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第二章
6 レオス・ヴィダールと対抗戦②
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「おいおい今年はどうなってってるんだ?」
「こんなに1年生が突破するのって初めてじゃね?」
「特にアイン、やべえよあいつ、魔法斬りやがったぞ」
周りの騒めく声が聞こえる。
そうだな、俺らはのちの黄金世代と呼ばれても過言じゃないくらい強いと思うぞ。
順調に1回戦を突破したのはいつもの面子、クーゾがそこに入っているあたり、あいつも頑張ってるんだなって思った。
あと数人ちらほらと。
まあ全員が全員負けるわけないしな。
俺たちは順調に勝ちあがっていった。
そして次勝てばレインとの対戦だなと思っていた試合が始まった。
相手はクーゾの兄、そして優勝候補のコーザ・コザック。
属性はお互いに炎、剣術はどちらが上だろうか。
「ファイアボール」
「ファイアボール」
お互いの詠唱した魔法がぶつかり合う。
押しのけたのはコーザの魔法だった。
魔法の鍛錬を怠っているレインが悪い。
「ファイアウォール」
飛んできたファイアボールを壁を使い防御すると、そのまま左へとダッシュして相手との距離を詰めていく。
魔法戦では分が悪いと判断したのだろう。
それで正解だと俺も思う。
そもそもレインから剣術を取ったら結構悲惨なものになるぞ。
そこに相手の魔法が飛んでくる。
「ファイアアロー」
凄まじい速度で接近する魔法に合わせて、レインが魔法を唱える。
「ファイアボム」
空中にできたその炎の塊は、相手のファイアアローと相殺して周りに煙幕のように煙が蔓延する。
「くそっ、どこだ!」
コーザが完全にレインを見失っている。
その機を逃さず、レインは身を屈め下を這いまわる様に相手に接近する。
そしてそのまま相手の首を狙って下段から突きを繰り出す。
「甘い!」
わずかな煙の流れ、それを感じ取ったのか、コーザはレインの剣戟を払い落し少し距離を取る。
「剣での勝負がお好みのようだな。いいだろう、胸を貸すのも3年生の役目。かかってくるがよい」
「後悔しても知らないよ!」
「ふざけたことを!」
そこからは魔法のない剣のぶつかり合いだった。
レインには剣魔両刀など器用なことはできない。
しかし相手のコーザはその程度は軽くこなせるだろう。
それでも敢えて剣術で挑むというのは自惚れでもあり不遜でもあった。
ただその実力は確かなもので、レインは徐々に疲弊していく。
対する相手はまだまだ余裕がありそうだ。
このままでは負ける。
そう感じたのだろうか、レインが一度距離を取って相手を見据える。
そして足に力を込めて一気に距離を詰める。
右手には力をめい一杯込めた剣、いつもの飛び掛かり攻撃だ。
ただもう一つの手が空いてる。
そう、恐らく昔俺がやったように左手で殴る気だろう。
何も剣術で戦うとは一言も言ってないからな。
レインの攻撃が相手の剣に当たる。
そのまま左の拳が相手の顔面に直撃する。
そう思った。
それを相手は避けて、逆にレインの腹に向かって拳を打ち付けた。
「浅知恵なんですよ! 卑怯でわずらわしい! クソっが!」
その場で蹲るレインに、何度も剣を打ち付けるコーザ、審判が止めに入りようやく止まった。
幸いにもレインはその場で立ち上がり、救護班のところへ向かっていった。
俺はレインの側に向かった。
救護班に手当てを受けているレインは元気そうだった。
「負けちゃった! いやーまたレオスと戦えなかったね。ごめんごめん」
空元気だ。
いつもレインを見ているんだからそれくらい分かる。
本当は悔しくて泣きたいんだろう。
でも彼女は泣かない。
強いから、俺が手を指し伸ばさなくても一人で立ち上がる力がある。
でもそれとこれとは話は別だ。
俺は燃え滾るような怒りと共に、冷静に特製の剣とブレスレットを装着し次の試合へと備えた。
コーザとの試合は少ししてから始まる。
反対のブロックでは相変わらずアインが無双している。
順当に行けば準決勝で優勝候補のエリアル・クローゾンと当たることになるだろう。
俺は次のコーザの試合に勝てばエレオノーラとの戦いにへとなる。
当然勝つ。
それも完膚なきまでにだ。
俺は柄に魔石を込めた剣と、同様に処置をしたブレスレットを左手に装着している。
これは主に魔法の補助力を高めるために俺が研究したものの一部だ。
杖に魔法の威力に効果があるように、同じように剣を杖に見立てて魔石をはめ込めばいいのでは?と単純に考えた。
しかし先端に付ける魔石と違って剣には付けるところが少ない。
柄の裏ではだめ、握る部分も邪魔になる。
必然的に鍔の付近に着けることになるのだが、ただつけるだけでは効果がない。
複雑な術式を掘り込み、そこに適合する魔石を嵌めてようやく完成した。
ブレスレットの方は似たような構造のものがあったので簡単だったが、あくまで剣よりはだ。
コーザが話しかけてくる。
「また1年か、今年はいやになるな」
「そうですね、その1年に負けるんですから」
「あれを見てまだそう言える根性だけは認めてやるよ」
審判が試合の開始を告げる。
初手から全開で行く。
「ダークアロー」
「ファイアアロー」
通常なら押し負けるダークアロー、しかし俺には魔法剣による補助がある。
2つの魔法は相殺されその場から消え去る。
「まだまだか、破れると思ったんだけどな」
やはり闇属性は火力が低い。
これが聖属性なら派手にぶちかましていただろう。
別にこのまま魔法で圧倒してやってもよかったが、相手が剣を取りこちらに接近してくる。
上段から飛び上がり振り下ろしてくる相手の剣を俺は横に躱して避ける。
相手はそのまま横薙ぎに俺に攻撃をしかけてくるので、軽く剣を出して弾いてあげる。
……アイン以下か。
負ける要素がないな。
乱雑に繰り出される相手の攻撃を全ていなし、こちらの体力消費を最小限に抑え、相手の攻撃疲れを待つ。
案の定息を切らし始めた相手から距離を取り、休憩させてあげる。
「なんの……つもりだ……」
「いえ、万全の状態で負けてもらおうかと思って」
「ふざけやがって」
コーザは口では文句を言いつつ、呼吸を整え次の攻撃への準備へと移っている。
するとコーザが魔力を練りだした。
本来ならこんな無防備なところを逃すわけがないのだが、俺の言葉を挑発としてちゃんと受け取ったようで、最大火力で迎え撃ってくれるらしい。
相手の魔力が収斂する。
「くらえ! ビックバン!」
彼の頭上には人の背丈を優に超え、一軒家が建つくらい大きな炎の塊があった。
それが俺に向かって放たれる。
そうだよ、こういうのを待ってたんだよ。
俺は短く魔力を練り、詠唱を完成させる。
「ブラックホール」
俺の前の間に現れた小さな闇の塊、そこに奴の放った炎が吸収されていく。
あれだけ大きかった炎が、小さな闇に吸い込まれていくように消えていく。
この世界にブラックホールの概念ないよね。
意味の分からない現象に観客は静まり返る。
そして最後まで相手のビックバンを吸い取ると、ぺっと蝋燭の火程度になった炎を取り出す。
うーん、ブラックホールは優秀なんだけど、対人戦で使うには強力過ぎて使えないんだよね。
今回は出せる場面があってよかったよ。
「どう? まだやります?」
「くそっ……が」
そう言ってコーザは倒れた。
魔力切れだろう。
俺は勝利の宣言を受けたが観客の拍手はまばらだった。
静まり返った会場はしばらくもとには戻らなかった。
「こんなに1年生が突破するのって初めてじゃね?」
「特にアイン、やべえよあいつ、魔法斬りやがったぞ」
周りの騒めく声が聞こえる。
そうだな、俺らはのちの黄金世代と呼ばれても過言じゃないくらい強いと思うぞ。
順調に1回戦を突破したのはいつもの面子、クーゾがそこに入っているあたり、あいつも頑張ってるんだなって思った。
あと数人ちらほらと。
まあ全員が全員負けるわけないしな。
俺たちは順調に勝ちあがっていった。
そして次勝てばレインとの対戦だなと思っていた試合が始まった。
相手はクーゾの兄、そして優勝候補のコーザ・コザック。
属性はお互いに炎、剣術はどちらが上だろうか。
「ファイアボール」
「ファイアボール」
お互いの詠唱した魔法がぶつかり合う。
押しのけたのはコーザの魔法だった。
魔法の鍛錬を怠っているレインが悪い。
「ファイアウォール」
飛んできたファイアボールを壁を使い防御すると、そのまま左へとダッシュして相手との距離を詰めていく。
魔法戦では分が悪いと判断したのだろう。
それで正解だと俺も思う。
そもそもレインから剣術を取ったら結構悲惨なものになるぞ。
そこに相手の魔法が飛んでくる。
「ファイアアロー」
凄まじい速度で接近する魔法に合わせて、レインが魔法を唱える。
「ファイアボム」
空中にできたその炎の塊は、相手のファイアアローと相殺して周りに煙幕のように煙が蔓延する。
「くそっ、どこだ!」
コーザが完全にレインを見失っている。
その機を逃さず、レインは身を屈め下を這いまわる様に相手に接近する。
そしてそのまま相手の首を狙って下段から突きを繰り出す。
「甘い!」
わずかな煙の流れ、それを感じ取ったのか、コーザはレインの剣戟を払い落し少し距離を取る。
「剣での勝負がお好みのようだな。いいだろう、胸を貸すのも3年生の役目。かかってくるがよい」
「後悔しても知らないよ!」
「ふざけたことを!」
そこからは魔法のない剣のぶつかり合いだった。
レインには剣魔両刀など器用なことはできない。
しかし相手のコーザはその程度は軽くこなせるだろう。
それでも敢えて剣術で挑むというのは自惚れでもあり不遜でもあった。
ただその実力は確かなもので、レインは徐々に疲弊していく。
対する相手はまだまだ余裕がありそうだ。
このままでは負ける。
そう感じたのだろうか、レインが一度距離を取って相手を見据える。
そして足に力を込めて一気に距離を詰める。
右手には力をめい一杯込めた剣、いつもの飛び掛かり攻撃だ。
ただもう一つの手が空いてる。
そう、恐らく昔俺がやったように左手で殴る気だろう。
何も剣術で戦うとは一言も言ってないからな。
レインの攻撃が相手の剣に当たる。
そのまま左の拳が相手の顔面に直撃する。
そう思った。
それを相手は避けて、逆にレインの腹に向かって拳を打ち付けた。
「浅知恵なんですよ! 卑怯でわずらわしい! クソっが!」
その場で蹲るレインに、何度も剣を打ち付けるコーザ、審判が止めに入りようやく止まった。
幸いにもレインはその場で立ち上がり、救護班のところへ向かっていった。
俺はレインの側に向かった。
救護班に手当てを受けているレインは元気そうだった。
「負けちゃった! いやーまたレオスと戦えなかったね。ごめんごめん」
空元気だ。
いつもレインを見ているんだからそれくらい分かる。
本当は悔しくて泣きたいんだろう。
でも彼女は泣かない。
強いから、俺が手を指し伸ばさなくても一人で立ち上がる力がある。
でもそれとこれとは話は別だ。
俺は燃え滾るような怒りと共に、冷静に特製の剣とブレスレットを装着し次の試合へと備えた。
コーザとの試合は少ししてから始まる。
反対のブロックでは相変わらずアインが無双している。
順当に行けば準決勝で優勝候補のエリアル・クローゾンと当たることになるだろう。
俺は次のコーザの試合に勝てばエレオノーラとの戦いにへとなる。
当然勝つ。
それも完膚なきまでにだ。
俺は柄に魔石を込めた剣と、同様に処置をしたブレスレットを左手に装着している。
これは主に魔法の補助力を高めるために俺が研究したものの一部だ。
杖に魔法の威力に効果があるように、同じように剣を杖に見立てて魔石をはめ込めばいいのでは?と単純に考えた。
しかし先端に付ける魔石と違って剣には付けるところが少ない。
柄の裏ではだめ、握る部分も邪魔になる。
必然的に鍔の付近に着けることになるのだが、ただつけるだけでは効果がない。
複雑な術式を掘り込み、そこに適合する魔石を嵌めてようやく完成した。
ブレスレットの方は似たような構造のものがあったので簡単だったが、あくまで剣よりはだ。
コーザが話しかけてくる。
「また1年か、今年はいやになるな」
「そうですね、その1年に負けるんですから」
「あれを見てまだそう言える根性だけは認めてやるよ」
審判が試合の開始を告げる。
初手から全開で行く。
「ダークアロー」
「ファイアアロー」
通常なら押し負けるダークアロー、しかし俺には魔法剣による補助がある。
2つの魔法は相殺されその場から消え去る。
「まだまだか、破れると思ったんだけどな」
やはり闇属性は火力が低い。
これが聖属性なら派手にぶちかましていただろう。
別にこのまま魔法で圧倒してやってもよかったが、相手が剣を取りこちらに接近してくる。
上段から飛び上がり振り下ろしてくる相手の剣を俺は横に躱して避ける。
相手はそのまま横薙ぎに俺に攻撃をしかけてくるので、軽く剣を出して弾いてあげる。
……アイン以下か。
負ける要素がないな。
乱雑に繰り出される相手の攻撃を全ていなし、こちらの体力消費を最小限に抑え、相手の攻撃疲れを待つ。
案の定息を切らし始めた相手から距離を取り、休憩させてあげる。
「なんの……つもりだ……」
「いえ、万全の状態で負けてもらおうかと思って」
「ふざけやがって」
コーザは口では文句を言いつつ、呼吸を整え次の攻撃への準備へと移っている。
するとコーザが魔力を練りだした。
本来ならこんな無防備なところを逃すわけがないのだが、俺の言葉を挑発としてちゃんと受け取ったようで、最大火力で迎え撃ってくれるらしい。
相手の魔力が収斂する。
「くらえ! ビックバン!」
彼の頭上には人の背丈を優に超え、一軒家が建つくらい大きな炎の塊があった。
それが俺に向かって放たれる。
そうだよ、こういうのを待ってたんだよ。
俺は短く魔力を練り、詠唱を完成させる。
「ブラックホール」
俺の前の間に現れた小さな闇の塊、そこに奴の放った炎が吸収されていく。
あれだけ大きかった炎が、小さな闇に吸い込まれていくように消えていく。
この世界にブラックホールの概念ないよね。
意味の分からない現象に観客は静まり返る。
そして最後まで相手のビックバンを吸い取ると、ぺっと蝋燭の火程度になった炎を取り出す。
うーん、ブラックホールは優秀なんだけど、対人戦で使うには強力過ぎて使えないんだよね。
今回は出せる場面があってよかったよ。
「どう? まだやります?」
「くそっ……が」
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