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第三章
14 レオス・ヴィダールとクロセル
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俺の渾身の跳躍と攻撃は相手の指先一つで止められた。浮いた足で蹴りをお見舞いするがそれも容易く防がれてしまう。
俺は宙に浮いていることも出来ず、そのまま下に落下する。魔力循環をした体で衝撃を受け止める。問題はない。いや相手との力量差に問題があるのだが。
「折角見逃してあげようと思ったのですが……いいのですか? ご自身の命ですよ? もっと大切になさっては」
「生憎、俺の命はあげないし、レインも、誰の命も渡さない。俺は我が儘なんだ」
口ではそう言って見せても現実は厳しい。頼みの魔力は全て奪われ、ムルムルは反応しない。せめてムルムルだけでも。
「おいムルムル! いいから力を貸せ!」
「無理なのです~」
「お前と俺が組んで無理だったことがあるか?」
一回しか戦っていないのにこの言い草、しかしムルムルにはやってもらわなければ勝ち目はない。
「いつまでも負けたままでいいのか? ベリトみたいに見下してくるやつらにいい顔をさせていいのか? 大丈夫だ。俺がついている、お前の相棒は最強なんだぞ!」
「……どうなっても知らないのです!」
ムルムルがそういうと、俺の全身が変わっていく。皮膚は浅黒く、体毛が生え頑丈になっていく。今回は相手が空中にいるので初めから背中に翼が生えている。
「ほう、ムルムルの融合に耐える人間がいるとは。しかし、それだけですね」
ムルムルと合体したのに余裕を保ったままのクロセル。ムルムルも無理って言ってたしそんなに強いのか?
「そんなこと言ってていいのかよ、今からお前を倒すっていうのに」
「ははは、あり得ませんよ」
その余裕の笑みからは何も感じ取れない。ただ当たり前の自信に満ちている。
「クロセル様、あとはお願いします」
ケリモッサはそう言うといち早く部屋の外に出て逃走した。巻き添えを食わないためだろう、しかし逃げ足の速いことだ。
改めて俺はクロセルと対峙する。レインも後ろに控えている。ここでの大規模な戦闘は俺もしたくない。どうすると考えているとクロセルが何か唱える。
「フォトンスペース」
クロセルが唱えた瞬間、周りの景色が一瞬で変わる。何もないただ広い空間、いや頭上からは太陽のような光、周りは白くどこまでも続いていそうな感じだ。
「……何をした」
「何、あそこではちと狭いと感じたのでな、我の領域に招待したまでのこと」
レインの姿は、ない。ならこちらとしても好都合だ。
「フォトン」
予備動作もなく、クロセルから放たれた一撃。それはレーザービームのように俺に襲い掛かる。早さは光速よりも早くはないが音速並みだろうか。俺も人間離れした動体視力でその攻撃を避ける。
「いきなり攻撃とは、礼節がなってないな」
「すでに戦いは始まっていたと解釈しましたが」
「そうかよ!」
俺はクロセルに向かって跳躍する。宙に浮いている相手にダークバイントは使えない。グラビティはどうだ?
「グラビティ」
クロセルは少し動きずらそうにしたが、その程度だ。この空間に漂う光のせいか威力がいまいちなのは何故だろうか。答えはわからない、ただ自分の魔法の効果が薄いということだ。
だったら剣で、俺は飛び上がった力そのままに下から切りつける。それをクロセルは硬質化した足の裏で止める。
(硬い)
思った以上に頑丈な様子を見て、俺は一度距離を取った。先程まで足は普通だった。常に体を硬質化していないのを見るに、全員に纏うようなことは出来ないはずだ。それにまだ試していない魔法もある。
「ブラックホール」
相手の頭上にブラックホールを展開し、クロセルを吸い込もうとする。さすがに効果があったのか、少しずつ闇の穴に引き込まれていく。もらった、そう思った矢先クロセルの魔法が炸裂する。
「ビックバン」
その魔法がブラックホールに吸い込まれたかと思うと、ブラックホールが砕けちった。許容量以上の魔力を内包したからだろうか。俺の攻撃魔法は効かない、剣戟もいまいち。相手の底も見えない。
なるほど、ムルムルが怖がるわけだ。じっとりとした汗が俺の顔に滲む。
「もう終わりか? 人の子よ」
「どうだか。まだまだあるって言えば信じるか?」
「いえ、聞いてみただけですよ。フォトンブレード」
そう言ってクロセルは両手に光の剣とでもいうのだろうか、手からそのまま伸びるように切れ味のよさそうな光を放出したブレードを携えた。
俺にも出来そうだな。俺は剣を終い同じように想像して魔法を唱える。
「ダークブレード」
出来た。相手の幅のある剣にくらべ、しゅっとした形だがこれでいい。無駄に魔力を消費しそうな相手の形よりずっといい。
俺は両手にダークブレードを携え、クロセルに接近する。相手の魔法は怖いが、対処は出来る。近づく間にフォトンが乱れ撃たれる。
それを躱し、ブレードで弾き、無傷で相手の間合いに入る。俺は両手を上に大きく振りかぶり、相手の脳天目掛けてブレードを振り下ろす。それをクロセルはブレードを十字にして防御する。硬質化をしなかったということは頭には出来ない? それとも魔法出てきた剣には意味がないのか?
どちらにせよ、これならブレードの打ち合いなら勝機がある。俺は攻撃を繰り返す。クロセルは防戦一方になりたまに放つフォトンが邪魔なくらいで戦況は俺に優位に進んでいた。
これなら勝てる。そう思っていた時、ふいに後ろに気配を感じた。直感で体をねじりその場から跳躍する。しかし足に攻撃を食らってしまう。
何が起きたのか、俺は自分の目で確かめる。
そこには2体に増えたクロセルの姿があった。
俺は宙に浮いていることも出来ず、そのまま下に落下する。魔力循環をした体で衝撃を受け止める。問題はない。いや相手との力量差に問題があるのだが。
「折角見逃してあげようと思ったのですが……いいのですか? ご自身の命ですよ? もっと大切になさっては」
「生憎、俺の命はあげないし、レインも、誰の命も渡さない。俺は我が儘なんだ」
口ではそう言って見せても現実は厳しい。頼みの魔力は全て奪われ、ムルムルは反応しない。せめてムルムルだけでも。
「おいムルムル! いいから力を貸せ!」
「無理なのです~」
「お前と俺が組んで無理だったことがあるか?」
一回しか戦っていないのにこの言い草、しかしムルムルにはやってもらわなければ勝ち目はない。
「いつまでも負けたままでいいのか? ベリトみたいに見下してくるやつらにいい顔をさせていいのか? 大丈夫だ。俺がついている、お前の相棒は最強なんだぞ!」
「……どうなっても知らないのです!」
ムルムルがそういうと、俺の全身が変わっていく。皮膚は浅黒く、体毛が生え頑丈になっていく。今回は相手が空中にいるので初めから背中に翼が生えている。
「ほう、ムルムルの融合に耐える人間がいるとは。しかし、それだけですね」
ムルムルと合体したのに余裕を保ったままのクロセル。ムルムルも無理って言ってたしそんなに強いのか?
「そんなこと言ってていいのかよ、今からお前を倒すっていうのに」
「ははは、あり得ませんよ」
その余裕の笑みからは何も感じ取れない。ただ当たり前の自信に満ちている。
「クロセル様、あとはお願いします」
ケリモッサはそう言うといち早く部屋の外に出て逃走した。巻き添えを食わないためだろう、しかし逃げ足の速いことだ。
改めて俺はクロセルと対峙する。レインも後ろに控えている。ここでの大規模な戦闘は俺もしたくない。どうすると考えているとクロセルが何か唱える。
「フォトンスペース」
クロセルが唱えた瞬間、周りの景色が一瞬で変わる。何もないただ広い空間、いや頭上からは太陽のような光、周りは白くどこまでも続いていそうな感じだ。
「……何をした」
「何、あそこではちと狭いと感じたのでな、我の領域に招待したまでのこと」
レインの姿は、ない。ならこちらとしても好都合だ。
「フォトン」
予備動作もなく、クロセルから放たれた一撃。それはレーザービームのように俺に襲い掛かる。早さは光速よりも早くはないが音速並みだろうか。俺も人間離れした動体視力でその攻撃を避ける。
「いきなり攻撃とは、礼節がなってないな」
「すでに戦いは始まっていたと解釈しましたが」
「そうかよ!」
俺はクロセルに向かって跳躍する。宙に浮いている相手にダークバイントは使えない。グラビティはどうだ?
「グラビティ」
クロセルは少し動きずらそうにしたが、その程度だ。この空間に漂う光のせいか威力がいまいちなのは何故だろうか。答えはわからない、ただ自分の魔法の効果が薄いということだ。
だったら剣で、俺は飛び上がった力そのままに下から切りつける。それをクロセルは硬質化した足の裏で止める。
(硬い)
思った以上に頑丈な様子を見て、俺は一度距離を取った。先程まで足は普通だった。常に体を硬質化していないのを見るに、全員に纏うようなことは出来ないはずだ。それにまだ試していない魔法もある。
「ブラックホール」
相手の頭上にブラックホールを展開し、クロセルを吸い込もうとする。さすがに効果があったのか、少しずつ闇の穴に引き込まれていく。もらった、そう思った矢先クロセルの魔法が炸裂する。
「ビックバン」
その魔法がブラックホールに吸い込まれたかと思うと、ブラックホールが砕けちった。許容量以上の魔力を内包したからだろうか。俺の攻撃魔法は効かない、剣戟もいまいち。相手の底も見えない。
なるほど、ムルムルが怖がるわけだ。じっとりとした汗が俺の顔に滲む。
「もう終わりか? 人の子よ」
「どうだか。まだまだあるって言えば信じるか?」
「いえ、聞いてみただけですよ。フォトンブレード」
そう言ってクロセルは両手に光の剣とでもいうのだろうか、手からそのまま伸びるように切れ味のよさそうな光を放出したブレードを携えた。
俺にも出来そうだな。俺は剣を終い同じように想像して魔法を唱える。
「ダークブレード」
出来た。相手の幅のある剣にくらべ、しゅっとした形だがこれでいい。無駄に魔力を消費しそうな相手の形よりずっといい。
俺は両手にダークブレードを携え、クロセルに接近する。相手の魔法は怖いが、対処は出来る。近づく間にフォトンが乱れ撃たれる。
それを躱し、ブレードで弾き、無傷で相手の間合いに入る。俺は両手を上に大きく振りかぶり、相手の脳天目掛けてブレードを振り下ろす。それをクロセルはブレードを十字にして防御する。硬質化をしなかったということは頭には出来ない? それとも魔法出てきた剣には意味がないのか?
どちらにせよ、これならブレードの打ち合いなら勝機がある。俺は攻撃を繰り返す。クロセルは防戦一方になりたまに放つフォトンが邪魔なくらいで戦況は俺に優位に進んでいた。
これなら勝てる。そう思っていた時、ふいに後ろに気配を感じた。直感で体をねじりその場から跳躍する。しかし足に攻撃を食らってしまう。
何が起きたのか、俺は自分の目で確かめる。
そこには2体に増えたクロセルの姿があった。
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