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連載
242.(一旦没)
「むぃ~~~~~~~~~~~~」
朝のひと鳴き。
「エトワさまはしたないですよ」
空腹で村を襲おうとしていたモンスター、ムイムイ。
私とソフィアちゃんはそんなムイムイのために、新しい住居を探してあげることにした。
山を越え、谷を越え、荒野を越え、激しい嵐を潜り抜け、私たちはついに目指していた森までたどり着いたのだった。
……うそだよ、本当は平たい場所通ってきたし、天気はずっと晴れでした。
森にたどり着いたときはすっかり夜だった私たちは、一旦荷物を下ろし、休息を取ったのだった。
そして朝起きて、ひと鳴きしてみたところを、ソフィアちゃんに目撃され、警告をひとつ受けたのだった。
とりあえず、目的の場所にはたどり着いたわけだけど、このあとは周辺を探索する予定だ。目的地に連れてきて、はいさようならじゃ、ちょっと無責任だしね。ちゃんとムイムイさんたちの餌があるか、周辺の生き物と仲良く暮らせそうか、本当に放して大丈夫なのかチェックしなきゃいけない。
「それじゃあ、いこっか~」
「はい!」
歩き始めた私の後ろを、ソフィアちゃんがふよふよと浮かびながらついてきていた。当然、その頭上には、ムイムイさんも一緒に浮かんでいる。
もう見慣れたけど、あらためて見ると異様な光景だ。
「それ……」
「どうしました?」
私が漏らした言葉に、ソフィアちゃんが首をかしげる。
「それここに置いていったらダメなのかな?」
魔法については詳しくないから、ここに放置していった場合、ムイムイさんを閉じ込めている魔法の壁がどうなるのかはわからないけれど、もともと動きの鈍い生き物だけに、しばらくはこの場に留まってくれる気がする。
実のところ、ずっと魔法を維持しているせいか、ソフィアちゃんの表情にはかなり疲れが見えているのだ。元気っ子のこの子には珍しい。
私の質問にソフィアちゃんの眉が八の字に垂れ下がった。
「……ムイムイたちが心配なので……置いていかなきゃダメですか……?」
う~ん、どうやらソフィアちゃんの心境的には、魔法は解きたくないらしい。
この場にくるまで、ずっと面倒をみてきたので、親心が芽生えてしまったのかもしれない。難しきや、親心と乙女の心。
「あ大丈夫だよ~、ごめんね、変なこと言って止めちゃって」
私はソフィアちゃんのやりたいようにさせてあげることにした。
すでに目的地にはついていて、あとは周辺を見て終わりだしね。特にトラブルが起きなければ問題ないはずだ。
※以下2022年2月15追加部分
***
ソフィアちゃんと一緒に周辺を見て回ることになった。
まず見つかったのは、そこそこの大きさの泉だった。
背の高い木々にかこまれたその泉は、縦も横も30メートルほどの幅があり、透き通ったきれいな水を湛えている。
「ムイムイ!」
泉を見つけると、ムイムイが鳴き声をあげながら、足をジタバタさせた。ソフィアちゃんが高度を下げてあげると、ごくごくと泉の水を飲み始める。
「飲み水はこれなら問題なさそうですね。湧き水みたいですから、いきなり枯れたりする心配もなさそうです」
確かに泉の水は、底の方から湧き出ているみたいだった。表面に独特の波が描かれている。泉から伸びる小川には、水がちょろちょろと流れ出ていた。
体の大きなムイムイさんが飲んでも水嵩は減る気配がない。水量も十分なようだった。
ソフィアちゃんは周辺をキョロキョロ見る。
「どしたの?」
私が尋ねると、ソフィアちゃんも首を傾げた。
「あとは水場周辺の動物で、共存できない種がいないか見たかったんですけど……姿が見えませんね」
「そういえばそうだねぇ」
そういえば森はやたらと静かだった。入ってから数時間経つのに野生動物にすら遭遇していない。
「探してみる?」
そう尋ねると、ソフィアちゃんは首をふった。
「いえ、探索しているうちに行き合うと思いますから、次はムイムイさんの食糧となるものがあるかチェックしてみましょう」
「は~い」
ソフィアちゃんの指示に従って探すこと15分ほど、私の両手にはりんごみたいな木の実があった。ただし、大きさはバスケットボールよりもう一回りぐらいでっかい。
「おおおっ……」
私はその果実を両手で抱え上げ、無意味に感嘆の声をあげてしまった。
理由はほんとにでっかいりんごにしか見えなかったから。それだけ。これがムイムイさんたちの主食になるらしい。ムイムイさんたちはその果物を見ると、そわそわするように体を揺すった。
私がひとつ、ひょいっと放り投げて見ると、ムイムイさんはパクッと食いつきシャクシャクと美味しそうに食べ始める。あんなに大きなりんごが一瞬でなくなる。
でもまだまだりんごはたくさんなっていた。
「これだけあれば、ムイムイさんたちも暮らしていけそうです」
森には巨大りんごの木がたくさんあった。
ソフィアちゃんによると、この森には他にもムイムイさんの食糧になるような果物の木があって、これなら一年中、暮らしていけるらしい。
とりあえず、衣食住の衣と食は揃ったということで、次は住である。ちなみに衣は天然のもふもふの毛皮なのでもう揃っている。
「ムイムイさんたちってどんな場所寝るの?」
「どんな場所でも寝られますけど、洞窟などがあると、安心して寝られるみたいです」
「ふ~む、洞窟ねぇ~」
ソフィアちゃんとしばらく探索すると、崖になってるところに洞窟が見つかった。
でも、小さい気がする。
「う~ん」
ムイムイさんたちと見比べてみるけど、二匹がぎりぎり入れるぐらいだ。
「これは……別のところを探すしかないですね……」
疲労の色が濃いソフィアちゃんが、申し訳なさそうに言う。
その疲れた声に、私は天輝さんを取り出して言った。
「いや、ここは拡張してみよう」
洞窟の岩肌を天輝さんでガリガリ削っていく。さすが神器だ。岩になんか負けたりしない。
(我は工具ではないぞ)
天輝さんからの抗議の声が聞こえるが、ソフィアちゃんを早く休ませるためだ。仕方ない。
天井が崩落しないように優しくガリガリ、時にサクサクと切り裂きながら、洞窟を広げていく。削った岩は大きいのは私が運び、細かいのはソフィアちゃんが風でお掃除してくれた。
お仕事をして一時間ほど、ムイムイが入れるような広い洞窟が完成した。
「エトワさまありがとうございます」
「いやいや、いいんだよ~。それより、もうムイムイさんも解放してあげていいんじゃないかな?」
※おそくなって、すみません、ちょっとずつ進ませてください。
感想ありがとうございます。すぐに目を通して表示についても許可したいんですが、精神が落ち着いてから目を通したいのでもうちょっとおまちいただけたらとおもいます。
朝のひと鳴き。
「エトワさまはしたないですよ」
空腹で村を襲おうとしていたモンスター、ムイムイ。
私とソフィアちゃんはそんなムイムイのために、新しい住居を探してあげることにした。
山を越え、谷を越え、荒野を越え、激しい嵐を潜り抜け、私たちはついに目指していた森までたどり着いたのだった。
……うそだよ、本当は平たい場所通ってきたし、天気はずっと晴れでした。
森にたどり着いたときはすっかり夜だった私たちは、一旦荷物を下ろし、休息を取ったのだった。
そして朝起きて、ひと鳴きしてみたところを、ソフィアちゃんに目撃され、警告をひとつ受けたのだった。
とりあえず、目的の場所にはたどり着いたわけだけど、このあとは周辺を探索する予定だ。目的地に連れてきて、はいさようならじゃ、ちょっと無責任だしね。ちゃんとムイムイさんたちの餌があるか、周辺の生き物と仲良く暮らせそうか、本当に放して大丈夫なのかチェックしなきゃいけない。
「それじゃあ、いこっか~」
「はい!」
歩き始めた私の後ろを、ソフィアちゃんがふよふよと浮かびながらついてきていた。当然、その頭上には、ムイムイさんも一緒に浮かんでいる。
もう見慣れたけど、あらためて見ると異様な光景だ。
「それ……」
「どうしました?」
私が漏らした言葉に、ソフィアちゃんが首をかしげる。
「それここに置いていったらダメなのかな?」
魔法については詳しくないから、ここに放置していった場合、ムイムイさんを閉じ込めている魔法の壁がどうなるのかはわからないけれど、もともと動きの鈍い生き物だけに、しばらくはこの場に留まってくれる気がする。
実のところ、ずっと魔法を維持しているせいか、ソフィアちゃんの表情にはかなり疲れが見えているのだ。元気っ子のこの子には珍しい。
私の質問にソフィアちゃんの眉が八の字に垂れ下がった。
「……ムイムイたちが心配なので……置いていかなきゃダメですか……?」
う~ん、どうやらソフィアちゃんの心境的には、魔法は解きたくないらしい。
この場にくるまで、ずっと面倒をみてきたので、親心が芽生えてしまったのかもしれない。難しきや、親心と乙女の心。
「あ大丈夫だよ~、ごめんね、変なこと言って止めちゃって」
私はソフィアちゃんのやりたいようにさせてあげることにした。
すでに目的地にはついていて、あとは周辺を見て終わりだしね。特にトラブルが起きなければ問題ないはずだ。
※以下2022年2月15追加部分
***
ソフィアちゃんと一緒に周辺を見て回ることになった。
まず見つかったのは、そこそこの大きさの泉だった。
背の高い木々にかこまれたその泉は、縦も横も30メートルほどの幅があり、透き通ったきれいな水を湛えている。
「ムイムイ!」
泉を見つけると、ムイムイが鳴き声をあげながら、足をジタバタさせた。ソフィアちゃんが高度を下げてあげると、ごくごくと泉の水を飲み始める。
「飲み水はこれなら問題なさそうですね。湧き水みたいですから、いきなり枯れたりする心配もなさそうです」
確かに泉の水は、底の方から湧き出ているみたいだった。表面に独特の波が描かれている。泉から伸びる小川には、水がちょろちょろと流れ出ていた。
体の大きなムイムイさんが飲んでも水嵩は減る気配がない。水量も十分なようだった。
ソフィアちゃんは周辺をキョロキョロ見る。
「どしたの?」
私が尋ねると、ソフィアちゃんも首を傾げた。
「あとは水場周辺の動物で、共存できない種がいないか見たかったんですけど……姿が見えませんね」
「そういえばそうだねぇ」
そういえば森はやたらと静かだった。入ってから数時間経つのに野生動物にすら遭遇していない。
「探してみる?」
そう尋ねると、ソフィアちゃんは首をふった。
「いえ、探索しているうちに行き合うと思いますから、次はムイムイさんの食糧となるものがあるかチェックしてみましょう」
「は~い」
ソフィアちゃんの指示に従って探すこと15分ほど、私の両手にはりんごみたいな木の実があった。ただし、大きさはバスケットボールよりもう一回りぐらいでっかい。
「おおおっ……」
私はその果実を両手で抱え上げ、無意味に感嘆の声をあげてしまった。
理由はほんとにでっかいりんごにしか見えなかったから。それだけ。これがムイムイさんたちの主食になるらしい。ムイムイさんたちはその果物を見ると、そわそわするように体を揺すった。
私がひとつ、ひょいっと放り投げて見ると、ムイムイさんはパクッと食いつきシャクシャクと美味しそうに食べ始める。あんなに大きなりんごが一瞬でなくなる。
でもまだまだりんごはたくさんなっていた。
「これだけあれば、ムイムイさんたちも暮らしていけそうです」
森には巨大りんごの木がたくさんあった。
ソフィアちゃんによると、この森には他にもムイムイさんの食糧になるような果物の木があって、これなら一年中、暮らしていけるらしい。
とりあえず、衣食住の衣と食は揃ったということで、次は住である。ちなみに衣は天然のもふもふの毛皮なのでもう揃っている。
「ムイムイさんたちってどんな場所寝るの?」
「どんな場所でも寝られますけど、洞窟などがあると、安心して寝られるみたいです」
「ふ~む、洞窟ねぇ~」
ソフィアちゃんとしばらく探索すると、崖になってるところに洞窟が見つかった。
でも、小さい気がする。
「う~ん」
ムイムイさんたちと見比べてみるけど、二匹がぎりぎり入れるぐらいだ。
「これは……別のところを探すしかないですね……」
疲労の色が濃いソフィアちゃんが、申し訳なさそうに言う。
その疲れた声に、私は天輝さんを取り出して言った。
「いや、ここは拡張してみよう」
洞窟の岩肌を天輝さんでガリガリ削っていく。さすが神器だ。岩になんか負けたりしない。
(我は工具ではないぞ)
天輝さんからの抗議の声が聞こえるが、ソフィアちゃんを早く休ませるためだ。仕方ない。
天井が崩落しないように優しくガリガリ、時にサクサクと切り裂きながら、洞窟を広げていく。削った岩は大きいのは私が運び、細かいのはソフィアちゃんが風でお掃除してくれた。
お仕事をして一時間ほど、ムイムイが入れるような広い洞窟が完成した。
「エトワさまありがとうございます」
「いやいや、いいんだよ~。それより、もうムイムイさんも解放してあげていいんじゃないかな?」
※おそくなって、すみません、ちょっとずつ進ませてください。
感想ありがとうございます。すぐに目を通して表示についても許可したいんですが、精神が落ち着いてから目を通したいのでもうちょっとおまちいただけたらとおもいます。
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