公爵家に生まれて初日に跡継ぎ失格の烙印を押されましたが今日も元気に生きてます!

小択出新都

文字の大きさ
109 / 147
連載

234.

しおりを挟む

 冒険者免許の発行が終わると、ギルドの中でしばし待機させられることになった。
 冒険者の人たちに譲ってもらったカウンター前の席に私たちは座っている。

「遅いわねぇ……」

 私と同じテーブルに座るエルフィスちゃんが貧乏ゆすりしながら呟く。
 私たちが座ってる席は事前にウィークマン先生に申告したパーティー通りになっている。私とリリーシィちゃんにエルフィスちゃんが私たちのパーティーだ。
 エルフィスちゃん、学校にはだいぶ馴染んできたものの、まだまだツンツンした性格のせいで特定の仲良しという子たちはあまりいない。なので私とリリーシィちゃんのパーティーが引き受けることになった。

 戦士(見習い)に剣士(見習い)にガイダー(見習い)。なかなかにめちゃくちゃなパーティーバランスだ。前衛2人に非戦闘要因が1人、後衛が誰もいない。
 とはいっても、冒険者学校で魔法が使える子はレアなので、だいたいのパーティーが前衛過多になってしまってるのだけど。

「依頼を渡されるんだよね! どんな依頼かなー!」

 リリーシィちゃんが楽しそうにそう言う。
 そう、今日は冒険者免許をもらえるだけでなく、これから依頼もやらせてもらえるのだ。エルフィスちゃんも、待ち遠しくてそわそわしてはいるものの、退屈そうではない。むしろ待ちきれない感じだ。

 ポムチョム小学校の子たちは、落ち着かない様子で、仲良しの子と話したり、天井を見上げて時間を過ごしていた。きっと、将来の自分の活躍を想像してるのだろう。そんな子供たちに、今日の冒険者の視線も集まっていた。
 そんな中、若い青年がカウンターの向こうの扉からこそこそするように出てきた。その青年はそのまま走って、冒険者ギルドの建物から出て行ってしまう。

(なんだったんだろう。職員の人かな?)

 気づいたのは私だけだったようだ。不審な動きに首を傾げたけど、冒険者ギルドに来たのは二度ほどの私が、答えが出せるわけがない。
 それから五分後ぐらいにウィークマン先生と受付嬢さんがでてきた。

「さあ、これがみなさんにやってもらう依頼です」

 そう言うと、子供たちがわーと歓声をあげた。封筒に入れられた依頼を、先生と受付嬢さんがそれぞれのパーティーの席に配っている。
 封筒は配ってすぐ、子供たちに開けられ、中の依頼を読み上げる声が聞こえてくる。

「どんぐり丘で行方不明になった牧羊犬の捜索依頼だー!」
「あたしたちはクスの林で薬草を取ってくればいいのね!」

 依頼はそれぞれパーティーごとに達成できそうなのが選ばれてるみたいだ。それでいて安全なもの。さっきからでてくるのはモンスターのでない場所ばかりだった。
 依頼を渡された周りの子たちを見て、リリーシィちゃんもエルフィスちゃんもより一層そわそわする。

 ようやく私たちの番がやってきた。
 ウィークマン先生は私たちを見ると、ニコッと声をかけた。

「君たちのパーティーには少し難しめの依頼をだしました。でもエトワさんにエルフィスさん、それからリリーシィさんが力を合わせればきっと達成できると信じてますよ」
「はい、せんせー!」
「は~~~い」
「ふん、2人の力なんてなくても私ひとりいればどんな依頼も達成可能よ」
「それからエルフィスさんはガイダーであるエトワさんの言うことをきちんと聞いてくださいね。この前も探索の授業で『私なら楽勝よ』と下調べをせずに失敗しましたよね」
「うっ……」

 ついでにエルフィスちゃんは釘も刺された。

「エトワさん、エルフィスさんのことをお願いしますよ」
「は~~~い」
「なんで私がこんな扱いなのよ……」

 なんだかんだ、剣の勝負のおかげか、エルフィスちゃんは私の言うことを聞いてくれる。ウィークマン先生もそれをちゃっかり把握していた。

 先生が去ったあと、私たちは依頼の封筒を開封する。

『至急コンゴミール村に来てください』

 依頼書にはそれだけ書いてあった。何をしてほしいのかも書いてない。現地で聞けということだろうか。他の子がもらった依頼とはなかなか毛色が違うようだ。
 それに、コンゴミール村……聞いたことのない村名だ。
 先生の選んでくれた依頼だから、そんなに遠くはないと思うけど、相当、小さな村なのだろうか……。

 謎の依頼にエルフィスちゃんは逆に燃え上がったようだ。

「ふん、言われた通りなかなか歯ごたえありそうな依頼じゃない。私たちにふさわしいわ」
「楽しみー」

 リリーシィちゃんは純粋に楽しそうだ。
 まあ、私も出来る限りかんばってみよう。

***

 あれから調べたところ、コンゴミール村はルヴェンドの周辺域にある村だった。周辺域とはいっても、かなり離れていて、徒歩では半日ぐらいかかってしまうかもしれない。私が調べた本にも、それ以外の情報は乗っておらず、特産品なんかもないようだった。
 交流もそれほどないらしく、馬車も出ていない。これは泊りがけの冒険になりそうだ。

 ルーヴ・ロゼには休みますって届け出をだせばいいけど、問題は……。

「というわけで、一泊二日ぐらいで行ってこようと思うんだけど……」

 問題は護衛役の子たちだった。
 とはいっても、その中で熱心なのは、ミントくん、リンクスくん、ソフィアちゃんの三人。

「むぅ……わかった……」
「まあ……それなら仕方ないか。でも気をつけろよ」
「うんうん、危ないことは絶対しないよ!」

 とはいっても、男の子たちは渋い顔をしつつも、なんだかんだオッケーはくれる。
 問題は……。

 この話を聞いてから、1人だけニコニコ笑顔になったソフィアちゃん。
 ソフィアちゃんは笑顔のまま口を開いて言った。

「私も行きます」

 私は首を振って止める。

「いやいや、ソフィアちゃんも学校あるでしょ。他の学校の課題なわけだし付き合わせるのは——
「行きます」

 あっ……これ……もしかしてダダをこねてるとかそういうのではなく、決定事項っすか…………?

「行きます」

 ………………あ、はい。行きますよね。
 私たちのパーティーにチート後衛が加入しました。
しおりを挟む
感想 1,680

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。