悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷

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第二章

1 レオス・ヴィダールと愉快な仲間たち

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 あの日最強になると誓いを立ててから5年、15歳になった俺は王立学園の教室にいる。

 クラスは特進クラスだ。

 レインはAクラス、筆記が壊滅的だったのが響いたようだ。
 そこに平民や成績の悪かった貴族がBクラスへと配属される。

「おはよう、レオス君」

「おはよう、アイン」

「今日もやるかい?」

「当然だろ」

「僕も混ぜてくれよ~」

 俺とアインの二人の会話に割り込んできたのはリボーン・ドルッセン。
 エレオノーラの双子の弟で、いつも姉のしりぬぐいをしている苦労人だというのは入学してから知ったことだ。
 何故かエレオノーラは周りに慕われている。
 俺には我が儘な女の子にしか見えないんだけど、クラスの中心に彼女はいる。

 まあ公爵ってのも関係してるとは思うが。

「リボーンは姉ちゃんの世話でいっぱいいっぱいだろ、俺とアインだけでやっておくよ」

「ほら呼ばれてるぞ」

 エレオノーラの方を見ると、笑いながらハンドサインを出している。

「今日は荷物持ちだな」

「頑張ってこいよ」

「理不尽だぁ~、君達も来ない?」

『いかない』

「だよね~」

 貴重な放課後の時間を何故そんなことに使わなければならないのか。
 付き合わされる方は可哀そうだな。

「レイン君も来るかな?」

「多分来るよ、補習がなければ」

 レインは実技のみでAクラスに入れたといっても過言ではないくらい勉強の方はからっきしだ。
 試験での赤点は日常茶飯事、このままではいずれBクラスに落ちてしまうだろう。

「まあ俺も手伝うから、どうにかするよ」

「今日はいいのか?」

「今日はいい、たまには二人でやろうか」

 俺はアインと言葉を交わして自分の席へ向かう。
 退屈な授業を受けながら放課後のことを考えていた。


 すべての授業が終わり、放課後になった。

「それじゃあいくか」

「ああ」

 アインの呼びかけに答え、俺たちは学校内にある修練場へと向かう。
 入学してからほぼ毎日、アインとは手合わせをしている。

 強者との戦いからは学ぶことが多い。
 未だにアインから勝ちを取ることは多くない。
 それでも一本も取れる気がしなかったあの頃よりは近づいているのがわかる。

 5年という歳月は俺が成長するには充分な時間だった。
 アインはそれでも俺より一回り大きいが、俺も中々筋肉質で締まった体になっている。

「いて」

 アインの攻撃が俺にクリーンヒットする。
 また負けた。
 もう負けた回数は数えていない。

「今のは隙が大きかったな、小さなフェイントを織り交ぜないと有効にはならないぞ」

 アインの指摘を受け、剣を振るい確認する。
 こうきたなら、こうか?
 いや、こうなる前にこうして……。

 幾度か宙を切り、イメージを膨らませる。
 俺には直観的に動く才能はない。
 反復練習と想像力、相手の動きを見て次善の策を考える。

 思考は止めない。
 考えを止めた時点で俺は負ける。
 その点を踏まえてアインは指摘してくれるので助かる。

 レインに聞いても感覚的な言葉でしか返ってこなくて反省にならないのだ。

 その後も何回か手合わせをしてアインとの練習は終えた。
 俺はその足で魔法の修練上へと向かう。

 そこには誰もいない。

 俺はこの5年間で身に着けた魔力操作の練習に入る。
 単純に魔力循環を行うのはもちろん、これをいかに滑らかに行うかが重要だ。
 基本的に戦いに入ると全身に魔力循環をすることで攻撃面でも防御面でも強くなれる。
 魔力は第二の筋力だ。

 鍛えていないものの放った魔法など素手で弾けるほどになってきた。
 俺がいくつかの魔法を放っていると聞きなれた声が聞こえてきた。

「あら~、今日も熱心なことですわね~」

 エレオノーラだ。

「アインは? そっちにいかなくてもいいのか?」

「どどどど、どうしてそこでアイン様が出てくるのでして?」

 いやバレバレだろ。
 どうしてバレていないと思っているのだろうか。
 周りも指摘しないし、本気でバレていないと思っているらしい。

 王立学園に入学してからというもの、エレオノーラはアインによく声をかけに行っている。
 まあ剣術しか興味のないアインにとって、エレオノーラは聖魔法の使える強い女性くらいの認識しかもっていないようだが。

「そんなにアインといたいなら、剣術でも学んだらどうだ? 食いつくぞ」

「剣なんて、手にマメも出来るし、生傷も出来ますわ。そんなこと出来るはずもないじゃありませんこと」

「まあ自称聖女様だからな」

「予定でしてよ! 聖女になるのは!」

 こいつとは何故かよくしゃべるようになった。
 魔法大会のこともあったのだろうか、俺がここにくるとよく顔を合わせることがある。
 彼女も魔法に関しては鍛錬を欠かしておらず、相変わらず俺にとっては脅威ではある。

(だけど、剣さえ使えれば、いや無手でも攻撃がありなら負ける気はしないけどな)

「なにか物騒なことを考えていませんこと?」

「気のせいだ」

「そうですの、それじゃあわたくしも使わせてもらいますわよ」

 そう言って彼女は女子更衣室へと入っていく。

 俺はそれを見届けながら、ダークボールを召喚してぐるぐると体の周りを周回させる。
 魔力制御の練習の一つだ。

「相変わらず、魔法がお上手なことで」

 女子更衣室から出てきたエレオノーラは体操服のような服に身を包んでいる。
 こう言っては何だが、エレオノーラは美人だし、プロポーションもいい。魔法も強い。
 これ以上何を求めているのだろう。
 俺が言えた立場でもないが。

 ぼっーと彼女を見ていると、目が合った。

「あら、わたくしの姿に見惚れていましたの?」

「ああ、綺麗だな」

「当然でしょう」

 何故か胸を張るエレオノーラ。
 自己肯定力はあるんだよなあ、自分を客観的に見て判断できるし。

「まあアインには振り向いて貰えないけどな」

「うるさいですわよ、ホーリーボール!」

 エレオノーラの魔法が俺の方に向かってくる。
 それを空中で回していたダークボールを3つ使い相殺する。

「やめろよ、火力高いんだから」

「だから手加減しましてよ」

 手加減してこれだから質が悪い。
 というか攻撃魔法をいきなり人に放つな。

 どうしてこいつが聖女のごとく扱われているのか納得がいかん。
 俺がどうこう言ったところで信用勝負で勝てるわけではないのだが。
 リボーンの気持ちが少しわかった気がした。

 そして彼女は火力の高い攻撃魔法を練習の的にバシバシとぶつけていく。
 一応魔力耐性の高い素材で作られているので壊れることはないが、そのうちこいつならぶっ壊しそうだなあとか思ってる。

「相変わらず魔力循環は微妙だな、あまり魔法の威力に頼るなよ」

「余計なお世話でしてよ、これで充分戦えるのでしてよ」

 俺に言わせれば無駄が多いが、それを補って有り余る魔力量、そして放出出来る量。
 これは鍛錬だけではなく才能と言っていい。

「どいつもこいつも、持っているばかりで嫌になるな」

「なにか言いまして?」

「いや、なにも」

 15歳になった今でも、俺の目指す最強には程遠かった。
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