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257.
『赤竜(アズライン)!!』
レイモンドさんの魔法の発動と共に、その背後から巨大な炎の竜が現れた。
それはぶつかってきた大量の水を片っ端から蒸発させてしまう。レイモンドさんのいた場所からもくもくと真っ白な蒸気が立ち上っていく。
なんて威力の魔法だろう。リンクスくんが使っている魔法でも、ここまでの火力のものはみたことがない。
「すごい……!」
「感心してる場合じゃないよ。あそこらへんは地盤が強いっていっても、あれだけの魔法をずっと発動させてたらさすがに持たない」
リオンさんの言葉通り、れいもんどさんの周囲の岩場は徐々に融解をはじめていた。
その魔法のコントロールの賜物か、周囲の植物に火が移って山火事になることはないみたいだけど、このまま続ければ影響は避けられそうになかった。
「ぶへっくしょん!」
レイモンドさんがくしゃみをすると、炎の竜がみじろぎをする。
炎の尻尾が山の斜面にあたり、地面を溶かして、巨大な爪痕を残していく。
「あの、バカジジイ!」
「おっといかんいかん」
すぐに制御を取り戻したけど、急いだ方がいいのは確かなようだ。
「リオンさん行きましょう」
「ああ!」
私たちは水の中に飛び込んだ。
リオンさんは上層に待機してもらって、私だけ潜っていく。
火の魔法しか使えないリオンさんたちでは動きでも威力の面でも水の中での戦いは不利だ。水の影響を無視できるほどの高威力で相手を仕留めてしまえば勝てるらしいが、その場合、ダムへの影響が無視できなくなる。だから、私が水の影響の少なく、魔法の威力を発揮しやすい、水面付近まで誘導する。
サンショウウオ型のゴーレムは私を待ち構えるように、水底から光る目で睨んでいた。
『悪いニュースだ。あのゴーレムの材質を特定できたが、周囲の岩盤よりも相当に硬い』
それはつまり、剣で斬ると余波で周囲への影響が避けられないってことだった。
『光波』は当然使えない。普通に斬るならうまくやれば……というところだけれど、ぶっつけ本番でミスしてダムを崩壊させたら目も当てられない。
私が水中で倒せるなら、そっちでも良かったけど、まずは水中から追い出すことを考えた方が良さそうだった。
(大丈夫! 上に持っていけばいいんだよね!)
ゴーレムは私を飲み込むように口を開いて襲いかかってくる。
普通の人なら避けられないように早さだったけど、力を解放してパワーが増している私なら楽に避けられる動きだった。
するりと回避して、後ろに回り込む。
そしてその体を掴んだ。
(このまま上に投げて……!)
そう思った瞬間。
ぬるりという感触が手を襲う。
さっきまで硬い金属のような感触だったのに、突然、ウナギでも触っているような触感に変わる。
(ぬるぬるっ……!?)
手がずりっと滑って空を切る。
ゴーレムは身を捩って、私の元から逃げていく。
『水だけじゃなく、粘性のある液体まで生み出せるようだ』
なんて地味で厄介な機能を……!
ゴーレムは一度離れると反転して、私の方へ高速で突っ込んできた。
咄嗟に受け止める。その巨体での高速の突撃はかなり重いけど、耐えられないことはない。
ただ問題は周囲の地面の方だった。
受け止めた余波で地面が抉れていく。湖に根ざすゴーレムなのに周囲の環境に配慮するような気配はない。
今の一撃で、どれぐらいの影響があるのかはわからないけど、長引かせたくはない。
私はゴーレムを受け止めた状況を逆用して、水面に向けて投げようとした。
でも、またぬるっとした感触が襲い、手が滑っていく。
(くぅ……! 投げるのがダメなら!)
私は拳を握り、思いっきりゴーレムを殴りつけた。
ゴンっという鈍い音がして、その今度こそ巨体が打ち上げられる。
ただ咄嗟の行動で威力が不十分だった。
ゴーレムの体は完全に打ち上がる前に、制御を取り戻し、慌てて水底へと戻ってきた。
(もう一回!)
私は再び殴りつけて打ち上げようと、ゴーレムに近づく。
しかし、その前身にモヤのようなものが湧き上がり始めた。
あれは……
『危険だとみて、全身を粘液で包みはじめたな』
(つまり……?)
『打撃の効果は著しく下がる』
キキキキキ……
そんな音が水を通してゴーレムから聞こえてくる。笑ってるわけではないと思うけど、そんな風に感じる。
きっとこのゴーレムを作った製作者は、性格が悪い人だと思う。
(滑らない一点を見つけて、そこに拳を打ち込めないかな)
映画で拳法の達人がやるみたいに。
『剣を使えばその一点を狙うのも可能だろう。お前は剣の天才だからな。だが、拳では望み薄だ』
結局剣ですか……
レイモンドさんの魔法の発動と共に、その背後から巨大な炎の竜が現れた。
それはぶつかってきた大量の水を片っ端から蒸発させてしまう。レイモンドさんのいた場所からもくもくと真っ白な蒸気が立ち上っていく。
なんて威力の魔法だろう。リンクスくんが使っている魔法でも、ここまでの火力のものはみたことがない。
「すごい……!」
「感心してる場合じゃないよ。あそこらへんは地盤が強いっていっても、あれだけの魔法をずっと発動させてたらさすがに持たない」
リオンさんの言葉通り、れいもんどさんの周囲の岩場は徐々に融解をはじめていた。
その魔法のコントロールの賜物か、周囲の植物に火が移って山火事になることはないみたいだけど、このまま続ければ影響は避けられそうになかった。
「ぶへっくしょん!」
レイモンドさんがくしゃみをすると、炎の竜がみじろぎをする。
炎の尻尾が山の斜面にあたり、地面を溶かして、巨大な爪痕を残していく。
「あの、バカジジイ!」
「おっといかんいかん」
すぐに制御を取り戻したけど、急いだ方がいいのは確かなようだ。
「リオンさん行きましょう」
「ああ!」
私たちは水の中に飛び込んだ。
リオンさんは上層に待機してもらって、私だけ潜っていく。
火の魔法しか使えないリオンさんたちでは動きでも威力の面でも水の中での戦いは不利だ。水の影響を無視できるほどの高威力で相手を仕留めてしまえば勝てるらしいが、その場合、ダムへの影響が無視できなくなる。だから、私が水の影響の少なく、魔法の威力を発揮しやすい、水面付近まで誘導する。
サンショウウオ型のゴーレムは私を待ち構えるように、水底から光る目で睨んでいた。
『悪いニュースだ。あのゴーレムの材質を特定できたが、周囲の岩盤よりも相当に硬い』
それはつまり、剣で斬ると余波で周囲への影響が避けられないってことだった。
『光波』は当然使えない。普通に斬るならうまくやれば……というところだけれど、ぶっつけ本番でミスしてダムを崩壊させたら目も当てられない。
私が水中で倒せるなら、そっちでも良かったけど、まずは水中から追い出すことを考えた方が良さそうだった。
(大丈夫! 上に持っていけばいいんだよね!)
ゴーレムは私を飲み込むように口を開いて襲いかかってくる。
普通の人なら避けられないように早さだったけど、力を解放してパワーが増している私なら楽に避けられる動きだった。
するりと回避して、後ろに回り込む。
そしてその体を掴んだ。
(このまま上に投げて……!)
そう思った瞬間。
ぬるりという感触が手を襲う。
さっきまで硬い金属のような感触だったのに、突然、ウナギでも触っているような触感に変わる。
(ぬるぬるっ……!?)
手がずりっと滑って空を切る。
ゴーレムは身を捩って、私の元から逃げていく。
『水だけじゃなく、粘性のある液体まで生み出せるようだ』
なんて地味で厄介な機能を……!
ゴーレムは一度離れると反転して、私の方へ高速で突っ込んできた。
咄嗟に受け止める。その巨体での高速の突撃はかなり重いけど、耐えられないことはない。
ただ問題は周囲の地面の方だった。
受け止めた余波で地面が抉れていく。湖に根ざすゴーレムなのに周囲の環境に配慮するような気配はない。
今の一撃で、どれぐらいの影響があるのかはわからないけど、長引かせたくはない。
私はゴーレムを受け止めた状況を逆用して、水面に向けて投げようとした。
でも、またぬるっとした感触が襲い、手が滑っていく。
(くぅ……! 投げるのがダメなら!)
私は拳を握り、思いっきりゴーレムを殴りつけた。
ゴンっという鈍い音がして、その今度こそ巨体が打ち上げられる。
ただ咄嗟の行動で威力が不十分だった。
ゴーレムの体は完全に打ち上がる前に、制御を取り戻し、慌てて水底へと戻ってきた。
(もう一回!)
私は再び殴りつけて打ち上げようと、ゴーレムに近づく。
しかし、その前身にモヤのようなものが湧き上がり始めた。
あれは……
『危険だとみて、全身を粘液で包みはじめたな』
(つまり……?)
『打撃の効果は著しく下がる』
キキキキキ……
そんな音が水を通してゴーレムから聞こえてくる。笑ってるわけではないと思うけど、そんな風に感じる。
きっとこのゴーレムを作った製作者は、性格が悪い人だと思う。
(滑らない一点を見つけて、そこに拳を打ち込めないかな)
映画で拳法の達人がやるみたいに。
『剣を使えばその一点を狙うのも可能だろう。お前は剣の天才だからな。だが、拳では望み薄だ』
結局剣ですか……
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