思いに、美園の瞳は潤み始めた。
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