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163.日常日常
いろいろどたばたしていた誕生会も終わって、私たちの生活も日常に戻ってきていた。
王子さまの誕生会ということで、貴族学校のルーヴ・ロゼは数日間のお休みになってたんだけど、今日から学校がまたはじまった。
「助けに来てくれてありがとうね」
私は登校の折に、ソフィアちゃんたちに改めてお礼を述べた。
「そんなの当たり前だろ。本当は……傍にいてやれたらよかったんだけどな」
いの一番に助けにきてくれたリンクスくんは、照れながらもそういってくれた。
ソフィアちゃんとミントくんも不審がられないように答えを返してくれる。
2人はもちろんあのときの顔を隠した魔族っぽい奴が、私だって気づいてくれていた。
あのあと、シュバッとリンクスくんの前から逃走したんだけど、同じ速度でUターンして会場に戻ったら、なんとか誤魔化せたみたいだった。
「クリュートくんもありがとうね」
クリュートくんにもあらためてお礼を言っておく。
助けに来てくれたみたいだったから。
「僕は魔族に襲われた市民を助けにきたんです。あなたじゃなくて。勘違いしないでくださいよね」
なるほど~。。
「それも偉いね!」
市民を守ろうとするなんて貴族として立派なことだと思う。
クリュートくん偉い。
「っ……」
褒めると、クリュートくんはすねたようにそっぽむいた。
うーん、私が褒めたことでプライドに障ってしまっただろうか。気位の高い子を相手にするのはいろいろとむずかしい。
「スリゼルくんもありがとう~」
「エトワさまの護衛として当然のことをしたまでです」
スリゼルくんはいつもの調子に戻っていた。
あのときのハチとのやり取りについてはどちらにも聞けてない。そもそも私が聞いていいことなんだろうか。
踏み込んでいいものか迷う。
スリゼルくんは表面的な付き合いだけで、私がそれ以上に近づくことを拒絶してるように感じるときがある。
踏み込んでいいものか、そっとしておいてあげるべきか。
どうすればいいのか、私も迷ってしまうのだった。
***
そんなこんなでルーヴ・ロゼの授業は平穏に終わって、パイシェン先輩から三回ほどはたかれたけど、お茶会も終わって、ポムチョム小学校へ。
「エトワちゃん、おはよー」
「おはよー、リリーシィちゃん」
リリーシィちゃんと挨拶して、いつも通りの日常がはじまると思ったら、今日はちょっと様子が違った。
ウィークマン先生が知らない子を連れてきたのだ。
亜麻色の髪をした目つきの鋭そうな女の子。
「だれー?」
「だれだろう」
首をかしげる私たちにウィークマン先生が言う。
「今日はうちの学校に転校生が来てくれたよ。これからみんなと一緒に勉強をしていくことになるから仲良くしてあげてね」
おおー、転校生かー。
小学生にとっては大きなイベントにみんなの目がきらきらする。
「よろしくね!」
「仲良くしようねー!」
ポムチョム小学校の子たちはみんないい子たちばかりだ。
まだ自己紹介もすんでないけど、転校生の子に笑顔を見せて、仲良くしようと声をかける。
しかし――。
「それじゃあ、エルフィスさん。自己紹介をお願いします」
「ふんっ、アホ面のガキばっかり揃った学校ね。本当に冒険者を目指してる教室なの?」
転校生の子にぶっちぎりで仲良くする気がなかった。
「なんだとーっ!」
「むきぃー!」
思考回路がシンプルなポムチョム小学校の子たちは、すぐにエルフィスちゃんの言葉に顔を真っ赤にする。
「私はね、剣で名の知れた商家に生まれた娘なのよ。引越しで仕方なくこの学校に来ることになったけど、本当はこんなボロ学校に通うべき身分の人間じゃないの。あんたたちみたいなバカに足を引っ張られるのはごめんなの」
いや、でもここまであしざまにいわれたら大人でも怒ると思う。
「ボロ学校じゃないもん、ちょっとボロだけどいい学校だもん!」
リリーシィちゃんも我らが学校をバカにされて顔を真っ赤にする。
「お前、いい加減にしろよ! バカとかアホとか俺らのことをよく知りもしないで好き勝手いいやがって!」
「ふん、言うわよ。見るからにへっぽこで弱そうなんだもん」
「そこまで言うなら、お前はかなり強いんだろうな!」
「当たり前でしょ、剣の名家の娘よ。あんたたちの100倍強いわよ!」
100倍とはこれまた子供っぽい。
そのまま喧嘩になりそうだったので、1人、冷静な私がその場を諌める。
「まあまあ、みんな落ち着いてね? 喧嘩してもいいことないよ」
すると、エルフィスちゃんが私を睨んで口を開いた。
「何よあんた。1人だけ私は大人ですみたいな雰囲気だして。何よその間延びしたしゃべり方、まったり系でも演出してるの? キャラ作ってんじゃないわよ」
ズガーン――。
エルフィスちゃんのストレートな暴言が私にも容赦なく放たれた。
「あぁ、エトワちゃんが泣いちゃった。ひどいこと言うのやめてよ」
「ふんっ、小3にもなってキャラ作ってんじゃないわよ」
キャラ、作ってないもん……。
……ちょっとしか。
「エトワちゃん泣かないで!」
「作ってない…………ちょっとだけしか……」
「あ、やっぱり、作ってたんだ……」
「そっか、やっぱり……」
「……ちょっとだけだもん」
ポムチョム小学校のクラスメイトたちが次々と合点がいったように頷く。
『作ってたのか、やはり』
……。
……ちょっとだけだよ。
王子さまの誕生会ということで、貴族学校のルーヴ・ロゼは数日間のお休みになってたんだけど、今日から学校がまたはじまった。
「助けに来てくれてありがとうね」
私は登校の折に、ソフィアちゃんたちに改めてお礼を述べた。
「そんなの当たり前だろ。本当は……傍にいてやれたらよかったんだけどな」
いの一番に助けにきてくれたリンクスくんは、照れながらもそういってくれた。
ソフィアちゃんとミントくんも不審がられないように答えを返してくれる。
2人はもちろんあのときの顔を隠した魔族っぽい奴が、私だって気づいてくれていた。
あのあと、シュバッとリンクスくんの前から逃走したんだけど、同じ速度でUターンして会場に戻ったら、なんとか誤魔化せたみたいだった。
「クリュートくんもありがとうね」
クリュートくんにもあらためてお礼を言っておく。
助けに来てくれたみたいだったから。
「僕は魔族に襲われた市民を助けにきたんです。あなたじゃなくて。勘違いしないでくださいよね」
なるほど~。。
「それも偉いね!」
市民を守ろうとするなんて貴族として立派なことだと思う。
クリュートくん偉い。
「っ……」
褒めると、クリュートくんはすねたようにそっぽむいた。
うーん、私が褒めたことでプライドに障ってしまっただろうか。気位の高い子を相手にするのはいろいろとむずかしい。
「スリゼルくんもありがとう~」
「エトワさまの護衛として当然のことをしたまでです」
スリゼルくんはいつもの調子に戻っていた。
あのときのハチとのやり取りについてはどちらにも聞けてない。そもそも私が聞いていいことなんだろうか。
踏み込んでいいものか迷う。
スリゼルくんは表面的な付き合いだけで、私がそれ以上に近づくことを拒絶してるように感じるときがある。
踏み込んでいいものか、そっとしておいてあげるべきか。
どうすればいいのか、私も迷ってしまうのだった。
***
そんなこんなでルーヴ・ロゼの授業は平穏に終わって、パイシェン先輩から三回ほどはたかれたけど、お茶会も終わって、ポムチョム小学校へ。
「エトワちゃん、おはよー」
「おはよー、リリーシィちゃん」
リリーシィちゃんと挨拶して、いつも通りの日常がはじまると思ったら、今日はちょっと様子が違った。
ウィークマン先生が知らない子を連れてきたのだ。
亜麻色の髪をした目つきの鋭そうな女の子。
「だれー?」
「だれだろう」
首をかしげる私たちにウィークマン先生が言う。
「今日はうちの学校に転校生が来てくれたよ。これからみんなと一緒に勉強をしていくことになるから仲良くしてあげてね」
おおー、転校生かー。
小学生にとっては大きなイベントにみんなの目がきらきらする。
「よろしくね!」
「仲良くしようねー!」
ポムチョム小学校の子たちはみんないい子たちばかりだ。
まだ自己紹介もすんでないけど、転校生の子に笑顔を見せて、仲良くしようと声をかける。
しかし――。
「それじゃあ、エルフィスさん。自己紹介をお願いします」
「ふんっ、アホ面のガキばっかり揃った学校ね。本当に冒険者を目指してる教室なの?」
転校生の子にぶっちぎりで仲良くする気がなかった。
「なんだとーっ!」
「むきぃー!」
思考回路がシンプルなポムチョム小学校の子たちは、すぐにエルフィスちゃんの言葉に顔を真っ赤にする。
「私はね、剣で名の知れた商家に生まれた娘なのよ。引越しで仕方なくこの学校に来ることになったけど、本当はこんなボロ学校に通うべき身分の人間じゃないの。あんたたちみたいなバカに足を引っ張られるのはごめんなの」
いや、でもここまであしざまにいわれたら大人でも怒ると思う。
「ボロ学校じゃないもん、ちょっとボロだけどいい学校だもん!」
リリーシィちゃんも我らが学校をバカにされて顔を真っ赤にする。
「お前、いい加減にしろよ! バカとかアホとか俺らのことをよく知りもしないで好き勝手いいやがって!」
「ふん、言うわよ。見るからにへっぽこで弱そうなんだもん」
「そこまで言うなら、お前はかなり強いんだろうな!」
「当たり前でしょ、剣の名家の娘よ。あんたたちの100倍強いわよ!」
100倍とはこれまた子供っぽい。
そのまま喧嘩になりそうだったので、1人、冷静な私がその場を諌める。
「まあまあ、みんな落ち着いてね? 喧嘩してもいいことないよ」
すると、エルフィスちゃんが私を睨んで口を開いた。
「何よあんた。1人だけ私は大人ですみたいな雰囲気だして。何よその間延びしたしゃべり方、まったり系でも演出してるの? キャラ作ってんじゃないわよ」
ズガーン――。
エルフィスちゃんのストレートな暴言が私にも容赦なく放たれた。
「あぁ、エトワちゃんが泣いちゃった。ひどいこと言うのやめてよ」
「ふんっ、小3にもなってキャラ作ってんじゃないわよ」
キャラ、作ってないもん……。
……ちょっとしか。
「エトワちゃん泣かないで!」
「作ってない…………ちょっとだけしか……」
「あ、やっぱり、作ってたんだ……」
「そっか、やっぱり……」
「……ちょっとだけだもん」
ポムチョム小学校のクラスメイトたちが次々と合点がいったように頷く。
『作ってたのか、やはり』
……。
……ちょっとだけだよ。
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