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第二章
4 レオス・ヴィダールは訓練する
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俺たちは2週間後に対抗戦が控えているということで、放課後はその練習に費やしていた。
ルールはなんでもあり。
どんな卑怯な手段を使おうが、命はさすがに奪っちゃいけなし、重傷になるような攻撃もだめだ。
一応回復魔法の使える集団を待機させてはいるが、あまり褒められたのものではないだろう。
そもそも俺はルールの範囲でなんでもありをするつもりだ。
つまり剣魔一体。
この学校にそれが可能な人間がどれだけいるか、そして使いこなせるものがいるか。
少しワクワクした。
「というわけで、ちょっとアイン、手合わせしようか」
「なんでもありか、俺は剣術しか学んでこなかったからな」
「一応魔法も学んだだろ? さすがにゼロって訳じゃないだろうし」
「そうだな、敵と相対するときには防御には使うが攻撃には結局剣に頼る場面が多くてな、そこが不安かな」
「まあやってみるといいよ、先に行っとくけど、俺は強いよ?」
「それは、楽しみだね」
俺とアインがお互いに距離と取り、特に合図もなく試合を始めた。
剣術しかないと言っていたが、アインは自分の足元に風を発生させ、いつも以上のスピードで迫ってくる。
俺はそれを冷静に見極め、魔法を放つ
「ダークボール」
俺の左手から放たれたそれを、剣で弾こうとするアイン。
それを避けるようにダークボールは曲がり、相手の脇腹に直撃する。
「ぐっ」
予定外の攻撃を食らいぐらつくアイン。
しかしそのスピードは緩まない。
剣と剣がぶつかり合う近接戦に突入する。
こうなってしまっては魔法のアドバンテージは内容に思える。
しかし俺にとってはどの距離でも対応出来るのだ。
「ダーク!」
俺がそう唱えると、体から闇の蒸気が放出される。
熱はなく、纏わりつくこともない。
ただ相手の視界を塞ぎ、その場から離脱することが可能だ。
「ウィンド!」
その闇の霧をアインの魔法がかき消す。
やはり出来る。
この男からこの程度出来ても不思議ではない。
「ダークバインド」
「グラビティ」
俺はすかざす、相手の行動力を奪う魔法を唱える。
影から出てきた触手と相手にいつも以上の重力を与える二重詠唱だ。
訓練して出来るようになった、俺一番の拘束魔法だ。
これにはさすがにアインも手こずり、俺は急いで彼の側に近寄り剣を頭上へと突き立てる。
「俺の勝ち、だな」
「ああ、俺の負けだ」
勝った! あのアインに。
いや別に剣術でも勝ったことはあるんだけど、なんというか余裕で勝てましたって感じ。
俺頑張ってきてよかった!
「あー俺も魔法鍛えないとだめかなー」
「アインは剣術だけでも充分強いけど、魔法に対する知識が足りないんじゃないかな。使わない魔法でも知っておくだけで対処の方法も違うし、闇魔法はあんまり参考にならないから力にはなれないけど」
「普段は魔法を使ってくるような相手と戦っていなかったからなあ……」
俺はその時ふと、思い出したことをアインに聞いてみた。
「なあアイン、アインは人を殺したことってあるか? 俺はある。一人だけだけど、すごく嫌な気分だった。俺を殺そうとした奴だから死んで当たり前なんだけど、しばらくその感触が忘れられなくてさ」
「俺は10歳の頃には野盗を殺してたな、俺も最初はそうだったよ。でも何回も殺しているうちに慣れたよ。だって俺には守るべき領民がいるから。」
守るべき領民か、そうだよな。俺は守ったんだ。
あの感触はいまでもたまに思い出す。もっと殺せば気にならなくなるかな。
いかん、まるで殺人鬼のような言い訳だ。
一度だけでも殺意に触れられたのはよかった体験だと思おう。
「でも急にどうしたんだそんなこと聞いて」
「いや、アインの強さってどこから来てるのかなって思ってさ。対人戦しているとそれを感じる場面が多くてさ、俺なんかよりよっぽど修羅場を潜ってそうだし」
「いうほどでもないぞ、本来は騎士の人が対処してくれるし、父親が血気盛んだから連れまわされているようなもんだし」
「それは大変だ、本当は指揮官がドンと座っていなくちゃいけないのにな」
うちは今絶賛開拓中だから、兵士の数も増やしているし俺自身がわざわざ野盗狩りをするようなことをする必要はない。
「それよりもう一戦だ!」
「次も負けないからな」
「勝つまでやる!」
「帰れないぞ……」
その日は本当に勝つまでやらされた。
最後は俺の降参で幕を閉じることとなった。
次の日、昨日の負けが堪えたのか、アインは付け焼刃なのを承知で魔法の鍛錬に勤しんでいる。
もともと体内の魔力を操る技術はぴか一なのだ。
あとは放出の問題。
残りは相手の使いそうな魔法の知識。
さすがのアインも遠距離から延々と魔法を打たれて近づけない状況は苦しかったようだ。
エレオノーラはここぞとばかりにアインに助言をして親密さをアピールしている。
残念だけど、アインはお前じゃなくて魔法に興味があるだけなんだよな。
はっきり言ってアインが今更魔法を覚えたところであまり意味はない。
この短期間という意味ではだ。
彼の最大の強みは剣術だ。
いかに相手の懐に入るか、そこから反撃の隙を与えずどう圧倒するか。
剣だけではない、魔法による反撃も想定にいれて対応しなくてはならない。
しかしそれが出来てしまえさえすれば、彼は優勝するポテンシャルを持っていると思っている。
一応優勝候補としては3年生のエリアル・クローゾン、風魔法が主体の魔法よりの剣士だ。他にはコーザ・コザック、クーゾの兄で炎魔法が使える剣士だ。
上級生の情報はあまり入ってこないが、まあ正直気にするほどではない。
誰が相手だろうと関係ない。
俺は最大限の準備を持って対抗戦へと挑んでいく。
ルールはなんでもあり。
どんな卑怯な手段を使おうが、命はさすがに奪っちゃいけなし、重傷になるような攻撃もだめだ。
一応回復魔法の使える集団を待機させてはいるが、あまり褒められたのものではないだろう。
そもそも俺はルールの範囲でなんでもありをするつもりだ。
つまり剣魔一体。
この学校にそれが可能な人間がどれだけいるか、そして使いこなせるものがいるか。
少しワクワクした。
「というわけで、ちょっとアイン、手合わせしようか」
「なんでもありか、俺は剣術しか学んでこなかったからな」
「一応魔法も学んだだろ? さすがにゼロって訳じゃないだろうし」
「そうだな、敵と相対するときには防御には使うが攻撃には結局剣に頼る場面が多くてな、そこが不安かな」
「まあやってみるといいよ、先に行っとくけど、俺は強いよ?」
「それは、楽しみだね」
俺とアインがお互いに距離と取り、特に合図もなく試合を始めた。
剣術しかないと言っていたが、アインは自分の足元に風を発生させ、いつも以上のスピードで迫ってくる。
俺はそれを冷静に見極め、魔法を放つ
「ダークボール」
俺の左手から放たれたそれを、剣で弾こうとするアイン。
それを避けるようにダークボールは曲がり、相手の脇腹に直撃する。
「ぐっ」
予定外の攻撃を食らいぐらつくアイン。
しかしそのスピードは緩まない。
剣と剣がぶつかり合う近接戦に突入する。
こうなってしまっては魔法のアドバンテージは内容に思える。
しかし俺にとってはどの距離でも対応出来るのだ。
「ダーク!」
俺がそう唱えると、体から闇の蒸気が放出される。
熱はなく、纏わりつくこともない。
ただ相手の視界を塞ぎ、その場から離脱することが可能だ。
「ウィンド!」
その闇の霧をアインの魔法がかき消す。
やはり出来る。
この男からこの程度出来ても不思議ではない。
「ダークバインド」
「グラビティ」
俺はすかざす、相手の行動力を奪う魔法を唱える。
影から出てきた触手と相手にいつも以上の重力を与える二重詠唱だ。
訓練して出来るようになった、俺一番の拘束魔法だ。
これにはさすがにアインも手こずり、俺は急いで彼の側に近寄り剣を頭上へと突き立てる。
「俺の勝ち、だな」
「ああ、俺の負けだ」
勝った! あのアインに。
いや別に剣術でも勝ったことはあるんだけど、なんというか余裕で勝てましたって感じ。
俺頑張ってきてよかった!
「あー俺も魔法鍛えないとだめかなー」
「アインは剣術だけでも充分強いけど、魔法に対する知識が足りないんじゃないかな。使わない魔法でも知っておくだけで対処の方法も違うし、闇魔法はあんまり参考にならないから力にはなれないけど」
「普段は魔法を使ってくるような相手と戦っていなかったからなあ……」
俺はその時ふと、思い出したことをアインに聞いてみた。
「なあアイン、アインは人を殺したことってあるか? 俺はある。一人だけだけど、すごく嫌な気分だった。俺を殺そうとした奴だから死んで当たり前なんだけど、しばらくその感触が忘れられなくてさ」
「俺は10歳の頃には野盗を殺してたな、俺も最初はそうだったよ。でも何回も殺しているうちに慣れたよ。だって俺には守るべき領民がいるから。」
守るべき領民か、そうだよな。俺は守ったんだ。
あの感触はいまでもたまに思い出す。もっと殺せば気にならなくなるかな。
いかん、まるで殺人鬼のような言い訳だ。
一度だけでも殺意に触れられたのはよかった体験だと思おう。
「でも急にどうしたんだそんなこと聞いて」
「いや、アインの強さってどこから来てるのかなって思ってさ。対人戦しているとそれを感じる場面が多くてさ、俺なんかよりよっぽど修羅場を潜ってそうだし」
「いうほどでもないぞ、本来は騎士の人が対処してくれるし、父親が血気盛んだから連れまわされているようなもんだし」
「それは大変だ、本当は指揮官がドンと座っていなくちゃいけないのにな」
うちは今絶賛開拓中だから、兵士の数も増やしているし俺自身がわざわざ野盗狩りをするようなことをする必要はない。
「それよりもう一戦だ!」
「次も負けないからな」
「勝つまでやる!」
「帰れないぞ……」
その日は本当に勝つまでやらされた。
最後は俺の降参で幕を閉じることとなった。
次の日、昨日の負けが堪えたのか、アインは付け焼刃なのを承知で魔法の鍛錬に勤しんでいる。
もともと体内の魔力を操る技術はぴか一なのだ。
あとは放出の問題。
残りは相手の使いそうな魔法の知識。
さすがのアインも遠距離から延々と魔法を打たれて近づけない状況は苦しかったようだ。
エレオノーラはここぞとばかりにアインに助言をして親密さをアピールしている。
残念だけど、アインはお前じゃなくて魔法に興味があるだけなんだよな。
はっきり言ってアインが今更魔法を覚えたところであまり意味はない。
この短期間という意味ではだ。
彼の最大の強みは剣術だ。
いかに相手の懐に入るか、そこから反撃の隙を与えずどう圧倒するか。
剣だけではない、魔法による反撃も想定にいれて対応しなくてはならない。
しかしそれが出来てしまえさえすれば、彼は優勝するポテンシャルを持っていると思っている。
一応優勝候補としては3年生のエリアル・クローゾン、風魔法が主体の魔法よりの剣士だ。他にはコーザ・コザック、クーゾの兄で炎魔法が使える剣士だ。
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