私と幼馴染の彼

アクアマリン

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目覚めの悪い朝

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 とある休日の朝。私が目を覚ますと、

「千春、おはよう」

 目の前に隼人がいた。

「隼人.....?」
「うん」

 私はつい、部屋の周りを確認する。
 いつも使ってる硬いベット、所々積み重なった漫画の山、まったく使ってない新品の問題集、.......そして、なぜか服を着崩した隼人。
 乱れたシャツの襟元からは、鍛えられ引き締まった上半身が惜しげもなく披露されている。
 頬を上気させ、熱い息を吐き、瞳を潤ませた彼は、私に覆いかぶさったまま、その美しい顔で悩ましげに微笑む。

「.......夢?」
「ううん、現実」
「.......」
「.......」


 その3秒後、部屋中に悲鳴が響き渡った。




ドタドタドタドタドタッ、ガチャッ!

「お母さん、一体どういうことっ!」
「あら、千春。おはよう」

 1階のリビングに駆け込むと、母は朝食を食べながら朝のニュース番組を見ていた。

「なんで、部屋に隼人がいるの!」

 起きたら隼人がいるとか、目覚めが悪すぎる。
 思わず警察に通報するところだったじゃない!

「あら、隼人くんが……?」

 私の言葉ををうけて、母が何度か大きな瞳を瞬かせたまま首を傾げる。

「あれ、隼人を家に上げたのお母さんじゃないの?」

 もしそうなら、いきなり母に向かって怒鳴るのはよくなかっただろう。

「ごめん。私てっきりお母さんが隼人を勝手に部屋に上げたんだと勘違いして」

「あらあら、道理で降りてくるのが早いと思えば、隼人くんってば、千春に何もしていないじゃない。折角部屋まで案内してあげ....あら千春、どうしてお母さんの肩を掴んでくるのかしら。怖いわよ?」

「やっぱり、お母さんのせいだったのね......!」

 イケメンに弱い母のことだ。
 隼人が家に来た時点で、なんの躊躇いもないまま、私の部屋へ案内したに違いない。

「千春、お義母さんに手を出したらダメ」

「離して隼人。一度この母には、一般常識を教えこまないといけないの。あと私の母のことを『お義母さん』って呼ぶのを止めてちょうだい」

 遅れて現れた隼人が私の腕を掴んで止めてくる。
 さっきまで乱れていた服装は、今はきちんと着込んでいた。

「お義母さんは、起きない千春を起こしてやってくれって俺に頼んだだけ」
「じゃあ、なんで上半身裸だったのよ!?」
「それは、千春の寝顔見てたら、ムラムラしちゃって……」
「まぁ♪………千春、隼人くんにリモコンを投げちゃダメよ」
「くっ.....!」
  
 今まで、こういうことはなかったのに!

 このままだと、私の貞操の危機がまた訪れるのは、時間の問題。おっとりした母のことだ、また隼人が家に来れば、そのまま部屋へ通すに違いない。
 部屋の扉にでも鍵をして厳重にしておかなければ、私の未来が.......。

 これからの輝かしい人生を守るため、私は泣け無しの知恵を働かせたのだった。
  

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